アルカナム電脳遊戯研究所 個別解説

2007年・アルカナム電脳遊戯研究所推薦作品


2006年に引き続き、解説・解析に値するかとは別にして、2007年発売作品 の中で本サイトが推薦する 作品を紹介したい。


1.「明日の君と逢うために」

「明日の君と逢うために Till I Reach Your Tomorrow」 (C) Purple software  発売日: 2007/11/30 機種: Windows2000/XP/Vista レーティング: 18歳未満禁止


主要登場人物が学校に通い、神様や奇跡や呪いが存在し、それらへの対処が物語のテーマとなっている作品である。 このタイプは“葉鍵の時代”から続く美少女ゲームの王道的作品である。 ただ、王道はよく研究され多くの作品が出されているだけに、優れた作品を新たに出すのは困難である。しかし本作品は、そんな中で王道に挑戦し、見事に優れた作品に仕上がった。

かつての作品では、ルートに乗らなかったヒロインが救われずそれが各ルートのハッピーエンドに水を差してしまったり、 ストーリーを強化してルート順番指定を導入すると、 前の方でプレイされるヒロインが前座となって作品全体の犠牲となり魅力が低下するといった問題がよくあった。(今でもたまにある。) 本作品ではこれらの問題はよく認識され、丁寧に対処されている。 近年のバッドエンドの存在が好まれない風潮に合わせ、 対等なエンディングを複数用意することで物語の展開に厚みを持たせている。 ハードウェアの能力向上に合わせ演出が強化されているが、 作品で大事なのはテキストと立ち絵であることをよく理解し、演出は立ち絵をひきたたせることに注力されている。美少女ゲームが今でも進化していることを実感させてくれる作品である。

本作品は奇をてらった部分が少なく、バランスの良さ・問題点の少なさが最大の特徴であるが、あえて特徴を挙げるなら「距離感の使い方」だろう。 登場人物に後ろ向きの立ち絵が用意されており、 主人公(とプレイヤー)が登場人物に距離感を覚える状況で有効に使われている。 主人公と多くのヒロインは作品世界の住人としてやや浮世離れしていると定義されていて、 彼ら同様作品世界の住人ではないプレイヤーが彼らに親近感を感じる手助けとなっている。つまり、この作品は主人公と世界、主人公とヒロインとの間に距離が開いている。プレイヤーは主人公と一緒になって、世界やヒロインとの距離を埋め世界とヒロインをつかみ取ることになる。


2.「こいとれ」

「こいとれ REN-AI TRAINING 」 (C) 銀時計  発売日: 2007/6/29 機種: Windows98以降 レーティング: 18歳未満禁止 恋愛力を 鍛えるトレーニングADV


ブランド銀時計の3作目だが、このブランドは作品ごとのプロジェクト制をとる制作体制のためブランドカラーが弱い。本作品はシナリオライターのなかひろ氏によって作られた作品である。

なかひろ氏は、各ヒロインが独自の思惑を持って活動し、その活動ぷりをヒロインの魅力につなげることを得意とする、異色のライターである。 今回の作品は恋愛がテーマだが(なかひろ氏の過去の作品は多分に恋愛がテーマではなかった・・・)、 恋愛には心理ゲームの側面があるので、なかひろ氏の持ち味は十分に生きる。なかひろ氏の作品の中でも最も広いプレイヤー層を楽しませられる作品だろう。

本作品をプレイする際に注意点が一つ。本作品は「恋愛力を鍛えるトレーニングADV」とあり、「キミの恋愛偏差値、計ってあげるね」などと宣伝文句(?)に書いてあったりする。が、これは明らかに大きなお世話である。 シナリオライターもこれが大きなお世話であることは百も承知で書いているから、 真に受けてはいけない。真に受けると攻略できなくなる。そうでなくとも自力攻略は至難なのだが。


3.「いつか、届く、あの空に。」

詳細は別記事参照


解説は別記事参照。 本作品ほどの絵の品質とシナリオの凄みを併せ持った作品は、 何年かに一度出るかどうかである。本作品が万人受けからほど遠いことは明白だが、それでも本サイトは本作品を2007年の推薦作品の一つに数えておきたい。


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last update: 2008/1/16