新・銀幕に俺たちがいた173

『ALWAYS 続・三丁目の夕日』

 続編ということで公開時はあまり関心ありませんでした。映画ファンの真髄として、「百聞は一見に如かず」と言う言葉をこれまで何度もわたしなりに咀嚼しては後から気づく繰り返しです。DVDが出てレンタルなら安いから見てみようか、という楽な気分で今回見ると、余りの素晴らしい出来上がりに感動しました。わたしは前作より今回の続編のほうが良かったです。前作の飛行機のプラモデルが飛んでいく開巻の感動は続編では昔の「東宝ロゴ」がラジオのマークに変わり「臨時ニュースを申し上げます」というラジオから流れるアナウンサーの声が被り、鈴木家がぐらぐら揺れる場面が現れて、中国の四川省大地震を想起させる地震の場面かと思っていると、何と怪獣が大暴れしている場面が出て、これは「男はつらいよ」のシリーズ作戦の始まりと思いました。しかしながら、怪獣が東京を破壊するなか、鈴木オート三輪が突っ切っていく場面は続編でのVFXへの期待度を増幅するドキドキ感満点の迫力でした。これが茶川の連載だと分かる茶川家に前作と同じ登場人物たちが暮らしている同じ舞台にわたしは入り込んでしまう。タイムスリップの瞬間です。その前作を超えてまたまたわたしが40年以上も前の世界に懐古していく陶酔の世界はますます手馴れた感じでスタッフたちも楽しんでこの世界を創造していることもまたわたしには手に取るように分かった。そんなことを思いながらの続編の開巻でしたが飛んだ。飛行機が飛んだ。プラモデルが飛んだ。懐かしい舞台セットを飾っていくように題名「ALWAYS 続・三丁目の夕日」を飛行機が飾っていく。映画ファンはみんなが味わいたい、この映画ならではの胸を熱くする一瞬で後はその余韻という感動の車に乗せてもらっていくだけです。
 今作は鈴木家に親戚の父親が事業失敗でその娘を預かる話とか、茶川が預かっている淳之介という子供を連れ戻しに来るため芥川賞を狙うも詐欺師にまんまと引っかかってしまう話とか、茶川家の経済状態を考えて子供なりに気をつかって学校の給食費を米代にまわして給食を食べないという話などは現代と変わらない庶民の生活感を見せてただの懐古趣味に流していないのは良かった。とは言えそれも深刻さが増すと返って癒しの映画を壊すことにもなりかねないし難しいと、素人は要らぬ心配などしましたが杞憂に終わりました。
 主題歌「花の名」を聞きながら、「男はつらいよ」シリーズのように「続」は「続続」「新」というふうに製作されるのだろうか?
 キネマ旬報ベストテン13位、キネマ読者選出ベストテン5位。
                     2008年6月     マジンガーXYZ