アルカナム電脳遊戯研究所 個別解説

いつか、届く、あの空に。:解釈と解析


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目次

1.全般
作品の構成
北欧神話

2.各勢力・登場人物解説
唯井家
唯井 ふたみ

守護四家
未寅 愛々々
巽家
巽 策
透舞家
透舞 のん
桜守姫家
御前
桜守姫 此芽
桜守姫 みどの
機械仕掛けの魔術師
明日宿家
明日宿 傘

3.ルート解説
共通ルート
ふたみルート
此芽ルート
傘ルート
神話編


1.全般

作品の構成

本作品は5/16から6/21までの共通ルートと、6/22から6/29までの個別ルートに分かれている。個別ルートはふたみルート・此芽ルート・傘ルートの3ルートが存在する。 ルート分岐は共通ルートの5/19までに決定し、以後は選択肢なしとなる。ノーマルエンドやバッドエンドは一切存在しない。 序盤の流れと選択肢の配置から、 大多数のプレイヤーはふたみ→此芽→傘の順でプレイするように設計されている。 このように、選択肢を絞り、かつ自然と狙った通りのルート順番でプレイされるように設計するのは、 ゲーム性が必要とされなくなった最近の物語重視ノベル型作品に多くなっている。攻略対象キャラクター数3も、物語重視作品では珍しくなくなっており、作品全体として今風の構成である。

悲劇的な話が展開される個別ルートに対し、共通ルートはコメディ色が強くなっている。だが、この作品のコメディシーンは、コメディ作品としてプレイヤーを楽しませるというよりは、異常な舞台設定をプレイヤーに認めさせるためにコメディタッチにした、という側面が強い。 なので、舞台をほぼ描き終えた共通ルートも終盤になるとコメディ色は薄まり、シリアス色がどんどん強くなっていく。 コメディ色が取り払われると、舞台世界の異常さが露わになり、 解決すべき問題としてプレイヤーの目に映るようになる。 これにて、個別ルートに入る準備が整ったことになる。結局、 本作品のコメディシーンは後半の物語に必要な準備段階である。コメディでもなければあまりに異常な設定をプレイヤーが受け入れてくれないからだ。

北欧神話

本作品は北欧神話を題材に用いている。ただし、北欧神話のうち、題材に用いた要素は全て作品内の神話編(「異ならぬ世の終わりより」)にて語られている(神話編の「……その話は本当だろうか?」より手前の部分)。 そのため、プレイヤーの北欧神話に関する知識の有無が、本作品の解釈に影響を与えることは基本的にない。本作品は難解である上に、 日本人にあまりなじみのない北欧神話を用いているため、プレイヤーによっては「もしかしたら、この話がよくわからないのは自分に北欧神話に関する知識が足りないからではないか?」と疑念を覚えるかもしれないが、 そんなことはないので安心してよい。

ただ、プレイヤーの北欧神話に関する知識の有無は、1回目のプレイを楽しむ上で影響があるのは事実である。北欧神話の神々は絶対的な存在ではなく上位種族のようなものであること、主神がオーディンで、 その武器がグングニルという槍であること、神話の最後が太陽と月が狼に食われ、オーディンら神族は狼と戦い敗れ、世界が崩壊する「ラグナロク(神々の黄昏)」という出来事になっている、といった知識がプレイヤーにあった方が、1回目のプレイを楽しむ上で有利となるだろう。 しかし、これらは全て神話編に描かれている内容であり、 すでにプレイを終えた読者にとっては今更の話である。

また、北欧神話というもの自体が、北欧のキリスト教化によって相当部分が失われており、現在残っている神話は不確かな断片にすぎず、矛盾点や異説が多数存在する、という点にも留意しておきたい。 だから、北欧神話を片端から集めてくれば、何かしら本作品の解釈に結びつけられる内容はあるだろう。もちろんそうするのはプレイヤーの自由である。しかし、 その解釈はとうてい他のプレイヤーと共有できるものではない。 よって、ここでは、神話に関する部分は作中描かれた内容のみに基づいて解説することにする。

2.各勢力・登場人物解説

唯井(雲戌亥)家

支配の象徴である「雲」と、集落の「戌亥」の方角 に屋敷を持つことが名前の由来。 「唯井」は策が有識結界により雲戌亥を誤認した名前である。

外と隔離された空明市の支配者一族。当主は未だ存命の開祖である静が占めているが、女系により直系の子孫が続いている。空明市の土地に染み込んだクヴァシルの血の蜜酒の効果により炎を扱う異能を持つ。 作中で空明市の警察と司法を握っていることが示されており、おそらく徴税も行っていると思われる。外との物資の出入りも雲戌亥家が管理し、情報統制まで行っている(ただし、情報統制は結界が自律的に行っていたり、 静の個人的な言霊により行われている側面も強い)。雲戌亥家は誇り高き支配者であり、空明の地の安寧を願い、その安寧を妨げるラグナロクを回避するべく蛙蟆龍計画を遂行する。たとえその計画が雲戌亥家の破滅をもたらすことがわかっていてもである。

静は、蛙蟆龍による有識結界を張るにあたり、雲戌亥の一族全てを賭けた。 有識結界が破れるときは雲戌亥は一族郎党皆殺しとなる、と。 本作品の展開上、ラグナロクが始まってしまったら、蛙蟆龍計画が成功しようとしまいと有識結界は失われる。 よって、雲戌亥家の全滅は確定事項である。実際は、ふたみルートでは呪いが発動して炎に包まれ、他の二ルートでは明日宿家の襲撃により全滅する展開となるが、雲戌亥家が残る可能性は最初から存在していなかった。

