ローマ帝国史略


半身を奪われて

 フン族の侵攻からは、辛うじてローマは守られた。しかし、アエティウスとヴァレンティニアヌス3世の相次ぐ死は、風前の灯火だった西帝国の命運を決してしまった。
 ヴァレンティニアヌス3世の寡婦エウドクシアは、簒奪者マクシムスから逃れるために、ヴァンダル王ガイセリックに救援を求めた。好機と見て取ったガイセリックの行動は早かった。地中海を渡りローマに進軍、教皇レオ1世の説得も虚しく、ローマは2度目の蛮族の略奪を受け、エウドクシアはテオドシウス家の血を引く娘達と共にアフリカへ連れ去られた。
 以降の西帝国は悲惨なものだった。皇帝と呼ぶのも惨めな傀儡皇帝達。“キングメーカー”リキメールとコンスタンティノポリス宮廷の駆け引きの中で、名ばかりの皇帝達の即位と廃位が繰り返された。
 アンテミウスの悲劇的な廃位を断行し、西ローマ帝国復興の最後の機会を自ら放棄したリキメールの死後、もはや西のローマ帝国の存在意義は失われた。オドアケルは最後の西ローマ皇帝ロムルス・アウグストゥルスの廃位を決定し、東ローマ皇帝ゼノンへ帝位を返還したのである。
 永遠のローマは失われた。


 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

マルキアヌス帝
450〜457

 アスパル配下の部将。テオドシウス2世時代にはアフリカ遠征に従軍し、ガイセリックの捕虜になったこともある。
 先帝テオドシウス2世の死後、プルケリアとの形式的な結婚により、当初はプルケリアの傀儡として、その後は名実共に皇帝として即位した。
 テオドシウス2世がフン族に対して行っていた貢納を停止し、フン族の西帝国侵攻を誘発。ヴァレンティニアヌス3世死後のヴァンダル族のローマ市占領を黙殺。もっぱら、自国の安全のみを確保した。
 ヴァレンティニアヌス3世とマルキアヌスの死により、テオドシウス朝は断絶した。(厳密に言えばマルキアヌスもテオドシウス1世との血縁関係はない)
 マルキアヌスのフン族、ヴァンダル族に対しての、消極的姿勢は西帝国の生き残る道を断ち切ってしまった。以降、ユスティニアヌス1世の再征服まで、東ローマ帝国は守勢に徹することになる。

同時代人

人    物    評

プルケリア  先帝テオドシウス2世の姉。一時、女帝(アウグスタ)として、帝位に就くが、マルキアヌスと結婚しマルキアヌスに紫衣を与えた。プルケリアの病死後、マルキアヌスは単独皇帝となる。
アスパル  プルケリアのマルキアヌス擁立に協力。ガイセリックと密約を結びアフリカのヴァンダル族の独立を黙認した。マルキアヌスの死後、帝位継承者候補の一人となったが、キリスト教正統派を信仰していなかったため候補からは外され、代わりに自らの傀儡としてレオを帝位に就けた。
アッティラ  フン王。テオドシウス2世の時代同様に、マルキアヌスに貢納を要求するが、拒絶される。フン族はその後西帝国に矛先を向けた。
ガイセリック  ヴァンダル王。アフリカに独立王国を建設する。アスパルを通して、東ローマ帝国のアフリカ侵攻を阻止した。東帝国の中立を確保した上で、ローマに進軍しローマ占領事件を引き起こした。
レオ  トラキア出身の部将。マルキアヌスの死後、アスパルの傀儡として帝位を授けられる。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

マクシムス帝
455

 名門貴族出身の元老院議員。おそらくはヴァレンティニアヌス3世暗殺犯の一味。元老院の承認の元、ローマで皇帝に即位。
 ヴァレンティニアヌス3世の寡婦エウドクシアと結婚することで、帝位の正当性を強化しようとしたが、エウドクシアは、こともあろうに仇敵であるヴァンダル王ガイセリックに窮状を訴え保護を求めた。
 ガイセリック軍がローマに迫ると、逃亡を図ったが、暴徒化した兵士に捕らえられ殺害され、僅か3ヶ月の帝位は終わりを告げた。 

