アルカナム電脳遊戯研究所 個別解説

最果てのイマ:解釈と解析


この解釈は、S.N.による個人的なものです。公式の解ではなく、唯一解でもありません。 この記事は読者が自分の解釈を見つけるための参考として発表しているものであり、 この解釈を読者に押しつけるものではありません。

全体

この物語は、戦後1年の段階で主人公が回想したこれまでの出来事を、イマが編集したものです。戦後の主人公は戦前の主人公と人格が多少違うため、戦前の出来事の回想において主人公が感じたとされる描写は、 実際に戦前に主人公が感じた内容と異なる場合があります。また、編集を行った時点でのイマは主人公に悪意があるため、わざとわかりにくく誤解を誘うような編集が行われています。

解釈の基本

各ヒロインルートの各Chapterは、「子供時代」「戦前」「戦後」の大きく3つの時代に分類されます。このChapterがパズルの一つのピースとなり、 Chapterをつなぎ合わせることで一つの物語ができあがります。

Chapterの時代のふるいわけは以下のように行います。まず、 章二は戦争直前に、あずさの母親はおそらく戦争時に死亡しており、 主人公が章二を妄想する[お茶会−0]を除き、章二あるいはあずさの母親が登場するChapterは戦前です。 また、blogで戦後であることが示されるChapterがいくつかあり、それらは戦後で確定します。子供時代のChapterは登場人物の立ち絵でたいていは判断できます。 千鳥も主人公子供時代と現代(戦前・戦後)で立ち絵が違うので要注意です。 残りは前後のつながりからふるいわけをしていきます。 描写が連続するChapterはたいていは同じ時代の続きですが、 一見連続していても時代が飛ぶことはありえるので要注意です。

ゲームの構成

Chapter[最初の日]で登場する4つのblogが各ヒロインルートの入り口となっており、 最初に選んだblogのヒロインのルートに移行します。すでに一度選んだヒロインルートは、他のヒロインルートを一度通過しない限り再度選ぶことはできません。 4ヒロインを2回ずつプレイした段階で戦争編に移行します。 また、[最初の日]でblogを一つも選ばなかったときは、[お茶会−0]のblog『いつもの場所』を選んでいたかどうかで[リピート]または[死]のいずれかに進み、元に戻ります。

あずさルート

Chapter時期1回目2回目
お茶会−0戦後
最果て時期なし
最初の日戦前
『最初の頃』子供時代
沙也加のいる平日戦前
千鳥先生の授業戦前
工場への道戦前
一日の終わり戦前
廃工場発見子供時代
あずさとともにいる戦後
早朝ランニング・あずさ戦前
あずさとの再会子供時代
あずさとの接触−1子供時代
とある朝戦前
とある放課後戦前
SATIE'S・TIME戦前
答えにくい問いかけ−1子供時代
答えにくい問いかけ−2子供時代
SATIE'S TIME−続き戦前
とある夜戦前
未来の気配
夢−1戦前
夢−2戦後
ある朝の光景戦後
退屈日和戦後
あずさのパワー戦前
朝とあずさと忍の好み戦前
孤立戦後
大切な存在戦後
寂しい朝戦後
あずさの恋はラブ&ラブ大作戦−1戦前
膝枕あずさ戦前
とある帰宅戦前
南の勧誘戦前
篝火戦前
モーニングスター戦前
あずさの恋はラブ&ラブ大作戦−2戦前
章二とあずさ戦前
あずさの恋はラブ&ラブ大作戦−3戦前
決意戦前
あずさとデート(中止)戦前
戦前
火岸−HIGAN−戦前
あずさと母について子供時代
キス戦後
あずさH戦後
章二の要求戦前
孤独の街戦後
1人で戦後
孤独の街−続き戦後
忍放浪中戦後
看病あずさ戦後
お散歩あずさ戦後
森へ戦後
探し回る忍戦後
あずさ迎え戦後