唯井 ふたみ

真の名前は雲戌亥ふたみ。最後の雲戌亥直系の子孫であり、蛙蟆龍計画の総仕上げとして天に昇り、第二の太陽となることを家から望まれている。 これをふたみ自らの意志で行うことになるようしつらえられたのが巽家男子(策)との婚姻をはじめとする本作で描かれる状況である。 ふたみは本人ルートでは何とか生存しハッピーエンドを迎えられるが、 他の2ルートでは傘により殺害されてしまう。しかしふたみの死は仕方のないことである。ふたみルートは最終的に「巽 ふたみ」となるから生き残れるのであり、策が結婚を認めなければふたみは雲戌亥家の一員である。 雲戌亥家の全滅は確定事項である以上、ふたみは雲戌亥家を出ない限り、 運命をともにするのは必然なのだ。 ふたみの置かれた逃げ場のない酷い状況は最も本作品が本作品らしい点である。

ふたみは戦闘力を一切持たないが、他の家の現世代が先祖返りしたかのように各家原初の力を持っていることを考えると、ふたみの術者としての潜在能力は開祖の静と同格であるとも考えられる。もちろん、静の現在の圧倒的な能力は長年生きてきた年の功の側面が強いので、ふたみは静に全くかなわない。 だが、ふたみルートで策が復活した理由はふたみの言霊(+蜜酒の効力)によるものと推測され、ふたみの言霊使いの高い潜在能力が伺える。

雲戌亥家の当主であり、創始者であり、 街の支配者。源義経の側室である静その人である。 義経が頼朝に追われた際、静は自らが産んだ義経の子を連れて落ち延び、平家残党の隠れ里だったこの地に逃げ込んで根を下ろした。 舞により雨を呼ぶことができたように、もともと法力の素質があった静は、 この地に染み込んでいた蜜酒の効果を受けて術者となった。 術を炎に特化したのはこの地に来て火葬を司る役目を受け持ったためであろう。 桜守姫家の創始者となる御前との交戦により術を磨いた静は、この地の守護者に奉られ、雲戌亥家当主としてこの地を支配することになる。 そして、静は雲戌亥の代表である以上、全ルートにおいて雲戌亥家と運命をともにする。

静は、常に清く正しくあるべきと誇り高く、 また他者に優しい、まさに雲戌亥を代表する人物である。 能力的にも、炎と言霊を操る術者として雲戌亥最強である。

守護四家

雲戌亥家が血脈を分けて創始した、炎を操る異能を持つ武の一族。 十二支から戌亥と辰巳を除いた8つから2つずつ組み合わせた、 申子・午卯・酉丑・未寅の4家から成る。守護四家はその異能を生かして宗家雲戌亥から与えられた役割を担う。役割は、申子が宗家の人間の護衛、 午卯が雲戌亥屋敷の守護、酉丑が敵対勢力との交戦(全面衝突にならない範囲で)、 未寅が墓場の守と蛙蟆龍交代儀式(照陽菜)の補佐である。 この四家かいつ創始されたかは明示されていないが、 未寅に与えられた役割から考え、最初の蛙蟆龍が天に昇った後と思われる。 (つまり、巽家の創始よりも後である)。

ゲーム開始時点において、守護四家は最期の世代として、 各家で歴代最強の実力者が輩出されている。 (守護四家に限らずどの家もそうなのだが)

未寅 愛々々

名前は祖母の「愛」、母の「愛々」から受け継がれてきたもの。愛々々は自称で「愛」を使い、友達には「愛々(メメ)」と自分を呼ばせることで、 祖母・母から受け継がれた想いを受け止めている。 守護四家最期の世代の中で一番の実力者で、静によりふたみの護衛に抜擢された。彼女の術は「意炎」という感情に訴えかける炎の術だが、 これ以外にも陽炎に身体をとけ込ませて姿を消す術も使用している(おそらくこれは雲戌亥にとってありふれた術なのだろう)。 術より肉体(拳)を使った格闘戦の方が得意である。

彼女は当然ながら雲戌亥の一族の一員としての誇りがある。 ふたみルートではふたみと策のために雲戌亥からの離反を宣言し、おかげで雲戌亥家滅亡の呪いを回避することができたが、他のルートでは雲戌亥家と運命をともにした(と思われる)。

巽家

雲戌亥の一族の一人と桜守姫の一族の一人が通じ合って生まれた血脈。 空明市の外で暮らしている。 静により戌亥と真逆の方角にあたる「タツミ(辰巳)」の名が与えられて巽家となった。一族の者は個々に決まったある物事について、 その本質を見抜く能力「解対」を持つ。巽家は、蛙蟆龍を天に昇らせ百年有識結界を維持するのに必要な生きる力を提供する生け贄として、蛙蟆龍計画に組み込まれている。 最初の蛙蟆龍のときから生け贄として使われていたので、巽家の創始は蛙蟆龍計画開始より前、桜守姫家がこの地で名家として力を持つ前の時点である。

現当主は主人公・策の祖父である巽 白。白は文字に対する解対を持ち、作家として成功を収めている・・・のだが、 この解対は言霊に支配されたこの地と相性抜群である。白がどれだけこの地を理解していたのか、明らかにはされていない。

巽 策

主人公。巽家の最年少である。解対の対象は武器。刀や手裏剣などのほか、 近代兵器も対象に入る。策は現代日本で武器を手にする機会がなかったため、 物語開始まで解対が発動したことはなかった。策は能力の無さに絶望し、 逃げるようにこの地にやってきたところで物語がスタートする。

策もまた最期の世代であるから、巽家史上(創始者と並んで)最高の能力者であってしかるべきである。策の武器に対する解対は、無限の戦力を生み出す可能性を秘めており、 最期の世代にふさわしい能力と言えよう。武器次第であるが。

策はまた、武器に対する解対を除いても、物事の本質、特に言霊の裏を見抜く能力に秀でている。それどころか、 時には自分で言霊を使用することもある。 この程度の理解力の高さは巽家には標準で備わっているのか(愛々々が意炎以外にも陽炎の術や雨除けの術を使えたりするように)、 それとも最期の世代である策だから備わっているのかはわからない。