同時代人

人    物    評

ガイセリック  ヴァンダル王。エウドクシアの要請に応え、地中海を渡りローマへ進軍。教皇レオ1世の説得にも動じることなく、2週間に渡ってローマを略奪し、西ローマ帝国の権威を決定的に失墜させた。
レオ1世  ローマ教皇。ガイセリックのローマ占領を思いとどまらせる為に、単身ガイセリックと会見するが失敗した。
エウドクシア  先帝ヴァレンティニアヌス3世の未亡人。東ローマ皇帝テオドシウス2世の娘でもある。マクシムスとの結婚を迫られ、これを回避するためにヴァンダル王ガイセリックに助けを求め、ローマ占領事件を引き起こした。エウドクシア自身も2人の娘と共にアフリカへ連れ去られてしまう。
マルキアヌス  東ローマ皇帝。ヴァンダル族のローマ占領事件を静観。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

アヴィトゥス帝
455〜456

 アエティウス配下の部将。ガリアに於いて西ゴート族と軍務に当たっていた。
 マクシムス帝の死とそれに続くヴァンダル族のローマ市占領によってもたらされた政治的空白を利用し、西ゴート王テオドリック2世の支援の元、皇帝即位を宣言した。
 アヴィトゥス自身はローマに滞在したが、テオドリック2世はイスパニアの対スエビ族の軍事行動を展開した為、麾下の兵力は手薄になってしまった。軍司令官リキメールがヴァンダル戦の軍功を背景に退位を迫ると、これに抗しきれず退位に同意しガリアに流され、現地で殺害された。

同時代人

人    物    評

テオドリック2世  西ゴート王。アヴィトゥスを皇帝に擁立。イスパニアに勢力を伸ばしたが、その間にアヴィトゥスの帝位は失われた。
レキアリウス  スエビ王。ヴァレンティニアヌス3世死後の混乱に乗じて、イスパニア各地に軍を派遣したが、テオドリック2世に率いられた西ゴート族に阻止された。
リキメール  蛮族出身の軍司令官。ヴァンダル族の海賊を討伐したことによって、自らの勢力を築きアヴィトゥス帝を退位させた。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

レオ1世帝
457〜474

 トラキア出身の傭兵として出世し、マルキアヌスの死に際し、アスパルによって帝位を与えられた。その際に司祭によって帝冠を授けられ、以降のローマ皇帝にもその習慣は受け継がれた。
 即位当初はアスパルの傀儡だったが、ゼノンを初めとするイサウリア人を自らの派閥として、積極的に登用し次第に自立。実権を失ったアスパルは最終的にヴァンダル族との内通を理由に暗殺された。
 崩壊寸前の西ローマ帝国に対しては、当初はマルキアヌス同様、自領内の安全を確保するだけに勤め、静観していたが、リキメールの要請により、アンテミウスを西皇帝として派遣。皇后ウェリナの弟バシリスクスにヴァンダル族討伐を命じたが、海戦に大敗しシチリアを奪われた上に、リキメールの裏切りによってアンテミウスは殺害された。重ねてウェリナの遠縁のユリウス・ネポスを送り込み、西ローマ帝国への干渉を続けた。
 ユスティニアヌス1世の再征服の土台を築いた名君。しかし、もはや西ローマ帝国の救援は完全に手遅れとなっていた。

レオ2世帝
474

 レオ1世の娘アリアドネとゼノンの息子。幼年にして帝位に就くも、まもなく在位7ヶ月で病死した。既に副帝として摂政を勤めていたゼノンに帝位は移る。

同時代人

人    物    評

アスパル  マルキアヌスの死に際し、自らの傀儡としてレオ1世を擁立。実権を握ったレオ1世に対抗するため、ヴァンダル王ガイセリックに近づいたためレオ1世に暗殺された。
アルダブリウス  アスパルの子。アスパルと共に謀殺された。
ウェリナ  レオ1世の皇后。バシリスクスの姉。
バシリスクス  ウェリナの弟。西皇帝アンテミウスのアフリカ遠征に呼応したヴァンダル族討伐を任されるが失敗。ヴァンダル族にシチリア島を奪われる。
ゼノン  ゴート族らゲルマン人傭兵に対抗するために抜擢されたイサウリア人。レオ1世の信任は厚く、皇女アリアドネと結婚し、レオ1世の死後は息子レオ2世を補佐した。
アリアドネ  レオ1世の皇女。ゼノンとの間にレオ2世を産む。レオ2世が夭折すると、ゼノンを帝位に就けた。
リキメール  西ローマ帝国の実質的な支配者。マヨリアヌス、セヴェルスを擁立したが、ヴァンダル王ガイセリックの圧力により、東帝国の救援を得るためにアンテミウスを西皇帝として迎えた。しかし、バシリスクス率いる東ローマ海軍は惨敗を喫し、アンテミウスと対立を深めた結果、オリュブリウスをあらたな皇帝に擁立しアンテミウスを殺害した。
ガイセリック  ヴァンダル王。ヴァレンティニアヌス3世の未亡人エウドクシアとその娘をローマより連れ去り、テオドシウス家との姻戚関係を強弁。西帝国を圧迫する。
マヨリアヌス  西ローマ皇帝。レオ1世は帝位を承認せず。
セヴェルス  西ローマ皇帝。リキメールの再三の要請にもレオ1世は帝位を承認しなかった。
アンテミウス  テオドシウス2世の功臣アンテミウスの孫。本来は東帝国の帝位継承者の一人。東帝国の援軍を欲する、リキメールの要請により西ローマ皇帝としてイタリアで即位するが、リキメールと対立し内乱の末謀殺された。
ユリウス・ネポス  ダルマティア領主。ウェリナの遠縁。アンテミウス、グリュケリウスの死により空位となった、西ローマ帝位を確保するため、レオ1世がラヴェンナに送り込んだ。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

