関西訴訟原告ら、熊本県庁にて
県の患者切り捨てのための強引な手続きに対して強く抗議



 2003年3月20日、チッソ水俣病関西訴訟訴訟団の川上敏行原告団団長、面木学さん、荒木多賀雄さんや、大野康平弁護団副団長に加え、水俣病上告取下げを求める全国ネットワークのメンバーら18名が熊本県庁を訪れ、水俣病上告取下げ要請署名第4次集約分5,277筆を提出しました。

この日の行動に参加したのは、水俣からはほたるの家の日吉フミコ先生・砂田エミ子さん・谷洋一さん、反農連事務局の大沢忠夫さん、熊本大学医学部の二宮先生、東京・水俣病を告発する会の鎌田さん・鷹取さん、京都・水俣病を告発する会の小坂さん、アイリーン・スミスさんとネットワークからは代表の宮澤信雄始め5名。

予め潮谷県知事に面談を要請していましたが知事は所要で不在とのことで、出てきたのは熊本県環境生活部の高宗秀暁次長始め同部水俣病対策課林田課長と小川課長補佐ら8名。NHKやRKK、読売新聞、熊本日日新聞などのマスコミも見守る中で、まず知事が出席しないことへの抗議から始まりました。県側は熊本日日新聞を持ってきて、「今日の知事はこのようにスケジュールが詰まっているので出席できない」との一点張り。大野弁護士が「熊本県の水俣病に対する基本施策を、知事から直接うかがいたい」と詰め寄りましたが、埒があかず、知事出席については次回交渉に譲ることにしました。

続いて県が一方的な受診命令等を出したことについて、川上敏行団長が、「自分が受けた検診のやり方はとうてい納得いかないものであった。それで県の検診の代りに、主治医の診断書を提出して審査を求めた。裁判でも主治医の診断書を提出して裁判所もそれを採用したのに、県からは一方的に検診拒否者とされた。許せない。」と抗議しました。

川上さんと同様に検診拒否者とされた荒木多賀雄さんからは、「昨年11月29日に県の小川課長補佐は、『検診に弁護士と主治医の立会いを認める』といった。しかし、その後『弁護士や主治医の立会いは認めない』ということに変わった。何故そのように変わったのか。私は何が何でも検診を受けないとは言っていない。立会いを認めるといったから検診を受けることにしていた。それを一方的に取り消して私を検診拒否者とするのは筋が通らない。今からでも立会いを認めよ。」と県とのやり取りを記録したメモを手に詰め寄りました。弁護士や他のメンバーからも「主治医の診断を重んぜよ」という国会の附帯決議等を挙げて、検診時に弁護士や主治医の立会いを強く要請しました。これに対して県側は、@他の申請者と不公平になるA検診医が心理的圧迫を受けるという2つの理由であくまで立会いを拒否しました。「検診医の心理的圧迫より、患者が受ける心理的圧迫の方が圧倒的に大きい。患者の負担を軽減するべき」と言ってもかみ合わず、「主治医と弁護士の立会を認めるよう、知事に取り次げ」と申入れ、県側は「知事に伝える」と答えました。

また、検診を受けた後“棄却処分”を受けた面木学さんが、「自分は阪南中央病院の検診でも、裁判所からも水俣病と認められた。県の審査では棄却とされたが、阪南中央病院のデータは審査会で使われたのか」と問うと、「主治医の意見は認定審査会において委員が参考にできるようにしている」と答えたため、具体的どう使われたのかと詰め寄りました。しかし県の回答が要領を得ず、「審査会の議事録を出せ。」「議事録はとっていない。」「審査会には、高宗次長はじめ対策課全員参加しているとのことだが、面木さんが審査された1月24日の審査会では主治医である阪南中央病院のデーターを参考にしたか」と問い詰めたところ、県側全員、首を傾げて、何も返答しませんでした。また面木さんは「棄却されただけでどんな病気があるかどうかわからない。せっかく検診を受けたのだから検診結果を本人に出せ」と問うと、「個人情報保護のからみがあるので情報開示請求をしてもらえれば出すかどうか検討する。」と答えました。そして面木さんは「棄却処分は到底納得できない。」と、その場で直接「異議申立書」を県に提出しました。

(2003年4月20日発行 「ネットワークニュース」13号より引用)  −了−

   
水俣病上告取下げ全国ネットワーク

事務局:〒533‐0014 大阪市東淀川区豊新5丁目12−40
第一和田マンション206号デイゴ気付
TEL:06-6328-4550 FAX:06-6328-0937  
E-mail:aah07310@pop02.odn.ne.jp URL: http://www1.odn.ne.jp/~aah07310/
東京窓口:〒113-0024 東京都文京区西片1-17-4 ハイツ西片202
東京・水俣病を告発する会 TEL/FAX:03-3814-5639

Powered by ZENBELG Co.,Ltd .Dec-2000