透舞家

空明市唯一の神社を守る家。名前の由来は「透明な舞」である。 雲戌亥家を祭神として祀りつつも、 人目に触れないように祀ることで、人々にあまり意識させず雲戌亥家がこの地を支配できるようにし向けるのが役目である。

透舞 のん

透舞家の娘。名前は"Non"で、否定の意味を持つ。これまでの透舞家の役目を捨て去り、異能を必要としない次の時代に生きることを求められた。 それゆえ、登場人物達の多くが異能者家系の最期の世代として歴代最強の能力者であるのと異なり、彼女は異能を一切持たない。ただし、 異能を別にすれば彼女は優秀とされている。

次の時代に生きる人物であるから、全てのルートで生存する。 地域に密着した神社の巫女として空明市民達と暮らしていくことになるのだろう。

桜守姫家

空明市の半ばを支配する魔術師の家系。名前は、家を支配する妖精の御前が、その主人であるオーディンの別名の一つを拝借して付けた(*1)。家系の創始は、 ある人間がオーディンの槍グングニルを身体に突き立てられ、 身体に槍を取り込んで復活した後に、別の人間を犯して子供を作ったことに始まる。 一族は皆身体に槍の破片を持ち、それが魔術師の力の源となっている。

桜守姫家は妖精の御前を生き神として奉じ、支配下におかれている。心の器があまり大きくない妖精に支配されているためか、一族は皆精神的に不安定であり、 強力な魔術師でありながらも無謀な行動で命を落とすことも少なくない。御前にとっては最悪家が滅びず槍の破片が回収できればそれでよいのかもしれないが。

*1 これが北欧神話で実際に登場した名前なのかは、筆者は確認できていない。 少なくとも広く知られた名前というわけではなさそうである。

御前

かつてオーディンに仕えた(そばにくっついていた?)妖精。 桜守姫家の創始者であり、名付け親であり、生き神である。此芽以外の桜守姫は御前の所有物である。御前の目的は、クヴァシルの血の蜜酒を回収し、槍とともにかつての主人(と思っている)オーディンに返還することである。 御前はこれを太陽あるいは月がが喰らわれ始める前に達成しなければならないと考えている。 御前は、狼はオーディンを喰い殺してから太陽や月を喰らうと認識していたのだろう[*2]。

御前は此芽ルートでは策と此芽によって倒され、ふたみルートでは目的が達成できなかったとして去っていく。傘ルートでは一切が不明。 ふたみルートに準じるとするのが妥当なのだが、オーディンが滅んでいないと御前が判断したのなら当初の目的を続行する可能性もある。 もしそうなら、邪魔な雲戌亥がいなくなったところで血の蜜酒を回収し、死んだ此芽と残る桜守姫一族から破片を回収して完成した槍を携え、オーディンのもとへ去っていくことになるだろう。

[*2] この解説では、太陽や月を喰らう狼はオーディンを喰い殺す狼と同一とみなしている。実際の北欧神話ではこれらは別々であるとして語られることが多く、 作中神話編前半でもおおむねそれになぞって書かれている。 しかし、本編解釈の上では、 ふたみルートで太陽は守れたが月は守れませんでしたとなっては困るし、 此芽ルートでも倒せたのは月を狙った狼だけというのはあまり美しくない。 狼を同一と考えた方がこの両方のルートで問題がうまく解決するのでここではそう解釈した。

桜守姫 此芽

桜守姫家最期の世代で、歴代最強の魔術師。未回収の槍の破片のほぼ全てを身に宿している。名前は、その魔術の才能に、「ここから芽を出す」と希望を託した御前によって付けられた。 魔術の才能だけでなく、心の強さや頭の良さもきわめて高い。 桜守姫の開祖は槍の破片を身に宿したときすでに死んでおり心が失われていたので、 潜在能力は高くとも魔術を使いこなすことはできなかった。此芽は開祖と同等の魔術の才能を持ちながらそれを使いこなす心の器がある。

此芽は、かつて策を助けるため策に結婚式の術をかけ、魔術を用いることを拒みつつ、術のため命が尽きるのをこらえている状態にある。 此芽ルートでは策により槍の力を術を通して流し込まれることで、 生命力を取り戻し生き残ることができるが、 他のルートでは策に知られぬまま命が尽きる。

桜守姫 みどの

桜守姫家最期の世代のもう一人。みどのは歴代最強クラスの魔術師だが、 此芽に比べると桁違いの差がある。名前は、此芽の芽が緑の野に育つことを願って御前により付けられた。

物語内のみどのの役割は、典型的な桜守姫の魔術師像を示すことと、此芽の引き立て役である。明らかなサブヒロインである。だが、役割が小さい分だけ、 ふたみ・此芽の両方のルートで生き残ることが許された。傘ルートでも、 御前が蜜酒と槍の回収を続行しなければ、生き残ることができる。

機械仕掛けの魔術師

此芽およびみどのの父親。かつて、幼いふたみを抹殺するため御前の命令で妻とともに雲戌亥宗家と交戦し、ふたみの両親と相討ちとなった。 瀕死の状態でやはり瀕死の妻に機械仕掛けの身体を与えられて生き残り、 御前のそばに仕える存在となる。

雲戌亥に対する絶対的な防護があり、過去においては此芽暗殺を狙い策に死を呼び寄せたふたみの母親をたやすく撃退し、 此芽ルートではタンクローリーの直撃をものともしない活躍を見せる。 その最期は明確に描かれてはいないが、御前に自爆攻撃をかけて散ったと思われる。他のルートでの詳細は不明。命令をかけられなくなり錆びて朽ちていくのだろうか。

明日宿家

名前の意味は「問う(ask)者」。蜜酒を地にぶちまけ、オーディンと対峙した人間の魔術師スットゥングの末裔の一族。人外に対し、人間のためと称する人間への干渉を打ち払うことを目的に動いている。