マヨリアヌス帝
457〜461

 アエティウス配下の部将。ヴァレンティニアヌス3世時代には左遷されていたが、アエティウスの死後イタリアで軍功を重ねた。アヴィトゥスを退位させたリキメールによって皇帝に擁立された。
 滅亡寸前の西ローマ帝国が生き残る為の最後の改革に取り組み、政治軍事ともに成果を挙げた。
 しかし宿敵ヴァンダル族に対する遠征に失敗し、イタリアに帰還したところをリキメールに捕らえられ、退位を強要された上で殺害された。
 最後の有能な西ローマ皇帝だったが、一人の皇帝の力ではどうすることも出来なかった。アフリカを喪失する前であれば、西ローマ帝国の建て直しも可能だったかもしれない。

同時代人

人    物    評

リキメール  アヴィトゥスの退位により空位となった帝座にマヨリアヌスを就けたが、マヨリアヌスはリキメールの傀儡であることにとどまらなかった。その為マヨリアヌスのアフリカ遠征失敗を機会にマヨリアヌスを粛正した。
ガイセリック  マヨリアヌスの遠征を食い止め、西ローマと和議を結ぶ。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

セヴェルス(3世)帝
461〜465

 マヨリアヌスの死後、リキメールが擁立した傀儡皇帝。皇帝に相応しい扱いを受けることなく、おそらくは毒殺された。東ローマからは皇帝としては認められていない。
 セヴェルスの死後、西ローマ帝位は一時、空位となる。

同時代人

人    物    評

リキメール  マヨリアヌス帝の暴走を反省し完全な傀儡としてセヴェルスを擁立する。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

アンテミウス帝
467〜472

 リキメールと東ローマ皇帝レオ1世の密約により、擁立されたこの時代では珍しい、”正統な”皇帝。アルカディウス、テオドシウス2世の忠臣アンテミウスの孫にあたる。
 リキメールと縁組みし、ヴァンダル族との決戦を挑んだ。しかし、バシリスクス率いる東ローマ海軍はガイセリックに惨敗。シチリア島を奪われた。
 また、エウリックが西ゴート王となると、エウリックはローマからの自立を宣言。ガリア、イスパニアの各地を制圧し、イタリア以北のローマ領はほぼ失われた。
 リキメールと次第に対立を深め、ガイセリックと結んだリキメールとローマ市を舞台に内戦を展開。リキメール軍に捕らえられ惨殺された。

同時代人

人    物    評

リキメール  ガイセリックの脅威から、東ローマ皇帝レオ1世との交渉によりアンテミウスを西皇帝位に擁立。自らもアンテミウスの娘と姻戚関係を結んだ。しかし、バシリスクスがヴァンダル族に破れ、東ローマ帝国の影響力が失われると、オリュブリウスを皇帝に擁立し、アンテミウスを殺害した。
レオ1世  東ローマ皇帝。アンテミウスを西ローマ皇帝に就け、アフリカ奪回の軍を起こす。
バシリスクス  東ローマの海軍を率いてアフリカに侵攻。一時、サルディニア島を奪回するも、ガイセリックの反撃により敗北した。ガイセリックから賄賂を受け取ったとの醜聞もある。
ガイセリック  ヴァンダル王。東西ローマ帝国のアフリカ侵攻を撃退。リキメールに圧力を加えてアンテミウスの失脚を画策する。
エウリック  西ゴート王。狂信的なアリウス教徒。兄テオドリック2世を暗殺し、王位を簒奪。ローマ帝国からの独立を宣言し、ガリア、イスパニアを制圧した。(西ゴート王国の成立)
オリュブリウス  コンスタンティノポリスの元老院議員。アンテミウスに対抗して、ガイセリックとリキメールによって皇帝に擁立される。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

