"Topic of the Day"

 【気管切開】
気管切開、これはALS患者にとって生命維持のためには、必ず通過せざるを得ない険しい道程の一つです。
勿論、将来呼吸器を装着することが、大多数の方の前提であり、力強く生き抜くための必須項目です。

とはいえ悩みはつきません。

手術そのものに対する不安はもとより、術後の吸痰の問題、すなわち将来予測される介護増大に対する不安や、発声が困難になることによるコミュニケーショントラブルに対する不安が、悩みとしてあげられます。

さて、今回お届けする内容は、あくまで気管切開体験者としての、個人の枠内に留まった感想と言えるものです。
従いまして、社会問題としての吸痰問題(ヘルパーさんにも吸痰をしてもらえるように、行政に訴える!)には触れていませんが、現在気管切開を考慮中の方に、何かしらお役に立たないかと思い掲載致しました。

以下記事としてご一読下さい。

そしてそのソースは、このテーマで書こうと思い立った時、偶然にも私がその生き方に心酔している患者仲間さんから、気管切開の手術についての質問を頂き、それに回答したものです。(記:舩後)

−−−
○さん、メールありがとうございました。

私は8/8より呼吸器の使用を開始しました。
すこぶる快調です!!いままで息苦しさに慣れてしまっていたことが、よく自覚できます。
新たなる人生を手に入れた感があり、気管切開をしていて本当によかったと思います。

さて、手術そのものについてですが、私の場合実はイロウより楽でした。
これは個人差のあることとは思いますが、★病院の手術ならアレヨアレヨで終りです。
ただ一瞬、呼吸部位が鼻から喉に移る時に戸惑いを感じました。

むしろ考慮の重点は、術後の吸引処理の在宅計画とコミュニケーション手段の確立にあると思います。
前者については○さんのブレーンには強力な方がいらっしゃるので安心!後者は「伝の心」の導入をお勧めします。

ところでここで、拙いのですが、私が気管切開について書いたレポートをご紹介します。
主治医の先生公認、世界一気の弱い患者のレポートです。ご参考下さい。

題名:声を失う。
「それは突然やって来た訳ではありません。もし、何の前触れもなく声を失ったとしたなら、音にならない叫びを上げつづけたことでしょう。
それは誰にも届くことはないのに、絶望に飲み込まれた、自分が救われんとする、喘ぎ(あえぎ)としての叫びです。
今回私は、まったくその喘ぎを感じなかったというと嘘になりますが、自分なりには消化できた考えております。
さて、それでは如何にしてその喘ぎを少しでも緩和、すなわち消化したかをご説明します。

気管切開を考慮しだしたころの私は、まだ会話に大きな支障をきたす程の舌の麻痺は進んでおらず、とても手術に挑むなどという気持ちにはなれません。
結果として約1年間、誤飲(注:ゴエンとして。)からくる肺炎発生の恐怖のなか、慎重に食事をすすめてまいりながらも、もうそろそろ潮時というところまで、手術の意思決定直前にはなっておりました。

さて、潮時とは何でしょう。私の場合の基準値は、術直前までの会話能力にありました。
会話に不備をきたすということは、舌の麻痺からであることは、申しあげること自体はばかりますが、同時に誤飲の確率が上り、決断をうながすきっかけとなるのです。
そういう意味では、私の会話は、もう一部の人間にしか理解されなくなっておりました。まさに潮時と申せましょう。

これ以上待つ理由がなくなったわけです。

しかしこれはあくまでも、決断の動機として、後々後悔をきたさないための、理由付けだけのことかもしれません。
お察し頂けますでしょうか。ここまでダラダラと、決断の理由を書くわけを。

そうです、私には理屈では理解出来ても「えいっ!や!」と決断するだけの、心の強さが足りなかったのです。

僅かに残っているだけの力とはいえ、口頭によるコミュニケーション手段を失うのが怖かったのです。

そんな弱い私がそれでも手術に踏み込めたのは、代替コミュニケーション手段を、事前に学んでいたからでしょう。
実はこの部分こそかなめかも知れません。

手術に至る2ヶ月程前、先生より「伝の心」の習得をするようご指導いただきました。
メーカーに早速問い合わせると、まるで診療の一連の流れであるがごとくデモ機が届けられました。
後は覚えるだけ、意外なほど習得に苦労はありませんでした。そして手術1ヶ月前には、友人達との会話はデモ機を通じておこなっておりました。
これにより、ある程度の状況には対応できるのではという、安心感をもつにまでに至っておりました。

そして前述したように、手術を受ける潮時を迎えました。
術後半年、私の生活において、また極論すれば人生において、私のパートナーになったと申せましょう。」

最後に、私は今回の○さんの決断を非常に喜んでいます。

生活上の不便さは増しますし、吸痰されることも楽ではありせんが、なによりも安全は確保されます。
ということは、将来●さんやいろいろな方達と手をつなぐ、次世代患者のリーダーの安全が確保されるからです。
ーーーにある○さんが次にどんな動きをとるか、注目されていることでしょう。

少なくても私たちGroup ALS Silk Road.は、○さんになにか協力のご依頼をいただければ、微力ながらお手伝いさせて頂きます。
宜しくお願いします。話が脱線してご免なさい。また、メールします。【舩後】

−−−
ご参考頂ければ幸いです。(全記:舩後)

Repository of the past topics...

Back Home Next