人間の尊厳を守るとはいうものの、 生きる目的をこの目的に特化し、牙を研ぎ続け、風貌もほとんど異形と化したこの一族はもはや人間とは言い難い。神殺しの神、これもまた人間を守る(と称する)神の一種と化している。

明日宿 傘

明日宿家当主。「傘」は明日宿家当主が代々受け継いできた名前で、 生来の名前は「晴」。 最期の世代の一人で、異形と化した明日宿家の中で最強の戦闘力を持つと同時に、 先祖の人間の姿を保っている。神に対抗できた先祖の能力を受け継ぎ顕現しているため、傘の戦闘力は神並みで、他の人間には全く対抗できない。 食欲も神並みだが。

包容力があり情け深い女性で、戦闘でも敵に対して想いをぶつける 機会を与えてから倒す。傘の戦闘力ならば一人で雲戌亥家を全滅させることなど余裕そうなのに、一族を連れて行き父親をはじめ多数を戦死させている。 これも雲戌亥と戦うことを目的に生きてきた一族の想いを尊重した、彼女なりの情けだろう。

傘本人のルートでは自害を策に止められて生存する。 策が関与しない此芽ルートでは当初の予定通り雲戌亥を滅ぼした後自害したと思われる。ふたみルートでは、明日宿家当主のままで去っていく。もはや人外の明日宿家を率いる彼女が他の登場人物達の前に現れることはないだろう。

3.ルート解説

共通ルート

日付天候出来事
5/16(火)晴れ
  • 早朝、策、外の巽家を出て空明市に向かう。
  • 日中、策、巽邸に到着。掃除をしているふたみに出会う。
5/17(水)晴れ
夜は雨
  • 策、弐壱学園に転入。メメに出会う。
  • 此芽は欠席。のんの照陽菜の手伝い?
5/18(木)雨のち
晴れ
  • 早朝、メメ、策を河川敷に呼び出し決闘。
  • 策とメメ、昼に学校に向かい、帰る此芽と会う。
  • 策、学校でのんとみどのに会う。
  • ふたみ、双子座の相方に策を指名。
  • 策とふたみとメメ、学校帰りに此芽に会う。
  • メメ、巽邸に居座る。
5/19(金)晴れ
  • 策、のんと照陽菜について話す。
  • [此芽ルート]策、此芽を「姫様」と評す。
5/20(土)晴れ
  • 夕方、弐壱学園校庭に街の人が集まり、のんの牡牛座の照陽菜が行われる。
5/21(日)晴れ
  • 策とふたみ、空明の里に向かう。
  • 策、空明の里で迷子になり、傘に出会う。
5/22(月)不明
  • 双子座の照陽菜開始。
5/23(火)晴れ
  • 策、学校で挙動不審な此芽と会う。のんは欠席。
  • 策、照陽菜の最中にのんと会う。
5/25(木)雨のち
曇り
  • 策、町中で御前に出会う。
5/26(金)晴れ
  • ふたみの誕生会。
  • 此芽、巽邸にきて策に誕生日プレゼントを渡すが、ふたみ宛と勘違いされる。
  • 傘、誕生会に登場しそのまま巽邸に居着く。
5/27(土)晴れ
  • 策、照陽菜に付いてきた傘と照陽菜について話す。
5/28(日)晴れ
  • 策、遅ればせながら巽家と唯井家との関係を考え出し、実家に電話をかけるがつながらない。
5/31(水)晴れ
  • 夜、策、ふたみに今の照陽菜は自己満足だと話す。
6/1(木)雨のち
曇り
  • 未明、御前、閨で思索。
  • 朝、ふたみ、策に先祖が試みた照陽菜について話す。策、ふたみの照陽菜を受け入れる。
  • 昼休み、策、学校を抜け出し携帯の電波状況を確かめる。
  • 夜、ふたみ、白爺の手帳を策に見せる。
6/2(金)晴れ
  • [傘ルート]傘の和傘から丼物が出る。
6/3(土)晴れ
  • 以前照陽菜の最中に此芽が落としていった、対で「姫」の字をつくる品を桜守姫邸に届けに行く。
  • 桜守姫邸でみどのに会う。此芽に盒子を見せられる。
6/4(日)雨のち
晴れ
  • 策、携帯ショップを探しにでかけ、有識結界に弾かれる。御前に会う。
  • 照陽菜の最中にのんと桜守姫姉妹に会う。
6/12(月)晴れ
  • 策、ふたみから唯井(雲戌亥)家からの援助について聞く。
  • 策、照陽菜の最中、傘からテレ雪の特徴を聞く。
6/18(日)晴れ
  • ふたみと策、唯井(雲戌亥)邸に行く。静、茂一、菊乃丸に出会う。
  • ふたみ、策に家での用事の内容を尋ねられ動揺する。
  • 静、墓の作り直しを命じる。
6/20(火)晴れ
  • メメ、実家の留守番。途中のんと交代する。のん、みどのを未寅邸に上げる。みどの、空明の里に火を放つ。
  • ふたみ、炎上する未寅邸からのんを救出する。
  • [此芽ルート]此芽、のんをはたく。(他のルートでは此芽は登場せず)
6/21(水)晴れのち
一時雨
  • ふたみ、昨日の救出時の炎熱の影響で発熱。策、照陽菜中に気づく。
  • のん、みどのの蟹座期間を双子座にあてがうと策に提案するが断られる。
  • 策、ふたみを巽邸に運び込むが、ふたみは抜け出す。
  • 此芽とのん、道の途中で倒れたふたみを巽邸に運ぶ。策、ふたみの箒を持って空明の里へ向かう。
  • メメ、唯井(雲戌亥)邸に抑薬を取りに行く。みどの、メメ不在の間に巽邸に現れる。
  • 策、「あなたたちは、光になれたのですよ」の言葉によってテレ雪を成仏させる。
  • 夜、ふたみ、起きて空明の里へ向かう。途中まで此芽が付く。
  • 照陽菜、一時的に成功。
  • 策、ふたみに「ふさく座」の話をでっちあげる。
  • 再び雲に覆われる空を認めたふたみ、ショックを受けて空明の里を去る。
  • ふたみを探し、巽邸に戻った策にメメが神様と奴隷の話をする。

