フィリッポス二世は一流の戦略家でありまた優れた政治家でもあった
彼は将来のマケドニアの発展のために
息子アレクサンドロスに英才教育を施し並外れた名将として育て上げた
その目的はギリシアの覇権であり、さらにその次のペルシア制覇であった



フィリッポス二世

黄金のライオンの留飾りを着けた鎧
アテナ女神の姿が施された高い前立ての兜
煌びやかな矢櫃を肩に掛け、馬上豊かな勇姿は衆目を圧した

用意周到な政略と戦略を巧みに駆使し
獲物を捕らえるまでは風下で息を潜め
機が到来すると一気呵成の猛攻を行った
優れた将軍たちを率いる姿
それはやはり百獣の王たるライオンそのものであった



ギリシア最強の騎馬隊を育成したのもフィリッポスである
彼は天才軍略家テバイのエパミノンダスの戦略を受け継ぎ
そしてさらにそれに改良を加えマケドニア独特の騎馬戦略を練り上げた
しかしフィリッポスはけっして武力だけには頼らずむしろ外交政策での利益を重視した
フィリッポスを暴君的独裁者として捉えた歴史家もいたが
時はすでにギリシア文明の退廃期であり
かつて誇ったギリシア市民の自由主義も地に墜ち
民衆扇動家デモステネスが熱弁を振るい反マケドニアの気運を高めたが
その実、アテネの軍隊のほとんどが外国人の傭兵に頼ったものであった



マケドニア騎馬軍団

また強国ペルシアはギリシアの団結を怖れ
多量の黄金をばらまきギリシア諸国を反目させる政策を取っていた
一説によると自由の弁士デモステネスもペルシアの賄賂を懐にしていたという

ワイロ

マケドニアの勃興はまさにそうした時代の潮流の節目にあたるものである
小国分裂から統一国家誕生にいたる変遷の時代であった
史実上この後アレクサンドロスによる大帝国の建設となる
これは後に史上最大となるローマ帝国の原型であり多くの類似点が認められる

私に言わせればフィリッポス二世は
アレクサンドロスの英雄的大事業を完成させた影の功労者であり
強国マケドニアの基礎を作り上げた史上稀有なる名君の一人である





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