ダンス部

恥辱の入部儀式

「うん」

「そうましょう」

 女性器を見て合否を決めるとの言葉に、麻由美も亜里紗も口々に賛成する。

「あ、あそこって……そ、そんな……」

 下着を脱げ、と言われたのは確かだが、まさかショーツまでも含むとは思ってもみなかった。たかが(と言っては失礼だが)学校の部活動の面接に、個人の最もプライベートな性器までも他人の視線にさらさせるなんて、いくら何でも信じられない。

「できません。恥ずかしいです」

 左腕で胸を抱き、ショーツに包まれた下腹部を右手でおさえ、雪乃は顔を左右にふった。身を縮こまらせ、できるだけ肌をさらさぬように儚い努力をする。その姿が、上級生たちの加虐の炎に油を注いでいるとも知らずに。

「できないと言うの。またお仕置きをしてもらいたいようね」

 志緒理は美しい顔に笑みをたたえたまま、鞭を取り出した。

「今度は、あんな軽い仕置きでは済まないわよ。あなたの可愛くて白いお尻に縞模様をつければ、さぞかし美しいでしょうね」

 志緒理の手に握られている鞭は、競馬の騎手が使っているような細くしなやかなものだ。志緒理の表情は期待に満ちており、と言っても面接者の少女が従順な態度をとることを望んでいるわけではなく、むしろ新入生が多少反抗的な態度をとって鞭を行使する機会をうかがっている。志緒理は本気だ。雪乃が反抗的な態度を取れば、いや、性器をさらすことを少しでも躊躇すれば、彼女は何のためらいもなく鞭をふるうだろう。

「さあ、どうするの」

 椅子にかけた上級生は、鞭の先端で少女の右手を軽くつついた。

 股間をおさえていた右手が、弾かれたように脇にのく。白布一枚になってしまった羞じらいの部分。ショーツにくっきりと刻まれた縦すじが、先輩の鞭でなぞり上げられる。

「ひいっ!」

 思わず腰を引いた。

 後ろに下がりたかったが、いや、いっそのこと、この場から逃げ出してしまいたかったが、冷たく美しい先輩の視線に魅入られたのか、体が言うことを聞かない。不可視の糸に縛られた少女は、小さな胸の盛り上がりを強くかき抱いたまま、秘唇への戯弄をじっとこらえる。

 ふっくらとした肉唇が形づくる門の合わせ目を上に下にとこすられると、くすぐったさにも似た刺激が走る。下着越しにではあるが、女の子の最も秘密の器官をいたずらされていると思うと恥ずかしくてしかたがない。さながら蝶の幼虫があそこを這っているかのようなむずむずするような感触から逃れようと、下着が食い込んでいる尻をくねくねと揺すった。

「んっ……うっ……」

 だが、鞭の堅い先端は、しつこく追いかけてくる。そうして追いかけっこをしているうちに、自身の女性器にわだかまっている感覚が、徐々にではあるが性的快感として認識されるようになってきてしまう。

(やだ、私ったら……)

 ショーツに浮き出た縦割れをなぞられると、溶けるように甘美な感覚が秘唇を中心に広がり、少女は、わずかにくびれた腰をおののかせる。快楽はゆっくりと着実に奥深くへと浸蝕してゆき、それが最深部まで届いた時に、少女の穢れない花は密かに蜜を滲ませた。

「叩く場所だって、お尻とは限らないのよ。雪乃のあそこを下から上に打ち上げるっていうのもありね」

「それ、いいカモ。雪乃ちゃんがオマ〇コを鞭打たれて、可愛い声で悶え泣くのを聞いてみたい」

「脚を広げて逆さ吊りにした方が、狙いもつけやすいし、強く打てるんじゃないかしら」

 麻由美も亜里紗も嗜虐に満ちた表情をしている。獲物を前にして、責め方の会議はどんどんエスカレートしてゆく。

「ぬ、脱ぎます。脱ぎます。ですから、お願いですからそんな酷いことは……」

 雪乃は脅しに屈した。自分の身体に残った最後の薄布に手をやる。が、それから先に踏み出せず、一縷の望みをこめて憧れていた上級生を見た。

「どうしたの。はやくなさい」

 あわてて小百合は目を伏せた。志緒理の美しい顔はあくまで冷ややかきわまりない。

 観念した雪乃は、三人の上級生の面前で恥辱にまみれ、全てをさらす覚悟を決めた。両手を腰にやり、腰に貼りついている布を一気に押し下げる。身をかがめながら、足首からパンティを抜いた。まだ体温の残る下着で恥ずかしい箇所をおさえ、新入生はゆっくりと体を起こす。

