いろんな質問にお返事するコーナー

 お手紙でよく聞かれることへのお返事をまとめてみました。

どんな部屋で、お仕事をしているのですか?

南に大きな窓、東に小さな窓がある部屋が、わたしの部屋です。
日当たりがいいので、冬はあたたかですが、夏はちょっと暑いですね。
植物を育てるのが好きなので、緑がいっぱいあります。一番大きいのは、
南の窓の前にある、幸福の木で、わたしの身長よりも背が高いです。
これはもう、何年前からうちにあるのか、忘れました。
あとは、つりばちのポトスやデュランタ・ライムや、アカネ科の赤い葉っぱの
名前忘れちゃった植物や、モンステラや…とにかくいろいろあります。
南がわの窓を開けると、ベランダにはやっぱり植物が、ずらずらっと並んでいます。

部屋の真ん中には、小さなステレオがあります。
パイオニアの、環境音と音楽をいっしょにならすことができるステレオです。
アジアのどこかの街のざわめきを聞きながら、静かな音楽をきいたりすることができます。
お気に入りなのですが、実は今CDプレイヤーの部分がこわれているのです。
仕事がいそがしくて修理に出せないまま、もう何ヶ月かたってしまいました。
しょうがないので、このごろは、MDばかりきいていましたけれど、
あまりにもふべんなので、古いCDプレイヤーをひっぱりだしてきて
接続して聞いたりもしています…。
音楽は、いろいろききます。うるさく感じるもの以外なら、なんでもいいみたいな。
いまはいきなり、中島みゆきをきいたりしてます。
(どんな歌なのかは、お父さんお母さんにきいてみてね)。

ステレオのそばには、そこでずうっと物語を書いてきた、大きな古い机があります。
足下と上に本だながくっついた、大きな大きな、机です。
子どもが上に寝そべれるくらい、書き物をするところは広いんですよ。
その机は、十九才の時にお母さんから買ってもらってから、ずっと使っています。
そのころわたしはまだ、ただの「童話作家になりたい女の子」でした。
最初は、その机に原稿用紙を広げて、童話を書いていました。
書きたい話がいっぱいあったので、いつもいつも原稿用紙に向かっていました。
作家になるためにコンクールにもいっぱいだしたけど、なかなか道は遠かった。
でもたくさんの原稿用紙を、その机にのせて作品を書いたのです。
そのうち、最初の黒い大きなワープロを机の上に載せるようになりました。
学校を卒業して、自分ではたらくようになってからのことです。
そのワープロも、お母さんからのプレゼントでした。
黒いキャノンのワープロは、あんまりおりこうさんじゃなくて、
仕事もゆっくりだったけど、いっしょうけんめいはたらいてくれました。
わたしがお仕事から帰ってきて、それから原稿を書くのをてつだってくれました。
いろんなコンクールにだすための作品を、きれいにしあげてくれました。
そして、作家になったわたしは同じ机で、灰色のカシオのワープロを使いました。
これは、自分のお金、それも、本を書いてもらったお金で買いました。
少し古くなったけど、まだまだおりこうで、てきぱきはたらくワープロでした。
でも、お仕事が増えてきて、長い作品をいっぱい書かないといけなくなってくると、
ワープロではたいへんになってきました。
いまのわたしは、IBMのシンクパッドをいうパソコンで原稿を書いています。
これは、じょうぶなのと、作家がよく使っているというので、有名なパソコンです。
いろんなことが十九の時とは変わったけど、机に向かうときの気持ちは変わっていません。

