吸血原子蜘蛛(1958)
『吸血原子蜘蛛』 国内版ビデオ
『吸血原子蜘蛛』VHS国内版
(販売元:パック・イン・ビデオ)
捕らえられた大蜘蛛ちゃん
捕らえられた原子蜘蛛。
学校内ではこの大きさだが、、、
そんなアホな〜
街に出るとこの大きさ。
比率めちゃくちゃですな。

 大方の子供と同じく特撮映画好きだった管理人は、年少の頃、TVで放映されるそれらSFものをひそかにランク付けしていた。

   A級 ハリーハウゼンに代表される人形アニメ

        特撮の王道。これより他に道は無し。元気ですかぁ〜! 


   B級 我が日本のお家芸、着ぐるみ怪獣もの

        リアルさではイマイチだが、怪獣のデザインが先鋭的だったり、

      内容的には上より面白い場合があるのは確か。


   C級 背ビレや尾ひれを接着したとかげを恐竜等に見立てたもの

        ゴルァ! なめとんのかワレ! ヽ(`Д´)ノ


 TVで怪獣ものを観ていて出てきた怪獣がCタイプだったりしたら、それはそれは落胆したものだった。なにしろただのトカゲがどアップになるだけなのだから、これほどツマラナイものもない。しかも明かに形が違うのに「これ、恐竜ですよん」と大嘘ついているわけで、子供心にも許せない思いが強かった。そういう手抜き製作者は心から軽蔑してしっかり名前を記憶し、次に別の作品が放映された際には、、、、やっぱり見るのだが。(^^A

 が、ものには例外がある。
 トカゲやネズミのどアップには感心しないが、これがカマキリや蜘蛛などの昆虫類(実は蜘蛛は節足動物門・蜘蛛形綱に属し、昆虫ではないのだが)とか、タコ、イカ、クラゲなどの軟体動物系だと、結構、観られるのである。

 これは、カマキリや蜘蛛やタコが、実際の生物のくせに妙に造りものめいている上、その姿形もとても地球上のものとは思えないような異様な不気味さがあるため、SFやホラー映画になかなかにマッチしてしまうからだろうと思う。

 中でも蜘蛛はスーパースターである。何と言っても八本もある、あの毛むくじゃらな足がキショいので、昔からホラーものの格好の素材だった。小説の方でも、M.R.ジェイムズの『秦皮の樹』が気味の悪い蜘蛛が出てくることで有名だし、さらに、これは蜘蛛ではないのだが、ウルグアイ幻想派の巨匠、オラシオ・キローガ(1878〜1936)の短篇『羽根まくら』ではおそらく蜘蛛をイメージしたに違いないある恐ろしいものが出現するが、その不気味さといったら、、、、。

 話を映画に戻せば、やはり視覚に訴えるジャンルなので、実寸より巨大化したものの方が印象深い。いまさら紹介の要もないジャック・アーノルドの『タランチュラの襲撃』は50年代を代表する大蜘蛛映画の1本だし、名作『縮みゆく人間』でもしっかり主人公を襲ってくる。トホホ系の代表作『ジャイアント・スパイダー大襲来』から、CGを使った最新作『スパイダーズ』(堺センセもムッシュも出て来ません)まで、およそ蜘蛛映画に事欠くことはない。『縮みゆく人間』 にも登場!

 で、ここに取上げた『吸血原子蜘蛛』(原題:EARTH VS SPIDER)もそんな中の1本。監督は巨大モンスターもの一筋のバート・I・ゴードンで、お馴染みAIPの1958年度作品である。

 ストーリーは突如巨大化した蜘蛛が街に現れて大暴れするというよくあるものながら、なかなかにサスペンスがあって盛り上がるのですな、これが。この辺、当時のジャンル映画としては結構シナリオの出来が良い部類に属するのではなかろうか。
 とは言え、キモが巨大蜘蛛登場シーンにあることは言うまでもない。移動マスクを多用した合成ながら、不気味な蜘蛛が画面一杯に動き回る光景は、やはり見ていて楽しいもので、それだけでこの映画を見る十分な理由になるだろう。仮死状態になって学校に安置された時と、復活して外に出た時と明かに蜘蛛の大きさが違っていたり、というケアレスミスもあるのだが、まぁその辺は御愛嬌ということで、、、。(^^A
 
 管理人は以前、これを劇場の大きなスクリーンでも観ているが、そのとき最も気に入ったシェークェンスは、ビルとビル(もちろんミニチュア)の間から蜘蛛がのっそり出てくるところだった。
 まず、最初に蜘蛛の足が1,2本ビルの合間から伸び、やがて「ぬっ」という感じで全身が現われる、、、その絶妙の間合いが、実に良かったように覚えている。
 言わばこの映画の命でもある「箱庭の美学」が集約的に現われているシーンであり、ビデオを入手して真っ先に確認したかった映像がこれなのである。
 ソフトを発売時に入手し損ねたので、中古で苦労して探し出し、さっそく再生してみると、、、、ありゃりゃりゃ、なんと目当てのあのシーンが見当たらないのである! 「そ、そんなバカなぁ〜」と繰り返し探してみるのだが、、、やっぱり、、、、

ありませんでした。(^^A


 くぅ〜、あれは私の白昼夢だったのだろうか? それともカットされたんかいな?
 もし、詳細をご存知の方がおられたら、ぜひぜひお知らせを願いたい。<(_ _)>

 万一、これがカットによるものだとしたら、やはり腹立たしいことではある。思うに、これらの映画の編集マンには映画が分らない者が多いのではあるまいか。この際、業界の編集の方にぜひ言いたいのは、もう一度原点に戻り、その映画で何が一番面白いのか、じっくり考えることから始めて頂きたいということ。これ、私からのお願いであります、はい。

 とゆーことで、上の写真がようやく入手した国内版ビデオ(販売元:パック・イン・ビデオ)のジャケ写真。発売は94年頃で、いわゆる低価格ビデオではなかったためなんとなく買い逃したら、これが中古では陰も形も見当たらない難物。ようやくネットのショップで見つけるまで5年以上かかってしまった。いやー、SFクラッシックの収集にはいつも苦労させられます。
 内容はともかく、この漢字6文字の魅力的なタイトル(邦題はあの大蔵映画によるもの。実は内容は「原子爆弾」とは全然関係ない(^^A)と、画面に漂う50年代の雰囲気は一見の価値ありで、B級SFファンならぜひコレクションしておきたい1本。DVDになる可能性はかなり低くく、もし中古で安く見かけたら速攻ゲットして頂きたい。これ、私からのお願いであります、はい(?)

STAFF
製作総指揮:サミュエル・Z・アーコフ
       ジェームズ・H・ニコルスン
製作・監督・原案:バート・I・ゴードン
SFX:バート・I・ゴードン
    フローラ・ゴードン
撮影:ジャック・マータ

CAST
エド・ケマー
ジューン・ケニー
ジーン・パーソン

 2002.2.16

VIDEO
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