アルカナム電脳遊戯研究所 個別解説

「夜明け前より瑠璃色な」 主要登場キャラクターおよび各ルートへの補足

フィーナ
 プリンセスであり、メインヒロイン。  理想的な姫である彼女の魅力を存分に堪能することがこの作品の存在意義でもある。 他のヒロインより圧倒的に出番が多く、当然Hシーンも最多。
 一週目は強制的にフィーナルートに入るが、こういう形式の場合、後に本命のルートが発生するのが常であるため、それとの対比で最初は悲劇的な結末を迎える作品も多い。 そこで筆者はプレイ中、一週目ではフィーナ姫との仲が認められない可能性が高いと判断し、主人公の絶望感に同調してカレンの課した試験に臨むことができた。 もし本作が拡散型のルート構造(「複数ルートの組み立て方」の記事参照)であれば、 個別ルートに入った後に選択肢が無くなればハッピーエンドに行くことが確実であるため、このように絶望感に同調することはなく「どうせ認められるに決まっている」と思ったに違いない。
ミア
 フィーナ姫付きのメイド。姫の良き理解者、助言者として今後も活躍していくと思いきや、ミアルートに限ってはその輝かしい未来は主人公と共に生きる道を選んだがために絶たれる。
 彼女の魅力はあくまで姫付きメイドであることを通じて描かれる。メイドも職業属性の一つであり、メイドのヒロインがメイドでなくなったら意味がない。 彼女はフィーナ姫付きのメイドを止めるべきではなかった。
麻衣
 義妹。全ヒロイン中、最も能力が低く、その分のバランスを取るためかエロい。
「妹ブーム」が終わり、萌えエロゲーでもない本作で、ちゃんとした「義妹」の話が描かれている。
 「お兄ちゃん」との呼び方に込められた想いは切ない。話の流れからすれば恋人同士になった時点で呼び方が変わるべきであったが、 「お兄ちゃん」と呼ばれたいプレイヤー達に配慮したのか、エピローグまで先送りされる。
菜月
 幼なじみ。仲の良い幼なじみとの恋愛を描く物語では、二人の関係を再構成するために、一旦関係を悪化させる必要がある。 大喧嘩して疎遠になるか、本作のように当て馬キャラの登場でぎくしゃくするか、どちらにせよ楽しい話にはならない。 毎回幼なじみが登場するのがオーガストの伝統であるが、それは萌えエロゲーでの話。 物語の要素を強化し、かつその物語を楽しいものにしたいなら、 幼なじみキャラは安易に登場させるべきではない。
さやか
 家計の上でも精神的にも一家を支える大黒柱。年上ヒロインはエロ担当であることが多いが、本作では別に居る。 若くして重職に就く超エリートであるが、この点ではフィーナ姫と被る。麻衣ルートでは恋愛上の障害役が与えられたりと冷遇されている。 年上ヒロインが冷遇されるのは常ではあるが。
リース
 野良猫。彼女のルートの存在意義は、最終ルートの前にロスト・テクノロジーについて説明することにある。 最終ルートで主人公達を助けるサブキャラに近く、設定的にも、彼女のルートの扱いも極めて不遇。 萌えエロゲーではご都合主義に頼ってでも不遇なヒロインを作らないことが一般的であるのに対し、物語の都合上、不遇なヒロインが発生してしまうのは物語重視の作品の特徴の一つである。
達哉
 主人公。アルバイトに精を出す学生。 イベントCGに姿、顔がはっきり描かれ、初回限定版付属の設定画集には絵付きで紹介されている。 作中、血液型がA型であるとの発言があり、事前に発売されたエンターブレイン発行のプレリュード本には身長、誕生日の設定も公開されている。 家庭環境の特殊性と失踪した父親への敵意も含め、共感型主人公の側面が強い。 一方、善良かつ努力家だが能力自体は平凡でプレイヤーと同調し易く、 作中の心理描写にしても、同調型主人公(「主人公の傾向と対策」の記事の分類による、以下同じ)として描かれていると思われる。
 萌えエロゲーでは強烈な個性を持ったヒロインを登場させるため、主人公も釣り合うように個性的になり、共感型主人公として描かれることが多い。 おそらく本作も当初は共感型主人公のつもりで設定を定めてから制作を開始したものの、描写の都合上同調型に途中で変化したのではないかと想像される。 ともあれ、本作の主人公を他の萌えエロゲーのつもりで共感型主人公として鑑賞すると、楽しさが大きく損なわれてしまう。

バッドエンド
 他の多くのノベル系作品と同様、本作もADVと名乗ってはいるが、正解を求めて苦労する過程を楽しむアドベンチャーゲームではない。 プレイヤーに見せたいのは各ヒロインのルートであって、バッドエンドでは無い以上、普通にプレイしていれば希望のヒロインのルートにすんなり進めるよう作られた本作の構成は妥当である。 狙わないと行けない本作のバッドエンドは、おまけの一種であり、無理に見なくても作品の価値に変わりは無い。
おまけ
 「おまけ」といっても、旧作のような本物のおまけはミア編のみで、他は本編を補完するものである。 作品の中で物語の要素が高くなると、途中にHシーンが入ると物語の進行の邪魔になる。 一方、これまでの萌えエロゲー路線によりHシーンの多さもファンからは期待されているため、 減らす訳にもいかない。そこでHシーンの一部を本編から切り出し、おまけに移しているのだ。
 菜月編、リース編は、カレンと翠の二人のサブキャラを活躍させるものである。彼女らのルートが無いことを嘆くプレイヤーにこれで我慢せよというのは酷な話ではあるが、無いよりはましなのかも知れない。

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Received: 2005/10/12; Update: 2005/10/13; Written by kakashi