共通ルートは、どんな作品でも最低限必要となる舞台となる場所(の表向きの姿)の描写と登場人物の顔見せを行うほかに、 「照陽菜」をキーワードとして物語が展開される。

照陽菜とは何か、については、百年に一度行われる雲払いの儀式と説明され、 12の生まれ星座ごとに一人ずつの12名の少女から成る天文委員会の存在、 相方を指名できる双子座の特殊性、ふたみの祖母による百年前の双子座の照陽菜の話、等々の照陽菜に関する詳細が共通ルート内で語られていく。

しかし、これらの設定には大きな問題点が存在する。それは、百年前の日本で生まれ星座の概念がまともに存在していたのだろうか、という点である。 百年前ならわずかながらも存在していたかもしれない。 だが、二百年前となるともうありえない。またそもそも、百年に一度の行事では前回の経験者がいないので、伝統となる決まり事がまともに継承されるはずもない。

コメディ作品なら、これらの疑問はどうでもよい話である。 本作品でも、序盤はコメディタッチで描かれるので、照陽菜に関する設定に対する疑問はプレイヤーはほとんど感じずに過ぎていく。 しかし、共通ルートも終盤になりシリアスムードが高まってくると、照陽菜を含めた街の設定の異常さが明白となってくる。この流れはそのままふたみルートに続き、 メメにより照陽菜が茶番であったことが語られて雲払いの話は決着する。

結局のところ、照陽菜は、百年に一度の蛙蟆龍交代の際、 次世代の蛙蟆龍が前世代の蛙蟆龍の骨であるテレ雪を掃除することに意味があるのであって、天文委員会や双子座や百年前の話は皆、 ふたみが真の意味を知らなくとも自発的に掃除を行うようにし向けるために静が創作した作り話と考えるのが妥当である。

ふたみルート

日付天候出来事
6/22(木)
斜陽の気持ち
晴れ
  • 明け方、空明の里にてメメが御家の話をする。告白の風が吹く。ログハウスが再建されている。
  • 策、メメの前から逃げ出す。
  • 傘、策にさよならを言って去る。
  • 策、巽邸に戻る。家の前にいるふたみを連れて家の中へ。
6/23(金)
遠く近くの触れ合い
晴れ
  • 早朝、中庭にたたずむメメと策の対話。雲戌亥の名前が明かされる。メメ、ふたみに会わないように姿を消す。
  • ふたみと策が登校。ふたみ、策の呼び名を「策さん」に。
  • ふたみと策のデート。酢うどんを食べ、占いをし、公園に行って、最後に丘の上で告白。
  • 策、ふたみを抱く。メメ、巽邸の中で見張っている。
6/24(土)
反転
晴れ
  • 夜中、策、人の気配を感じて起き出す。菊乃丸の登場。
  • 策と菊乃丸の対決。策、刀を龍視の解対で制御下におく。
  • ふたみ、起き出して策と菊乃丸の対話を聞く。ふたみ、菊乃丸とともに実家に戻る。
  • 策、倒れる。
6/25(日)
たがいおもうひび
不明
  • メメ、策を介抱する。
  • 策、目が覚めるが、体がまともに動かない。
  • ふたみ、雲戌亥邸の座敷牢に幽閉される。
  • 策、起きだそうとするが倒れる。
6/26(月)不明
  • 策、丸一日意識を失った後で目が覚める。メメ、お粥を作り策に食べさせる。
  • メメ、策の下の世話をしようとするが失敗。
6/28(水)
黄昏の支配者
晴れ
  • この日までメメは策の世話を焼く。メメ、策に命の終わりを告げる。
  • 策、体がなんとか動くようになり、雲戌亥の屋敷へ向かう。
  • 策と静の対話。策、龍視の一族の由来を知らされる。
  • ふたみ、策の状況を見せつけられ、天に昇る。
  • 策、命が尽きるが、メメの意炎により命を引き延ばされる。
6/29(木)
あの雲の向こう側
晴れ
  • 策、巽邸で意識を取り戻し、メメに話を聞いた後雲戌亥邸へ向かう。
  • 策、雲戌亥の門前で茂一と対決。激闘の末に倒されるが、メメの介入により屋敷内に入る。
  • 策が屋敷内に入ったところで天候が吹雪き出す。
  • 策と菊乃丸の対決。
  • 静、ふたみの着物を引っかけて登場。
  • 静、吹雪を炎の力で吹き飛ばし(70年ぶりの行使)、若い姿に戻る。策の刀を焼き殺す。
  • 静と策の対話。
  • 狼が太陽を喰らい始める。
  • メメ、茂一の門を突破。菊乃丸から刀「雷切」を奪い、策に渡す。策、雷切を用いて静の炎を切る。
  • ふたみの弐式の火輪への変化開始。雲戌亥一族の炎上。
  • 策、天に昇り、ふたみに共にいようと持ちかけるが断られる。
  • 策、再び天に昇り、狼殺しの剣と化して狼を倒す。
  • ふたみ、無人の雲戌亥の屋敷で気がつく。
1年後
エピローグ
  • ふたみ、策が教えた「ふさく座」を見つけ出し、策を取り戻す。

ふたみルートは通常最初にプレイされるルートである。ふたみルートでは「何が起きているか」については割と明確に描写されているが、起きている現象が起きる理由についてはあまり明瞭ではない。 ふたみは笑顔を失っているヒロインなので、ふたみルートの最後は笑顔を取り戻してハッピーエンドとなるのは確定である。しかし、ふたみルートは導入編であるから、 全て明かしてハッピーエンドでは後のルートでやることが減ってしまい作品全体のバランスが悪くなる。 そのため、ふたみルートは結末に至るまでの過程で起きている現象については忠実に描く代わり、現象が起きる理由については含みをもたせた内容となっている。

