アルカナム電脳遊戯研究所 個別解説

2006年・アルカナム電脳遊戯研究所推薦作品


本サイトの個別解説では、随時作品の解説を行っており、特に断らない限り取り上げた作品は 全て本サイトが推薦する作品である。 ただ、個別解説で取り上げられるのは、推薦に足る作品のうち、解説が読者に有益な作品に限られている。難解な作品や誤解されやすい作品が典型的である。 また、流通上に問題があったり、シナリオの出来に比して絵の技術が低いなどの理由で無名になってしまった作品も取り上げる価値が高く、優先して紹介している。 また、その作品を解説することでジャンル全般に関わる一般的な内容を解説することができる場合も、解説そのものが有益となるため取り上げている。

しかし、この基準では、本当に優れた作品、つまりほとんどのプレイヤーがプレイしてその良さがわかる作品は、解説の必要がないため取り上げにくい。 紹介サイトとしては、優れた作品の存在を知りながら取り上げないというのはあまりよいことではないだろう。

以上を踏まえ、2006年の終わりにあたり、今年発売された作品の中で本サイトとして特に推薦すべき作品を挙げてみたい。


1.「終末少女幻想アリスマティック」

「終末少女幻想アリスマティック」 (C) キャラメルBOX  発売日: 2006/10/27 機種: WindowsME/2000/XP レーティング: 18歳未満禁止


本サイトが今年最優秀として推薦する作品。終末に瀕した近未来世界を舞台に、ヒロイン・主人公ら少年少女剣士たちの戦いを描いた作品である。 登場人物同士の戦いを通じて登場人物の魅力を描く手法を最大限用いているのが特徴である。登場人物は戦いに勝つことにより魅力を増すが、負けたときは負けたときで心理状態を詳しく描くことができ、 人間的な厚みが増す。そういうわけで、負けても死なない舞台(仮想世界)を用意した上で、 登場人物達同士を戦わせている。登場人物同士の戦いは仮想世界・現実世界合わせて25回描かれ、各ヒロインは5回以上に参加し、勝つ戦いと負ける戦いを最低1回設けられている。またこれとは別に、倒すべき敵との戦いも多数用意され、 こちらは戦いの勝利を描くことで登場人物達の魅力を高めている。 作品の構成では、ルート順番指定ありで物語上のヒロインの役目に大きな差があるにもかかわらず、ヒロイン間のバランスに最大限配慮されているのが特徴である。 結果、一貫した大きな物語と多数の魅力あるヒロインとを併せ持った作品となった。

キャラメルBOXブランドは 作品をきれいにまとめる技術は業界最高レベルである。例えば今回も、アニメ『少女革命ウテナ』ネタやクトゥルフネタという、 コアなファンが少数いて多くのプレイヤーが知らない、双方を満足させるのが困難な危険なネタを抱えつつも、問題ない仕上がりとなっている。 今後も良質な作品を出してくれることが期待できる。


2.「七彩かなた」

詳細は別記事参照


詳細は別記事の通りである。ループ物というメタ・ゲームであるため美少女ゲーム初心者向きではなく、 またすでにループ物の優れた他の作品に触れたことのあるプレイヤーにとってはそちらへの思い入れが楽しむ邪魔をする可能性もあるが、プレイして楽しい、優れた作品である。

この作品を制作したブランド「千世」は、やはり作品をきれいにまとめる技術は業界最高レベルにあったブランドだったが、 残念ながらこの作品の制作をもって解散となった模様である。このブランドの優秀なスタッフが新たな場でまた優れた作品の制作に携わってくれることを願いたい。


3.「姫さま凛々しく!」

「姫さま凛々しく!」 (C) Q-X(きゅーくす)  発売日: 2006/6/23 機種: Windows98SE以降 レーティング: 18歳未満禁止 気持ち調合式・癒しイヤラシ姫様AVG


ブランドQ-Xの3作目。異世界舞台で、主人公がその世界の住人で王子、 ヒロインが各国・種族から代表一人ずつ選ばれた4+2名で構成されている。主人公が異世界人で筆頭ヒロインが現代世界人と通常の異世界物と逆だったり、 主人公の兄が登場して活躍したり(通常、 主人公の男の兄弟は恋愛でのライバルとなり邪魔になるので登場しない)と、とにかく 変わった作品である。 それでも楽しい作品に仕上がったのは、制作者に「ユーザーを楽しませよう」という強い意志があったためだろう。 それではプレイヤーに媚び媚びの作品になってしまいがちのところだが、どうやら制作者のセンスはプレイヤーと若干ずれているところがあるようで、 時にはそれが問題を起こすものの(主人公がしばしばプレイヤーの思い通りに動かず攻略が失敗する)、作品の独特の味を生み出している。

このブランドは極端な少人数体制のため、作品のリリース頻度はきわめて低い。 とはいえスタッフにエンターテナーとしての高い意識があるので、次回作が出たときにはそれは楽しめる作品であることが期待できる。


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last update: 2006/12/31