男女共同参画社会基本法案

代表質問

平成11年4月12日(月)13:00開会


○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 男女共同参画基本法案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。国務大臣野中内閣官房長官。
   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
○国務大臣(野中広務君) 男女共同参画基本法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重、法のもとの平等がうたわれており、男女平等の実現に向けてさまざまな取り組みが、国際連合など国際社会における取り組みとも連動しつつ、着実に進められてきたところであります。その間には、女子差別撤廃条約も批准されました。しかしながら、現実の社会においては、男女間の不平等を感じる人も多く、男女平等の実現に向けて、なお一層、努力していかなければなりません。
 また、少子高齢化など社会経済情勢の急速な変化に対応していく上でも、女性と男性が互いにその人権を尊重し、喜びも責任も分かち合いつつ、性別にとらわれることなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、一層緊急の課題とされているところであります。
 このような状況において、男女共同参画社会の実現は、政府の最重要課題であると考えております。そのためには、さまざまな分野において男女共同参画社会の形成を促進するための施策を推進することが重要であります。また、人々の意識の中に形成された性別による固定的役割分担意識等が男女共同参画社会の実現を妨げていることを考えますと、国民一人一人にこの問題について理解を求め、各自の取り組みを促していかなければなりません。
 男女共同参画基本法案は、男女共同参画社会の形成に関する基本的理念とこれに基づく基本的な施策の枠組みを国民的合意のもとに定めることにより、社会のあらゆる分野において国、地方公共団体及び国民の取り組みが総合的に推進されることを目的としています。この法律案は、男女の人権が尊重され、豊かで活力ある社会を実現し、女性も男性もみずからの個性を発揮しながら、生き生きと充実した生活を送ることができることを目指すものであり、二十一世紀の日本社会を決定する大きなかぎとなる意義を持つものと考えています。
 次に、本法案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、男女共同参画社会の形成に関する基本理念として、男女が性別による差別的取り扱いを受けないこと等の男女の人権の尊重、社会における制度または慣行についての配慮、政策等の立案及び決定への共同参画、家庭生活における活動と他の活動との両立、国際的協調という五つの理念を定めるとともに、国、地方公共団体及び国民の男女共同参画社会の形成に係る責務を明らかにしております。
 第二に、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に関し、政府等は基本的な計画を定めて施策の大綱を国民の前に示すこととするとともに、施策の策定等に当たっての配慮、国民の理解を深めるための措置、苦情の処理等、調査研究、国際的協調のための措置、地方公共団体及び民間の団体に対する支援など基本的な施策について規定しております。
 第三に、現在、男女共同参画審議会設置法に基づいて設置されている男女共同参画審議会について、この基本法にその設置根拠を移すことにより、男女共同参画社会の実現に向けた推進体制として明確に位置づけております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。狩野安君。
   〔狩野安君登壇、拍手〕
○狩野安君 私は、自由民主党並びに自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました男女共同参画基本法案に対して、小渕総理大臣及び野中官房長官に質問いたします。
 「元始、女性は太陽であった、真正の人であった。今、女性は月である。」、女性運動家であった平塚らいてう氏がそう例えてうたった宇宙に、昨年秋、日本女性である向井千秋さんが二度目の宇宙旅行を実現しました。向井千秋さんが男性飛行士と肩を並べて仕事に励む姿に、時代の変化を感じ、来るべき二十一世紀の男女共同参画社会の姿を思い描いたのは私だけではないでしょう。
 本法案は、政府の男女共同参画審議会で各界各層の意見を聞き、法案となったもので、関係各位の努力に敬意を表したいと思います。
 「男女共同参画社会」という言葉は、新しい言葉です。昨年十月、総理府は学識者、マスコミ関係者など約二千四百人を対象にした有識者アンケート調査を公表していますが、男女共同参画社会への政府の取り組みについて、言葉を聞いただけの人も含め、七割もの人が知っていると答えています。しかし、地方自治体の首長や行政官など公務員は、九割以上が知っていたと答えているものの、企業経営者や女性有識者は四割前後が知らなかったと答えています。これでは、民間での認知度はまだまだ十分ではないと考えます。
 この男女共同参画社会の理念は、国連が女性の地位向上のために定めた昭和五十年の国際婦人年に端を発し、平成六年に首相を本部長とする男女共同参画推進本部が設置されるなど、時間をかけて議論をされてきたものです。法律の名前にもなっている「男女共同参画社会」という言葉は、まさに私たちがこれから育て上げ、実践していく理念であります。
 そこで、総理にお尋ねいたします。
 男女共同参画社会の理念、意義をどのようにお考えでしょうか。また、法案成立への決意をお伺いいたします。
 法案には、基本理念として、男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取り扱いを受けないことなど、男女の人権が尊重されることを旨とすると、男女の人権の尊重が書かれています。
 言うまでもなく、男女の平等は憲法で保障されており、十四条には法のもとでの平等が、二十四条には家族生活における個人の尊厳と両性の平等が明記され、四月からは改正男女雇用機会均等法が施行されました。そのため、なぜ今基本法が必要なのかとの意見も耳にします。