オリュブリウス帝
472

 コンスタンティノポリスの元老院議員。ヴァレンティニアヌス3世の娘プラキディアを妻としている。プラキディアは一時アフリカに連れ去られていたため、セヴェルス時代にはガイセリックが帝位継承者と見なしたこともある。
 アンテミウスとの対立とガイセリックの圧力によって、リキメールに皇帝に指名され、イタリアに赴いた。オリュブリウス・リキメールとアンテミウスとの内乱によりローマ市は壊滅状態となる。
 アンテミウスの死により、西の単独皇帝となるが、リキメールと共にまもなく病死した。

同時代人

人    物    評

リキメール  アンテミウスを殺害し、オリュブリウスを帝位に就けるが、まもなく病死した。
グントバト  ブルグント族の王族。リキメールの甥に当たる。リキメールの死後、権力を継承。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

グリュケリウス帝
473〜474

 グントバトに皇帝に擁立された軍人。
 ユリウス・ネポスが帝位を奪うためにイタリアに侵入すると、グントバトがガリアに帰還したため、庇護者を失い、退位しサロナ司教となった。
 後にユリウス・ネポスを暗殺したとも言われている。

同時代人

人    物    評

グントバト  ブルグント族の王族。リキメールの死後、西ローマ帝国の実験を握り、グリュケリウスを皇帝に擁立した。ユリウス・ネポスがイタリアに侵入すると、グリュケリウスを見捨てて、ガリアへ帰還した。ブルグント族内の王位争いが原因とも言われている。
ユリウス・ネポス  ダルマティア領主。レオ1世により、西皇帝位を宣言しイタリアに侵入する。
レオ1世  東ローマ皇帝。ユリウス・ネポスをイタリアに派遣する。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

ユリウス・ネポス帝
474〜475

 東ローマ皇帝レオ1世の皇后ウェリナの親族。アンテミウス帝、オリュブリウス帝の死により空位となった西皇帝位を確保するため、レオ1世に送り込まれた。
 グントバトに見放されたグリュケリウスを追放し、ラヴェンナで即位する。ガリアの西ゴート族と和平を結び、イタリア以北の国境を確定した。
 オレステスの率いる、蛮族傭兵の反乱軍がラヴェンナに迫ると、ダルマティアへ撤退。以降も名目上はローマ皇帝を名乗っていた。

同時代人

人    物    評

レオ1世  東ローマ皇帝。ユリウス・ネポスをイタリアに派遣した。
ゼノン  東ローマ皇帝。バシリスクスとの内乱のため、ユリウス・ネポスの救援には失敗。
オレステス  スキラエ族。アッティラの秘書官を勤めていたが、アッティラの死後西帝国に帰属。ユリウス・ネポスの元でも軍司令官を勤めたが、突如ラヴェンナを強襲し、ユリウス・ネポスをダルマティアへ追放した。息子ロムルスを帝位に就けた。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

ゼノン帝
474〜491

 イサウリア傭兵。イサウリア人としての本名はタラコシデッサ。アスパルへの対抗勢力として、レオ1世に重用され、レオ1世の娘アリアドネを妻とし、息子レオ2世の副帝(カエサル)となった。レオ2世の死後、共治帝だったゼノンに帝位は移った。
 レオ1世の皇后ウェリナとバシリスクスのクーデターにより一時コンスタンティノポリスより亡命。まもなく、挽回し帝位を回復し、バシリスクスを処刑した。
 バシリスクスとの内乱の為に西ローマの内紛に介入できず、ユリウス・ネポスは追放され、その後オドアケルによって西皇帝位は廃され、名目上ゼノンは単独皇帝となった。
 一時はオドアケルをイタリア王と認めたが、領内の東ゴート族を討伐軍としてイタリアに派遣。テオドリック率いるゴート軍はゼノンの承認の元オドアケルを殺し、東ゴート王国を建国した。
 レオ1世に続く、安定政権。東ゴート族のイタリアへの移動により、東ローマ領内のゲルマン勢力はほぼ一掃された。