 もう雪乃は何も着ていない。ただの布となった下着で、最も恥ずかしい部分だけをかろうじて隠しているだけだ。背後にいる上級生には、打たれて赤くなった尻が丸見えだろう。肩をすぼめてモジモジていると、志緒理は椅子に座ったまま手を伸ばした。

「そのショーツ、邪魔だから預かってあげる。こちらに渡しなさい」

 先輩の言葉の意味するところを認識し、雪乃はかぶりをふった。そんなことできるわけがない。自分の脚から離れたばかりの下着を他人に手渡すなんて。

 しかし志緒理は、雪乃の瞳をじっと見つめたまま手を差し出している。

 あきらめた雪乃は、左手で股間を押さえつつ、右手でパンティを差し出した。

「雪乃、目上の人に物を渡す時は、片手でなく両手で手渡すのよ」

 静かな口調で志緒理は諭す。けっして怒っているわけではないがどこか逆らえない雰囲気があった。

 しかし、そうしてしまうと、わずかの間とはいえ両手がふさがり、女の秘められた場所を隠していることは不可能になる。

「そ、それは……許してください……」

「だめよ」

 雪乃の脇に立っている麻由美も亜里紗も、後輩が羞恥の箇所をさらすのを今か今かと待っているようだ。

 その痛いくらいの視線に耐えながら、雪乃は股間にあてていた左手をはなす。羞恥の源泉が、三人の同性の目の前にあらわになる。その部分に注がれる同性たちの視線に激しく羞恥心をかき立てられながらも、両手で行儀よく下着を差し出した。

 パンティを渡したら、すぐに両手を自らの股間に持っていって恥ずかしい部分を覆い隠すつもりだった。が、志緒理はすぐにはパンティを受け取ってくれず、差し出した雪乃の両手を掴んだままニヤリと笑う。

「え……そんな、はなして下さい」

 強く手を引いたが、志緒理は離してくれない。その間中、雪乃の女の子は公開され続けた。うっすらと茂った若草の下には、まだ蕾といった趣の女性器が息づいている。陰毛は薄い方で、下腹部の割れ目を観察する視線を遮ってはくれない。

 腰を引き、内股になり、少しでも下腹部を隠そうとするのだが、その恥じらう仕草が余計に上級生たちを煽る。

 ようやく志緒理が布きれを受け取ってくれた。ほんの一瞬であったはずだが、雪乃には何十分にも感じられた。下着を面接官に渡してしまうと、急いで両手を下腹部の茂みに当てる。

 志緒理は咎めなかった。が、ついさっきまで雪乃の女性器に当たっていた布きれを、これ見よがしに広げて見せる。

「雪乃の下着… ちゃんと清潔にしているか検査してあげるわ」

 薄笑いを浮かべながら志緒理は、下級生から奪った下着を裏返しにした。パンティの裏側、開花前の花唇がふれていた箇所が公開される。

「いやっ!」

 反射的に雪乃は目を背けた。

「ふーん。あんまり目立った汚れはないわね。つまらないわ。でも……臭いはどうかしら……」

 ちらりと後輩の表情をうかがうと、志緒理は、布が二重になっている所に鼻を近づけた。

「いやああ。先輩、止めてください」

 自分の下着を他人に、それも憧れの先輩に嗅がれるという恥辱に、雪乃は顔を真っ赤にしつつ悲鳴を上げる。信じられないような変質的行為をする志緒理への驚き。もし臭いと言われたらどうしようという恐れ。それらが心の中で交錯する。

 美少女が羞恥に悶える様子を、三人の上級生たちはねっとりとした目で見つめていた。中でも志緒理は、体温の残る下着の匂いを楽しみながら、ねばつくように淫らな視線を下級生の細い裸体に這わせている。