 しかしながら、本法案は、女性への差別をなくすことに加えて、男性と女性がお互いを個人として尊重し、能力を認め合い、暮らしやすい社会を私たち自身がつくっていく大きな役割があると考えます。厳しい少子高齢化社会の到来の中で、男女が助け合う共同参画社会を形成していかなければ、二十一世紀の我が国に発展はなく、真の成熟した民主主義社会が実現されません。このような基本的視点に立てば、「男女共同参画基本法案」という名称はその趣旨からいっても最もふさわしいと思います。
 ともすると、男女共同参画基本法案というと女性のための法律のように受けとめられがちですが、私はこの法律は男性にとっても大切であると考えています。官房長官はどのように受けとめておられるのか、お尋ねいたします。
 男女共同参画推進本部では、平成八年に国の審議会における女性委員の登用促進が決定されていますが、審議会は各省庁にまたがっており、この例一つとってもその実現のためには各省庁が連携して取り組んでいく必要があります。
 また、地方分権が課題となっている今、この法案の理念を実現していくためには、国だけでなく地方の自主性も尊重しながら地方自治体における施策の実施を進めていく必要があります。官房長官は地方での経験もお持ちで、長い間女性に関する施策に御尽力されてきており、本当にこの法案の成立を熱望されていると伺っています。
 そこで、この法案に基づき、地方も含めてどのような施策を講じ、男女共同参画社会の実現を図っていくのか、男女共同参画担当大臣である官房長官にその基本的な方針をお伺いいたします。
 また、法案には基本理念として、家庭生活における活動と他の活動との両立が掲げられております。現在、少子高齢化社会への対応が大きな課題になっていますが、子供を産み育てることは女性にとっては大変な仕事であるのが現実です。社会的にその大変な仕事を軽減する措置を講ずることは、女性の社会参加を促進し、同時に少子化に対処することにもなり得ます。
 総理は、今通常国会の施政方針演説において、少子化への対応を考える有識者会議から、家庭や子育てに夢を持てる環境整備は社会全体で取り組む課題であるとの提言を受け、適切に対応すべく国民会議を設け、国民的広がりのある取り組みを全力で進めていく決意を表明されました。男女共同参画基本法案はその取り組みの大きな推進力になると確信するとも言われておりましたが、私も同様に確信しております。
 また、男女共同参画社会については、国内的視点からだけでなく国際的視点からも取り組んでいかなければならないと考えています。法案の第七条においても基本理念として国際的協調がうたわれています。これまで女子差別撤廃条約の批准、平成七年の北京における第四回世界女性会議など、その取り組みが進んできました。
 そして、西暦二〇〇〇年の節目に当たる来年六月には、ニューヨークの国連で女性二〇〇〇年会議が予定されております。そこで、現在、会議に向けた国内の取り組み体制はどのようになっているのか、官房長官にお尋ねいたします。
 この基本法を真に実効あるものにしていくためには、それを動かしていく体制づくりが重要です。今後、中央省庁等の改革において男女共同参画会議の設置、また、総理御自身の決断により担当局を設置することが決まっていますが、実際どのように体制強化を図っていかれるのか、最後に総理のお考えを伺います。
 この基本法案が二十一世紀の指針となることによって、すばらしい世界が築かれていくことを確信しております。私自身も男女共同参画社会の実現に向けて研さんし努力していくことをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 狩野安議員にお答え申し上げます。
 お尋ねの男女共同参画社会の理念、意義についてでございますが、女性と男性が対等なパートナーとしてさまざまな分野に参画し、喜びも責任も分かち合える社会であると考えております。
 なお、このたびの道府県議会議員選挙では、女性の当選者が前回の七十九名から百三十六名に大幅にふえまして、また、従来女性議員のいなかったすべての県で新たに女性議員が誕生いたしたところであり、二十一世紀に向けて、社会のあらゆる分野に女性の参画を促し、豊かで活力ある社会を築くためにも、本法案の成立は極めて重要であると考えます。
 体制強化に関するお尋ねでありますが、中央省庁等改革基本法におきまして、現在の審議会に新たな任務を付与し、その機能を強化した合議制の機関として内閣府に男女共同参画会議を置くことといたしております。また、男女共同参画の重要性にかんがみ、新たにその担当局を設けることを私みずから決断したところであり、現在、局にふさわしい強力な推進体制を整えるべく、鋭意検討いたしておるところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

   〔国務大臣野中広務君登壇、拍手〕
○国務大臣(野中広務君) 狩野議員の私に対する質問についてお答えをいたします。
 本法案が男性にとっても大切な法案であるという議員の御意見は、全くそのとおりであると私も思っております。男女を問わず、個人がその能力と個性を十分に発揮できる男女共同参画社会づくりを通じて、自分らしく生きることの大切さや豊かな人生とは何かということが改めて認識されることになるものと考えております。
 男女共同参画社会の実現についてのお尋ねでございますが、本法案では、基本理念を定め、国の責務及び地方の自主性を尊重した地方公共団体の責務を明らかにしますとともに、国及び地方公共団体の基本的な計画の策定等、施策の基本となる事項を定めることにより、我が国全体として男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することといたしております。
 次に、女性二〇〇〇年会議に関するお尋ねでございますが、その準備の過程において広く民間団体等との連携を図るため、女性二〇〇〇年会議日本国内委員会の開催について昨年十二月に決定をいたしまして、既に第一回会議を開催したところであります。
 今後も、関連する国際会議についての情報提供など、民間団体等との連携を図りながら着実に準備を進めてまいる所存であります。(拍手)