第145回国会 予算委員会 質疑3

平成11年2月25日、木曜日、10:00開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長        倉田 寛之君
    理 事
                鴻池 祥肇君
                竹山  裕君
                林  芳正君
                矢野 哲朗君
                今井  澄君
                平田 健二君
                山下 栄一君
                笠井  亮君
                大渕 絹子君
    委 員
                市川 一朗君
                岩井 國臣君
                大野つや子君
                狩野  安君
                金田 勝年君
                岸  宏一君
                斉藤 滋宣君
                常田 享詳君
                長谷川道郎君
                松谷蒼一郎君
                溝手 顕正君
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                若林 正俊君
                海野  徹君
                郡司  彰君
                小宮山洋子君
                内藤 正光君
                広中和歌子君
                福山 哲郎君
                円 より子君
                柳田  稔君
                浜田卓二郎君
                福本 潤一君
                益田 洋介君
                小池  晃君
                小泉 親司君
                須藤美也子君
               日下部禧代子君
                照屋 寛徳君
                入澤  肇君
                月原 茂皓君
                奥村 展三君
                菅川 健二君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小渕 恵三君
       法務大臣     中村正三郎君
       外務大臣     高村 正彦君
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
       文部大臣
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       有馬 朗人君
       厚生大臣     宮下 創平君
       農林水産大臣   中川 昭一君
       通商産業大臣
       労働大臣臨時代
       理        与謝野 馨君
       運輸大臣
       国務大臣
       (北海道開発庁
       長官)      川崎 二郎君
       郵政大臣     野田 聖子君
       建設大臣
       国務大臣
       (国土庁長官)  関谷 勝嗣君
       自治大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    野田  毅君
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       野中 広務君
       国務大臣
       (金融再生委員
       会委員長)    柳沢 伯夫君
       国務大臣
       (総務庁長官)  太田 誠一君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  野呂田芳成君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       堺屋 太一君
       国務大臣
       (環境庁長官)  真鍋 賢二君
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        竹島 一彦君
       内閣官房内閣安
       全保障・危機管
       理室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障・
       危機管理室長   伊藤 康成君
       内閣法制局長官  大森 政輔君
       内閣法制局第一
       部長       秋山  收君
       内閣総理大臣官
       房審議官     佐藤 正紀君
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
       公正取引委員会
       事務総局審査局
       長        平林 英勝君
       警察庁警備局長  金重 凱之君
       金融監督庁長官  日野 正晴君
       総務庁人事局長  中川 良一君
       防衛庁長官官房
       長        守屋 武昌君