※ 1回目:戦前、2回目:戦後

全体解説

あずさの抱える問題は、学校での孤立と母からの虐待です。子供時代には性格に棘がありましたが、忍の介入(ES細胞移植時)を経て去勢されてしまっており、今は問題ではありません。学校での孤立は残念ながら最後まで解決はされませんが、戦争による人口激減で他人と比べて特に顕著な問題とはならなくなります。 母からの虐待は戦争で母が死亡することにより解決しました。戦争直前に破綻を起こさなかった唯一のヒロインです。 戦争直前の破綻を描写する必要がないため、2回のエンディングはどちらも戦後の穏やかな描写となっています。

あずさは忍に大きな好意を抱いていますが、戦前の忍はその想いは忍自身が作り出したものであることを認識しており、それゆえ戦前の忍はあずさに対して保護者として対応する義務があると感じていたようです。 自分に対する明らかな好意に冷淡ともいえる対応をするのはおそらくこのあたりが理由です。

詳細

[お茶会−0]:お茶会は戦前で実行するタイミングがないので、戦後の場面です。 なお、忍の食欲が以前より低下しているのも戦後であることを示唆します。

[沙也加のいる平日]〜[一日の終わり]:平和な戦前の一日です。

[あずさとともにいる]:ルート内初めての戦後場面です。これが戦後であることは、 沢野の登場(戦争編で登場します)が決定的な証拠です。それ以外にも、テナントががらがらの商店街、静かなあずさの家、章二のコートを使って章二に確認しない点など、 戦後らしい描写があります。

[早朝ランニング・あずさ]:あずさの母親が健在なので戦前のようです。なお、 ここでのシチューは[一日の終わり]のシチューとは別物です。

[とある朝][とある放課後][SATIE'S・TIME][SATIE'S TIME−続き][とある夜]:[早朝ランニング・あずさ]から続く1日です。 なお、[とある朝]はなぜかChapter回想に登録されませんが、深い理由はあるとは思えません。単なるミスと考えるべきでしょう。

[未来の気配]:[とある夜]の続きにも見えますが、2回目は追加blog『粉薬』があります。戦前・戦後どちらでもありうる場面なので1回目は[とある夜]の続き、 2回目は戦後と判断しました。

[夢−1][夢−2]:1はただの夢です。2は、夢の中で夢を見ることで本来ありえないリンクに繋がることが可能である、ということをイマが言っています。

[ある朝の風景][退屈日和]:戦後の一こまです。戦後であることはblog『傲岸な声』があくまで気のせいである点と、2回目で登場するblog『授業』でわかります。 注目台詞は葉子の「笛子さん去年あたりにリニューアルしてから防御強くなったですよ」。笛子ルートの解釈に関係します。

[あずさのパワー]:戦前の一こまです。

[朝とあずさと忍の好み]:あずさが折檻されていることが描写される、戦前の場面です。

[孤立]〜[寂しい朝]:戦後の情景です。千鳥の料理技能が上達しています。 あずさの学校はなんとか戦後も動いているようです。これが戦後であることは、 2回目の[大切な存在]でblog『ラジオ番組』が出ることから判断できます。

[あずさの恋は・・・−1]〜[火岸−HIGAN−]([とある帰宅]〜[篝火]除く):戦前のあずさの忍に対するアタックとその失敗が描かれています。

[とある帰宅]〜[篝火]:戦争間際になり、他のヒロインに問題が発生しだして工場に行けなくなった頃の場面です。

[キス][あずさH][忍放浪中][看病あずさ][お散歩あずさ][森へ]:戦後、4人の中で忍を世話する順番が回ってきたあずさが忍のお世話をする場面です。なお、 あずさの母が戦争で死亡したことは、[お散歩あずさ]の中で語られます。

