ハエ人間 | ||||||||||
![]() ハエ人間、トゥーフェイス (モダンクリエイト) |
![]() なんとも大胆なデザインが楽しい。 目がかなり逝っちゃってます。 ![]() できれば海外のマスクメーカーと同じ ラテックスを使いたいとのこと。 現時点ではコスト的に難しいらしい。 |
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ハロウインがないせいか、はたまた住宅事情が悪いせいか、とにかくこの国ではマスクというのはあんまり流行らない。日本でマスクコレクションというと、プロレスのマスクのことだったりして、ネットで検索しても怪物のゴムお面の話なんかしているのは、ウチのサイトくらいのもんである。 当然ながら街を歩いてみてもマスクなんて売ってない。いや、おもちゃ屋に行けば大仏さんとかボブ・サップそっくりお面なんてのはあるかもしれないが、欲しいのはもちっとクールで、シュールで、かつオーサムなやつなんよー、などと呟いてみたところで、そこにはただ風が吹いているだけのはしだのりひこ状態。国産モンスターマスクなんぞ夢のまた夢という現状は十年一日のごとく続くのである。 とはいえ、こんな我が国でもこれまでにいくらかのマスクが売られたことはあった。 たとえば、今から16年ほども昔、銀座4丁目のど真ん中の雑貨屋で、なぜかモンスターマスクが売られているのを見かけて驚いたことがある。 そのときあったのは、人間の顔の中からもうひとつの別の顔が内側から皮膚を手で破り裂きつつ、今この世界に生まれ出ようとしているといった恐ろしくもナイスなデザインで、マスク下のネームプレートに書かれたタイトルは忘れもしない「ナイトメア」。たしか国産のカスタム品だったように記憶しているが、その辺は正直うろ覚えである。部厚いラテックスの質感と、丁寧なペイントはそれ以前にいくつか見たことのあるドン・ポストの製品よりむしろ優れているようにさえ見えた。 「これはヨイ!」と近寄り値札を確認してまたまたパーシーびつくり。たしか7万円という値がついていたと思う。ゴムお面ひとつに7万円はまず出せない。ってか、そんな大金、逆立ちしてもなかった(今でもめったにない)のだから、どだい無理な話ではあった。買えないとなると余計に良く見える。ショーウィンドの真中に鎮座するそのゴムの塊は、そのとき日常の生ぬるい空気をビシバシ切り裂くような異形のエネルギーを放っているように思えたものだった。 CMでショーウィンドウのトランペットに憧れる黒人少年ってのがあったけれど、とっくにひねこびたオッサンになっていた管理人は諦めが早い。ため息をひとつつくと、すごすごとその場を立ち去ったのでありました。はぁ。 このマスク、当時の「VZONE」に掲載されたそれらしき記事から察するに、どうやら売っていたお店の名前は「キュート」だったようだ。誰が製作したものか不明だが、これがいわゆるフルヘッドのカスタムマスクとの最初の出会いなわけではあった。当時このマスクを買った人がいたのかどうか分からないが、そのうち店頭からマスクはなくなり、周囲にはまたぞろ平穏な銀座ブラ風景が戻ったのでありました。メデタシメデタシ・・・って別にめでたくはないが。 国産マスクについていえば、これ以外にも過去に怪奇屋だとか、あの造形集団ダイモスなんぞのカスタムマスクがほんの少量出回ったことはあるにはある。けれど、この国でゴムお面が相も変わらぬ「どマイナー」であることは、今も昔もさほど状況は変わらないわけではあった。 ところが、である。ここ至り突如高品質かつ低価格の国産モンスターマスクの販売サイトが出現し、ゴードン大はまり状態なのである。^^ その名はモダンクリエイト。多分に趣味的な個人サイトのようだが、さっそく気に入ったデザインのマスクを2つばかり取り寄せてみたところ、価格からは想像もできない高品質に驚嘆。完成されたスタイル、発注から僅かな時日で見本と同じものを納品するその手慣れた仕事振りは到底昨日今日の新人のはずがないと思ったら、それもそのはず、原型師の堀岡氏は、かつてあのオガワスタジオに在籍し、かわはぎやケロイド等を製作したご本人であり、原口智生監督下でのアシスト経験も持つプロ中のプロだったのでした。いやはや、納得納得。 とゆーわけで、上に掲げた写真のマスクがそれで、左がハエ人間、右がトゥーフェイスである。 ツゥーフェイスはlight brown系の肌色にpurple redの歯茎、歯は汚れたyellow、ハエ人間の方は、同じくlight brown系の肌にハエの目がturquoise、皮膚の部分がdark green、突き出たハエの口の先端がred brownといった感じ。 特筆すべきはそれぞれ目の部分を内側からプラを裏打ちしてペイントしてあること。たぶん、毛細血管などの細かい部分が描きやすいのと光沢を出すためだろうか。市販のプラスチックアイを使うよりは安価だとは思うが、その分ひと手間余計にかかるわけで、細かな心配りが嬉しいところ。 デザインはマスクではお馴染みのものもあるが、特にハエ人間など『悪魔の植物人間』を彷彿とさせるような独自の造形センスが光っていて、コレクションするに相応しいものだと思う。
エド・エドマンズのナイトメアシリーズは、今見てもかなり斬新なデザインで、あちらでは探しているコレクターもちらほら見掛ける。現在のディストーションズの製品はコレクターの間であまり話題になることはないようだけれども、映画やTVキャラ以外のこういったオリジナルデザインが意外なところに引き継がれているのはなかなか興味深いものがある。 ともあれ、今後、どんな製品が登場するか楽しみなモダンクリエイト。こんなマスクをずっと探していた方、これまでの国産マスクに飽きたらない方、自主映画に使うプロップを探していた方、海外に注文するのが面倒な方(笑)に、ハット卿一押しのマスクとしてご推薦する次第であります!^^ |
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2003.2.14 |