反論書
平成15年第31号事件
反論書
2004年(平成16年)7月29日
公害健康被害補償不服審査会
会長 大西 孝夫 様
処分庁 熊本県知事 潮 谷 義 子

審査請求人       面木 學
上記代理人   弁護士   松本健男
      大野康平
      小野田 学
      大川一夫
      田中泰雄
      中島俊則
      永嶋里枝
 処分庁の判断(弁明)の根拠にはいわゆる52年判断条件が存在する。
  しかし、52年判断条件には、医学的根拠はなく科学的な水俣病の判断基準とはいえない。このことは以下にのべる事実から明らかである。

第1   度重なる司法判断による52年判断条件に対する批判
1    福岡高判 60.8.16(判例時報 1163号27頁)
  水俣病の病像は前叙のように典型的なハンターラッセル症候群ないしこれに準ずる病像を備えたものだけにとどまらず、極めて軽微で症状の把握も困難な慢性不全型にまで及んでいることが次第に明らかになり、水俣病の病像は極めて広範囲のものとなった。・・・したがって、52年判断条件は前叙のような広範囲の水俣病像の水俣病患者を網羅的に認定するための要件としてはいささか厳格に失しているというべきである。
2    熊本地判 61.3.27(判例時報 1185号59頁)
  汚染海域沿岸の住民の疾病が、水俣病に発現する多様な症状のいずれかの症状と同一症状を示している場合、右疾病が水俣病か否かを判断するのに最も重要かつ決定的な要素は、(1) メチル水銀曝露の事実の存否であり、メチル水銀曝露の事実は、毛髪水銀を測定すれば端的にその根拠となり得るが(この点は、当事者間に争いがない。)、右測定結果を得ていない場合は、居住歴、生活歴、職歴及び家族、同僚、知人、付近住民等の水俣病罹患の有無などの事実調査による疫学的見地からメチル水銀曝露の事実の疫学的因果関係の存否を明らかにし、メチル水銀曝露の事実の疫学的因果関係が肯定されれば、次に、(2) メチル水銀の汚染海域の沿岸の居住する住民の発現する症状が、水俣病に発現する症状と同一症状であるか否かを判断し、同一症状である場合、専ら水俣病以外の疾病に基づくものであることが明らかである場合を除いて、水俣病に起因するものであることは否定できない。
《略》
  そうすると、水俣病か否かの判断には被告らが主張する昭和52年7月1日付環境庁企画調整局環境保健部長通知のような各種症候の組合わせを必要とする見解は狭きに失するものというべく、右組合わせを要件とすれば、単に神経精神科、内科、眼科、耳鼻咽喉科等の各専門分野において、疫学的因果関係を軽視若しくは無視した各単科的医学的判断が示される傾向を招来し、疫学的因果関係の存否との有機性のない単科的医学的見解を無機的に集合したに過ぎないような結論を導き易い弊害が懸念され、さらに、右組合わせに含まれる特徴的症状を示さない慢性型若しくは不全型の水俣病に罹患しているか否かの判断をするのは、極めて困難とならざるをえない。
3   熊本地判 62.3.30
前項の熊本地判と同旨。
4    新潟地判 4.3.31(判例時報 1422号55頁)
  水俣病に罹患しながらも臨床所見として把握できる主要神経症候が感覚障害のみである場合が存在する。そして水俣病の症状としての感覚障害は、四肢末梢性感覚障害であることに、その特徴が存することは当事者間に争いがない。そこで、四肢末梢性感覚障害が存在する原告について疫学条件が高度であると認められ、かつ四肢末梢性感覚障害について、罹患の可能性が指摘される他の疾患によるものでないことの鑑別ができる場合、あるいは罹患の可能性が指摘される他の疾患によるものである可能性が極めて低い場合には、その感覚障害は水俣病によるものと推認できる。
5    熊本地判 5.3.25(判例時報 1455号56頁)
  四肢末梢優位の感覚障害は有機水銀中毒の場合に生ずる主要症候であり、新潟における例でも他の症状と比較して極めて発現頻度が高いものであるから、発症闘値を超えるメチル水銀を体内に蓄積したと一応推認できる者について、四肢末梢優位の感覚障害が認められる場合には、剖検結果で大脳及び小脳に特徴的な病変が認められない場合及び感覚障害が他の疾患によるものであることが明らかな場合を除いて、その者の有する健康障害は有機水銀の影響によるものであると認めるのが相当である。