[孤独の街][1人で][孤独の街−続き][探し回る忍][あずさ迎え]:戦後、錯乱して工場内で夢を見る忍が描かれる場面です。

沙也加ルート

Chapter時期1回目2回目
お茶会−0戦後
最果て時期なし
最初の日戦前
たまに早く出る戦前
沙也加との出会い・1子供時代
沙也加との出会い・2子供時代
笑顔・1子供時代
たまに早く出る−続き戦前
千鳥先生の授業戦前
廃工場・沙也加不在戦前
廃工場・沙也加戦前
早朝ランニング・単身戦前
魔女の噂戦前
笑顔・2子供時代
誰か戦前
抱擁戦前
ビジョン戦前
章二のヨタ話戦前
孤独子供時代
ザリガニ戦前
沙也加の粗茶戦後
宗多との出会い子供時代
ブチとマルの墓参り戦前
笑顔・3a子供時代
笑顔・3b子供時代
笑顔・3c子供時代
笑顔・3−続き子供時代
墓参りからの続き戦前
章二との出会い子供時代
デート(仮)〜甘酸っぱい何かのために戦前
沙也加・H1戦前
いじめの矛先子供時代
空白の机戦前
沙也加・探索戦前
戦前
あたたかな空気子供時代
魔女狩りの噂戦前
魔女狩り・1戦前
南の勧誘・1戦前
魔女狩り・1−続き戦前
孤人の果て戦前
魔女狩り・2戦後
皆殺しの狩り・1子供時代
足取りの途絶戦後
皆殺しの狩り・2子供時代
皆殺しの狩り・3子供時代
沙也加・H2子供時代
沙也加の聖域戦後
沙也加・反故戦後

全体解説

沙也加の抱える問題は、人でないことです。 子供時代と戦争間際にそれぞれ1回、周囲の人々との関係が破綻します。 この問題は根本的には解決されませんが、戦争によって人間が激減したことによって問題が顕在化する可能性がほとんどなくなり、一応ハッピーエンドが許されます。問題発生が戦前と子供時代にあるため、描写はそこに集中し、 戦後の場面はほとんどありません。

沙也加編は2回のエンディングがどちらも破滅的です。 このうち片方は戦争前の破綻ととらえるべきでしょう。そうするともう片方が何なのかが謎となります。1回目のエンディングは沙也加が死亡したように見えます。ただ、忍はかなり高い治癒能力があるので、この程度なら蘇生は可能でしょう。 これに対し、2回目のエンディングは宗多が完全に殺されてしまいます。いくら何でもこの宗多を蘇生するのは忍にしても沙也加(森)にしても無理があります。ですので、2回目のエンディングは実際の出来事にはできません。 しかし、夢とするのはあまりなので、ここでは戦後自我を失っている忍に対し「自分を取り戻さないとこうなるかもしれないよ」ということを示すため、沙也加が森の力を借りて行った劇と解釈しました。これより、1回目のエンディングが戦前の出来事となります。 重傷を負った沙也加を忍は治療しつつ森に運び、森に戦争編の間沙也加を託した、 と1回目のエンディングを解釈できます。

詳細

[たまに早く出る][たまに早く出る・続き]:戦前の1日です。

[廃工場・沙也加不在]:戦前なのは間違いないですが、[たまに早く出る]の日かはわかりません。この場面で発電機が導入されています。

[廃工場・沙也加]:忍と沙也加がかなり深い関係にあることを示す場面です。 おそらく戦前でしょう。なお、こないだ笛子になにをしたかについては、笛子ルートに対応する事件がなさそうです。

[早朝ランニング・単身]:あずさルートと時期が違うことを示します。

[魔女の噂]:“魔女”の単語が最初に登場する場面です。

[誰か]:沙也加の孤独さを示す場面です。[廃工場・沙也加不在]の前の場面の可能性があります。

[抱擁][ビジョン]:[たまに早く出る・続き]の続きととらえるのが最もしっくりきます。2回目の[ビジョン]には“USER”の単語が登場します。

[ザリガニ]:戦前なのは確実ですが、いつかはわかりません。忍が仲間を大事にしていることを示す場面です。

[沙也加の粗茶]:沙也加が忍をもてなす場面です。おそらく戦後、4人の中で忍を世話する順番が回ってきた沙也加がとった行動です。 この根拠は、沙也加には戦後のHシーンがない点、お手伝いの悦子さん?が忍に対して「王様」の呼称を使っている点です。忍が王ユニットであることは戦前には一般USERに明かされていません。なお、このお手伝いさんは危険人物である沙也加の見張りでしょう。