       防衛庁防衛局長  佐藤  謙君
       防衛庁運用局長  柳澤 協二君
       防衛庁装備局長  及川 耕造君
       経済企画庁調整
       局長       河出 英治君
       経済企画庁総合
       計画局長     中名生 隆君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       科学技術庁長官
       官房長      興  直孝君
       科学技術庁原子
       力局長      青江  茂君
       環境庁長官官房
       長        太田 義武君
       環境庁企画調整
       局長       岡田 康彦君
       環境庁大気保全
       局長       廣瀬  省君
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務省民事局長  細川  清君
       法務省刑事局長  松尾 邦弘君
       外務大臣官房長  浦部 和好君
       外務省総合外交
       政策局長     加藤 良三君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     上田 秀明君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  竹内 行夫君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省経済協力
       局長       大島 賢三君
       外務省条約局長  東郷 和彦君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     武藤 敏郎君
       大蔵省主計局長  涌井 洋治君
       大蔵省理財局長  中川 雅治君
       大蔵省金融企画
       局長       伏屋 和彦君
       大蔵省国際局長  黒田 東彦君
       文部大臣官房長  小野 元之君
       文部省生涯学習
       局長       富岡 賢治君
       文部省初等中等
       教育局長     辻村 哲夫君
       文部省高等教育
       局長       佐々木正峰君
       文部省体育局長  遠藤 昭雄君
       厚生省生活衛生
       局長       小野 昭雄君
       厚生省医薬安全
       局長       中西 明典君
       農林水産省農産
       園芸局長     樋口 久俊君
       農林水産技術会
       議事務局長    三輪睿太郎君
       林野庁長官    山本  徹君
       水産庁長官    中須 勇雄君
       資源エネルギー
       庁長官      稲川 泰弘君
       中小企業庁長官  鴇田 勝彦君
       海上保安庁長官  楠木 行雄君
       郵政大臣官房長  高田 昭義君
       郵政省郵務局長  濱田 弘二君
       郵政省貯金局長  松井  浩君
       郵政省簡易保険
       局長       足立盛二郎君
       労働大臣官房長  野寺 康幸君
       建設大臣官房長  小野 邦久君
       建設省河川局長  青山 俊樹君
       建設省道路局長  井上 啓一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宍戸  洋君
   参考人
       日本銀行副総裁  藤原 作弥君
       日本開発銀行総
       裁        小粥 正巳君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十一年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十一年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
 議院送付)

    ─────────────
○委員長(倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十一年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行副総裁藤原作弥君及び日本開発銀行総裁小粥正巳君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(倉田寛之君) 平成十一年度一般会計予算、平成十一年度特別会計予算、平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、総括質疑を行います。〜中略〜
○狩野安君 十一年度の政府の予算案の中で女性関連予算案というものは、男女共同参画二〇〇〇年プランの総仕上げということも言われておりますけれども、女性関連予算の中で、総理府、厚生省、そして労働省、文部省、農水省の総額を見てみますと九千八百億七千万、前年に比べると一〇%強の増加となっているわけです。政府の一般会計の予算案の伸び率は五・四%ということを考えてみますと、大変大幅に上回っているということで私は評価をし、そしてまた政府が女性問題にこれだけ取り組んでいるという意気込みも感じております。
