2002年にアッカーマンさんからメタルナミュータントのプルを譲って頂いたとき、これでこのキャラに関しては今後もう探す必要がなくなったなと思った。アイテムの紹介ページには詳しく書かなかったが、あのバストは当初思っていたよりずっと貴重なものであり、それほど決定的なアイテムであったのだ。ただ、アッカーマンションで長年来客に触りまくられていたので大分古びており、レストアが必要ではあった。費用などの関係もあって未だ実現していないため、もうひとつ別に新し目のディスプレイがあってもいいかなとは思い始めていた。
そんな折も折、コミュニティで今回のバストを発見。あまりに出来が良かったので速攻で購入を決めた。
上にアップした画像がそれ。オリジナルミュータントの実物大中空樹脂製キャストで、幅約61p、高さ約70pの超大型。最大の特徴は肩口まで造形されている
ことであり、ミリセント・パトリックはじめバド・ウェストモアのメイクアップチームがデザインしたオリジナルコスチュームを、びっくりするほど忠実に再現している。オリジナル映画のスチールを参考に何ヶ月
もかけてできる限り正確なサイズにしたそうで、なんと私のモノは記念すべきプロトタイプ#1。出来はもうほんとに最高である。
仕様は、外側が厚さ約1pの樹脂、その内側に形成のための約2.5pの硬質フォーム、基本的には中は空洞で、重さは約9kg、内側のペイントは黒。ヘッドは1955年の映画のオリジナルと同じスタイルでペイントされており、ライトブルー/グレーのベースコートに、ベースより若干明るい、そして若干暗い無数の点が全体の色を作っている。ヘッドはダークグレー/ブラックの塗料で、非常にマットな下塗り剤が塗られ、脳のしわの陰影までも、55年の映画のオリジナルヘッドと同じように、エアブラシを使って塗装している。
特筆すべきは眼で、透明のプラスチック球で、裏側からメタリックグリーンとメタリックブラックに塗ってあり、少し明るい筋模様が入っていて、1955年の映画のオリジナルヘッドの目と同じ色・スタイルで統一している上に、裏側に電飾が施されており、暗闇で点灯するように設計されている。アメリカとの電圧の違い(アメリカは120V、日本は100V)はあるが、電球・ソケット・スイッチだけの簡単なものなのでステップアップトランスなどは必要なく、電球を日本製に替えるだけでOK。点灯してみるとなかなか雰囲気があって楽しめる。
制作は大手TOYメーカーのプロデザイナーで、ライフサイズの造形を得意とするダグラス・ヒルデブラント。これ以前に作った実物大フランケンシュタインなども信じられないほどのクオリティの高さで、USAのこの手の造形家の実力の凄さには感服するしかない。我が国でもフィギュアなど小さいものならハマハヤオ氏、佐野好彦氏など優れたタレントを輩出しているが、ライフサイズとなると需要がないせいか皆無に近いのが寂しい限りである。
なお、このバスト、彫刻に5、6ヶ月、ペイントだけで数日間、開発に数百ドルかかったとのことで、ファクトリーエンターティンメント(007グッズや「半魚人の手」なんかを出してるメーカー)から正式に版権をとって発売する話も出ている。ただ、景気も悪いし、また商品としてはちょっとでか過ぎるせいもあって今のところ確かな話にはなっていないようだ。
まぁ、日本ではあまり売れそうも無い等身大アイテムだが、アメリカはエイリアンクイーンすら商品化してしまうお国柄、ユニバーサルモンスターのコレクター人口も多いので商品化の可能性は低くはなさそうだ。製品化の暁にはおひとつお部屋にいかがだろうか。貴方のコレクション空間が急激に密度と迫力を増す瞬間をその目で確認できること請け合いである。
(2013.6.8)