第140回国会 内閣委員会 質疑4

平成9年3月17日(月) 10:00開会

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  出席者は左のとおり。
    委員長        鎌田 要人君
    理 事
                板垣  正君
                鈴木 貞敏君
                鈴木 正孝君
                清水 澄子君
    委 員
                海老原義彦君
                大野つや子君
                狩野  安君
                村上 正邦君
                矢野 哲朗君
                依田 智治君
                大久保直彦君
                永野 茂門君
                山崎  力君
                角田 義一君
                齋藤  勁君
                笠井  亮君
                聴濤  弘君
                北澤 俊美君
   衆議院議員
        内閣委員長   伊藤 忠治君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 梶山 静六君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  武藤 嘉文君
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房人事課長   安富 正文君
       内閣審議官    及川 耕造君
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        平林  博君
       内閣法制局第二
       部長       宮崎 礼壹君
       人事院総裁    弥富啓之助君
       人事院事務総局
       給与局長     武政 和夫君
       人事院事務総局
       職員局長     佐藤  信君
       内閣総理大臣官
       房審議官
       兼内閣審議官   安藤 昌弘君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    榊   誠君
       総務庁長官官房
       審議官      大坪 正彦君
       総務庁人事局長  菊池 光興君
       総務庁行政監察
       局長       土屋  勲君
       総務庁恩給局長  桑原  博君
       総務庁統計局長  伊藤 彰彦君
       防衛施設庁長官  諸冨 増夫君
       防衛施設庁総務
       部長       伊藤 康成君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 久雄君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房男女共同参画
       室長       名取はにわ君
       経済企画庁国民
       生活局国民生活
       政策課長     薦田 隆成君
       経済企画庁経済
       研究所国民経済
       計算部長     根本  博君
       大蔵省銀行局総
       務課金融市場室
       長        藤塚  明君
       厚生省社会・援
       護局業務第一課
       長        竹之下和雄君
       農林水産省経済
       局農業協同組合
       課長       高橋 賢二君
       郵政省貯金局経
       営企画課長    藤岡 道博君
       労働省労働基準
       局賃金時間部労
       働時間課長    松井 一實君
       労働省婦人局婦
       人労働課長    草野 隆彦君
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  本日の会議に付した案件
○国家公務員法の一部を改正する法律案(衆議院
 提出)
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○男女共同参画審議会設置法案(内閣提出、衆議
 院送付)
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○狩野安君 もう二十一世紀は目の前に来ておりますけれども、名実ともに男女共同参画社会が私はできてくると思います。それにいたしましては少し遅過ぎた感はございますけれども、こういう男女共同参画審議会が法案化されるということに心から敬意を表し、御苦労に感謝を申し上げたいと思います。
 この中で売春対策審議会が廃止になっているわけでございますけれども、これはどういう理由で廃止になったのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

