第141回国会 行財政改革・税制等に関する特別委員会 質疑1

平成9年11月18日(火)10:00開会


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  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                片山虎之助君
                高木 正明君
                野間  赳君
                三浦 一水君
                荒木 清寛君
                広中和歌子君
                伊藤 基隆君
                赤桐  操君
                笠井  亮君
    委 員
                        狩野  安君
                鹿熊 安正君
                金田 勝年君
                亀谷 博昭君
                沓掛 哲男君
                斎藤 文夫君
                清水嘉与子君
                田村 公平君
                常田 享詳君
                長尾 立子君
                野村 五男君
                林  芳正君
                保坂 三蔵君
                宮澤  弘君
                泉  信也君
                今泉  昭君
                岩瀬 良三君
                小林  元君
                菅川 健二君
                高橋 令則君
                寺澤 芳男君
                吉田 之久君
                和田 洋子君
                小島 慶三君
                齋藤  勁君
                峰崎 直樹君
                田  英夫君
                橋本  敦君
                吉川 春子君
                江本 孟紀君
                山口 哲夫君
   政府委員
       大蔵省主計局次
       長        藤井 秀人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 久雄君
   参考人
       慶應義塾大学経
       済学部教授    島田 晴雄君
       立教大学法学部
       教授       新藤 宗幸君
       元野村総合研究
       所副社長     上條 俊昭君
       中央大学法学部
       教授       貝塚 啓明君
       東京国際大学経
       済学部教授    田尻 嗣夫君
       全国保険医団体
       連合会副会長   鮫島 千秋君
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  本日の会議に付した案件
○財政構造改革の推進に関する特別措置法案(内
 閣提出、衆議院送付)
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○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を開会いたします。
 財政構造改革の推進に関する特別措置法案を議題といたします。
 本日は、本法律案の審査に関し、参考人の方々から御意見を承ることとしております。
 参考人の皆様に二言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆様の忌憚のない御意見を承り、本法律案審査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
〜中略〜
○狩野安君 自由民主党の狩野安でございます。参考人の先生方、よろしくお願いいたします。
 私は参議院議員ではありますけれども、主婦でもございます。そういう意味で私は主婦として質問をさせていただきますので、私以上の年齢の方にもわかるような形で、わかりやすい言葉でぜひお答えをいただきたいと思います。さきの委員会の中でも、何人かの議員の方々がわかりやすい言葉で、そしてある先生は何かNHKの「こどもニュース」のような、あんなふうにわかりやすい説明の仕方をしてくれというようなことの注文もされておりますけれども、そういう意味でも主婦からの質問だということでわかりやすくお聞かせをいただきたいと思います。
 まず、島田参考人にお聞きしたいと思いますけれども、私は、時間が二十五分という大変限られた時間ですので、簡単な質問の仕方で大体六つぐらい質問させていただきます。
