永遠の子守歌・アカネヒメ物語5

はるひは、小学校を卒業する春を迎えました。
ほんのひとつき先の未来には、新しい人々との出逢いが待っています。
中学生になるのは嬉しいけれど、少しだけ怖い気もする。
何よりも、大好きだった小学校と別れるのは悲しい。
なつかしい日々とさよならするのは…。
なぜ人は、ずっと同じところにいることができないのでしょう?

でも、はるひは、ふと思うのです。
別れはかなしいことだけれど、新しいところに旅だってゆけば、
そこにはまた、きっと、待っていてくれるひとたちがいる、と。
公園にアカネヒメがいてくれたように…

はるひはアカネヒメにであえてよかったと思います。
アカネヒメもまた、そう思っていました。
この先、長い生を生きる自分より先に、はるひが年老い、死んでゆく日が
くるとしても、出逢いを喜ぶことができると、アカネヒメは、
そう思うことができると思いました。
…むりかもしれないと思わないでもなかったのですが、
その日までにはまだまだ時間があるから、大丈夫だろうと思って
いたのでした。

そう。ふたりの別れは、まだ先のことになるはずでした。
でも……

アカネヒメ物語、完結編です。
世界のどこかの風早西公園では、きっとアカネヒメは今日もうたって
いるのです。あの、永遠の子守歌を。

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