○政府委員(安藤昌弘君) 今回、売春対策審議会を廃止いたしまして新しい審議会の中で統合して進めていきたい、こういう基本的な考え方でございますが、これは昨年七月の男女共同参画審議会の答申であります男女共同参画ビジョンにおきまして、「売買春に関する諸問題を、女性の人権の保障、男女共同参画社会の実現という新たな観点に立って検討するため、当審議会と売春対策審議会の関係の在り方を含め、これらの問題を審議する体制の見直しを進めるべきである。」という提言をいただきました。また、八月には売春対策審議会からも、こういう体制の見直しを図りまして、幅広い視野に立った審議を行う場を設置すべきであるという御意見を承っているところでございます。
 これらの意見を踏まえまして、今回、現在の売春対策審議会を発展的に統合して、従来の専門的な知識経験に基づく調査審議に加えまして、男女共同参画社会の実現という幅広い視野に立った審議を行えるようにということでこのようにしたところでございます。
○狩野安君 売春対策審議会の今までの活動状況とかそういうことをちょっと知らせていただきたいと思います。
○政府委員(安藤昌弘君) 売春対策審議会につきましては、昭和三十一年に総理府に設置されて以来、売春対策に関する重要事項について調査審議を行いまして、内閣総理大臣等に対して各種の建議、要望等を提出してきたところでございます。
 最近におきますれば、平成六年七月にエイズに係る対策を中心とした売春防止対策について、また昨年八月には、ただいま申し上げましたように、今後の売春対策を審議するための体制の見直しについてそれぞれ内閣総理大臣に対して要望を提出しているところでございます。
○狩野安君 売春対策といいますと何となくもう過去の問題のような気がするわけで、廃止しても当然かなというような気もいたしますけれども、今大変社会問題になっております援助交際とか、いろんな形で売春が行われているわけですから、これはもう大変な重大な問題だと思います。
 その中で、この審議会の法案の中にこれに対しての明文化がなされていません。これは明文化することは難しいと思いますが、この男女共同参画審議会の中で大きな役割を果たしていただきたいというふうに思っておりますけれども、その辺のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○政府委員(安藤昌弘君) お答え申し上げます。
 ただいま申し上げましたようなことで、新たな審議会におきましても売買春の問題というのは調査審議事項の柱の一つになろうかというふうに考えておるところでございます。したがいまして、審議会におきましては必要に応じ部会を設置することができることとしたいというふうに考えておりまして、この問題を専門的に御議論いただくための部会が設置されることを期待しておるところでございます。
○狩野安君 ぜひこれは積極的な姿勢で取り組んでいただきたいというふうに心からお願い申し上げます。
 話は変わりますけれども、今コピー人間もつくれるというクローン技術が世界じゅうの話題を集めておりますけれども、受精の必要がないから男性不要の社会というようなことも実現してくるような気もいたします。結婚はしたくないが自分の分身は欲しいという日本の女性も大変ふえております。こういう気持ちになったのは男性社会が長かった結果だというふうに思っておりますけれども、こういうことは命の尊厳に対する大変な冒涜だというふうに考えておりますし、男女共同参画社会じゃなくてコピー人間との共同参画社会が生まれる可能性もできてくるわけです。
 これはもう笑い話でもないし、ブラックユーモアでもないし、夢の話でもSFの世界でもないという感じでありますけれども、このような研究に対しまして、私は一日も早く哲学、それから倫理とか政治、経済、社会、広く論議を深めて倫理法を制定すべきだというふうに考えております。
 科学の発達というか、研究の進歩というのは著しいものがありますので、あっという間にこういうおかしな社会ができてくるというふうに思っております。私としては科学者のロボットにはなりたくないというふうに考えております。
 その辺のことについて、倫理法の制定をすべきだというふうに考えておりますけれども、御意見をお聞かせいただきたいと思います。もしできましたら官房長官にお願いしたいと思います。

○国務大臣(梶山静六君) 私は余り科学的な人間じゃございませんので、クローン羊というかこういう技術、何か人間社会がそういうことを行っているという実感をまだ持っておりません。
 ただ、怖いことには、こういうものが場合によっては産業技術あるいは生命科学その他である意味で利便というかメリットがあるというようなことになりますと、我々の持っている倫理観を乗り越えるスピードよりはるかに速いスピードでそういうものがこの人間社会に充満すること、あるいは部分的にでも先行すること、これは人間社会の崩壊につながるというか、生命の尊厳というものを台なしにしてしまう大変なことでございますので、私はこの問題に関しては中立的な見方というよりも、むしろ極端なことを言うと禁止的な見方でこの問題には対応してまいりたい、これを自分自身の基本的な考え方としておりますが、まだ各般の意見を聞いておりません。
 どういう意見があってどういう利便性があってどういうあれなのか知りませんが、一つ間違ってクローン人間によって自然の人間が崩壊するということが夢物語でない時代が生まれないという保証はないわけでありますので、お互いにこれは念には念を入れるというよりも、むしろ逆にこの問題には禁止的な感覚で対応してまいることが大切ではないか、こう考えます。
○狩野安君 ぜひひとつ真剣に議論をしていただきたいというふうに思っております。
 次に、北京での女性会議のときに出た話題でございますけれども、アンペイドワークということが議論されております。また、日本でもこのことについていろんな形で取り組みをしているわけですけれども、総務庁もアンペイドワークについて調査を行ったということを聞いております。どんな調査を行ったのか、またどうなったかをお聞きしたいと思います。