同時代人

人    物    評

アリアドネ  レオ1世の皇女。夫ゼノンを帝位に就ける。ゼノンの死後はアナスタシウスと結婚し帝位はアナスタシウスへと継承された。
ウェリナ  レオ1世の未亡人。弟バシリスクスとクーデターを起こし、宮廷を掌握するも、ゼノンの復位により、東方へ逃亡。現地でマルキアヌスに反乱を起こさせる。
バシリスクス  ウェリナと共謀し、クーデターを起こす。一時はゼノンはイサウリアに亡命し、帝位を手中に収めた。しかし、ゼノンの巻き返しで帝位は奪われ処刑された。一般的には僭帝として扱われるが、正当な皇帝とされるケースもある。
アナスタシウス  親衛隊員。ゼノンの死後、アリアドネと形式的に結婚し、帝位を与えられる。
イルルス  イサウリア人の部将。バシリスクスの帝位簒奪に協力したが、後にゼノンに寝返った。マルキアヌスの反乱鎮圧後、ゼノンの帝位を脅かす存在としてイルルスはローマ軍の攻撃を受けて敗死した。
マルキアヌス  先帝レオ1世の娘レオンティアの夫。バシリスクスの擁立に失敗した、ウェリナ、テオドリック・ストラボと同盟を結んで帝位を主張。バルカン半島へ軍を進めたが敗死した。
テオドリック・ストラボ  東ゴートの王族。テオドリック(1世)とゴート族の首長の座を巡って東帝国内で内戦を展開。ゼノンは両者を争わせ、均衡を保とうとしたようであるが、テオドリック・ストラボは病死し、テオドリックの元に東ゴート族は統合された。
テオドリック1世  東ゴート王。ゴート族の名門アマリ家の血筋を引く。オドアケル追い落としをゼノンに命じられイタリアに進軍。オドアケルをだまし討ちの末に殺害。ゼノンの承認の元に東ゴート王国を建国した。
オドアケル  イタリア王。ロムルス・アウグストゥルスを西帝国の帝座から追放し、イタリアの領有をゼノンに承認させた。しかし、東ゴート族の勢力増大を恐れたゼノンがイタリア領有をも企図してテオドリックをイタリアに派遣。戦況はオドアケルに不利に動き、イタリアをテオドリックと共同統治するとの約束を信じ、会談に挑んだがテオドリックに謀殺された。
ユリウス・ネポス  西ローマ皇帝。オレステスに敗北した後も、ダルマティアで皇帝位を主張。オドアケルと妥協したゼノンに見捨てられ、最後はグリュケリウスに暗殺された。

 

皇 帝 名

皇  帝  評

政治
能力
軍事
能力
業績

ロムルス・アウグストゥルス帝
475〜476

 最後の西ローマ皇帝。一般的にはこの皇帝の退位によって西ローマ帝国の滅亡とする。ギボンのローマ帝国衰亡史も、ここで一端筆を置いている。
 ユリウス・ネポスを追放したオレステスの子。幼少で一切の権限はオレステスにあった。東ローマ皇帝ゼノンの支持するユリウス・ネポス帝もダルマティアにおいて形式的には皇帝として健在だった。
 即位後間もなく、オドアケルを首隗とする、ゲルマン人傭兵の反乱によりオレステスは殺された。オドアケルはロムルスに退位を迫り、以降ロムルスは隠居生活を送ったとされる。
 ちなみにアウグストゥルスとはアウグストゥス(正帝)に対する蔑称。(小皇帝とか皇帝ちゃんというような意味)
 オドアケルは西ローマ帝国に皇帝は不用であるとし、東ローマ皇帝ゼノンに帝位を返還した。 ゼノンもオドアケルのイタリア支配を承認し、西ローマ帝国は消滅した。

同時代人

人    物    評

オレステス  ロムルス帝の父親。オドアケルを首班とするゲルマン人傭兵が、イタリアの土地の1/3を要求するとこれを拒絶。オドアケルは反乱を起こしオレステスは殺害された。
オドアケル  ゲルマン人の傭兵を率いて反乱を起こし、オレステスを殺害。ロムルス帝を退位させた。東ローマ皇帝ゼノンとの交渉により、イタリアの支配権を獲得。ヴァンダル族から外交によってシチリア島をネポスの死後はダルマティアを占領した。
ゼノン  東ローマ皇帝。ユリウス・ネポスを西皇帝として支援していたが、オドアケルにパトリキウスの称号を与えた。ユリウス・ネポスの死後はオドアケルにダルマティアの領有も認めた。
ユリウス・ネポス  元西ローマ皇帝。ゼノンのオドアケルのイタリア支配承認により、東帝国の支持を失い、グリュケリウスに暗殺された。
クローヴィス1世  フランク王。最後のローマ人領主シアグリウスを滅ぼし、西方世界におけるローマ領は喪失した。

 

 

ローマ帝国史略

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