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神経心理学の道しるべ














本書は神経心理学の入門書である。社会心理学、臨床心理学なら聞いたことがあるが、神経心理学なんて初耳だという人が多いかも知れない。町の本屋さん、あるいは図書館などでも余程大きな所でないと神経心理学書、特にその入門書を見つける事は出来ない。と書くと、神経心理学は非常にマイナーな心理学、あるいは一般の人々とは余り縁のない心理学と思われるかも知れない。しかし、神経心理学に関する国際的な専門学術雑誌は30誌を超える。心理学の諸領域の中では飛び抜けて多い。日本語の専門学術雑誌も2誌ある。これも他の領域では例を見ない。神経心理学はマイナーな心理学ではない。また、神経心理学の主要な研究テーマの一つに認知症がある。現代社会において非常に重要な問題であり、多くの人々にとって大変関心がある話題であろう。神経心理学は一般の人々とは縁のない心理学でもない。それでは何故神経心理学の入門書は少ないのか。神経心理学を学ぶためには神経系の構造と機能、および神経疾患に関する相当の予備知識が必要である。神経心理学の入門書を書こうとすると、本文に入る前に神経系の構造と機能、および神経疾患に関する詳しい説明を書かなければならず、結果として相当大部の本、すなわち値段の高い本になってしまう。多くの出版社はその発行をしぶる事になる。これが神経心理学の入門書の少ない理由である。
前述のごとく、神経心理学は心理学の諸領域の中で最も研究活動が活発な領域の一つである。神経心理学の研究テーマは社会的にも重要な問題を含んでいる。このような点に鑑み、私は一般の人々も神経心理学について関心を持ってもらうべきであると考え、1991年に「脳の心理学:臨床神経心理学入門」を出版した。定価は4,200円とやはり心理学の入門書としてはかなり高価になってしまったが、値段の割にはよく売れたようで、数年で売り切れてしまった。
インターネット上で見ると、現在でも「脳の心理学:臨床神経心理学入門」はそれなりに評価されているようであるが、出版して20年さすがに古くなった。特にCT、MRI、PETなどの画像解析研究についてほとんど触れられていない点は致命的である。第一、絶版であるので、古本市場でしか入手出来ない。そこで「脳の心理学:臨床神経心理学入門」を改訂する事にした。それがこの「神経心理学の道しるべ」である。ご覧のごとく、大変大部である。単行本として発売するならば、かなり高額な本となる事は明らかである。そこで、多くの方々に読んで頂けるよう、インターネット上に公開することにした。外国語は出来るだけ使用せず、専門用語には注で説明を加えるようにした。本書が神経心理学を学ぶ上で少しでもお役にたてば幸いである。

2011年 11月

島田 睦雄

E-Mail:mshima0205@yahoo.co.jp





概  要(contents.pdf へのリンク

第T部  総論

  第1章 序説chap1.pdf へのリンク)
      第2章 神経心理学の方法(chap2.pdf へのリンク
  第3章 高次脳機能の解剖学的基礎
chap3.pdf へのリンク)
  第4章 高次脳機能の生理学的基礎
chap4.pdf へのリンク)
  第5章 高次脳機能の分子生物学的基礎chap5.pdf へのリンク)

第U部  神経心理学的症状
  第6章 失語ならびに関連症状
chap6.pdf へのリンク)
  第7章 失読と失書
chap7.pdf へのリンク)
  第8章 失行ならびに関連症状
chap8.pdf へのリンク)
  第9章 失認ならびに関連症状
chap9.pdf へのリンク)
  第10章 数処理ならびに計算の障害
chap10.pdf へのリンク)
  第11章 記憶障害ならびに関連症状
chap11.pdf へのリンク)
  第12章 離断症候群
chap12.pdf へのリンク)


第V部  認知症ならびに関連症状
  第13章 アルツハイマー型認知症
chap13.pdf へのリンク)
  第14章 血管性認知症
chap14.pdf へのリンク)
  第15章 アルファ・シヌクレイン病
chap15.pdf へのリンク)
  第16章 タウ病
chap16.pdf へのリンク)
  第17章 ハンチントン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病
chap17.pdf へのリンク)
  第18章 認知症関連症状
chap18.pdf へのリンク)

第W部  前頭葉
  第19章 前頭葉の症候学chap19.pdf へのリンク)
  第20章 前頭葉症状chap20.pdf へのリンク)
  第21章 作業記憶
chap21.pdf へのリンク)
  第22章 遂行機能
chap22.pdf へのリンク)

主要引用・参考文献
references.pdf へのリンク)