新シェーラひめのぼうけん5〜妖精の庭

いつも元気で明るいルビーですが、ときどきふと、
じぶんが悲しくなります。
双子なのに、ぜんぜんちがう性格のサファイヤが、きらきらして
みえるときなんか、とくに。

「どうしてあたしは、あの子みたいにかしこくないんだろう」
「どうしてあたしは、こんなふうにうまれてきたんだろう」
「きっとあたしなんかのことを大事におもってくれるひとはいないんだ」
さみしくなったルビーは、なかまたちのそばを離れてしまいます。

同じころ、西洋のおとぎの島の王子ミシェールは、
弱くてかぼそい自分をもてあましていました。
でも、少しでも強くなるために、と、ひとりで旅立つのです。

そして。
ある街の、廃墟の塔のそばの、忘れられた庭では、
七人の子どもたちが、忘れられたうたをうたい、踊りを踊っていました。
ながいながい時の中を、踊り続けていたのでした。
永遠のさみしさをかかえながら。

歴史は、人の想いが作り出すもの。
誰かの心や思想が、人の運命を作り出すもの。
遠い昔の人々の思いが、未来に生きる人々を不幸にすることもある。
けれど、たくさんの人々の幸せのための、新たな流れを作り出すのも、
また人の想いなのだと…
これはそういう物語。

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