ドクター・タン
ドクター・タン


“ドクター・タン”バストモデル
(ジェフ・ホインケル原型)
舌のアップ
けっこうリアルな出来の舌。
血臭が漂ってきそうな赤が良い。
目のアップ
ペイントは初版より良いかも。
 『宇宙水爆戦』のメタルナ・ミュータント、『禁断の惑星』のロビー等、ジャンル映画ではサブのキャラクターの方が主役より人気を得てしまうということがちょくちょく起こります。『SFレーザーブラスト』“とかげエイリアン”のように、その脇キャラの登場が、その映画の唯一の取柄、見せ場だったりしてしまうこともあるほどで、まさに本末転倒とはこのことでしょうか。(^^A
 
 G・A・ロメロの『死霊のえじき』(“Day of the Dead”1985年)にもバブという魅力的なサブキャラが登場して活躍しますが、どちらかといえばストーリーに絡む重要な役。より脇役ともいえるキャラを探すとすれば、冒頭にちらりと登場するゾンビ、“ドクター・タン”の方になるかもしれません。

 下アゴが完全に破壊され、舌をだらりと垂らしたままぎこちなく歩くこのゾンビは、そのマイナーさにも関わらず欧米のホラー映画ファンの間ではけっこう人気があるようで、最近ではガレージキットが数種も発売されているくらい。
 ゾンビになっただけでも可哀相なのに、アゴがあの状態では満足に人肉を喰うこともできない訳で、ひょっとしたら人気の裏にはそんな“同情票”が関係しているのかもしれませんね。(^^A

 キャラクター・デザインは、もちろん御大トム・サヴィーニ。「今まで誰も見たことのないゾンビを出したかった」というサヴィーニの言葉通り、確かにアゴのないゾンビが映画に登場するのはこれが初で、ファンには結構インパクトを与えたようです。その存在感から、てっきりメイクを施した役者が演じていると思われた方も多かったようですが、実はケーブル操作によりアゴ、目、眉が可動する等身大のパペット(ヘッドの製作にはトム・サヴィーニ自身のライフキャストを使用!)で、メインのオペレーターはひざパッドを付けて操作していたとか。あるいはそんな操作性の面で登場シーンが限定されたのかもしれませんが、1シーンのみではもったいないキャラで、できればもう少し登場シーンを増やして欲しいと思ったファンも多かったのではないでしょうか。

 ちなみにドクター・タンというナイスなネーミングは、ファンや撮影クルーから親しみを込めて付けられたものが広まった由。スペルが同じか分りませんが、南北戦争当時に同名の実在の人物(1936年ペンシルバニア生れの黒人医師。もっぱら同種療法という民間療法を広め1909年死去)が存在したようで、ひょっとしたらその辺からのもじりもあるのかもしれません。もじゃもじゃのヘアスタイルからどことなくアインシュタインを彷彿とさせるところもあり、言われてみれば「ドクター」の呼び名は結構ハマっているようです。

 上はドクター・タンを見事に再現したラテックス製バスト・ディスプレイ。原型・製作はバブと同じくジェフ・ホインケルで、96年頃に少量(10体程度)リリースされたものを、今年限定6個のみ特別に再版されたもののうちの1体です。
 ペイントは全体に肌色、口蓋部周辺及び舌はドス黒い赤、眼はブラウン、瞳は黒、髪の色はグレー。トレードマークの舌は別パーツを貼り付けただけなので、角度によっては裏側の未塗装部分が見えてしまうのがちと残念。しかしながら全体的に以前見た初版よりさらにリアルな塗装になっており、コレクターマスクの醍醐味が味わえる迫力十分なマスクに仕上がっています。
 これまたゾンビ・コレクター、ロメロファン必携アイテムに間違いないでしょうね。^^


2001.8.1

【追 記】
 
 上記ヘッドピースは、ハロウイン・マスク・アソシエーション(H.M.A)を通じたジェフ・ホインケル氏自身による期間特別限定(約50日間)のフル・オリジナル(原型・型抜き・ペイント・植毛)であり、初版と比較すると以下の点に相違があるようです。

   1.舌の位置が初版より上にある。
   2.肩の部分がない。
   3.ペイント

 1に関しては、今回のバージョンがすべてこうなっているのか、たまたまこのマスクだけなのかは不明。
 なお、このジェフ・ホインケル氏自身のバージョンとは別に、デヴィッド・レディ氏がファン向けに委託製造しているバージョンがあり、こちらは現在も入手可能。モールドは同じもので、仕上げがやや異なるとのことです。(情報提供:清原裕一氏)

2001.8.15


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