6    京都地判 5.11.26(判例時報 1476号82頁)
  前示のとおり、水俣病においては感覚障害しか呈さない症例も存することが認められること、昭和52年判断条件は、認定申請者が語る魚介類の喫食状況等からは個々人のメチル水銀の曝露量を推し量ることができないとの前提の下で、専ら臨床症状をもとに水俣病の判断を医学的に行なおうとする意図に基づくものであると認められるところ、後述するように原告らのメチル水銀汚染の濃淡は有機水銀の曝露に関する事実からも推認することが可能であり、水俣病の判断を専ら臨床症状のみに依拠して行なうことは相当でないことからすると、昭和52年判断条件をして水俣病の判断における医学的最低基準であるということは相当ではなく、被告らの右主張は採用することはできない。
  以上からすると、原告らの水俣病罹患の有無の判断は、ここにおける有機水銀の曝露経験及び曝露の程度並びに臨床症状の内容、経過、程度等を総合的に検討し、メチル水銀の曝露経験を有し、その曝露の程度が高度であると認められる者であって、少なくとも四肢に末梢優位の感覚障害が認められ、その症状が他の疾患に起因すると考えるのが合理的であるとまで認められない場合は、その者は水俣病に罹患していると判断するのが相当である。
     
第2    いわゆる水俣病関西訴訟の大阪高裁での審理において原告患者らは、52年判断条件及び昭和60年10月15日の水俣病の判断条件に関する医学専門家会議の意見についていずれもその内容の正当性・合理性を検証できる具体的根拠が示されておらず、医学的根拠に基づく正当なものとはいえないことを立証するため1997年7月、環境庁に対する調査嘱託の申立を行なった。
  調査嘱託の結果が平成10年3月19日付の環境庁企画調整局長岡田康彦名義の「調査嘱託について」と題する報告である。この報告は原告患者らの立証事項を裏付ける結果となっている。すなわち、52年判断条件作成のために行なわれた水俣病認定検討会の会議録は作成されておらず、検討資料についても確認できなかったという。調査嘱託事項として「4 例えば、熊本・鹿児島・新潟におけるいつからいつまでの何名の認定者の審査会資料」を検討したかという点についても具体的に回答しておらず、具体的資料・データに基づく検討が行われたかどうか極めて疑わしい。
  また、52年判断条件は委員全員の総意をもって作成されたと回答しているが、その根拠となる各委員の医学研究の結果(論文など)も全く示すことができない結果となっている。
  医学専門家会議についても、会議録は作成されておらず、その内容の正当性を検証できない結果となっている。この会議については資料として、議事次第、出席者名簿、委員名簿、議事次第、検討事項と題する各書面、46年旧次官通知、52年判断条件、新次官通知のほか13点の医学文献が添付されているが、調査嘱託事項の「5 意見にある『四肢の感覚障害のみでは水俣病である蓋然性が低く、その症候が水俣病であると判断することは医学的に無理がある』とする医学的根拠となる論文、データは何か」についての関連が明らかでなく、右5項についての明示的な回答がなされていない結果となっており、環境庁は具体的根拠を示し得ていないのである。
  ところで添付されている文献は次のものであるが、これらが医学専門家会議の意見をいかにして根拠づけることになるか、到底理解できない内容となっている。
     
  1. 水俣病の臨床 徳臣晴比古 いわゆる赤本の抜すい
  2.  
  3. 長期経過した水俣病の臨床的研究 原田正純 精神神経誌 1972年
  4.  
  5. 新潟水俣病の疫学と臨床―とくに第2回一斉検診と臨床症状の推移について―白川健一ら 神経進歩 1972年10月
  6.  
  7. 水俣病の臨床 徳臣・岡嶋 神経進歩 1969年4月
  8.  
  9. 多変量解析による水俣病の診断 井形ら 神経進歩 1974年10月
  10.  