ふたみルートは滅びの色濃い哀切感漂うルートである。 出だしのメメとの会話でのメメの激烈な台詞は主人公(とプレイヤー)を震え上がらせる。 ルート後半以降主人公は死に向かい突き進む。ルート内で最も印象的なシーンは雲戌亥家の炎上である。此芽の死もほぼ確実である。 ルート内で明かされる設定ですでに、 他のルートでのふたみやメメや雲戌亥一族の生存が絶望的である。 これらの点が醸し出す滅びの色は、最後に策が復活しハッピーエンドとなったところで消えはしないし、消す気もない。 この滅びの色が作品の色であり、楽しみどころでもあるからである。

ふたみルートで最も不明瞭な点は、エピローグでメメが言う、 策が解対で本当に視ていたのは何だったか、という点である。他のルートを含めて考え、策が解対の対象にしていたのが武器であることは間違いない。それに対し、ふたみを迎えに天に昇ったり、身体を武器に変換したりしたときに用いた力はといえば、蜜酒をもとにした言霊の力となるだろう。 もし解対由来だとしたら、街の外でも天に昇るといった芸当が策にはできることになってしまう(他の巽一族を考えると、巽の解対は蜜酒の助けなくとも行使可能である)が、 街に来るまでの策を考えると策にそこまでの力があるとは思えないからである。 となると、メメのこの台詞は、策が言霊の力を使ったことに対し、 「言葉(言霊)を視た」と表現した、と考えられる。少なくとも、 メメのこの発言をもって策の解対の対象を武器以外に拡張するのはあまりよい解釈ではない。

此芽ルート

日付天候出来事
6/22(木)
逃亡者
晴れ
  • 策、街から出ようとして結界の影響を受ける。(此芽の姿が表示)
  • 策、結界の記憶操作に気づく。
  • ふたみ、街の外れで策と会う。そのまま二人で一時的に街から出る。
  • ふたみ、電車の車輪とレールとの火花を受けて軽いやけどを負う。
  • 策とふたみ、街に戻る。
  • 桜守姫の叔父、街を出ようとして焼かれる。焼死寸前、やけどを負ったふたみを見て哄笑する。
6/23(金)
懇願者
晴れ
  • 御前、桜守姫の叔父の情報を得て桜守姫一族に開戦準備を指示。
  • 策、ふたみと登校。
  • 策、休み時間に屋上で此芽と一連の事件を話す。此芽、策に結界の仕組みを説明、街からの脱出を指示。
  • 夜、策、ふたみに恋人になれないと謝る。
6/24(土)
迷走者
晴れ
  • 朝、みどの、此芽にいらだちをぶつける。
  • ふたみ、菊乃丸を供に朝に巽邸を去る。途中此芽と会い、策を託す。
  • 昼、策、屋上でふたみが去ったことについて此芽と話す。
  • 放課後、策、校門でメメと会い、別れる。
  • 策、猫階段の上でのんと会い、此芽をどう思うかと問われる。
  • 策、カップラーメンを買い込む。
  • 此芽、巽邸にカレーを作りに来る。
  • 夜、此芽、御前の間で御前に話しかけられる。
  • みどの、初めて御前に話しかけられたことを覚える。
  • 策の体調悪化が始まる。
  • みどの、此芽が通う桜の枝に顔を出す。
6/25(日)
襲撃者
晴れ
  • 策の体調悪化が進行する。
  • 午後、みどの、巽邸の庭に陣の一角を築きにくる。会った策をなぶりにかかる。
  • 夕方、此芽、のんを連れて巽邸に来る。みどの、のんを見て攻撃をやめ、のんに連れられて桜守姫邸に帰る。
  • 此芽、策を抱えて策を街から連れだそうとするが、結局連れて帰る。
6/26(月)
守護者
晴れ
  • 工事による休校日。この日かその前に雲戌亥の当主(静)が学園理事長を降りている。
  • 此芽、巽邸を守る。何か魔術師の侵入を防ぐ仕掛けを施す。
  • 起きた策と此芽の穏やかな対話。
  • 夜、此芽、庭で何か(陣の一角?)に気づく。
6/27(火)
接触者
晴れ
  • 工事による半日授業。
  • 此芽、巽家を出る。学校でみどのに拘束される。
  • 策、起きて此芽が不在を知り、桜守姫邸に向かう。
  • 策、御前に会い、桜守姫邸に招き入れられる。
  • 策、死体から神器を取り出す何者か(御前)を見てしまう。
  • 策、御前から此芽の不在を聞き、学校に向かう。
  • 策、学校でみどのとのんに会う。みどのに邪眼を向けられる。
  • みどの、拘束した此芽に策への想いを思い知らされる。策に手を出さないことを約束する。
  • のん、みどのが此芽を辱めていることを知り、みどのに絶交を宣言。
  • 策、学校を出てきた此芽に会い、告白する。此芽、「姫」の字の装飾品を残して去る。
  • 午後、猫階段に来た策、転げ落ちる。
  • 機械仕掛けの魔術師による襲撃。雲戌亥側末端組織によるタンクローリー突撃。
  • 策、歯車手裏剣を解対し、機械仕掛けの魔術師と対決。
  • 学園内に舞台を移す。機械仕掛けの魔術師、策に「おもいだせ」と呼びかける。建物の一部を破壊し、策をがれきに閉じこめる。
6/28(水)
婚約者
晴れ
  • 休校日。
  • 策、がれきの中で目が覚める。
  • 策、魔術師たちの会話を盗みきく。
  • 策、学校を出て桜守姫邸に向かう。陶酔の御前に会う。
  • 命尽きつつある此芽、桜守姫邸に向かう。途中のんに会う。此芽、枯れた桜の枝で気を失う。
  • 御前、機械仕掛けの魔術師に策殺害を命令。
  • 夜、此芽、星空の下で目が覚める。結婚式の魔法が解けていることを知り絶望する。
  • 御前、此芽に最後の術を指示。
  • 機械仕掛けの魔術師、御前を止めようとする。
  • 策、槍を自らに突き刺し、此芽とのつながりを利用して此芽に槍の力を送り込む。
  • 此芽、みどのと対決し撃退する。
  • 此芽と策、槍を用いて御前と対決し葬り去る。狼が消滅する。
  • のん、桜の枝のもとに現れ、みどのをかばう。此芽、みどのを許す。
1月後
エピローグ
  • みどのとのんの「O計画」発動。策、此芽を抱く。
  • 桜の枝の上で結婚の誓い。桜の花が咲く。

