ローマ帝国史略


一行も読まずに本の中身に文句を言ってみる

 前々から気になっていた30ポイントで読み解く「ローマ帝国衰亡史」(金森誠也 PHP文庫)を購入しちゃいました。
 世間の評価とか知らないですし、中身もまだじっくり読んでないんですが、これはどこに出しても恥ずかしくない、正真正銘のトンデモ本だと断言しちゃいます。
 目次をぱらぱらと見ると分かるのが、これはギボンのローマ帝国衰亡史を一冊の文庫にまとめて、普通の人にも分かりやすくローマ史を紹介するというコンセプトで、作られた本だということです。まあ、ギボンの大著(分厚い筑摩文庫版で全10巻)を文庫本一冊に省略するとか、無茶だろうとかいうツッコミもあるんですが、問題はそういう所ではありません。
 この本のトンデモ具合は、目次のタイトルを羅列してみると一目瞭然です。

 1  最初のローマ帝国はどれほど大きかったのか
 2  地中海のカルタゴの戦争はどうしておきたのか
 3  ローマは天才戦略家ハンニバルと、どう戦ったのか
 4  どうしてアフリカを手中にできたのか
 5  なぜ周辺民族や奴隷の反乱が多かったのか
 6  カエサルはどのようにガリア征服を成功させたか
 7  クレオパトラは、なぜカエサルを選んだのか
 8  カエサルは、なぜ暗殺されたのか
 9  なぜクレオパトラとアントニウスは結ばれたのか
 10 初代皇帝アウグストゥスの功績とは何であったか
 11 ネロの登場までのローマ帝国はどんな様子だったか
 12 ネロが暴帝になった原因は何か
 13 どうしてキリスト教はローマの国教になったのか
 14 ローマ時代は象徴する「パンと見せ物」とは何か
 15 帝国最大の版図を獲得した五賢帝の時代
 16 コンモドゥス帝はどうして残忍になったのか
 17 ローマ軍はゴート軍とどう戦ったのか
 18 ローマ軍が大敗を喫したエデッサの戦いとは
 19 三十人といわれるほど僭帝が出現した理由は何か
 20 なぜディオクレティアヌス帝は、帝国を四分割したのか
 21 首都をコンスタンティノポリスに遷したわけは
 22 西ローマと東ローマはどこが違うのか
 23 ゲルマン民族の大移動はなぜ起きたか
 24 なぜゴート族はローマを侵略したのか
 25 なぜユスティニアヌス帝は「最後のローマ皇帝」といわれるのか
 26 美貌の皇妃テオドラの功罪とは
 27 ローマを争乱に陥らせた緑党と青党の闘いとは
 28 イスラム教はなぜ急速に発展したのか
 29 ビザンティン帝国とは何か
 30 コンスタンティノポリスはいかに陥落したのか

 さて、どこがトンデモか分かりますでしょうか?この目次を眺めても、違和感を感じない人もいると思うんですが、ローマ史に多少なりとも関心がある人は目を疑うような項目がずらりと並んでいます。
 実はギボンのローマ帝国衰亡史は、五賢帝時代から記述始まっているんですよね。だから、カルタゴがどうとか、カエサルだとか、アントニウスとクレオパトラなどというキーワードが、出てくること自体が間違ってるのです。しかも、そういうギボンの著書に出てこない時代の記述だけで、わずか300ページほどしかない文庫本の半分を占有しているという豪快さ。いやね、ローマ史に詳しくない人向けに、五賢帝時代以前のローマ史を紹介するのも悪くないと思うんですけど、ここまでの分量を占有してるとはあんまりです。
 しかも、ユスティニアヌス1世に関する項目の後、端折りまくっていきなしコンスタンティノポリスの陥落にまでワープしているのを見るにつけ、もしかしてこの監修者の金森氏はローマ帝国衰亡史を途中で読むの止めたんじゃという疑惑が・・・。ちなみに、筑摩文庫版だとユスティニアヌス1世について書かれているのが6巻で、コンスタンティノポリスの陥落について書かれているのが最終巻の10巻ですからねー。まさかとは思うんですが。

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