 そこで、小渕総理の施政方針演説の中でも、今国会に男女共同参画社会基本法案を提出すると表明されておりますので、私はここで、男性の方はお感じにならないかもしれませんけれども、大変女性の中で関心が高まって、これで男性と同じパートナーとして認められていく世の中が来たんだなということで関心を持ち始めております。
 そういう意味でも、男女共同参画社会についてお尋ねをしたいと思います。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
 男女共同参画社会というのは、人によっては大変難しいわかりにくい言葉だと言われておりまして、男女平等社会ならいいんじゃないかということも言われておりますけれども、なぜ男女共同参画社会という名前になったのかということを担当大臣である野中官房長官にお聞きしたいと思っております。

○国務大臣(野中広務君) この問題につきましては、昨年の十一月四日、男女共同参画審議会の答申におきまして、男女共同参画社会は、男女平等を当然の前提といたしました上で、さらに男女が各人の個性に基づきまして能力を十分に発揮できる機会を保障することを重要な基本理念としておることでございまして、男女が公的な分野、私的な分野を問わずにあらゆる分野におきまして意思決定過程への参加を行い、そして参画が極めて重要であるということ、さらにこの点を強く強調する必要がありますことから、「名称を男女共同参画社会基本法とすることが適当である。」と提言をされたわけでございます。
 政府といたしましては、この答申に基づきまして、今国会に提出する基本法案の名称を男女共同参画社会基本法案とすることといたした次第でございます。
○狩野安君 この男女共同参画社会というのは、男女平等社会というよりももっともっと幅広い意味にとられるということであると思います。私は、これは男女が支え合って豊かな社会をつくるということだと思いますけれども、特に家庭における男女共同参画というのが大事だと思います。
 私も専業主婦を三十年やっておりましたけれども、決して自分の子育てが嫌だとか家事を嫌だとかということじゃありませんけれども、世の中の構造が女がやるのが当たり前だということがとても嫌な感じがしておりましたので、こういう参画基本法ができるということは大変私にとっても喜ばしいこととうれしく思っております。そういう意味でも、家族構成の中で男女が協力するということが大変大事なことだというふうに思っております。
 それで、大変プライベートなことですけれども、小渕総理、大変個人的なことをお伺いいたしますけれども、小渕総理はお子様の母子手帳というのはごらんになったことがありますか。

○国務大臣(小渕恵三君) 子供も大変大きくなりましたので、すなわちその子供が生まれた時期では母親が持っておる母子手帳というのを見た記憶はありますが、それ以降は拝見しておりません。
○狩野安君 私、一般の男性というのはみんなそうだと思いますね。
 それで、文部大臣が、文部省で発行した家庭教育手帳というものを厚生省と共同で赤ちゃんが生まれたときに母子手帳と一緒に渡すという、その手帳を見せていただきましたけれども、大変すばらしい本なんです。これも、せっかく家庭に渡ってもやっぱりお父さんが母子手帳と一緒によく読んでいただかなければならないわけですが、こういう意味でも、心の教育ということもかんがみて、男女共同参画の家庭というものは大変大事だというふうに考えるわけです。
 そこで、現在の我が国の社会において、女性が今まで個性と能力を生かしてさまざまな分野で十分参画していたかどうかということの御認識、野中官房長官にそれをお聞きしたいんですけれども、そして官房長官の家庭のあり方というものをちょっと一言聞かせていただければ大変うれしく思います。

○国務大臣(野中広務君) 男女がそれぞれ性別にかかわらず、その持つそれぞれの能力を十分生かして、そして社会のさまざまな分野に対等に参加をしていくということでございまして、それ自身が未来に向けて豊かな活力になるであろうということを私どもは念じておる次第でございます。
 委員は今自由民主党の女性局長をしていらっしゃいますけれども、私どもが国政に参画をいたしましたときは、今の女性局は婦人局と申しまして男子禁制でございました。たまたま、予算委員長をしておられます倉田予算委員長と、さらに浜田卓二郎議員と私の三名が男子禁制のところに婦人局次長として入れていただいたのが女性問題とのかかわりでございますけれども、その当時を振り返りながら、私どもといたしましては、この法案はとかく何か女性が参加するためにつくられる法案のように解釈されがちでございますけれども、今例を引きましたように、私ども男性も共同に参画させていただくための基本法であるわけでございまして、その点の認識をぜひ私は本法案に当たりましてお願いいたしたいと思うわけでございます。
 ただ、長い選挙を重ねておる私でございますので、家庭におきましては大変迷惑をかけることが多いわけでございまして、それについては私どもとしては十分男女共同参画社会をみずから築いておるとは言えないと思っております。
○狩野安君 私も政治家の妻だった経験がございますし、男女共同参画社会というのは、やっぱり奥様もいろいろな面で協力をされて、そして御活躍をなさっておられるというふうに考えております。
 日本で今、少子化問題が問題にされておりますけれども、日本の中で女性が子供を育てながら働くというのは大変難しい時期に来ておりますけれども、ほかの国々を調べてみますと、なぜか女性が働きやすい国ほど出生率が高いわけです。
 私の長男夫婦も共働きをしておりまして、保育園に預けて二人の子供を育てて、三人目が今おなかにあるわけですけれども、余りに忙し過ぎて母子ともに危ない状態だったときもあるというぐらいに働く女性にとっては大変不親切な日本の国だと思います。