ベッドは落ちたらやばそうな、ハイベッドです。はしごで登って眠るのです。
ちょっとこわいけど、部屋に本がいっぱいあるので、本の置き場所を作るためにそうしました。
押し入れ用の車輪付きの大きな本だなが、二つ、ベッドの下に入れてあります。
本だなに入りきらない本が、大きな箱に入れられてつめこんであります。
そうそう。部屋中に本だながあります。床にもいっぱい本がつんであります。
わたしの部屋は、本屋さんみたいに本でいっぱいなのです!
童話の本だけじゃありません。大人向けの本もいっぱいあります。
なぜって、おもしろそうな本は買うし、お友達の作家さんや出版社さんから
本をいただくこともあるし、自分のお勉強のために本をそろえたりもするし…。
とにかく、いっぱいいっぱい、本があるのです。
小さいとき、「いっぱいの本にかこまれてくらすこと」というのがゆめのひとつでした。
ゆめって、こんなふうにかなうこともあるんですね。
うれしいんだけど、でも、本が多くて、床がぬけそうです…。
床に積んだ本の上にほこりがつもって、ゆうれい屋敷みたいです…。

それと、本だなのあいだに、インターネット用のパソコンをのっけた、パソコンデスクが
あります。パソコンのそばには、パソコンを冷やすためのせんぷうきがあり、
くまのぬいぐるみやお人形や時計や、化石や水晶なんかがかざってあります。
天井には、かもめのモビールがまわり、ドイツの魔女の人形がうかんでいて、
妖精の人形や、造花やクマのぬいぐるみが、部屋中にたくさんある、
これがつまり、わたしがお仕事をしているところです。

子どもの時は、どんな子どもでしたか?

本が好きなおとなしい子どもでした。誰かと遊ぶよりも、家でひとりで
本を読んでいる方が楽しかったの。学校の図書室が大好きで、
図書室があいているときは、いつも中にいました。
お父さんの仕事が数ヶ月から一年に一回は転勤をする仕事だったので、
友だちを作ってもしかたがないって思っていたのかもしれません。
友だちを作るのが楽しいことだとやっとわかったのは、中学生くらいに
なってからでした。おとなになったいまは、友だちがたくさんいます!

子どものころ好きだった本は、たくさんありますが、
「ドリトル先生航海記」や「シートン動物記」、「ツバメ号とアマゾン号」
「ナルニア国物語」なんかをよく読んでいました。
世界の名作も好きでした。日本の作家の本だと、
椋鳩十全集や中西悟堂の鳥の本、「宿題ひきうけ株式会社」
「だれもしらない小さな国」、「ちいさいモモちゃん」などなど
たくさんの本を読んでいました。
中学生くらいになると、村山知義の「忍びの者」という忍者小説を
「かっこいいなあ」と思いながら読んでいました。そうそうあの頃は、
SFブームでいっぱいSFの本があったので、平井和正や光瀬龍の本、
シマックや、ブラッドベリなどの海外のSF作品も読んでいましたよ。

小さいころから作家になるつもりでしたが、ほかにも、昆虫学者になりたかったり、
獣医さんとか、声優さんとか、シナリオライターとか、弁護士さんとか、
航空管制官(わたしのお父さんのお仕事でした)になりたかったことも
あります。夢はいっぱいありました。
でも、一番憧れていた職業につけて、とってもうれしいです。

どうやったら、作家になれるんですか?

わたしが作家になりたいと思ったのは、小学校一年生の時です。
それからずうっと、作家になるための「修業」をしてきました。
修業っていっても、むずかしいことじゃないんですよ。
いっぱいおもしろい本を読んで、いっぱい遊んだだけです。……あ、たまには、
お勉強もしましたけど。でも、まんがもアニメも大好きでした。
おもしろいお話は、あたまのなかに、たくさんのおもしろいことや楽しいことが
つまっていないと書けません。おとなになってから作家になるためには、
子どものうちから、作家になる修業をしていたほうがいいんです。
テレビゲームと同じで、レベル上げに時間をかけた方が、きっと強くなります。
「でもわたしは、いま中学生なんだけど。もう夢を見るのはおそいのかなあ?」
そういう人もいるかもしれませんね。おそいってことはないんですよ。
おとなになってから作家になろうとしたって、いいんです。
「作家になりたい」と思うあなたは、きっと本が大好きなんでしょうね。
いっぱいいっぱい本を読んできて、本の思い出が心の中にたくさんあるんだと
思います。だから、「わたしもあんな本が書きたい」って、思うのですよね。
そんなあなたは、きっと知らないうちに修業ができているのです。だからOK。