○政府委員(伊藤彰彦君) 私ども統計局ではアンペイドワークの把握を主たる目的とした調査は行っておりません。しかし、国民生活の実態を明らかにするものとしまして社会生活基本調査、こういうものをやっております。
 この社会生活基本調査は昭和五十一年に始めたものでございまして、従来の統計が明らかにしておりませんでした経済活動以外の国民生活の実態を把握する、こういうことを目的として五年ごとに実施しております。そして、昨年十月に五回目
の調査を実施いたしまして、約九万九千世帯の十歳以上の世帯員二十七万人について行いました。
 この調査では、生活行動を睡眠、食事、仕事、家事、社会的活動など二十区分に分類して、それぞれの区分の行動に費やす時間を調査しております。これによりまして、家事、介護、看護あるいは育児、こういうことなどについても見ることはできるわけでございます。
○狩野安君 経済企画庁の方でもこの研究会をスタートさせたということですけれども、ちょっとそれもお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(根本博君) その目的はいろいろございますけれども、世界的な動きといたしまして、一九九五年に北京で開催された第四回国連世界女性会議で採択されました行動綱領におきまして、家事等の無償労働の価値の数量的評価について研究促進すべきだという点が盛り込まれたわけでございます。また、諸外国におきましても、既に家事等の無償労働を具体的に金額でとらえ、その規模をGDP等の経済データと比較することが実際に試みられております。
 そこで、我が国におきましても、現在把握されていない無償労働も社会を支えているという観点から、無償労働を金額でとらえまして、その規模や動向をGDP等の経済データと比較することが必要と考えております。こうした計算を行うに当たりまして、無償労働の範囲や評価方法について検討する上で、専門家の意見を聴取するという目的のために研究会を設けているところでございます。
○狩野安君 男女共同参画社会にどう生かすおつもりなのか、その辺もお聞きしたいわけですけれども、これが余り男女共同参画社会に行き過ぎて生かされるということも私は大変心配をしております。そして、行き過ぎた場合には味気ない、温かさの感じられない社会になるような気がいたしますので、そういう意味でも留意していただきたいと思いますけれども、一応簡単で結構ですので、男女共同参画社会にどう生かすつもりなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(薦田隆成君) お答え申し上げます。
 平成七年十二月に策定されました政府の経済計画、構造改革のための経済社会計画におきまして、男女一人一人の個性が尊重され、その持てる能力に応じて社会の中でさまざまな役割を有し、意欲的に社会に参加することができる公正な機会の保障された男女共同参画社会を構築する必要があるというふうにされております。
 昨年十二月に男女共同参画社会の形成促進に関する国内行動計画、男女共同参画二〇〇〇年プランが策定されておりまして、その中におきまして、男女共同参画にかかわる情報の収集、整備、提供のための具体的施策の一つとして、アンペイドワークの数量的把握の推進が盛り込まれているところでございます。また、女性がその大部分を担っておりますアンペイドワークにつきまして、数量的には必ずしも十分に把握されておらず、そのことが女性の担う役割への過小評価等につながっているとの指摘もあるわけでございます。
 このような状況も踏まえまして、先ほど御説明申し上げましたように、検討が行われておりますアンペイドワークに関する研究会の研究成果が各種政策において男女共同参画の視点を盛り込む際の参考資料として提供することができればというふうに考えておる次第でございます。
○狩野安君 二十一世紀は確実に男女共同参画社会が訪れてくると思いますけれども、一人一人が妻でもあり母でもあり、ときには職業人でもあり、また一人の女性であるという、大切な自分という意識を男の人も女の人も持つ、それが私は男女共同参画社会だというふうに思っております。そういう意味で、いろんなことを調査されてもそれが行き過ぎにならないようにぜひ注意をしていただきたいと思います。
 官房長官に一言だけ感想などをお聞かせいただければ大変うれしく思っております。

○国務大臣(梶山静六君) 男女共同参画社会というのは、前向きにとらえても、この少子化時代に社会の健全な発展というか円満な発展というか、これを願うためにも、これは打算的に考えても極めて大切だという気がいたします。そして、我々の人間社会はそれぞれの民族あるいは育った場所によって違うかもしれませんが、私個人の狭い社会を考えますと、私たちは今、男女共同参画社会は形成しておりません。
 しかし、男女の平等というより女性の尊厳というか、これはそれぞれの家庭によって若干の差はあるかもしれませんが、日本の社会というのは女性にある意味で優位を、内容的な実質上の優位を与えてきた社会ではないかと思います。名目上というか、男の権威とかなんとかという意味で男が横暴に見える場合もあるかもしれませんが、私個人を考えてみても、母ありて我ありというか、妻ありて我ありという思いで今日まで生きてきているつもりです、それは反省もひっくるめてでありますが。
 そういうことでありますので、この男女共同参画社会という、より充実した、おのおのが特性を発揮できる社会をつくり上げたい、こう考えております。
○狩野安君 ありがとうございました。