[ブチとマルの墓参り][墓参りからの続き][デート(仮)〜甘酸っぱい何かのために][沙也加・H1][空白の机][沙也加・探索]:戦前での沙也加と忍の関係が深まり、 そして離れる一連の場面です。

[森][魔女狩り・1]〜[孤人の果て]:戦争間際の沙也加に起きた出来事です。 沙也加は魔女狩りに遭って重傷を負い、忍によって森に運ばれ戦争が終わるまで森に託されます。

[魔女狩りの噂]:[森]で沙也加のことを回想しようとした内容の一つです。[森]より少し前の出来事です。

[皆殺しの狩り・1〜3][沙也加・H2]:子供時代の沙也加に起きた出来事です。 これにより沙也加は忍の仲間となります。宗多は沙也加によって殺されかけますが、 忍は自分の敵役としての宗多の価値を認め、宗多をこっそり治療します。

[魔女狩り・2][足取りの途絶][沙也加の聖域][沙也加・反故]:戦後の沙也加が 忍に見せた出来事です。(全体解説参照)

葉子ルート

Chapter時期1回目2回目
お茶会−0戦後
最果て時期なし
最初の日戦前
静かな朝戦前
葉子との出会い子供時代
学校にて戦前
葉子戦前
伊勢崎宗多・再会戦前
殺人事件の噂戦後
放課後・迎え・葉子戦後
葉子と歩く道・前編戦前
斎がまだ味方ではなかった頃子供時代
葉子とあずさ子供時代
葉子と歩く道・後編戦前
平和なとき戦前
すくいあげてくれたから戦前
塀の中から子供時代
焦燥感戦前
放課後の可能性戦前
予兆戦前
葉子と工場で戦後
斎の相談戦前
葉子のご相談戦前
斎にアドバイス子供時代
門倉登場子供時代
門倉の帰還戦前
兄妹の徴集−1戦前
兄妹の徴集−2戦前
忍の暗躍子供時代
通学・忍/あずさ/沙也加戦前
宗多たち戦前
宗多との再会戦後
徘徊戦後
葉子に触れる戦後
四人組子供時代
葉子に触れる−続き戦後
ちゃんと抱く日戦後
忍、刺される戦前
光景戦前
忍、刺される−続き戦前
葉子待機−1戦前
葉子待機−2戦前
斎の失踪戦後
こころのつなぎ戦後
門倉、フリークス調査戦後
忍の調査戦後
斎、挙動不審戦後
調査の日々戦後
メイド葉子戦後
メイドご奉仕戦後
塚本葉子・灰色の日戦後
猟奇殺人犯の調査戦後
サムライ戦後
電話−1戦後
電話−2戦後
粛清の日戦後
真実戦後

全体解説

葉子の抱える問題は門倉家との関係です。 子供時代、門倉家の人形となるべく育てられた葉子は忍により解放され、人間らしさを取り戻します。 しかし時期が遅いことと周囲が問題人物ばかり(特に忍)だったことから電波少女になってしまいました。 戦争間際になって、一度は忍によって放逐された門倉家嫡子が帰還し、 再び葉子は門倉家に取られそうになります。この問題は宗多の妨害もあって戦前には解決できません。 戦争により、門倉家が壊滅的な打撃を受け、門倉家維持が不可能となり門倉家嫡子がフリークス化します。この状態になった段階で門倉を倒すことで問題が解決します。

葉子ルートは戦前の出来事と戦後の出来事を分けて把握することが必要です。 1回目は主に戦前の出来事が、2回目は主に戦後の出来事が描写されます。 戦前はボウガンによる猟奇殺人事件(笛子ルートに関係しています)と、 門倉の帰還が発生します。そして斎は門倉の命令で事件の調査にかり出されます。忍は先に事件を解決しようと試みますが、宗多によって妨害され果たせません。戦後は、フリークス化した門倉によって首切り殺人事件が発生し、忍は千鳥の協力を得て捜査を進めます。 斎も忍とは別に、千鳥の協力を得て捜査を進めます。結局、斎が門倉と対決し勝利することで事件は解決します。忍は戦前の事件と混乱していることもあり、 実のところ大して役に立っていませんでした。