 これからは、何があってもやっぱり女性の労働力が必要な時代になってくるわけですから、男女共同参画社会という中で、女性が働きやすい、そして子供を育てやすい、産みやすい環境づくりをぜひ考えていただきたいということで、そのことに関しまして、官房長官、何かございましたら一言お話を聞かせていただきたいと思います。

○国務大臣(野中広務君) 官房長官といたしまして男女共同参画問題を担当いたしておりますので、今、委員御指摘のように、男女共同参画社会を実現いたしますためには、家庭、さらには職場、地域社会、学校等、あらゆる分野で男女がお互いに責任を担い合い、あるいは協力をしていくことが必要でございます。
 これまでの我が国の社会のあり方を考えますと、必ずしもそういう条件が十分生かされておらなかったということを思いますときに、今回、この男女共同参画社会への形成に向けました基本法が、もちろん個別にいろんなまだ不十分な点はあろうと思います。けれども、いずれにいたしましても、その基本となるべき法案が国会に出ることの運びになりましたことを意義深く感じておる次第でございます。
○狩野安君 中川農林大臣にちょっとお尋ねしたいんですけれども、農山漁村女性が一番望んでいる、大変喜んでいることじゃないかと私は思いますけれども、農水の面でどういうふうに御活躍をなされるか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 農山漁村は非常に女性の労働力の比率が高い地域でございます。あるデータによりますと、農村の労働力の六割は女性だというデータもあります。もちろん、家事、育児等をしながらのことでございますので、農山漁業に携わっている女性の方々は大変御苦労されておる。ですから、それはむしろ参画というよりも、そうせざるを得ないという現状にあるということでございます。
 したがいまして、農林水産省といたしましても、そういう地域における女性の地位の向上というものに以前より取り組んできたところでございまして、婦人・生活課というような課もあるわけでございますけれども、今回、男女共同参画社会基本法の趣旨を踏まえまして、農政改革大綱及び農政改革プログラムにも即しつつ、例えば農協の役員への女性の就任等、農山漁村における社会参画の促進、あるいは家族経営協定の締結によって家族員の役割分担や休日の設定等の就業条件の明確化の推進といった男女共同参画社会の形成に向けた新たな施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
○狩野安君 ぜひ農山漁村の女性のためにお力を注いでいただきたいと心からお願いを申し上げます。
 もうずっといにしえの昔からそこで女性の労働力というものは発揮されているわけですけれども、精神的にはまだ男性の本当の意味でのパートナーとはされておりませんので、これが実現できるように私も心から願っております。
 総理大臣にちょっと感想をお聞かせいただきたいんですけれども、マスコミなんかで、アメリカでドール女史が女性大統領の候補として挙がっているとかという話も聞いております。日本においては女性の政治への参加というのは大変難しいわけでございますけれども、御主人のドール氏の言葉を新聞を通じてただ見ただけですからわかりませんけれども、私はファーストジェントルマンになるということ、奥さんが大統領になることに対して大変積極的に精神的なバックアップをしているような発言が読まれております。
 私は、これが本当の男女共同参画社会じゃないかなというふうに思っておりますので、女性が本当に、だれもが政治家になるとかだれもが社会に進出するべきだというふうには考えておりませんけれども、やっぱり能力のある女性を陰で男性が支えていくという世の中になれば大変すばらしいというふうに思うわけです。女性が政治に参加できやすい状況というか、またこのドール夫人に例えて何か御感想でもございましたら御見識をお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(小渕恵三君) ドール夫人の御主人すなわちドール氏は大統領選挙にも臨まれたわけですが、今般御主人がファーストジェントルマンになるという発言をされたやに聞いております。その発言のすべてを承知しておるわけじゃありませんが、男女共同参画社会の実現に当たりまして、男女がともに社会のあらゆる分野で政策方針決定過程に参加する機会が確保され、ひとしく利益を享受するとともに、お互い相手の立場に立って責任を担うことは極めて重要であると考えております。
 ドール氏の発言は、こうした男女の共同参画のあり方について重要な点を示唆する象徴的な発言との印象を受けておりますが、かつてイギリスにおきましてもミセス・サッチャー首相がおられたわけでありまして、御主人が政治的立場で大変活躍されるサッチャー首相を支えておる姿を拝見しておって、非常に印象深く記憶をいたしております。
 ドール夫人、エリザベス・ドールさんでございますけれども、かつて私国会議員に就任して十周年を迎えた折に私の選挙区高崎市にお招きをいたしまして、まだドール氏と結婚しておりませんでしたけれども、それ以来親交をいただいております。その後、労働長官、運輸長官とたしか経験しまして政治家としてもまことにすばらしい活躍をされまして、今般、御主人の方がむしろこれを助けてという姿になっていくやに聞いておりますけれども、こうした形でともどもにみずからの力を発揮し相協力していく姿というのは大変すばらしいものと、こういうふうに考えております。
○狩野安君 ありがとうございます。
 日本の中でも早くそういう時代が来ることを望んでおりますけれども、私は、小渕総理もすばらしい奥様をお持ちですけれども、もし奥様がそういう立場になられたら、きっと立派なパートナーとして応援をなされるような方でないかというふうに拝察をしております。