 私、地元へ帰りますと、私の仲間、主婦の皆さんから、国会は何をやっているの、いろんな改革も必要だけれども今すごい不景気なんだ、早く景気対策を何とかしてもらえないだろうかということをよく言われます。財政構造改革というのもそもそも私たち主婦にはわからない言葉でございまして、どうして景気対策より先に財政構造改革というものをしなければならないのかということをぜひ御説明をいただきたいと思います。

○参考人(島田晴雄君) ありがとうございます。
 財政構造改革と景気対策ですが、私はこれは本来矛盾しないものだというふうに思います。今どちらが先とおっしゃいましたが、同時に進めなきゃいけないということだと思うんです。
 財政構造改革、なぜこんなことをやらなきゃいけないのかということですが、わかりやすく申し上げたいと思いますけれども、今の中央、地方の累積赤字というのは、国民一人当たりに引き直してみますと一人四百万ぐらい、赤ちゃんも含めてですね。ですから、我々の知らないうちに普通の家族だと千六百万円も赤字を積んで、これは当然我々の現世代のうちに処理をしないと次の世代がとんでもない負担を負うことになる。我々が子供たちを愛するか、日本の将来に責任を持つかという問題なんです。ですから、これはどんなことがあっても総力を尽くしてみんなで頑張らなきゃいかぬということだと思います。これまでのやり方を変えていくということだと思うんですね。
 しかし、同時に景気対策というのは物すごく重要な問題でございます。私が先ほど申し上げたのは、一つは構造改革、構造改革という言葉はちょっと子供ニュースには似つかわしくないかもしれませんが、要するに元気のよい、先を見て頑張っている企業や人々が力いっぱい活動できる場面をつくるということです。これまでの日本というのは、先ほど新藤先生もおっしゃいましたけれどもいろんな既得権があって、努力する能力のある人が自由に大活躍できる形に必ずしもなっていないものですから、そこのところを規制緩和して構造改革をやっていくということです。
 景気が非常に悪いというのはどこが悪いかというと、御案内のように金融とか不動産とか建設とか、ここら辺がとりわけ悪いわけで、製造業、物づくりをやっている方々はそこそこ頑張っているんです。投資も伸びていますし、生産も鈍くはなってはいますが伸びています。しかし、この力のある製造業の方が、今の日本を放置しておりますと、余りコストが高いものですから外へ出ちゃう。せっかく金の卵があっても外へ出ちゃう。この方々が外へ出ないで日本で活躍をしていただくということをする必要があるので、私はさっき申し上げましたように、景気対策として今一番本当に役に立つのは法人税の改革をやるということを明確に言うことだろうと思うんです。
 さっき私が申し上げた地方法人課税の改革というのは、少なくとも一年ぐらい必死の議論が必要だと思うんですね、制度改革ですから。しかし、その基本方向、やるんだということを今度の税制改正、来年度の税制改正というのはもうあと一、二週間で発表されるはずですけれども、そこへ書き込んでしまう。となると、先ほど上條先生がおっしゃられたように株価が多分これを好感して相当反応すると思います。そして一、二年後にはそれを目標にして投資活動が行われるということが起きると思うんですね。そういうことは構造改革法案と同時に総力を挙げて今やるべきだ、どっちが先ということではないんだと思います。
○狩野安君 多分わかったと、私はそう思いますけれども、このいわゆる借金がというか、債務と
かいろんなものが大変赤字になっているということを言われておりますが、私たちの想像ができない四百七十六兆円とかいろんな金額が出ているわけですね。それの原因が何だったのか、その原因を究明しないで、分析しないで財政構造改革というのはできないんじゃないかと思いますけれども、その点ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

○参考人(島田晴雄君) 原因は、これは過去から累積してきたものなのでございますけれども、過去を振り返ると大きく分けて二つの原因があり、その原因の中に一つの大きな仕組み上の問題があるというふうに思います。
 過去を分けて二つの原因は何かというと、最も直近の原因はこの数年間、つまりバブルが崩壊した後の大変苦しい日本経済の状況の中で、これはもう国民総出で政府に経済対策をしろ経済対策をしろと言ったわけです。ですから、宮澤先生が総理をなさっていたときからずっと六回にわたって超大型経済対策を打って、その総額は六十六兆円にも及んだわけです。同時に、景気が悪いですから税収がうんと落ち込んでおりますので、税収の落ち込みと政府の特別な支出でもって恐らく百兆円を超える累積赤字がこの数年間で積み上がってしまったということがあろうと思います。これが直近の原因でございます。
 そして、もう少し前の原因を考えますと、実は日本経済が高度成長時代が終わって成熟段階に入ってからじわじわじわじわと大きな政府に向かって日本が進んできたんです。一つは、これは避けがたいことなんですが、高齢化が進みますから社会保障費その他がふえてくる。これはもうしょうがないことですが、実はこの中にもメスを入れる必要があるんですけれども、ふえてきた。