詳細

[静かな朝]:戦前の1日です。1回目のblog『猟奇殺人事件』はボウガンで、2回目は刀剣です。これは、それぞれで語られる事件の種別を示すもので、別に2回目の[静かな朝]が戦後場面であるというわけではないでしょう。

[学校にて][葉子]:戦前の1日です。

[伊勢崎宗多・再会]:宗多と再会する戦前の場面です。

[殺人事件の噂]:2回目(戦後)の事件を説明する場面です。

[放課後・迎え・葉子]:戦後、順番が回ってきた葉子によるお世話の場面です。なお、 戦後の葉子は戦前と違い、乙女袋をいつも携帯しているそうです。

[葉子と歩く道]:[放課後・迎え・葉子]と連続しているようにも見えますが、 章二が登場するので戦前の場面です。コスチューム専門店は戦争に耐えて生き残ったことになります。大したものです。

[平和なとき][すくいあげてくれたから]:基本的には戦前の平和な場面です。 未来から来たと称する葉子が登場しますが、これは忍が回想中で作り上げた台詞でしょう。

[焦燥感][放課後の可能性]:戦前、宗多が襲ってくる場面です。章二により止められます。

[予兆][斎の相談][葉子のご相談][兄妹の徴集]:戦前、門倉嫡子が帰還し、兄妹が徴集される場面です。

[門倉の帰還]:戦前、門倉が帰還し忍に姿を見せる場面です。この場面から、門倉の少年院送りに忍が関与していたことがわかります。[忍の暗躍]、『門倉嫡子の少年院送致』が参考になります。

[葉子と工場で]:戦後、工場にいる調子の悪い忍を葉子が介抱する場面です。 葉子の台詞「……四分の一なんですけどね」がそれを示しています。

[忍の暗躍]:千鳥の立ち絵から、これは子供時代の場面です。兄妹を門倉家から解放することを千鳥に頼んでいます。

[通学・忍/あずさ/沙也加][宗多たち]:戦前、宗多が兄妹を連れているのを見てショックを受ける場面です。宗多が門倉家の影響下にあることがわかります。

[宗多との再会]:戦後、忍を奮起させるため、宗多が忍をあざ笑ってみせる場面です。 宗多の態度がいかにも芝居がかかっています。

[徘徊][葉子に触れる][葉子に触れる・続き]:戦後、工場で忍を葉子が介抱する場面です。戦後から間もない時期だと思われます。

[ちゃんと抱く日]:戦後、忍争奪じゃんけんに勝った葉子が忍と結ばれる場面です。 葉子は処女です。

[忍、刺される][光景][忍、刺される−続き]:戦前、忍が宗多に刺される場面です。めった刺しにされて致命傷ですが、生命力の高い忍なら死ななくてもよいでしょう。忍は施設にかつぎ込まれ、そのまま戦争編に突入してしまった、というのがありそうな展開です。

[葉子待機]:戦前、帰ってこない忍を葉子が工場で待つ場面です。何週間もの間誰も工場に来ないというのは妙であり、この間で戦争が起きたと考えるのが妥当でしょう。

[斎の失踪]〜[真実]:全て戦後の場面で、首切り殺人犯であるフリークス門倉を斎が倒すまでの展開です。[調査の日々]で、一年以内に多数の死者が出ていることや商店も閉鎖が多いことからも、これらの場面が戦後であることがわかります。 [メイド葉子]については、葉子の処女性からこの場面が[ちゃんと抱く日]の後であることが明らかなので、やはり戦後です。