「ふふふ、かすかに女の香りがするわ」

 それは最も指摘されたくないと恐れていた事実。女性器を見られることの何倍も恥ずかしいことだった。

「麻由美にあそこを悪戯されて感じてしまったのかしら。それとも、私が鞭でなぞったからかしら?」

 このまま消え入ってしまいたいと思うほど恥ずかしかった。

「でも後ろの臭いも混じっているわ。お尻を打たれた時に、ふんどしにされたせいね。清潔にしていないとだめよ」

 くらくらと目眩がする中、雪乃は小さくうなずくのがやっとだ。

 が、志緒理は、言葉で責めただけでは満足せず、下級生を更なる羞恥地獄の底へといざなう。

「雪乃、手をどかしなさい。でないと貴女のおまんこが見られないでしょ」

「えっ……それは……」

 小さな手を股間にぎゅっと押し当てたまま、雪乃はふるふると首を左右にふった。

 すると脇に立っていた麻由美が、むき出しの臀部合わせ目をそろりと撫で上げる。

「雪乃ちゃん、素直に言うことを聞かないと、またお尻を打つわよ」

 麻由美の双眸は、また下級生の尻を打てるのではないか、という期待にギラギラ光っていた。まだヒリヒリする雪乃の尻肉は、平手打ちの痛みをはっきりと覚えている。

「それとも鞭の方がいいかしら」

 志緒理は、手にした鞭を素振りして見せる。ほんの軽くふっただけなのに、ヒュっという鋭い音がして、雪乃の身体を縮こまらせた。

「す、すみません」

 とは言ったものの、雪乃はどうしても踏み出せないでいる。

 志緒理の瞳がすっと細くなった。

「雪乃、前にも言ったけれど、貴女に許された返事は、『はい』しかないのよ。もう貴女とこんなやりとりを繰り返したくないわ。これが最後よ。手をどけておまんこを見せなさい」

 鞭による威嚇。志緒理の声の凄み。囲んでいる三人もの上級生。それらに気圧されて、清楚で大人しい少女は小さな声で返事をした。

「はい……」

 ゆっくりと、何度もためらいながらも、少しずつ下腹部から手をずらす。そこに息づく秘唇の様子が徐々に明らかになっていった。形よく生えそろった薄い恥草。その下に見え隠れする肉の合わせ目。

「今度はじっくり観察できるね」

「うん。それに毛が薄いから形も色もよくわかるし」

「何か初々しい感じがする」

「初々しい? まあそうだけど、私たちと一年しか違わないのよ」

「そうだけど、ほら、オナニーすらもしてないって感じがする」

「ああ、そういう意味か。言われてみれば確かにそうね」

 麻由美と亜里紗とは、公にされた少女の性器を容赦なく評論する。

 雪乃にはうつむいて耐えるしか術はなかった。両脇にやった手がふるえている。手で股間を覆いたい衝動を必死になってこらえた。

 志緒理は容赦しない。

「外観はわかったわ。今度は中身を見せて」

 意味がわからず、雪乃はきょとんとして面接官を見た。

「貴女の手で、ここを押し広げて、中を見せろと言ったの」

 鞭の先端が恥肉の割れ目を撫でこする。 

「ひゃん」

 慣れない感触に我知らず高い声を放ってしまった。そんなことできません、と理性が叫んでいたが、唇から出てきた言葉は

「はい……」

だった。段々と志緒理に逆らえなくなってしまったことを、雪乃は痛いほど自覚した。

「ただ黙って見せるだけではだめよ。挨拶なさい。こう言うのよ」

 雪乃は清楚な顔を泣きそうに歪める。逆に二人の上級生は淫らな予感に顔を輝かせた。強いられた屈辱の口上。しかし下級生には拒否できない。

「ど、どうか雪乃の……」

 そこで言いよどむ。

「お……おまんこの中身を……ご観賞ください」

 自分が口にした台詞に顔を朱に染めながら、雪乃はさらなる試練に挑んだ。ふるえる人指し指と中指とを下半身に息づく縦唇に添え、目をつむり、思い切って二本の指を開いた。

「んっ……」

 幼げな裂け目が押し広げられる。自分ですらよく見たこともない部分を、三人もの同性に視姦されていた。もう、どうしていいのかわからない。中の赤い粘膜が外気をとらえてすーすーと涼しいのだが、同時に、熱く淫らな視線が秘めやかな場所を焙っている。

「私がいいと言うまで、そのままでいるのよ」

 一言釘を刺しておいてから志緒理は身を乗り出してきた。椅子に座っている彼女のちょうど目の高さに、くつろげられた陰部がある。苺を裂いたような瑞々しい淫裂だ。

 志緒理の美しい顔がぐっと近づいてくる。

「いやっ!」

 とっさに腰を引く。女性器の中身を覗かれるのも恥ずかしいが、臭いを嗅がれるのはそれ以上にいやだった。が、ちょっと腰を引くくらいしか雪乃にはできない。志緒理は、むき出しにされた後輩の恥部に鼻をあてて聞こえよがしに鼻を鳴らす。