 それからもう一つは、経済構造が変わりまして大規模な投資をする製造業中心の経済からサービス化ということになってきますと、民間の投資が経済を引っ張らないものですから、私どもが頑張ればよかったんですけれども、やはりそれは政府に期待をするということで公共投資をどんどんふやしてそれで埋めていったという成熟化経済の問題がございます。これが長期の問題で、そして直近の数年間の問題は、人々は不況になったから国民総出で、政府よもっと経済対策を打てと言ったわけですね。
 諸外国はどういうことをしていたかというと、日本は高度成長のまだ余韻があったものですからそういうことをやれると国民が思っていたと思うんですが、諸外国は逆さに振ってもできない状態になっていたものですから、もうできません、構造改革しかありませんと。日本がやったこういうのをケインズ政策と言うんです。つまり、景気が悪いから政府が支出をする、そうすれば経済はよくなろうというのがケインズ政策なんですが、日本だけ世界の中で一周二周おくれのケインズ政策を六回も繰り返してしまったんです。それが最近の問題でございます。
 しかし、この成熟化経済の中に含まれている仕組みの問題、それがこのケインズ政策をさらに要請したという構造の問題がございます。これは先ほど新藤先生がおっしゃった問題なんですけれども、二言目には公共投資に頼りたいという政治構造があり、地方の財政支出構造があるんです。これは、地方が直接支出をしているので地方が問題といえば問題なんですが、しかし地方にそうさせているのは日本の中央の制度なんですね。この問題、また後ほど機会があればお話し申し上げたいと思いますが、そういう仕組みをはらんだまま国民総出で政府よ支出をせよとやったものですから財政赤字になった。この考え方、原因が明らかでございます。
 ですから、成熟社会にどう取り組むのか、改革というのはケインズ政策に頼むだけでいいのかという問題、それから全国各地で公的予算の使い方というのは本当にこれでいいのかという問題、これらの問題にメスを入れる必要があろうかと思います。
○狩野安君 原因ということで一つ島田先生お忘れになっていることがあると私は思うんですけれども、それは何かといいますと、これは本当の私見でございますが、今までの政治への参加の中で、女性は家計簿というものを握っていますので、もっともっと女性が政治家になっていたら経済的な面でこういう原因もつくらなかったんじゃというような気もいたしております。ですから、私はこれから女性の声というものをもっともっと大事にしていくべきだというふうに思っておりますし、女性は本当に家計簿を毎日つけていますので、そういう意味でお金の使い方は男性よりももっと上手にできるんじゃないか、それも一つの原因にはなっているんじゃないかなというふうに考えております。
 それから、先ほど先生は法人税の引き下げということをお話しになりました。そして地方の財政も見直すべきだということになっておりました。そしてまたこの法律も地方の方も国と一緒に見直すということになっておりますが、これはどういうふうに地方の財政と国の財政というものの改革に取り組むようになっているのか。
 それから、私もよく経営しているお友だちに言われるんです。赤字経営の会社にも税金をぜひかけた方がいいんじゃないかということを奮われております。その辺もちょっとお話を聞かせていただきたいと思います。

○参考人(島田晴雄君) ありがとうございます。
 冒頭に女性のポイントをおっしゃられたのは大変重要なことだと思います。
 私、今まで申し上げたことは、男女共同社会の中で行われてきたことだと思いますので、女性の役割を過小評価していたつもりは全くないんですが、しかし、男女平等というだけじゃなくて、あえて女性の役割をもっと重視すべきではないかということについて実は私もぜひ申し上げたいのは、やっぱり女性の方が家庭を持ち、仕事をするというのが必ずしも容易でない、そういう社会構造、経済構造、企業の仕組みになっているということです。
 先ほど上條先生が人口が減っていくということは非常に憂慮される問題だとおっしゃったわけですけれども、今日、女性の方が学校を出ると仕事をするというのは当たり前になっている。しかし、そこで家庭も持って、子供もつくって、みんなで一緒にやれるということになっているかどうかというと必ずしもなっていないですね。もうスーパーウーマンでなければそれは難しい。
 こういうのは異常な状態でございまして、ぜひ将来この仕組みを変えるということを本当は長期計画としてやらなきゃいけないんで、橋本総理が六大改革とおっしゃっている中に何でその問題が入っていないのかということは非常に重大な問題でございます。狩野先生、今度総理に、七大改革にしなさいということをぜひ強く、これは長期の本当に重要な問題、働く女性が結婚して、子供を安心して持てる社会全体の仕組みをつくる、七大改革の一番重要なのはそこだとおっしゃっていただきたいと思います。
 それを申し上げた上で本題に入りたいと思いますが、今この国と同じキャップを地方にもかけて財政支出削減に努めていただきたいということと、それから補助金も一〇%ぐらい減らすんだという個別のキャップを今回の改革法案の中でうたっておるわけで、精いっぱいの努力だろうと思います。まだまだもっとその中身に入って議論しなきゃならないところは多々あると思いますので、その中身にぜひ私は入らせていただきたいと思うんです。