  11. 水俣病の診断に対する最近の問題点 椿忠雄 神経進歩 1974年
    10月
  12.  
  13. 有機水銀中毒後遺症動物の末梢神経 宮川ら
  14.  
  15. 人水俣病腓腹神経生検の電子顕微鏡的変化 武内ら 細胞 1976年
  16.  
  17. 最近の水俣病認定患者の臨床像について―感覚障害パターンを中心に―荒木ら
  18.  
  19. 水俣病の感覚障害―体性感覚誘発電位による検討― 出田透ら
  20.  
  21. 水俣病における末梢神経障害の客観的評価―腓腹神経病理所見の検討
    井形ら
  22.  
  23. ハンターラッセルらの論文(英文) 1940年
  24.  
  25. バキルらの論文(英文)サイエンス 1973年
  日本精神神経学会の検討によると、医学専門家会議の意見を支持する意見を書いている資料は、椿の文献(6.)のみであるが、そこに根拠となる具体的データは示されていない。他方、当該意見に否定的とも受け取れる資料は、白川らの「新潟水俣病の疫学と臨床」(3.)の一部分と、バキルらの文献(13.)である。そして、その他の文献は、当該意見の結論には関係しないものであった。従って、これらの参考とされた資料の中で、根拠をもって当該意見を支持する資料は無く、逆に当該意見に否定的データを含む資料が2つ示されたことになる。  大阪高裁の判決(13.4.27)自体も症状の組み合わせを求める52年判断条件を採用せず、独自の判断基準を定立している。
     
第3    岡山大学津田敏秀医師の意見
    津田は52年判断条件を支持する医学的データがなく、環境庁からの研究費で行なわれた研究に、曝露地域の調査が一つも見当たらないことは注目に値するとのべている。
  津田は52年判断条件の妥当性を疫学の方法論を用いて判断し、全く妥当性のないことを論証した。すなわち、「52年判断条件は一つの仮説である。しかし、現実のデータは仮説を全く支持していない。なぜなら52年判断条件が与える仮説が正しければ、認定患者や52年判断条件に合致して認定されるべき患者を除いた後は、曝露地域であっても四肢末梢性の感覚障害の有病割合は、被曝露地域とほぼ同じになるはずだからである。また蓋然性が半分で認定というのなら、曝露地域の認定されない四肢末梢性の感覚障害の有病割合は2倍未満に収まるべきである」として、52年判断条件では認定されないが四肢末梢性の感覚障害を持つ者を「問題となる症状」を持つ患者として具体的分析を行なっている。曝露群のデータとして、立津調査、藤野調査、原田調査、二宮調査を、非曝露群のデータとして熊本調査を用いて、曝露群において52年判断条件で認定されるであろう者を除いた後の四肢末梢性の感覚障害の有病割合と、非曝露群の四肢末梢性の感覚障害の有病割合を明示し、その二つの有病割合を用いて相対危険度を求めるという具体的作業を行なっている。そして曝露群の有病割合と非曝露群の有病割合の違いが、果たして2倍弱におさまるかを検証している。
  検証の結果は2倍弱におさまるどころか、その差は歴然としており、52年判断条件に科学的根拠のないことが実証された。すなわち、四肢末梢性の感覚障害は非曝露の人口集団においては、せいぜい1%程度、最も多数を検査した熊本調査では0.2%しかないのに対し、メチル水銀に濃厚に曝露したであろう地域では、認定患者や52年判断条件に合致して認定されるべきである患者を除いても、すべて10%以上の有病割合を示したのである。更に曝露群寄与危険度割合は、ほぼ前例で90%を超え、とりわけ水俣に近い地域では99%を超えている。これは、当該地域において四肢末梢性の感覚障害を呈する患者は99%以上は水俣を中心とした何らかの曝露による発症、つまりメチル水銀曝露による発症であることを示している。
     
第4    日本精神神経学会の見解
    日本精神神経学会は1902年に発足した伝統ある学会であり、現在約8500名の学会員を要する。日本神経学会は1960年にこの日本精神神経学会から独立してできた関係にある。
1   環境庁環境保健部長通知(昭和52年環保業第262号)「後天性水俣病の判断条件について」に対する見解 1998年9月19日