笛子ルート

Chapter時期1回目2回目
お茶会−0戦後
最果て時期なし
最初の日戦前
『違う制服』時期なし
家族の話戦前
四人家族戦前
勉強の約束戦前
千鳥との対話戦前
大切な存在戦前
単独ジョギング戦前
眼鏡消失戦前
伊月姉妹子供時代
はじめて笛子と知り合った−A子供時代
はじめて笛子と知り合った−B戦前
伊月姉妹−続き子供時代
デートの約束戦前
眼鏡探して戦前
答えにくい問いかけ戦前
そしていつもの光景戦前
返信−1戦前
返信−2戦前
笛子との交友子供時代
金銭難戦前
ダイエット中戦前
笛子の挙動戦前
休日の起床戦前
笛子とのデート−A子供時代
笛子とのデート−B戦前
宗多と笛子−A戦前
笛子の提案・お茶会戦前
千鳥抱擁戦前
勉強・忍&あずさ編戦前
キーホルダ戦前
笛子の姉妹子供時代
宗多と笛子−B戦前
することのない朝戦後
忘れてはならない戦後
千鳥の依頼戦後
笛子の様子見戦前
戦前
耳かき笛子戦前
処女笛子戦前
非処女笛子戦後
逃避行戦前
笛子不在戦前
逃避子供時代
変質戦後
斎、と戦後
怪人の噂戦前
メモ・心を乱した者たちについて時期なし
笛子を捜して戦前
樋口章二との対話戦前
喪失戦前
伊月笛子との再会戦前
空虚戦前
千鳥の乱心−1戦前
笛子調査子供時代
千鳥の乱心−2戦前
ちゃんと敵になるから戦後
笛子を想って戦前
笛子からの連絡戦後
白紙委任戦前

全体解説

笛子ルートは最も難解です。笛子の抱える問題は姉妹との関係、そして自身のフリークス化です。笛子ルートが難解なのは、目の前にいる笛子が果たして姉の方なのか妹の方なのかはっきりしないことです。 笛子本人も自分が姉なのか妹なのかわかっていません(これこそが笛子の抱える問題です)。戦前の忍は姉と妹の区別はちゃんとついていて、それをわかった上で、目の前の笛子が抱える問題を刺激しないよう振る舞っていました。 しかし、戦後の忍がその出来事を回想するとき、笛子同様忍まで混乱してしまったのです。また、笛子ルートは他のルートにもまして隣り合うChapter間で時代が唐突に変化します。笛子ルートを読み解くには、目の前にいる笛子が何者なのかを見極める必要があります。

姉妹の見極めは、結局は簡単なことです。 姉ははるか昔にフリークスに殺されています。 ですから、現代にいるのは必ず妹であり、眼鏡をかけているのも必ず妹です。 現代の笛子が妹がいるように振る舞うのは、 自身に姉が投射されていて、笛子自身自分が姉か妹か区別がついていないからです。妹の影は幻です。 なお、姉が登場するときは、必ず忍は子供時代です。そして、姉は眼鏡をかけません。 これらを踏まえれば、笛子ルートは解読できます。

もう一つの笛子の問題であるフリークス化については、 2回目のエンディングによって忍が笛子を初期化することで解決します。ただ、本当に笛子(妹)がボウガン猟奇殺人事件の犯人だったか、 という点は疑問です。笛子(姉)はボウガン殺人を起こせる現象行使者だったと思われますが、妹がそれを受け継いでいる保証はありません。 もし笛子(妹)がボウガン殺人事件の犯人だったとすると、 かなり初期の段階で笛子(妹)はその可能性に気づき錯乱してしまうはずです。 姉がその能力を使ってやったことの記憶が投射されるだけで、 十分笛子は錯乱に陥るでしょう。なので、ボウガン殺人の本当の犯人は何の関係もないフリークスであると考えてよいでしょう。

詳細

[家族の話][勉強の約束][千鳥との対話][大切な存在]:戦前の1日です。

[四人家族]:時間帯が昼間のため、前後の場面とつながりがありません。眼鏡をかけているので妹側のはずですが、話す内容は完全に子供時代当時の姉の立場に立ったものです。姉の記憶と混乱しているようです。