 仮に、そのような補助金を削減しますよというトータルのキャップをかける、数量目標をかける、あるいは公共投資は全体として前年よりふえないようにしてください、あるいは減らしましょうということをかけたら、本当にそういうものが減っていくのかどうかということについて、私はややそれだけじゃ足りないんじゃないかと思うんです。つまり、仕組みの問題に取り組まなきゃいけない。
 どういうことかというと、今日、国民は国税と
地方税を納めております。国税が七と言われ地方税が三と言われていますが、国は七の地方税を取った中でそのうちの四を地方にまた戻すというか、交付税と補助金の形で戻しているわけですね。特に補助金で戻したときには、どういうふうに使うんだということを非常に細かく地方に指定をするものですから、国家機関委任事務のような形でやるものですから、地方は実は創意工夫の余地がほとんど残されていない。したがって、ついに地方は余り逆らわずに言うことを聞いておった方がいいということになって私は思考を停止してしまうんだと思います。せっかく優秀な地方の方がおられるのに、余り中央が過保護が過ぎるやり方をするものですから思考を停止する。
 そして、仮に地方の自治体の首長が本気になって行政改革をして予算を余したときにどう使えるかということなんです。私は、これの本道は地方税を安くすることじゃないかと思うんです。しかし、地方税は超過税率を取ることはできるけれども安くすることは許されないんですね、事実上は。そして、あえてやると、これは当局の方からそんなことはないと言われるかもしれませんが、あんたのところは税金足りているんだからいいじゃないかということで交付金を減らされるんじゃないかと思うんです。
 そして、地方債を発行するというと、これもまた中央の許可を得なきゃいけない。自分で創意工夫でやるというと、元利償還優遇制度で面倒見ませんよと言われる。これだけのいじめが入れば、地方はもう考えないで中央のおっしゃるとおりにして、あとは補助金を下さい下さいと言っているのがいいに決まっているわけですね。ちょっとわかりやすい言葉で申し上げていますが、誤解を呼ぶこともあろうかと思いますがあえて承知で申し上げております。
 そうすると、地方は思考をとめて中央依存という形になる。そして、どんどん補助金をいただいて、どんどんいろいろなものをつくれば選挙に受かる、こういう仕組みになっているわけです。この形を変えませんと本当に財政改革はできない。
 つまり、財政改革法というのは水道の蛇口を一応とめようということになっているんですね。だから、次々ととめております。しかし、地下に入っている水道の栓のところが、全国三千三百の自治体、四十七都道府県、これの水道管に全部穴があいています。だから、じゅくじゅく出ちゃうわけですね、蛇口をとめても。そういう事態が起きてくるんだろうと思うんです。ですから、これを本当に改革するには、地方自治体がみずからの創意工夫と自己責任において自分が行政改革をした方が自分のためにもなり、住民、県民、市民のためになるんだ、こういうメカニズムを構築しなきゃいけない。
 それじゃ、どういうふうにすればいいか。三点セットを私は申し上げているんですが、一つは思い切って本当に地方自治体に課税自主権を渡したらどうか。税率を下げてもいい。行革をしたところで予算が余ったら税率を下げて、そして何々県は日本で一番税率の安い県だということになったらお金持ちも企業も集まりますから、そういうメカニズムをつくってあげたらいいじゃないか。
 もう一つは、財政自主権でございます。地方債を発行したかったらどんどん発行したらいいじゃないか。ただ、日本の地方債というのは非常に奇妙な仕掛けになっておりまして、発行はするんですけれども、実は大部分の地方自治体が自力で最後まで返し切る力がない、あるいは意欲もないのかと言っては失礼ですが、そんな感じがある。そこで、中央に依存して財政投融資その他の、あるいは交付金で面倒を見てもらいながらそれを最後に賄うという形になっています。そうしますと、それを担当している中央省庁は、特に自治省でございますけれども、これは、地方債というのはそういうことだから全国一律の利率だということになる。
 こんなばかなことはないわけですよ。債券を発行するわけですから、頑張っている自治体と頑張っていない自治体との間には当然差があってしかるべきだ。私は教師だからそれよくわかるんですけれども、学生さんがいて、頑張っている学生さんとだめな学生さんに期末テストで同じ点数をつけたらどういうことになりますか。そんな学校は滅びちゃいます。しかし、日本はそれをやっているわけですよ。
 つまり、地方はそれを払う能力がないから、国が面倒を見るんだから同じ利率でいいじゃないか。これじゃ資本市場は全く無視されているわけです。だから、努力しようといったって努力しがいかない。ですから、みんな思考を停止して中央に依存する。これが財政を膨らませる根本原因の仕組みでございます。
 ですから、これを変えるにはどうしたらいいか。自己責任で財政自主権を渡すということです。ただ、課税自主権を渡して、財政自主権を渡すというのは本当の地方分権でございますけれども、果たして地方の方々がそれだけで立派な地方行政をなさるかというと疑問もあります。