  日本精神神経学会・研究と人権問題委員会の結論は次のとおりである。
  (1) 52年判断条件の作成過程について調査したが、医学的根拠となり得る具体的データを見出すことはできなかった。
  (2) 52年判断条件に示された症候の組み合わせに基づく診断は、科学的に誤りである。
  (3) 高度の有機水銀曝露群においては、水俣病であって、水俣病にみられるとされている主要症候の中で四肢末梢に優位な感覚障害のみを有するように観察される者が、少なくとも10.1%の有病割合で存在する。
  (4) 高度の有機水銀曝露をうけた者であれば、四肢末梢に優位な感覚障害の存在をもって、水俣病であるとの診断を下すことが科学的に妥当である(水俣病であると誤って診断される可能性は無視できるレベルのものである)。
  具体的には立津研究のデータをもとに水俣地区と有明地区を比較し、「水俣病の症候があるが52年判断条件に基づくと水俣病と判断されない患者群」を分析すると有明地区に比して水俣地区において有機水銀に曝露することによって4.6倍神経症候が多く生じており、水俣地区で観察されたこれらの神経症候の78.1%は有機水銀曝露に起因するものであると推定される。したがって52年判断条件に示された症候の組み合わせに基づく判断は科学的に誤りであるというものである。
  ここで重要なことは、水俣地区の受診者は全員高度の有機水銀曝露をうけているものとみなし、有明地区の受診者は全員有機水銀曝露をうけていない者とみなしており、仮に水俣地区の受診者の中に高度の有機水銀曝露をうけていない者がいた場合や有明地区の受診者の中に有機水銀曝露をうけている者がいたとしても、それは、有機水銀曝露の影響は相対的に過小評価されることになり、疫学的推定による判断を誤らせるものではないということである。
  本見解はまた曝露群のデータとして立津調査、原田調査(福浦)、同(湯の口)を、非曝露群のデータとして長崎県調査と熊本調査をもとに、曝露群において四肢末梢優位の感覚障害のみを有するように観察される患者の有病割合を10.1%と推定し、曝露群寄与危険度割合を99.1%と算出している。
  これは、高度の有機水銀曝露をうけ、四肢末梢優位の感覚障害のみを有する者の集団1000人を考えてみると、この集団の内の水俣病患者数は991人程であり、非水俣病患者数(曝露がなくても当該症候を発症したであろう患者数)は9人ほどであるということであり、これほど明白な因果関係が示された例は他の公害問題において類例をみない。しかも、前記検討作業においては有機水銀曝露の影響は過小評価されているのである。
以上のとおり、日本精神神経学会の見解は52年判断条件に科学的根拠がないことを指摘するとともにメチル水銀曝露の事実があれば、四肢末端優位の感覚障害の存在により水俣病と診断できることを科学的に明らかにしている。
2   昭和60年10月15日付「水俣病の判断条件に関する医学専門家会議の意見」に対する見解 1999年3月20日
右見解は60年医学専門家会議の意見について、如何なる科学的妥当性も見出すことは出来ないとした。医学専門家会議の意見において「医学的に実証されていない」「臨床病理学的に実証されていない」「蓋然性が低い」と結論づけている重要な点が存在するが、現実には医学的実証は行なわれておらず、水俣病の病像論において臨床病理学だけによる実証そのものが存在しないこと、蓋然性の判断に不可欠な具体的データに基づいた検討が行なわれていないことが指摘されている。
また、専門家会議の委員人選は52年判断条件の医学的妥当性を再検討する上で著しく不適切であり、専門家会議が一部神経内科医の会合に過ぎなかったことも指摘されている。
医学専門家会議では具体的データに基づく議論が行われず、「臨床経験」による現状追認に終わったことは調査資料によっても明らかにされている。

     
第5    二宮・浴野らの研究