[単独ジョギング][眼鏡消失]:戦前、笛子が眼鏡をなくす場面です。

[伊月姉妹][伊月姉妹−続き]:唯一姉妹の姿が示される場面です。姉がいる以上、これは子供時代の場面です。しかし、回想中の忍は自分が子供状態と認識していません。 姉に眼鏡がないことに注意しましょう。

[はじめて笛子と知り合った−A]:本当の意味ではじめて知り合った場面、だそうです。 妹側と子供時代で会っているので、この場面はそれより前、つまり忍が子供時代のものです。よって、この笛子は姉です。

[はじめて笛子と知り合った−B]:子供時代、妹の笛子と皆が会った場面です。 ここで、「高城さん」という明るい友達がいる、と笛子は話しますが、実は高城さんは姉の友達です。つまり、この妹は姉が投射されています。[笛子の姉妹]とセットで見るとこの場面はよくわかります。

[デートの約束]:戦前、葉子と笛子(達)との将棋勝負です。ここしばらくあずさが敗戦続き、ということなので、あずさルートの[あずさの恋はラブ&ラブ大作戦]の合間にあたる時期と推測されます。

[眼鏡探して]:戦前、笛子が眼鏡を破損してしまう場面です。

[答えにくい問いかけ]:おそらく戦前、千鳥が忍と対話しています。千鳥は忍が笛子と仲良くすることを快く思っていないようです。

[そしていつもの光景]:[眼鏡探して]の翌日です。

[返信−1][返信−2]:どちらも[そしていつもの光景]とつながっていますが、 笛子が眼鏡をなくす事件は歴史上複数あっても構わないので、両方あったのでしょう。 [返信−2]の方がその後の場面との結びつきが深くなっています。

[笛子との交友]:子供時代、笛子(姉)と会う場面です。笛子(姉)は、 正義の味方の組織に属しているらしいことを言います。

[金銭難]:[返信−2]の続きとなる場面です。マッサージ機が購入されます。

[ダイエット中]:[四人家族]と同様、前後のつながりがない戦前の場面で、 姉の記憶に基づく発言を笛子がします。

[笛子の挙動][休日の起床][笛子とのデート−B]:戦前、[デートの約束]に基づく笛子(妹)とのデートの場面です。

[笛子とのデート−A]:笛子(姉)とのデートの場面です。当然忍は子供時代です。忍が笛子よりかなり年下であることを匂わせる描写もあります。 また、この場面での注目点として、「高城さん」という名の笛子(姉)の委員会での同僚が登場する点、笛子(姉)による「自分の体は汚れている」という発言があります。

[宗多と笛子−A][−B]:戦前、[笛子とのデート−B]の続きです。 笛子は宗多に会い、「宗ちゃん」と呼びかけます。これを忍は見てしまいます。 ただし、[逃避行]で笛子(妹)本人が言っているように、宗多を「宗ちゃん」と呼んで好意を向けたのは姉の方です。姉の意識が投射されています。

[笛子の提案・お茶会][千鳥抱擁]:戦前、笛子が貴宮家に来て庭でお茶会を提案する場面です。千鳥が笛子と忍の関係を快く思っていないことが再び示されます。

[勉強・忍&あずさ編][キーホルダ]:戦前、[勉強の約束]で約束された勉強会の場面です。目の前にいるのは妹の笛子なので、落ちていたキーホルダは本人のものです。妹がもらった云々を笛子が言うのは、姉が投射された状態になっているためです。

[笛子の姉妹]:勉強会が中止となる場面です。これは子供時代の場面であり、 ここでの笛子は姉です。笛子(姉)に力があること、 トラブルに巻き込まれたこと、 笛子(妹)の状態(言葉が話せない)ことが示されます。子供時代の笛子がどういう状態だったのかがわかり、現代での笛子が抱える問題を考える手がかりとなる場面です。

