水俣病認定申請患者「食中毒」で水俣保健所に初の届け出
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平成13年8月10日

岡山大学大学院医歯学総合研究科
     津 田 敏 秀 様
熊本県健康福祉部
生活衛生課長

「お尋ね書」の回答について

 平成13年7月2日付けでお尋ねになりました各項目については、つぎのとおり回答いたします。

(質問1)「直近の喫食」とはどのような範囲なのでしょうか?
(質問2)「直近の喫食」以外を対象外とするべきというような通達等がこれまでになされたか否か、つまりどのような根拠があるのでしょうか?
(回答)範囲(期間)については、通達等はありませんが、原因究明、被害拡大防止の観点から判断されるものであり、一律に判断できるものではないと考えています。
 今回の件で、食中毒の届出を受け付けた県水俣保健所は、届出内容を確認するために患者宅において聞き取り調査を行いました。その結果、昭和33年頃から不知火海(水俣湾)産の魚介類を喫食していることが確認されております。
(質問3)そしてこれは熊本県以外の都道府県での食中毒事件に対しても適用可能なことなのでしょうか?
(回答)今回の事例については、厚生労働省と協議いたしております。本県以外の都道府県での食中毒事件については、事例毎に個別に判断されるものと考えられます。
(質問4)水俣湾の魚の摂取によるメチル水銀中毒症は、集団食中毒事件として、原因究明や被害発生防止対策について、いつ、どのような措置が取られたのでしょうか?
(回答)原因究明については、政府見解「水俣病に関する見解と今後の措置」(昭和43年9月26日)の中で、「水俣病は、水俣湾産の魚介類を長期かつ大量に摂取したことによって起こった中毒性中枢神経系疾患である。その原因物質はメチル水銀化合物であり、新日本窒素水俣工場のアセトアルデヒド酢酸設備内で生成されたメチル水銀化合物が工場廃水に含まれて排出され、水俣湾内の魚介類を汚染し、その体内で濃縮されたメチル水銀化合物を保有する魚介類を地域住民が摂食することによって生じたものと認められる。」と述べられております。
 また、被害拡大防止対策については、原因物質の排出がなくなったこと、水俣湾等公害防止事業などが行われたこと、その結果、水俣湾産の魚介類については、平成6年度後期調査以降、調査対象魚種で国が定めた「魚介類の水銀の暫定的規制値」を下回っていることが確認されております。
(質問5)もし措置が取られたとするのなら、どのような報告書がどこに保存され、どのようにすれば閲覧することが可能であるのでしょうか?
(回答)原因究明については、政府見解「水俣病に関する見解と今後の措置」(昭和43年9月26日)で述べられております。また、被害発生防止対策については、水俣湾等公害防止事業内容は熊本県発行の平成元年「環境白書」に、魚介類対策内容は平成12年版「環境白書」に記載されております。これら県関係文書の閲覧については、熊本県情報プラザにお尋ねください。
(質問6)熊本県のメチル水銀中毒症については、水俣湾のみならず不知火海沿岸にも、飲食に起因する健康上の危害が加わっていることは今や常識となっていますが、この点についての調査はなされたのでしょうか?もしなされたとするのであれば、その報告書はどのようにして閲覧できるのでしょうか?
(回答)住民の水俣病に対する不安の解消を図るため、昭和46年から昭和49年にかけて「水俣湾周辺地区住民健康調査」が行われ、また、昭和48年から昭和49年にかけて「八代海沿岸住民健康調査」、「有明海沿岸住民健康調査」が行われております。その結果については、熊本県発行の各年版「公害白書」に記載されており、これらの資料の閲覧については、熊本県情報プラザにお尋ねください。
(質問7)さらに、当時のメチル水銀中毒症は、食中毒統計に算入されているのでしょうか?
(回答)当時の行政文書を保存していないため、確認できませんでした。
(質問8)今回の水俣保健所の調査において、届け出の対象となった患者の周辺の住民に関して、当該患者と同様の、喫食調査及び症状調査がなされたのか否か?
(回答)調査されておりません。


(備考)熊本県情報プラザは熊本県庁新館1階にあります。
所在地:熊本市水前寺6丁目18−1
TEL:096−383−1111(内線3214)


―先生の質問にほとんどまともに答えていないようですが。
津田―そうなんです。そこで、さらに次の「お尋ね書 再び」を送りました。
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