~ ジ・アーミー・ナイフ センターの狙撃兵 小さな巨人 ~
松本 哲也
プロフィール 左投左打 84年7月3日生 外野手 山梨学院大付高→専修大→巨人・07年育成ドラフト3巡
獲得タイトル 09年・ゴールデングラブ賞、新人王。
09年終了時
通算成績
打数 安打 二塁 三塁 本塁 打率 打点 盗塁 三振
373 109 11 .292 15 17 59
バットを短く寝かせて持ち、リズムを刻みつつ、コンパクトスウィングで当ててくる、"天秤打法"の使い手。ミートに優れ、進塁打、流し打ち、バントができ、ポップフライが少ない。特に追い込まれてから、粘りに粘る技術は松本の得意技。蟻地獄が如し投手を消耗させ、09年、フルカウントからの打率は.440を誇った。
さらに50m5秒8の俊足ゆえに内野安打が取れ、盗塁ができ、塁上でかき回す事もでき、二番打者に要求される攻撃はすべて展開してくる。
守備範囲も極めて広く、スタート良く、球際強く、長距離を走り抜いてのダイビングキャッチは、さながらスパイダーネットのよう。さらにスピードと正確性を併せ持った弾丸返球で、ランナーを撃ち殺すスナイパーと化す。僕がリアルタイムで見た巨人選手で、もっとも外野守備が上手い選手だ。
その小さい体に秘められた、多種多彩な能力はアーミー・ナイフの如し。持ってない武器は長打だけと言ってよく、元阪神の赤星が持つ、連続打席本塁打0記録更新の期待がかかる。

この選手を見ていると、「はじめの一歩」の小橋健太を彷彿させますな……。



育成枠入団ながら、1年目開幕前の紅白戦で盗塁を決め、センターからのバックホームで高橋由伸を刺す強肩を披露。この活躍により、2月下旬には早くも支配下登録された。

オープン戦では、藤川球児相手に10球粘るなど、当時から打撃スタイルは一貫している。ただ、この頃はまだ独特のバスター打法は行ってなく、普通に短く持っているだけだった。

初の一軍昇格は翌08年5月28日。その日の楽天戦には早速9回表に守備固めで出場したが、打球は一度も飛んで来ないまま試合終了し、出たのか出てないのか、よく分からないデヴューを飾った。

翌日には代走で出場すると盗塁を決め、5月31日のソフトバンク戦では、ついに初スタメン。しかし、プロ初打席となるその第一打席で、一塁ベースを踏んだ位置が悪く、右踝骨折。わずか4日で登録抹消となってしまった。

なお、この年は松本と同タイプである鈴木が躍進し、同じく左の外野手、隠善も巧打をアピール。そして09年からは、やはり松本と同タイプである工藤も加入した。ただでさえ大激戦区の巨人外野陣はさらに激しさを増し、果たして松本は生き残れるのか、かなり厳しい状況に追い込まれた。



そして09年、松本は代走守備固め要員として開幕一軍となると、4月5日、この年の初打席でプロ初安打。さらに2打席目でもヒットと、打撃でも結果を出すと、なんと4月19日、トップバッターとして今季初スタメン。巨人ファンにとっては懐かしの、「1番センター松本」が再びコールされたのだ。
5月6日には初2番スタメンとなると、その第1打席に初三塁打初打点。そしてこの試合以降、1番・坂本、2番・松本のコンビが定着し、チームは6連勝。見事、前年活躍した鈴木から、スタメンセンターの座を奪ってみせた。

難敵を撃破するシーンも目立ち、6月6日の日本ハム戦では、ダルビッシュからチーム唯一の2安打を放ち、さらにバックホームで同点も阻止と、攻守にわたる大活躍。
7月11日の阪神戦では、9回二死の土壇場に藤川から同点タイムリーヒット。クライマックス・シリーズ第二戦では、チェンから粘りに粘った末、12球目、同点の足がかりとなるセンター前ヒット。11球目をカットした際には、スタンドから大歓声が巻き起こっていました。

技術、知性、確実、献身、ガッツの五拍子揃ったプレイスタイルは、かつての川相を彷彿させる。何と言ってもここ数年、首脳陣が鈴木と脇谷に叩き込もうとしてできなかった、堅実なプレイができるのが強い。川相のように10年、2番を任せられる可能性は十分だ。




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