此芽ルートはふたみルートとは様相が変わり、起きている出来事を把握することすら難解となっている。もはや1回のプレイで全容を把握するのは困難で、 1回目のプレイでは此芽の凄さと槍の凄さを堪能するのが本題と見切って、 内容の把握は2回目以降の仕事と考えた方がよい。

内容が難解である理由の大きな点は、策にとっての敵味方の関係が一定しないことである。 多くの登場人物が策に攻撃をしかけてくるが、そのうちの誰も常に敵であるわけではない。どういうときに敵対し、どういうときに矛を収めたかを把握することは、 各登場人物の行動原理を把握することにつながり重要である。

此芽ルートで他の難解な点には、「それ」と表記される槍の破片(骸を貪り食う者)の説明(6/24および6/25の冒頭部分。人間の身体に溶け込んだ槍の破片が魔術師の素に変化する過程を描いたものと思われる)が難解であることや、 御前の行動原理や御前の主人がどういう存在かが読めない点がある。これらは此芽ルートだけで読み解くのは不可能で、神話編後半部の説明を読む必要がある。

此芽ルートでは序盤を除いて雲戌亥側の人物が登場せず、雲戌亥に関する情報は炎を操る能力が街の中でしか使用できないことが示される程度で、ほとんど明らかにされない。結末においても全く雲戌亥側の状況が描かれず、 もしかしたらふたみやメメが生き残っているかもしれない、との淡い期待ももてる内容である。しかし、その可能性は傘ルートで否定される。 傘ルートにて、策がふたみを選んだ場合に限り明日宿家は蛙蟆龍計画を見逃すと描かれており、此芽ルートの展開は明らかにこれに該当しない。そのため、 傘ルートと同様明日宿家は雲戌亥に襲撃をしかけるはずである。6/28夜、 桜の枝で目が覚めた此芽が目にしたのは蛙蟆龍がある限り存在しないはずの星空である。もうこのときには雲戌亥側は片が付いていたことになる。

傘ルート

日付天候出来事
6/22(木)
この手を離せない
晴れ
  • メメから逃げ出してきた策、別れようとする傘を引き留め、一緒に巽邸に帰る。家の前でたたずむふたみを家に入れる。
  • 策、傘に出て行かないよう釘を刺す。メメは帰宅せず。
6/23(金)
選んだのは……
晴れ
  • ふたみ、策の気持ちに感づき、策にはっきり言うよう望む。策、傘が好きだと答えた(はず)。
  • 傘、動揺して家を飛び出す。
  • ふたみ、巽邸を去る。
6/24(土)
透明の巫女
晴れ
  • 策、学校で傘の教室に向かうが、来ていない。
  • メメ、帰宅する策を待ち受け、なじって去る。メメはこの時点では明日宿家を格下と認識。
  • メメ、空明の里で酉丑に会う。
  • 策、徘徊する。町はずれで傘の姿を見た気がして追いかけ、透舞の神社にたどりつく
  • のん、透舞の神社にて策に神社の由来と未来について話す。
  • 傘、街外れで茂一を殺害。策、「明日宿家が動き始めた」との遺言を受け取る。菊乃丸、死体を担いで雲戌亥邸に戻る。
6/27(火)
Ask
晴れ一時雨
  • 25日から3日間、策は体調悪化するが、27日に起き出す。
  • 策、明日宿邸を探し夕方まで山に入る。
  • 山を下りた策、魔族と酉丑の戦闘に遭遇。魔族、策に明日宿の当主は傘だと告げる。
  • 酉丑、傘を襲うが返り討ちにあう。
  • 策、公園で傘が酉丑を倒すのを目撃。
  • 明け方、策と傘が散歩する。
  • 策、空明の里で傘に手鏡を見せる。
  • 傘、策を気絶させる。
6/28(水)
病める舌の願い
晴れ
  • 策、巽邸に縛られた状態で気がつく。縄がほどける。
  • 策、雲戌亥邸へ向かう。
  • 傘、雲戌亥邸に突入。魔族、静と戦い戦死。静、傘の前に一刀で倒される。明日宿一族、雲戌亥一族の殲滅戦を開始。メメ、ふたみの護衛を止め参戦するが歯が立たない。
  • 策、改造戦車を持ち出すが傘を攻撃できず。菊乃丸、戦車砲で傘を攻撃するが返り討ちにあう。
  • 天候が吹雪き出す。
  • ふたみ、傘に殺害される。策、それを見届ける。明日宿一族、雲戌亥邸を去る。
  • 夜中、策、明日宿邸を発見。自害しようとしていた傘を抱く。

