『いっちゃんちのモリアオガエル』           ライター 〜byいっちゃん                                

                           たわごと・・に戻ります

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       2006年3月

                                             

  いっちゃん家は広島市安佐南区に有ります。

 昭和61年に念願の新築マイホームを建て移り住んで、はや20年が経とうとしています。

 車で走れば旧市内の西区まで出るのに、5分もかからない立地で武田山の中腹に位置し、昔の段々畑を埋めたてて宅地になっている場所を見つけて、家を建てました。

 猫のひたいほどの、我が家の庭でモリアオガエルが繁殖活動をしているのに気がついたのは引っ越して2年くらい経った頃でした。

 当時、敷地の片隅に家内が小さな菜園を作り、豆の棚を作っていた所に或る日、白い卵魂がくっついていた。

 足元は水も何も無い、土むき出しの場所にポッリと小さな卵魂が!

 あれまぁ、どうするんだろう? こんな所に卵植え付けてもおたまじゃくしが孵っても土の上なのに・・・ 

きっと以前は、敷地のこの場所に水溜りが有ったんだろうな、生まれた場所に戻ってくる悲しい習性だな。

その当時はそれくらいにしか考えませんでした。

 翌年から卵魂を見かけなくなってしまったので、しばらくはモリアオの事はすっかり忘れていました。

 それから3年くらいの間に、殺風景だった家の周囲に少しずつ庭木も増やし、小さな池を造る事にしました。

 ほんの畳一枚くらいの大きさですが、自宅の庭の池で鯉を飼うのがかねてからの夢でした。

ところが、それから数年経っての事でした。 

すっかり頭の中から消えてしまっていた、モリアオガエルの卵魂が、なんと池の上に植えた梅の小枝に点在して、くっついているではありませんか!!

それからは、ほとんど毎年のように梅雨時期になると、梅の小枝に卵魂を見つけることになりました。

池の中に鯉を飼っているのでイモリ等の外敵がなく、鯉からも逃げられるような浅瀬を作っていたので、おたまじゃくしからカエルに孵化して育っていくのに、ちょうどいい環境だったのでしょう。

毎年かなりの数が孵化して成長していきました。

モリアオガエルといえば、ホタルと共に自然環境を維持するバロメーターとしてよく使われています。

自然が深く残った地域にしか生息せず、環境が変わってくると姿を消すと言われている為、『ホタルを呼び戻そう!』 『モリアオガエルの棲める自然を残そう!』と各地での活動が続けられています。

県内でモリアオガエルの有名な場所は、加計の“吉水園”が有りその園内のモリアオガエルは、県の天然記念物に指定され保護されています。

それだけ大切にされながらも、他では生息地域は狭まってきていると言えるでしょう。

じつは我が家も周辺の環境破壊が進み、山上の団地造成のせいか、ここ3年間卵魂が見えなくなってしまった。

オスのモリアオガエルがメスを呼ぶ、悲しい泣き声が毎年自宅の庭に響くだけです。

そういえばここ最近、低音を響かせるウシガエルや、一転軽やかな涼味のあるカジカガエルの鳴き声も、周辺で目立たなくなってきている。

考えてみれば、これだけ都会に近く便利な場所でモリアオガエルの産卵を見る経験が出来ただけでも幸せで、それ以上の事は望むべくもないのかも知れません。

モリアオガエルのメスは鮮やかな緑一色で、体長は10cm以上ある、オスは少し小ぶりだが、綺麗な三色くらいの斑点を持っていて、体長は56cm程度。

メスは一匹だが、オスは複数で卵魂作りをする。

カエルで鳴くのはオスだけだというのは、今ではすっかり別件のJR脱線事故で有名になった福知山に有る、モリアオガエルHPで有名な大興寺の和尚さんに教えてもらった。

いずれにしても、我が家で卵魂が見られなくなって3年経つ、モリアオガエルが子供を生むまでに成長するのは3年程度と言われている。

我が家で生まれたカエルが成長して、以前のように生まれた地に戻ってくれて、眼の前で産卵風景を見せてくれる事を願うばかりだ。

しかし、不憫よのう! 

いっちゃんちで産まれたカエルが、もし“吉水園”で産まれていたら、県の天然記念物として手厚い擁護を受けて大事にされてるのにね。