1    二宮、浴野は、汚染地区を不知火海に浮かぶ離島の御所浦島(熊本県天草郡御所浦町)に、対照地区を宮崎県東臼杵郡北浦町の漁村市振に設定し、疫学調査を実施した。この調査結果は英語の論文にまとめられ、エンバイロメンタルリサーチ誌に一般投稿されて、厳正な審査の結果、掲載されている。水俣病研究の中で、厳密なコントロールを設けて行われた調査であり(北浦町は水銀汚染歴がなく、地元の魚を多食した点や調査対象の男女比、年齢構成はほぼ同じ)、その調査手法も普遍的な基準をクリヤーした正当なものであることは、エンバイロメンタルリサーチ誌に掲載されたことで証明済みである。前述した津田が過去の調査から導き出した結論と、二宮・浴野の厳密な疫学調査の結果が同じであることもその科学性を証明している。
2    二宮、浴野の疫学調査の結果、対照地区の北浦町では、四肢末端優位の感覚障害を呈した人は109人中1人(発生率約0.7%)しかいなかったが、御所浦町には、142人中65人(発生率約60%)もいたことが判明した。このことは、御所浦町の65人を全員水俣病と判断しても、せいぜい1人しか間違わないが、逆に65人全員が水俣病でないと判断すると、64人について間違いを犯すことを意味している。
すなわち、御所浦町では北浦町より相対危険度(四肢末端優位の感覚障害の発生のしやすさ)が215倍という考えられない数字であり、御所浦町で四肢末端優位の感覚障害を呈する住民を水俣病患者と診断しても、間違える確率はわずか0.5%にすぎない。
3    この研究から、メチル水銀曝露歴のある者に四肢末端優位の感覚障害が存在すれば水俣病と判断できることは高度の蓋然性をもって断言できるのである。
     
第6    大阪高裁判決(2001年4月27日)後の動き
1    2001年6月30日熊本日日新聞における井形昭弘の発言
  (1) (関西訴訟の)原告がメチル水銀の影響をうけていることに、理論的に異存はない。数ミリレベルで(2点識別覚が)検査されているが、ああやって異常が出ているのなら、メチル水銀の影響はあるのだろう。学問的にはあれでいいのかと思う。
  原告がメチル水銀の影響をうけているのなら、医学的に水俣病ではないかとの質問に、困難な質問だが、水俣病と診断するのは無理だが、水俣病でないという言い方はすべきでない。解決策でも、水俣病の人が含まれている可能性があるからこそ、お金が支払われている。
  審査会での保留者のうち、3分の2は水俣病だったかもしれない。それを認定していたら、今の状況は大きく変わっていただろうね。
(2) この井形発言は現在の52年判断条件が医学的なものでないことを自認していると共に認定制度自体の正当性にも疑問を投ずるものである。
2    2001年10月5日熊本日日新聞における内野誠の見解
(1) 環境省臨時水俣病認定審査会副委員長で熊本県水俣病認定審査委員の内野誠熊本大医学部教授(神経内科)は、水俣病被害者に多く見られる四肢末端優位の感覚障害の原因を調べるため、認定患者の2点識別覚を初めて診断し、「感覚障害の原因は中枢神経の損傷の可能性が高い」という臨床結果をまとめた。環境省は「中枢、末梢両神経の損傷が原因」との考えで、審査会の専門医がこれと異なる見解を公表するのは、極めて異例。臨床結果は水俣市で開かれる水銀国際会議で発表する。認定基準の再点検必要と報道している。
3    2004年4月24日NHK教育テレビで放映されたETV特集「水俣病は終っていない〜医学からの再発見〜」における荒木叔郎の発言
  荒木熊大医学部名誉教授はインタビューに答えて、52年判断条件作成当時、汚染されていない地区との比較は行なっていないし、データに基づかなかったことを認めている。
  また、現地に住んでいる人たちの多発性神経炎を訴えた人たちは、やはり水俣病の影響をうけたと考えざるを得ないでしょうけども、判断条件には入らないと発言し、判断条件が間違っていたんじゃないんですかとの問いにまあそうかもしれませんねと答えている。
 以上のとおり、原処分において52年判断条件に依拠することは誤りであり、不当である。
処分庁は上記の事実を踏まえ、52年判断条件がいかなるデータに基づくもので、どのような科学的根拠によるものかすみやかに具体的に明らかにするべきである。
  なお、審査請求人の症状とその評価、同人が水俣病患者であることについては追って主張する。
以上
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