アルカナム電脳遊戯研究所 一般コラム

サイト改組にあたって:超常物の動向の変化

本サイトでは、[Games with a Concept of "World of Darkness"] と題し、 超常物の美少女ゲームソフトをTRPGシリーズ"World of Darkness"の視点で解説してきた。

これまでに40本を超えるソフトを紹介してきたが、2000年から2001年に発表されたソフトが非常に多い。その後は年々減少し、2004年以降はわずか2本にすぎない。 また、紹介したソフトの中で有名な作品や営業的に成功した作品も古い方が多い[*1]。

別に、最近筆者が調査をさぼっているわけではない。また、ジャンルとして発表される作品の本数が激減しているわけでもない。 実際これまでに紹介したソフトを出しているブランド達も半分ぐらいはまだ現役で、そのブランド達が今出している作品の多くはやはり超常物である。 そして新参ブランドは今も多く、それらが出す作品の相当の比率は現代/近未来の日本を舞台とした超常現象有りである。これより、かつてと今で、超常物というジャンルに違いがあるはずである。それは何なのだろうか。

ここで目に見えている変化は、「"World of Darkness"で大きな矛盾なく解釈できる超常物が減った」であり、 「超常物が"World of Darkness"で説明できなくなった」である。"World of Darkness"は、様々な能力が登場するので、起きている現象を再現することは難しくない。 だが、能力の起源に関しては"World of Darkness"は固い世界観を有する。だから、ゲーム内で能力の起源に関する明確な説明があり、 その説明部分がゲーム内に占める比重が大きい場合は、その説明が"World of Darkness"の世界観にぴったり一致するのでない限り"World of Darkness"では取り扱えない。

また、コーナー緒言では、「オリジナルではきちんと語られていなかった設定をWorld of Darknessの設定で補完することで、より深く物語を解釈し、理解する」と述べた。 コーナーで取り上げるには、"World of Darkness"世界観を導入することで何か新たな解釈ができるのでなければ意味がない。 そして、これを可能にした状況として、「このジャンルでは、物語は主人公の目線を通して描写されるため、 ユーザーは起こった現象の全貌を知るのがもともと難しいです。 しかも、特に最近はユーザー側に謎を残すという風潮が強まっており〜(以下略)」があった。 だが、これは今は崩れている。ゲームソフトが小説・マンガ・映画と同列の物語表現媒体として確立しつつあり、その特徴が描写能力の高さ(「映像と音響を用いた豊富な演出手段」「選択肢や複数ルートによる多面的な描写」)にあることがわかっている。 だから、主人公の視点しかないから裏で何が起きているかわからないまま、ということは今はしない。媒体の特徴が裏の裏まで描写できる、という点にあるのだから、世界観も深いところまで描写するのが今のスタイルである。

そういうわけで、最近の超常物は世界観・能力観をしっかり描写するようになった。 "World of Darkness"解釈がしにくくなったのはおもにそのためである。 だが、これはジャンルが進化したためであり、喜ばしいことである。 よって、筆者は今PCゲーム解釈で "World of Darkness" にこだわるのは良いことではないと判断し、これからはより一般的な評論活動に移行することにした。

2005/8/17  S.N.

[*1] 有名作品と呼べるものでは、2003年の「SNOW」(Studio Mebius)が最新だろう。


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last update: 2005/8/28