「雪乃のおまんこの臭い、しっかりと嗅がせてもらったわ」

 まるで薔薇の香りを楽しんだとでも言わんばかりの上品な笑みを浮かべながら、志緒理は、後輩の泣きそうな顔を見上げた。

 下着だけでなく、あそこの臭いまで嗅がれてしまったかと思うと、恥ずかしさで頭の中にピンク色の靄が広がる。

 麻由美と亜里紗との二人も、両脇から雪乃の下半身を興味深そうにしげしげと見入っていた。三人の上級生の好奇の視線は、あたかも絡み合う幾本もの細い管状の触手のようで、開陳された恥部の内側を所構わず這い回ってくる。左右二枚の花びらをこすられ、包皮からちょこんと顔を出している雌しべをつつかれた。尿孔をくすぐられるとむずむずとした刺激におしっこがしたくなり、未だ開かれたことのない女の小孔に潜り込もうとして触手が群がると、そこはひくひくと蠢く。

「本当に瑞々しいわね。食べちゃいたくなるわ」

「色もいいし、とってもおいしそう。きっと初物ね」

「うん。開発のし甲斐があるわ」

 麻由美と亜里紗とは、きゃっきゃと黄色い声でまくしたてるのを、雪乃はじっと耐えた。自分の身体の中で、最も人目にさらしたくない場所を、自分の指で押し広げるという屈辱に。三人もの上級生に身体の奥の奥まで覗かれ、品定めされているという恥辱に。一刻もはやくこの試練が終わることを祈って、清楚な少女は痴態をさらし続ける。

 不意におぞましい快感が背中を走った。ふと志緒理と目が合った途端に、腰から甘い疼きが湧き上がり、快感となって脳天に突き抜けていったのだ。

(や、やだ。何、この感覚は……)

 それは映画のラブシーンを見た時の胸の高鳴りに似ていた。しかし、こんな状況で胸を高鳴らせてしまうことを世間一般はどう評価するだろうか。変態、淫乱、といった単語が脳裏にちらつく。

(違う。私、そんなのじゃない)

 が、この上なく恥ずかしい格好を、憧れの志緒理先輩の目にさらしていること意識すると、いけない快美感が湧いてくるのを抑えられない。

「雪乃、腰をモジモジさせちゃってどうしたの。おしっこにでも行きたいの。それとも……私に見られて感じちゃったのかな」

 いたずらっぽい志緒理の問いかけに、雪乃は視線を逸らした。しかし、上気して耳まで赤くなった顔が全てを白状している。

「やだー、雪乃ちゃんったら、志緒理にあそこを見られて気持ちよくなっちゃったのー。変態ー」

 亜里紗の嬌声が雪乃の胸を刺す。

「ち、違います……」

 が、そう言って否定する声は、いかにも頼りなく弱々しかった。

「ねえ、志緒理。このおまんこなら合格にしてあげてもいいんじゃないの?」

 開ききった陰門に視線を注ぎながらの麻由美の一言に、自分がダンス部の入部審査を受けていることを思い出す。度重なる羞恥責めでそのことを忘れていた。今はただ、自らくつろげている少女の陰門を閉じたい。許されるなら下着を身につけたい。

「そうね。これだけ綺麗なおまんこなら……。雪乃、手を離してもいいわよ。貴女のおまんこの中はもう診たから。」

 ほっとして左右の大陰唇から指を離し、そのまま右手で股間をおさえた。

「こら、誰が隠していいと言ったの。手は脇」

 すかさず志緒理は、後輩の右手の甲を鋭く鞭打つ。ほんの軽くだったが、裸に剥かれた少女を従わせるには十分だ。

 火傷しそうに熱いものに触れたかのように、雪乃は手を引っ込める。肉の扉を閉じることこそ許されたが、下半身は依然として剥きだしのままだ。三人の視線に陰部を灼かれながら、面接官の次の言葉を待つ。

「おめでとう、雪乃。体格検査は合格よ。あなたは、ダンス部の一員として恥ずかしくない容姿と体格とを持っているわ。つまり、文句なしの美少女だっていうこと」

 暖かい笑みを浮かべながらの志緒理の言葉に、自然と雪乃の顔もほころぶ。

 と、志緒理の笑みが急に淫らなものに変わった。

「さて、次の検査に移りましょうか。次は性感検査よ」

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