さて。じゃあじっさいは、どうやったら作家になれるかというと……。
まず、お話を書いてみましょう。
お話を書いたことないのに作家になりたいって、いってる人はいないかなあ?
それじゃあ、永遠に作家にはなれないぞう。
作家とは、「物語を書く人」のことをいいます。まず書かなくちゃあ、作家には
なれないのです。とちゅうまででおわってもいい、かっこいいシーンしか書けなくても
いい、まず、練習用のお話を書いてみましょう。
最初はノートやルーズリーフにシャープペンシルで書いてもいいんです。(もちろん
持ってる人は、ワープロやパソコンで書いてもいいんですけどね)。
夏休みや冬休みに、いっきに書いてもいいし、毎日少しずつ書いてもいいんです。
そうそう。お友達と、こうかん日記みたいに、一ページずつ書いて次の人にわたして、
なんてことをするのも楽しいですよ。絵がかけるお友達にさしえをかいてもらうのも
楽しいですね。お友達同士でみせあいっこするのなら、オリジナルじゃなくて
じぶんの好きな本のお話の続きを考えて書いてもいいんですよ。
物語とあそんで、楽しい時間をすごしましょう。そのうちだんだん、長いお話も書けるようになります。
あきないで、最後まで一つのお話を書きあげられるようになります。
これは、ほしょうします。だってわたしもそうだったから!
小学生から中学生のころは、おもしろいお話を思いついても、最後まで文章に書くことができませんでした。
いっつもとちゅうであきちゃって、もっとおもしろい話をほかに思いついちゃって、
そしたらいま書いているお話がつまらなく思えてくるのです。
それとか、思いついたお話が、大長編のとちゅうのところで、そこだけ書いてもしょうがないし、
思いついたところまで書くのもたいへん……って、こともありました。
でもね。いつのまにか、ちゃんとお話が書けるようになっていたのです。
それはもうある日とつぜんのことでした。どうして書けるようになったのか、じぶんでもわからないくらい、
とつぜんのことです。きっと心の中で、ひそかに作家の修業ができていて、
その日にファンファーレが鳴って、レベルがあがったんじゃないかと思います。
だから、いま、「お話を完成させられないよう」ってなやんでいるあなたも、もう少しがまんしていれば、
完成させられようになるんだって、じぶんを信じていてくださいね。

そうして、お話を完成させられるようになったら、コンクールにだしてみましょう。
子ども向けの童話や小説のコンクールは、いくつかあります。学校の先生や、
お父さんやお母さん、図書館の司書さんに聞いて、作品をだしてみましょう。
「子どもむけじゃ、ものたりないわ」というあなたは、おとなむけの賞にチャレンジ!
図書館や本屋さんにある、「公募ガイド」という月刊の雑誌に、コンクールのことが
いっぱい載っています。それに載っているコンクールに作品をだすことを目標にして
作品を書いてみるのもいいかもしれませんね。
ひょっとして、最初は落選するかもしれません。作家になりたい人はいっぱいいるし、
あなたよりももっともっと、修業をしたかもしれない人も作品を出しているからです。
でももしあなたが本当に「物語を書く人になりたい」と思っていて、そうして、
あきらめなかったら、いつかきっと、一等賞をとることができると思います。
大事なのは、あきらめないこと。
がんばってくださいね!


物語はどうやって書くのですか?