 ということで、私は、この男女共同参画基本法のことについては一日も早く政府の方で提出をしていただきたいということをお願いいたしまして、次に、有馬文部大臣にお聞きしたいと思います。
 有馬大臣は、先般の内閣改造に伴って科学技術庁長官を兼務されることになりましたけれども、明るい未来の創造を目指す科学技術庁行政の中で、原子力行政というものは大変な、特に重要な分野であります。今までのいろんな事故、不祥事などを考えてみますと、国民の中でまだまだその不安感、不信感が高まってきているわけです。ということを考えると、現状ではまだ原子力に対する国民の信頼を得られることができません。
 新しく長官となられて、原子力に対する国民の信頼回復を得るためにどのように取り組んでいかれるのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

○国務大臣(有馬朗人君) 私も原子力に近い原子核物理学を長年やってきた人間といたしまして、やはりこの原子力をめぐるさまざまな過去の事件は大変残念であり、またさらにもう少し強く言えば大変遺憾であったと思っております。
 そこで、どうしたらいいかということでありますが、まず現場では安全運転などの実績を積み上げていくこと、そしてそれに対して最善の努力をしていくこと、それから地域の人々との間では地元を重視した姿勢のもとで事業活動についても今やっていることを誠実に対応していくこと、情報をなるべく多く流していくということが必要であると思います。これが地元、現場においてのことでございます。
 国といたしましては、まず原子力に関するさまざまな政策決定をしていくとき、その過程を透明にしていくということが必要であると思います。そして、国民各界各層から幅広く御意見を伺っていく、そのためには例えば原子力政策円卓会議を開催していく、それからシンポジウム、フォーラム、説明会等を開催していく、こういうことを通じて原子力政策に対して国民の信頼を回復するよう努力をしていかなければならないと思っております。
 そして、原子力三原則というのを私の若いときに随分議論をしたことがございます。今現在、その三原則を中心にして動いているわけでありますので、まず国としてもこの原子力三原則をきちっと守っていくべきだと思っております。何としても安全確保をしていかなきゃいけない、万全を期して安全を確保していかなきゃいけない。
 それからもう一つ、新エネルギーだけで日本が本当に今後やっていけるのかどうか、重要なことだと思います。新エネルギーは絶対やらなきゃいけないけれども、それだけで本当にエネルギーは足りるかどうか、原子力はどうしたって要るのではないか、こういうふうな意義について私自身も少し方々で講演をしていこうと思っております。もう既に何回かやっているわけですが、今後もその意義を国民の皆様に説いていきたいと思っています。
 こういうことは、私だけではなく多くの科学者、原子力に携わっております多くの科学者、技術者がもっと率直にいろいろな方たちにお話をしていかなければならないと思っています。そして、先ほど申しましたように、まず第一に情報の公開、そしてわかりやすい情報を提供していく、それからまた国民各界各層と一層対話を進めていく、こういうふうなことで、今後とも原子力に関する国民の方々の御理解を賜るべく努力をさせていただきたいと思っております。
○狩野安君 ぜひお願いをしたいと思います。
 特に、わかりやすい情報と言いますけれども、原子力はとても難しいんですね。それに携わっている方は物すごい優秀な方ですから、本当にわかりやすく説明をなさってくれるわけですけれども、それはどうしても私たちには理解ができないということでございますので、特に茨城県を含め原子力施設を持っている県民の期待というか信頼を裏切らないように、もう本当に一生懸命県民も努力をして、信頼をして、そして裏切られてもなおかつ信頼をして一生懸命頑張っているわけですから、その気持ちをどうぞお忘れなく、ぜひ頑張って、そして国民の皆さん方から本当に一日も早く信頼を回復するように努力をしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 もう一つ文部大臣にお伺いしたいと思いますけれども、大学入試センターの試験についてお尋ねをいたします。
 先般行われた大学入試センター試験の日本史の問題の内容等について、既に一部報道されておりますけれども、歴史の暗い側面を殊さら強調している、あるいは偏った歴史観に基づいているとの指摘や批判の声が上がっています。
 私も試験問題なんて見たことはなかったんですけれども、そういう記事を読みましてちょっと見させていただきました。例えば、五問中の一問が抑圧とか抑圧からの解放の歴史というテーマのもとで、身分制、差別、労働運動や一揆、抑圧からの解放としてのマッカーサー指令などについての出題となっております。
 このような大学入試センター試験の出題内容や傾向というものは、歴史の中の肯定的な側面だけでなく暗い側面を強調し過ぎている、私もそういうふうに言わざるを得ないと感じております。
 我が国の歴史教育にあっては、とりわけバランスのとれた歴史認識をはぐくむことが基本的に求められているわけでありますので、大学入試センター試験は大学入試とは関係なく高等学校の教育に物すごく大きな影響を与えるわけです。ですから、このようなことは見過ごしてはいけないというふうに感じているわけです。
