怪人ドクター・ファイブス」VHS

「怪人ドクター・ファイブス」VHS



怪人ドクター・ファイブス」LD

「怪人ドクター・ファイブス」LD


ロバート・フュースト監督作品(1971)
出演:ヴィンセント・プライス
:ジョセフ・コットン

VHS・LD:Vestron/PONY(廃盤)

怪人ドクター・ファイブス(1971)

 医師ばかりが次々と奇妙な方法で殺害されると言う連続殺人事件が発生した。捜査に乗り出した警察は次の犠牲者と思われる一人の医師ヴェサリウス(ジョセフ・コットン)を見つけ出す。ヴェサリウスの協力のもと、やがて容疑者としてファイブス博士の名前が捜査線上に浮かび上がるが、博士は妻の死後亡くなっているはずなので、事件は益々不可解な様相を呈してくる。

 そうこうする間にも関係者が次々と殺されるに至り、ついにファイブス博士が真犯人と断定される。死んだと思われていた博士は生きていたばかりか、妻を手術の失敗で無くしたと信じ込んでおり、その手術に関わった9人の医者の抹殺を計画していたのである。


 ようやくのことでファイブス博士を追い詰めた警察だったが、なんとヴェサリウス医師の息子が誘拐されてしまう。息子を救出すべくファイブス博士の館に乗り込んだヴェサリウスが見たのは、手術台の上に縛り付けられた我が子の姿だった・・・。


 のっけから奇矯な殺人方法が立て続けに披露される。吸血コウモリによる出血死、カエルのマスクによる絞殺死、イナゴの大群による白骨死etc…。どれもこれも小栗虫太郎の探偵小説のトリックばりに実行不可能なものばかりである。ここには内容を語ろうとする意志は微塵も感じられず、あるのはただ狂気とスタイルのみのように思われる。頂点に達した狂気はスタイルを研ぎ澄まし、スタイルはいやが上にも狂気を加速する……。
 
 たぶん、この映画ではストーリーはさほど意味をなさない。亡くなった妻に寄せる主人公の執着も説得力不足だし、次々と殺されて行く医者たちにもさして同情できそうもない。すべては甘美な悪夢として、主人公ドクター・ファイブスの暗い情念に波長を合わせ、その悪夢にどっぷりと身を任せるのが一番の鑑賞法なのだろう。

 
 復讐譚とは言え、全編を通じて映画は意外なほどに明るく、そこかしこに珍妙なユーモアも披瀝されている。冒頭、<ファイブス・ウィザーズ・クロックワイズ楽団>を従えて華麗な指揮者ぶりを発揮するファイブスの姿は、なんと微笑ましいことだろうか。また、ファイブスの乗る車のブラインドには、あらかじめファイブスの横顔と後頭部がプリントされているのである!
 
 もっとも、何より気になるのは謎の美女の方かもしれない。このファイブスの狂った命令に無条件に協力する助手役の不思議な女性に、男性の人形愛的理想像を投影してみたり、母性の顕現を垣間見たりするのも一興かと思うのだが。

 ともあれヴィンセント・プライスの大仰な演技はまさにハマリ役とも言え、代表作の名に恥じないものがあり、推薦したい1本ではある。
 
 ビデオ、LDはかつてベストロン/ポニーから発売されていたが、中古ではほとんど見かけない。続編の
「怪人ドクター・ファイブスの復活」の方はごろごろ転がっている(?)というのに、一体どうなっているのやら、これまた不思議。
2000.8.25

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