大頭人

大頭人(オリジナル・モールド)



大頭人オリジナル・マスク

大頭人マスク(注)
(ボブ・バーンズ・コレクション)


(注)ディストーションズのマスクはこれと
   同じモールドを使用している。
   ただし、映画の画面ではこのマスクと
   同型のヘッドはハッキリ確認できない。

大頭人 『暗闇の悪魔』(1957)

 50年代はたくさんの個性的なモンスターがスクリーンで暴れまくった時代だった。半魚人、蝿男、イドの怪物、巨大蜘蛛に巨大かたつむり、果ては巨大増殖化する隕石まで・・・。休日の映画館に心を弾ませてやってくる親子連れや、ドライブインシアターでいちゃつく恋人達にひとときの娯楽を与えていたこれら異形の怪物どもの活躍を支えていたのは、当時、脚光を浴びることもなかった裏方的SFX職人達だろう。
 後にストップモーション・アニメの巨匠となるレイ・ハリーハウゼンや、半魚人やメタルナ・ミュータントを産み出したジャック・ケヴァン等々、この時期に頭角を現したアーティストは多いが、中でも活動期間は短いながら印象深いモンスターをたくさん造型したことでSFファンの記憶に残っているのが、ポール・ブレイズデルである。
 『金星人地球を征服』金星ガニ『海獣の霊を呼ぶ女』シークリーチャー等々、ブレイズデルの産み出したクリーチャーの数々は、今見るとどれも愛嬌があって非常に魅力的だが、とりわけ『暗闇の悪魔』(1957)に登場する大頭人などは、金星ガニと並んで、さしずめその代表格と言えるだろう。巨大なカボチャ頭にギョロ目という、マンガチックで可愛いらしいデザインセンスと、リアルでグロテスクな表現のバランス感覚は絶妙であり、現代ではもう見かけることのなくなった実に個性的なキャラではないかと思う。映画では毒針を使って人間を襲うという結構不気味な設定だったが、小人の役者を使ったチョコチョコした動きはコメディタッチの作品にうまくマッチして、なかなかに効果的であった。

 左上はその大頭人のオリジナルモールドからのプロップ・レプリカ。83年にディストーションズからリリースされていた製品版とは別に抜かれたフォーム詰めディスプレイ・ヘッドで、1点ものの特注品である。目の部分の覗き穴がないこと等を除けば、口唇部の修復ともども基本的には製品版と同様だが、量産品でないだけあってペイント等の仕上げが丁寧で、コンディションも良好である。アッカーマンションにこれと同タイプのヘッドがあるが、たぶんあっちはブレイズデルのパートナーだったボブ・バーンズからの直接の寄贈品だろう。モールド自体はこのレプリカも同じモノを使用しているはずで、ブレイズデルの造型センスが楽しめる逸品である。

ちなみに、この大頭人後、ブレイズデルは『恐怖の
火星探検』等の仕事をしたものの、徐々に仕事は減
り、自然と引退して行った。長患いの末に53歳とい
う若さでひっそりとこの世を去ったのは、奇しくも
ディストーションズから大頭人のマスクがリリース
された年と同じ1983年。その死はSF映画雑誌等に
取上げられることもなく、寂しいものだったという。
合掌。

 ともあれ、あるだけで50年代にタイムスリップしそうなこの巨大ヘッド、到着以来、シブイ睨みを効かして我が家のミニ・アッカーマンション化計画(?)に貢献してくれている次第である。

2000.12.9

MASKS
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