コンプラスト211混和コンクリートを使用した
九州産業大学芸術学部棟新築工事 レポート
文責:東亜貿易葛Z術部長 野崎英三


コンプラスト211は非空気連行性標準型減水剤です(巻き込みエア2%前後)。高度の水密性と耐久性を得るためにW/C:55%以下、単位セメント量300kg以上などの配合条件を設定して、遅延型RP264と共に、過去30年以上にわたり躯体防水やきれつ防止の目的で使用されてきました。

これらの実績に基づき、九州産業大学の現場でもコンプラストが設計指定されました。W/C:55%(呼び強度22.5N)のスランプ15pと18p、W/C:52%および51%(呼び強度24N)のスランプ15pと18pの配合で、各生コンの標準配合からコンプラスト混和配合に修正して試験練りが実施されました。基礎コンクリートの担当は生コンA社で、躯体コンクリートは生コンB社です。設計強度は24N/muと27N/muに2種類があり、それぞれ15N/mu{3N/mu(品質基準強度)+6N/mu(温度補正値)+6N/mu(割増し)}をプラスして、39N/muと42N/muが目標値として定められました。これをクリアしなければコンプラストの採用は難しいと云われました。

試験練り結果(生コンA社)
W/C
(%)
スランプ
(cm)
骨材
(mm)
セメント
種類
実測値 圧縮強度
スランプ 空気量 コン温度 7日 28日
55 15 20 N 15.5 2.3 23 26.1 39.2
55 18 20 N 19.5 2.6 23 26.7 41.8
52 15 20 N 16.0 2.4 23 28.6 43.5
52 18 20 N 19.0 2.4 23 28.9 44.2
試験練り結果(生コンB社)
51 18 20 N 19.0 2.0 19 36.0 46.4

上記の表の通り、目標値をクリアして採用されましたが、調合配合が決まるまでに更に試験練りが繰り返されました。もちろん、これらと並行して高性能AE減水剤による試験練りも行われましたが、呼び強度30N/mu(W/C:44%)、33N/mu(42%)、36N/mu(40%)という高強度配合で、生コンのコストが上がるだけでなく、過剰な単位セメント量の増加がコンクリートの品質に悪影響を及ぼすことが懸念されました。

コンプラストの使用により、標準配合でいうところの呼び強度22.5N/muと24N/muで充分だということになり、その配合条件さえ守れば、結果的に最終強度も確保でき、少なくとも温度補正の必要はないということです。現在、九州産業大学の1期工事が完了し、約7,000立方メートルのコンクリートを打設しました。美しい打放し仕上げで、非常に良いコンクリートが打てたと高く評価されています。

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