アンドロギュノスの裔

アンドロギュノスの裔 渡辺 温

 渡辺温は、戦前、幻想的かつ抒情的な優れた短編を数編残し、悲劇的な自動車事故により27歳の若さで亡くなった天才作家。ドイツ表現主義やポーにインスパイアされた作品はいずれも短いものながら一編一編が一つの小宇宙をなしています。短編『兵隊の死』(昭和5年)は、一人の兵士のニヒリスティクな死を詩的かつアレゴリカルに描いた作品で、掌編ながら永く記憶に残る代表作。その繊細でスタイリッシュな短編小説に触れればふれるほど、「おんちゃん」と親しまれていたその人柄を知れば知るほど、あまりにも早過ぎたその死が残念に思われます。

 左は渡辺温の唯一の短編集。昭和40年代に菓子函みたいなオシャレな本ばかり作っていた薔薇十字社から出た本の中でも特に人気の高い本です。帯は2種類有り、「夭折した天才作家」と刷ってある方が元帯。現在、古書価はかなり高騰しており、帯付き極美本なら4、5万は覚悟しなければならないでしょう。(^^A

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