 このことについて、文部大臣の所見及び今後どのように対応されるかということが、もしございましたらお答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(有馬朗人君) まず一般論といたしまして、大学入試センター試験は極めて一生懸命つくった問題でございまして、私が見るところ、過去の難問奇問から随分変わって、いい問題になっていると考えております。そういう意味で、大学入試センターの問題というのはかなり現場の大学教員及び高等学校の教員が努力をして、いい問題をつくってきていると思います。
 しかし、今御指摘のような問題がやはりございまして、さらにまた大学入試センター試験そのものをどうしていくかというふうなこと、そしてさらに一般に大学入試全般についてどうしていくかというふうなことを現在中央教育審議会にお願いをしまして、検討していただいているところでございます。
 そういう意味で、今後御指摘の点も踏まえつつ、大学入試センターにおける問題作成や点検が適切に行われるよう指導してまいりたいと思っております。
○狩野安君 ぜひよろしくお願いいたします。
 バランスのとれた歴史認識というものの中でやっていただきたいというふうに考えておるわけです。また、出題内容に関して、学習指導要領に基づいた内容になるような指導、助言ができる明文規定というものを設けるように希望したいというふうに思っております。
 次に、国旗・国歌のことについて質問をさせていただきます。
 文部大臣は、二、三日前の答弁の中でも、心の教育の中で、本当に国を愛する心ということを随分強く言っておられましたけれども、国を愛する心というのはやっぱり形からやっていかなければいけないというふうに思うわけです。その中で、国旗・国歌というものを子供たちにどういうふうにして理解をさせるかということが大事だと思いますけれども、スポーツの大会なんかでも、ほかの国の国歌は国歌斉唱と言って、日本の国の場合は君が代斉唱と言うこと自体も私は何かおかしいのじゃないかというふうに思うわけです。
 これはいろいろと議論がなされておりますので、ちょっと総理大臣にお伺いしたいのですけれども、国旗・国歌についての法制化ということはお考えになっておられるんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(小渕恵三君) 家庭や地域において長年にわたり培われてきた道徳心や温かい人間関係、すぐれた文化や伝統などは大切な未来への財産として次の世代に引き継いでいくべきものであり、心の教育の一環として、日本の国に誇りを持つ子供を育てることは重要なことであると認識をいたしております。
 そこで、国旗・国歌につきましては、諸外国の中に、例えばアメリカ、ドイツ、オーストラリア等でありますが、憲法や法律で規定をいたしまして、国旗については公的機関の主要建物や学校の校舎等に掲揚すべき旨定められている国があります。我が国の日の丸あるいは君が代が我が国の国旗・国歌であるとの認識は、実は既に確立をいたしており、既に広く国民の間に定着いたしておると考えております。
 先ほど申し上げましたように、こうした法制化している国を考えますと、それぞれ後々独立し、各地区の結合というようなことについて国旗という形でその意思をまとめている。アメリカなどは典型でしょうけれども、ユナイテッドステーツという形でございます。
 そういった意味で、それぞれの成り立ちがあるかと思いますが、日本の場合にはかなり定着しておるということでございますので、現時点では政府として法制化については考えておりませんが、昨今、法制化すべきだという政党も、いろいろの御発言もあるやに聞いております。これは最終的には国民の皆さんの動向も判断しなければならないとは思いますが、今の時点では法制化ということでなくとも、この国旗が、そしてまた国歌が我が国の国民のひとしくこれを願うものとしてかなり定着しておるということは言えるんじゃないか、このように考えております。
○狩野安君 国旗・国歌については、これまでも学校行事で、社会科や音楽の授業なんかでいろいろと特別な活動を通じて指導も行われてきているということは承知しておりますけれども、本当に徹底させることによって国民に認知させていくことが一番大事なんじゃないかと思います。やっぱり国旗・国歌をあれしながら、自分の国に誇りを持つ、そして国を愛する心が育っていくんだというふうに考えておりますので、ぜひひとつ徹底するようにお願いをしたいと思います。
 それから、最後になりますけれども、心の教育ということを文部省が大変取り上げて、先ほどの手帳なんかでも、いろんな問題で家庭の中で教育をしていくということを言われております。
 私たちが子供のころには本当に近所に怖いおじさんやなんかおりまして、親にかわって、親がいないときでも私たちが何か悪いことをすると物すごくしかられたわけですね。それで、みんな子供たちは、あそこは怖いおじさんがいる、こっちは怖いおばさんがいるとかと言いながら、しかられるとうわっと逃げていったという記憶があるわけです。
 今はそういう情景が一つも見られないということがあるわけですけれども、これから、平成十四年度から学校の五日制というものが実施されるわけです。そういうことで、社会全体が子供を育てるという意識をもう一度盛り返していかなければいけないというふうに考えておりますし、また季節によって、私たちが昔歌っていた童謡とかそういうもの、それから自然とか四季に感動する心というものを養うような環境というものが大変大事なんじゃないかと思います。
 二十一世紀は本当に教育が一番大事だというふうに考えておりますので、これはもう政府の指導力を発揮して優先的に取り組んでいただきたいということをお願いいたして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○理事(竹山裕君) 以上で狩野安君の質疑は終了いたしました。(拍手)