[することのない朝][千鳥の依頼]:戦後、お茶会の準備をする場面です。 これが戦後なのは、blog『新聞』『以前の医師』の存在と、千鳥の口振りからわかります。

[笛子の様子見]:一見[することのない朝]の続きに見えますが、 笛子に姉の影響が残っていることから、実は[笛子の提案・お茶会]の続きとなる戦前の場面です。

[噂]:戦前、宗多に対する対応を沙也加および章二と話す場面です。

[耳かき笛子][処女笛子]:[返信−2]で約束があった、耳かきの場面、そしてその後の笛子と結ぶ場面です。[返信−2]の続きであることから、戦前の場面です。

[非処女笛子]:戦後、4人の忍お世話順番が回ってきた笛子が忍に抱かれる場面です。

[逃避行]:施設のメンバーおよび宗多らから襲撃を受ける、笛子ルート中最も重要な場面の一つです。戦争編とのつながりから、戦前の場面です。 注目すべきは、この場面で作中唯一、笛子が「姉」について言及しています。 これより、目の前の笛子が妹側であることが明らかとなります。

[笛子不在][怪人の噂][笛子を捜して][樋口章二との対話][喪失]:戦前、 忍達の前から姿を消した笛子を追う場面です。章二が死亡します。章二は“ずいぶん前のこと”として、笛子に不良を多数殺した過去があることを明らかにします。これは笛子(姉)が起こした事件と推測されます。

[逃避]:逃走する笛子が捕まる場面です。blog『備蓄』での備蓄量が現代での量より明らかに少ないことから、これが子供時代の場面でありこの笛子が姉であることがわかります。

[変質][斎、と]:戦後、あずさ・葉子・沙也加・斎に慰められます。

[伊月笛子との再会]:戦前、[喪失]の続きの場面です。夜、さまよう忍の前におかしくなった笛子が現れます。

[空虚][千鳥・乱心−1][千鳥・乱心−2]:戦前、空虚となった忍を千鳥が抱く場面です。

[笛子調査]:千鳥の立ち絵、および「商店街で会った少女」(高城さん)の存在から、 子供時代の場面とわかります。[逃避]の続きの場面と言えるでしょう。笛子(姉)が死亡したことが語られます。

[ちゃんと敵になるから]:忍が宗多を連れた笛子に撃たれる場面です。忍は撃たれますが、 忍の生命力と治癒力なら死にはしないので、別に夢であると考える必要はありません。 ここでの笛子はかなり空虚であること、宗多の態度が芝居かかっていること(「おい、もういいだろう。客は飽き飽きしてるぜ。早く次の場面を見せろ」)から、戦後、忍に活を入れるために起こした場面と考えるのが妥当そうです。 なお、そう考える場合、呼び出したメールは直前の場面である[千鳥・乱心−2]ではなく、2回目のルートでの[笛子からの連絡]で示されるメールと解釈されます。

[笛子を想って][白紙委任]:戦争直前、カンを取り戻した忍によって、 狂いかけていることを自覚し絶望する笛子を初期化する場面です。これが戦前であることは、 忍がこれから戦争に向かおうとしていることを匂わせる発言(「とても汚らわしい行いだからね。みんなは加わらない方がいい」)をすることから推測できます。この初期化により、笛子は「リニューアル」され、 姉が投射された状態から解放されます。

ルート外

Chapter時期パターンAパターンB
お茶会−0戦後
『あの場所』戦前
最果て時期なし
最初の日戦前
リピート時期なし
戦後

解説

全くblogを選択しないでずっと進めると、[リピート]で空白領域に行き終了します。これは一種の果てです。

[お茶会−0]で『あの場所』を選択していた場合は、[死]に到達して終了します。一応もとの[お茶会−0]に戻してくれますが、これは忍が自我を取り戻せなかった、バッドエンドと見なすべきでしょう。


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Update: 2005/8/29; revised: 2005/9/10(#1)

#1: 笛子ルート[笛子からの連絡]の時期判定を本文の記述に合わせ「戦後」に訂正;「解釈の基本」であずさの母親に関する記述の追加; あずさルート[とある朝]に関する記述の追加