エピローグ
  • 傘、鳥の森で赤い雄鶏フィアラルを縊り殺す。
  • 明日宿一族、街を去る。
  • 1年後、策、戻ってきた傘を「てる」として迎え入れる。

傘ルートは傘の大暴れを見るルートである。一般に、 戦闘が物語に組み込まれている作品では、 登場人物の戦闘力は魅力に直結する。そのため、登場が遅く、共通ルートでの登場回数が少ないヒロインは、他のヒロインとのバランスをとるため戦闘力が高く設定されることが多い。 本作でも、傘は、主人公と“結婚”している他の2人のヒロインに対抗できる魅力が必要であり、その魅力はおもに戦闘力によって形作られた。ただ、傘の戦闘力があまりに高くなった分、能力的には戦うことしかできない主人公の策は影が薄くなっている。傘ルートでの策は、戦車を持ち出したりはするものの、戦闘で物語に影響を与えることはない。(戦車を解対する場面の意義は、 策の解対が近代兵器にも及ぶ点と、近代兵器でもやられない傘の強さを示すことにある。ただ、この戦車は雲戌亥の影響下にあるので、傘の対雲戌亥防護の対象に入る可能性もある。そうなると、傘が本当に戦車砲に耐えられるのかは不明である)

傘ルートは人間関係や起きる出来事にややこしい点がなく基本的にわかりやすいのだが、一部で結果を明示的に描いていないため、論議を呼ぶ箇所がいくつか存在している。 例えば、メメやふたみがとどめを刺される場面を描いていない点が挙げられる。これらは前後から傘により殺されているのは明白であり、 おそらく残虐シーンにしてプレイヤーに過度の精神ダメージを与えるのを避けるためにそうしたと思われる。本作品は、きれいな絵と(悲惨な)話を売りにする作品であって、 スプラッタシーンが特徴の作品にする気はなかったのだろう。それは正解である。

特に論議を呼ぶのは、エピローグにおいてふたみが生存しているのではないか、 との疑問である。これは、エピローグでの以下の部分に依っている。

   ――以下作中より引用

[策]「てるに紹介したい人がいるんだ」
[傘]「紹介?」
 意外な言葉に、わたしは少し驚いて。
[策]「ああ」
 それから彼は、こう言った。
 私はどうしてここにいるのか、そう俺に尋ねた少女だって。
 わからないよ、って、そのときは答えたんだって。

 ごめん、って、言ったって。
 どうして謝るのか、と訊かなかった――少女だって。
 それから。


 よくがんばったな、と――俺にそう言ってくれた、少女、だって。

   ――

以上の内容を精査すれば、「てるに紹介したい人」とは、ふたみを指すのは確かである。しかし、かなりよく読まないとふたみを指すということはわからない上に、 この部分の前後はふたみが生きていることを全く感じさせない内容である。 少なくとも、この場にふたみがいないのは間違いない。そのため、ちょっとでも上記の部分を読み飛ばせば、プレイヤーはふたみは死んでいると確実に判断する。作品のルート間のバランスを考えても、 策と重婚状態にあるふたみと此芽はそれぞれのルートで選ばれなかった方が死んでおり、二人とも選ばれない傘ルートでは両方とも死ぬのが妥当である。 事実、此芽はおまけシナリオで傘ルートでの死が示されている。ここでふたみだけ生き残るのは変である。

では、どう読めばよいのだろうか。 まず、「作者はふたみが生存しているとプレイヤーに判断してほしいと考え書いている」かどうかを考えてみよう。これは明らかに否、である。 ふたみが生存していることを示すのなら、台詞(声)の一つは入れるはずで、これをしない理由は制作コスト面等々から考えても存在しない。ちょっとでも読み損ねれば意図しない方向にプレイヤーが判断するように作ることもありえない。

ということで、作者はふたみが死亡しているとプレイヤーが判断するのを容認していると考えられる。 そこでここでは、作品全体および前後の内容が自然になる、 ふたみが死亡しているという解釈で説明することにする。(もちろん筆者は、読者がふたみ生存を望む場合にそう解釈するのを止める気はない)

ふたみ死亡解釈で注目すべきは、上記の直後の描写である。傘の顔が映った手鏡が示されて、傘は「ごめん」と何度もつぶやく。それに対し策は、 「そんなふうに泣くんだな、てるは」と声をかける。手鏡は、6/27夕方の空明の里で策が傘に見せる場面と、6/28でふたみを前に殺害を少し逡巡した傘を促すため策が壊す場面で使われている。 これを踏まえると、策が手鏡を傘に見せており、その手鏡がふたみに見立てられていると考えることができる。 だから、上記引用の一連の策の台詞は、手鏡を傘に見せる際に、これがふたみに見立てたものであることを示すために言った台詞であって、傘の「ごめん」は、手鏡に向かいふたみへの謝罪を行った台詞である。 また、策は「独りじゃ寂しくて生きていけない」ということなので、普段から手鏡をふたみに見立てて寂しさを紛らわせていたのかもしれない。

傘ルートでは、上記のように判断しづらい点以外にも、明日宿の行動指針やラグナロクが回避された理由についてあまり明確とはいえない。 が、これらは神話編で補完されている。また、策が餌の呪いに耐えて生き残った理由についても示されていない。 こちらについては、ふたみが死亡したことで生きる権利が返還されたと考えるのが妥当だろう。

神話編

3ルート終了後に、「異ならぬ世の終わりより」としてタイトルメニューに追加される追加シナリオで、前半に北欧神話の作品中使用部分、後半に作品内で追加・変更した部分が示されている。 ここで、本編(特に傘ルート)で不足していた設定が示されている。最後のオーディンの狼との対決は、 傘ルートでラグナロクが回避された経緯(傘がラグナロクの先駆けとなる雄鶏を絞殺することでラグナロクの進行が停止。 予見に反してラグナロクの進行が止まったことを知ったオーディンが狼と対決し倒すことにより解決)を示したものである。[*3]

[*3] 太陽、月、オーディンを呑み込む狼を同一とみなした場合の解釈である。 これらが別々と考えた場合は、各ルートでラグナロクが阻害された(ふたみルートでは太陽を呑む狼が倒され、此芽ルートでは月を呑む狼が倒され、 傘ルートでは雄鶏の絞殺により開戦の合図が出なくなった)ことに感銘したオーディンが自らを呑もうとした狼を倒し、残りの狼は余勢を駆ってオーディンが倒した、という解釈となる。


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Update: 2007/3/25