「優れた存在」を物語に登場させるのは危険である。弁舌に長けた人間を小説に登場させれば、作者はその小説の中でその弁舌ぶりを演出しなければならない。絶世の美女を漫画に登場させるなら、漫画家は絶世の美女を描かなければならない。
ここで、身の程をわきまえつつ、どのように観客に納得させるかが腕の見せ所である。うまくいけば名作になるし、失敗すれば失敗作となる。
「Portrait」では、この点で問題となりそうな存在が登場する。そのうち、天才画家とされるゆかりの絵は出さず、アマチュアレベルで上手い美由の絵を登場させたのはおそらく正解である。だが、ベストセラーとされる小説「深い淵」を内容の引用までして登場させたことは、演出としてうまく機能していない。ベストセラーではなく「できの良い電波本」ぐらいにしておくか、もしくは小説をそのまま引用せずに内容を説明するにとどめておいた方が、納得のいく物語になるのではないか。
項目 | 評価 | コメント |
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シナリオ | ☆☆☆ | クローズエンドにもっと説明が欲しい。 |
CG | ☆☆☆ | 問題なし。 |
キャラクター | ☆☆☆☆ | よく動いている。 |
サウンド | ☆☆☆☆ | 十分な出来。CD再生にトラブルがあるのが残念。 |
ゲームシステム | ☆☆ | 分岐の理由が不明。 |
プログラム | ☆☆☆☆ | 大変親切である。トラブルがなければ満点。 |
ゲーム分量 | ☆☆☆ | 標準的。 |