 ですから、これはあめだけじゃなくてむちも必要で、それで失敗をなさったところは破産させた方がいい。私はぜひ地方破産制度というのをつくっていただきたいと思うんです。そして、そういう自治体の議会や首長を選んだ住民もみずから責任を負って財政再建をするんです。できなければ地方の合併をしたらいいんですよ。隣の自治体が吸収すればいいんです。そうすれば、合併はしたい人がしてくださいなんて言ったって日本じゅうやりはしませんのですからね。破産したところが吸収されればいい。そういう形でやっていくというような、これはまだまだラフな議論ですけれども、ぜひ先生方、考えてやっていただきたい。
 私は日本民族というのは聡明な民族だと思うんです。余り過保護がひどいから地方の方は思考をとめているんであって、本当に責任を持たせて、失敗したら破産させるんだぞという状況の中で自由を与えれば、これは創意工夫でもって頑張ると思う。そうすると、地下に眠っている水道管の穴がふさがってきて、蛇口を閉めたらちゃんと効果が出てくる、こういうことでございます。そういうことをぜひやっていただきたい。
 法人税の話ですけれども、法人税は上條先生が詳しくおっしゃられたわけですが、はっきり言って日本の法人税の仕組みは正直者が損をするという仕掛けになっております。利益を出しているところが法人事業税を払う、あるいは住民税の法人税割を。
 私はこういう言い方をすると問題かもしれませんが、あえて言わせていただきますけれども、日本の法人税は、地方自治体は選挙権のある個人の方には余り税を取るということを強くおっしゃらない、選挙権のない法人から、取りやすいところから取るというのがあると思うんです。例えば、粗大ごみ回収の実費を取っている地方自治体がどのぐらいあるかということです。かなり少ないんです。
 ですから、外形標準課税を導入しますと、企業は赤字が出ても出なくても、地方で水道を使い、土地を使い、ごみを出して、地方公共サービスを要求しているわけですから、当然、外形標準課税というのを払う必要がある。これは赤字の問題とは関係ありません。そうすると、努力する者が得をする、こういう仕組みになる。これも地方行政を責任ある地方自治に持っていく根本的なことだと思うんです。それを含めてぜひシステム改革をお願いしたいというふうに思います。
○狩野安君 とてもわかりやすく説明していただいて、ありがとうございました。地方分権の時代が来ていますので、大変大事なお言葉だというふうに考えております。
 もう時間も少なくなってきましたけれども、もう既に先生はごらんになっておわかりだと思いますが、自民党が出した緊急経済対策、この中で民間導入、PFI、こんな言葉を使われるとまた私たちは大変わからないんですけれども、社会資本整備について先生はどういうふうにお考えになられますか、お聞かせいただきたいと思います。

○参考人(島田晴雄君) 私も確かに最近、政府の文書の中に外国語が多過ぎると思います。PFIなんて一体だれがわかるかと思います。もう少しちゃんとわかりやすい言葉を使っていただきたいと思うんですが、これは要するに民間資金も合わせて、場合によると財投資金も含めて、社会資本を整備するための仕組みだというふうに言われておりますが、それはぜひやっていいことではないかと思います。
 ただそのときに、先ほど新藤先生も言われたことですが、財投資金というのが今までのような形で使われるというのは私は異論がございます。財投というのは、実は民間が担えない長期の公共プロジェクトを実現していくという意味では歴史的には大きな役割を果たしたものなんですが、やはりもっとスリムに、もっと市場の声を聞いて、本当に意味のあるプロジェクトはやるけれども意味のないプロジェクトはやらないんだということを選別するようなメカニズムを中へ持ち込まないといけないんですね。
 私は、財投機関債ということが改革として重要だということが言われておりますけれども、ぜひそれを進めるべきだと。つまり、財投機関債というのは、財投を使って事業をする団体が市場に債券を出して、これを使ってやるんですがいいですかと市場に聞く、市場がそんなものは将来性がないからだめだよと言ったら、ポシャったらいいわけですね。それでもやりなさいと言うものはやる。
 しかし、市場が評価しないけれども国として絶対にやらなきゃいけないものというものがあるんです。これはもう税金で我々は負担すべきなんですね。何の事業はやるべきだ、何の事業はやめておいた方がいいんだ、何の事業はむだ遣いだからなくせ、こういうことが国民にわからないんです、今の財投の仕組みというのは複雑過ぎて。ですから、市場を参加させる、国民を参加させる、そういう中でPFIをやるということであれば私は大賛成でございます。
○狩野安君 もう残りがあと二分なんですけれども、先生は税の専門でいろいろ研究をなさっておられますので、私は相続税で大変苦労いたしましたものですから、相続税の問題をもう一言、ちょっと聞かせていただければ大変幸いに思います。
○参考人(島田晴雄君) 先生がどういう意味で苦労をなさったのか私もよくわからないんですけれども、私はある意味では相続税で苦労してみたいななんて思ったりもするんです。
 日本で相続税が高過ぎるという議論があるんですが、中小企業を承継していく上で、せっかくいい技術を持って皆さん頑張っているのにうまく継げないというのは問題があります。ただ、朝からゴルフをしている人たちが相続税を軽減されたというのは、私はこれはあってはならないことだと思うので、非常に微妙なところがございます。
 またこれは別に、場面を改めてぜひひとつお教えいただきたいというふうに思います。
○狩野安君 終わります。
 ありがとうございました。(拍手)