出版社の人から、「原稿を書いてください」ってたのまれてから、まず
いっしょうけんめい、物語を考えます。前に考えていたお話を、
頭の奥のほうから、よいしょっと、ひっぱりだしてくることもあります。
音楽をきいたり、さんぽをしたりしながら、おはなしをどんどんねっていきます。
ねるっていうのは……ええっと、「どうやったらもっとおもしろくなるかなあ」って、
考えることです。かっこいいキャラクターをもっともっと、かっこよくするには、
どんなことをしたらいいだろうか、とか、ぜったいぜつめいな場面をもっともっと
ぜったいぜつめいにするにはどうしたらいいのか考えるってことです。
考えているときは、頭の中で映画みたいにお話が流れていきます。
それをメモに書いたりワープロやパソコンで打ったりして忘れないようにしておいて、
それから、いよいよ作品を書くのです。
わたしは、パソコンで作品を書いています。
音楽を鳴らしながら書き上げて、できあがったら、印刷して出版社に送ることもあれば、
パソコンの電子メールにテキスト形式にしたデータを添付して、送ることもあります。
それでいきなり本になるということは、あまりなくて、ふつうは出版社の編集者の
人が、「ここの文章がわかりにくいんですけど」とか、「おわりかたを少し変えませんか」とか、
お話をもっとよくかえるためのていあんをしてきます。
それを聞いて、「なるほどな」と思ったときは(だいたいそう思います)、
いわれたとおりに、作品を直します。
そういうふうにして、物語は完成するのです。


毎日どんなふうにくらしているのですか?


朝は少しおそくて、はずかしいのですけど、9時くらいに起きます。
それから、みじたくをしたりごはんを食べたりして、あいまに猫や金魚と遊んで、
パソコンの電源を入れます。お友達や出版社の人からのメールをチェックする
ためです。アクアゾーンの熱帯魚の世話をしたりもします。
それから、11時30分くらいまで仕事をします。でも本や新聞を読むこともあるし、
郵便局に手紙を出しに行くこともあるし、園芸もするし、日によってちがいます。
そしてお昼休みをとって、午後からまた仕事をします。買い物に行くこともあります。
夕方近くには、二匹飼っている猫たちのために、ぱっかんと、
猫缶をあけます。いつもはドライフードなので、一日一回のごちそうです。
夕食のあとは、また仕事をしたり本を読んだり、テレビゲームをしたりします。
ゆっくりお手紙を読んだり、友達と電話で話したりもします。
ニュースやテレビドラマや、映画を見ることもあります。
あとはおふろにはいったり、おけしょうを落としたりします。
11時ごろにはまたパソコンに電源を入れて、インターネットをします。
とどいているメールにお返事を書いたりしていたら、あっというまに
夜中になっているので、あわてて寝ます。猫といっしょのベッドです。
でも、いま書いたのは、仕事によゆうのあるときの話で、〆切前で急いで原稿を
書かなくてはいけないというようなときは、もうインターネットなんかしないで、
家族や猫と会話もせず、ずーーーーーっと、物語を書いています。
そんなときは、小説用のパソコンの電源は、入れっぱなしです。
朝も昼も夜も書いています。いつ寝たかわからないくらい起き続けています。
……作家とは、そういうお仕事です。


どうして童話作家になったのですか?


人にじぶんの考えたお話を聞いてもらうのが好きだったからです。
お話を聞いた人が笑ったり、びっくりしたりするのを見るのが好きだったから。
誰だって、人のためになにかできたらいいなあって思うことがありますよね?
誰かのためになることができたらいいなあって。
人によっては、それでお医者さまになったり、女優さんになったり、あるいは
科学者になったり、政治家を目指したりしますよね?
わたしは、お話で人を幸せにしたかったから、作家になろうと思いました。
おもしろいお話を書けば、読んだ人が幸せになるだろうと思ったからです。
たくさんのおもしろい本を作るのが、わたしの夢です。
そして、子どもの本の作家になろうと思ったのは、「子どもの本」が、
おとなになったいまも、昔と同じに、大好きだからです。
それと、子どもが好きだからです。
本が好きな子どものために、おもしろい本を書きたいからです。

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