93サンチ砲の話

 前回(燃料気化爆弾の話)が、ちょっと重めだったので、今回はアホなネタ(関東圏の人ならバカなネタに相当)で。

 何やらそろそろSEGAの方から「サクラ大戦4」が出るそうだ。
 一応、検索エンジンの項目に「SEGA」という欄があった場合、「BG2」の特集をしているのもあって、チェックを入れるようにはしている。(後、そのうちアドバンスド大戦略系の兵器紹介なんかもやろうと思っていたので)
 自分は、このシリーズの最初のやつしかやっていないので、「2」以降は全く知らないのだが、「1」に関して言うなら、エンターテイメントと割り切って見るなら、「1〜7話までは良くできているが、8,9,10話は蛇足だったな」と思っている。
 まぁ、そんな話は今回の主旨ではないので、このぐらいにしておいて、ここでは、その「蛇足」の中で出てくる「戦艦ミカサ」が積んでいる「主砲」93サンチ砲について、いろいろと考証してみよう。尤も、当の「サクラ大戦」の技術設定そのものが

到底、技術設定とは呼べない

 シロモノなので、土台からして無理があるのだが。
 例えば、そもそも艦首に1門だけ固定されている砲を「主砲」とは言わない。同じ大口径単装砲のイギリス戦艦フューリアス(1917)やヴィクトリア(1890)の砲ですら旋回砲塔だったぞ。とはいえ、そのような砲を据えた兵器が現実には存在しないので、何と呼ぶのかは微妙な所だが、敢えて呼ぶなら「艦首特別砲」とでも言うべきだろう。ミカサ自体には93サンチ砲とは別に46サンチ砲が多数装備されているらしいし。

 まず、純粋なスペックから。
 「サクラ大戦原画&設定資料集」の方には

 空中戦艦ミカサ
 全長:約8km(まぁ、これはよしとしようや。お話やし)
 主動力:霊子核機関6基(誰の霊力で動いているかは謎。光武の霊子機関ですら選ばれた人間でしか動かせなかったのに……。自ら決めた設定を自分で破るなよ……)
 連続航行可能時間:7000時間以上(それだけ飛んで何をするつもりなんだ? 敵は目の前だ!)
 全天候性:あり(全天候性もクソも、この巨体なら、艦の上部が雲の上、艦底が雲の下だ)
 クルー:36人(戦艦を動かすのに、オーストラリア以下(1平方km辺り2人)の人口密度だ!)一応、内訳は艦長1人、オペレーター3人、機関要員20人、砲術要員12人。
 主砲:93サンチ(930mm。厳密に言うと、インチをセンチに直すので、929mmといった所なのだが。以後930mm砲)
 副砲:46サンチ(同様。恐らく457mm。戦艦大和と同じですな)
 両弦合わせて1562門の高射砲等(ミカサが空を飛ぶことを前提として作られているのに、「高射砲」はないだろう)

 としかなっていない。困った物だ。
 とりあえず、船としての機能うんぬんを語るつもりはないので、「930mm砲」の検証を開始する。

砲の大きさ

 「930mm」という砲口径とゲーム画面中のデータしか無いので、後は、実際に存在していた兵器から算出するしかないのだが。参考までに各々の数字を。

 406mm砲:戦艦「アイオワ」クラスの場合、406mm/L50なので、約20mである。
 457mm砲:かの有名な戦艦「大和」の砲は457mm/L45なので、約20.7mとなる。
 800mm砲:歴史上存在した世界最大の火砲。ガオガイガー15話でも出てきていたりする。この砲の場合、800mm/L40なので、約32m。

 尤も、これらは砲身の長さの部分だけであり、「砲」というシステムそのものの大きさを示している訳ではない。だが、これらの事から想定されるミカサの砲の長さは

 930mm砲推定:930mm/L45の場合、約42m

 となる。ゲーム中の画面で見ると、遙かに超大に描かれていたのだが、実際は、このぐらいの数字で落ち着く筈である。

 砲の重量に関してだが、800mm砲が砲身重量約400t、システムその物の重量が(800mm砲が列車砲、930mm砲が空中戦艦砲なので、直接比較は微妙な所なのだが)約1500tなので、930mm砲の場合、恐らく砲身重量600〜700t、システムその物の重量は2300〜2400tぐらいの数字を取ると思われる。

砲弾重量

 ゲーム中、ミカサは楽々と砲弾を自動装填していたが、果たして、あの砲弾の重量はどれぐらいなのか?
 ここでも例の如く、実際にあった兵器の検分から。

 406mm砲:国や艦船によってまちまちなのだが、アイオワ級の場合、1225kg
 457mm砲:戦艦「大和」の91式徹甲弾の場合1460kg
 800mm砲:徹甲弾で約7.1t。榴弾だと約4.8t。

 とまぁ、こんな所である。この辺から推測して(概ね、口径の3乗になる)、

 930mm砲推定:約11t

 という数字が弾き出される。まぁ、ミカサそのものの大きさが比べ物にならないぐらい巨大なので、11tという数字を見ても何とも思わないのだが……

 乗用車=約1t
 零式艦上戦闘機21型=約2.1t
 200系新幹線=約7.5t
 U号戦車=約10t

 と、こう言われると「なるほど、これはなかなかすごそうだ」となる。とはいえ、実際にすごい物かどうかは砲の威力如何にかかっているのだが……

砲の威力

 「砲の威力」と一口に言っても、砲の射程とか、撃速、命中精度、砲弾自身の威力、次弾装填速度、砲寿命等、考慮に入れるべき要素は多い。
 命中精度、砲寿命を言い出すと、もはやどうしようもない問題を多数含んでいるので、取り上げないが、とりあえず、ゲーム中で見る限り、次弾装填速度は異常に早い。まぁ、シナリオテンポの問題、という部分があったにしても、あの速度は異常である。800mm砲の場合でも、理論上は10分で次弾発射可能でも、実質、1時間に1発発射出来たら良い方であった。

 次に、砲の撃速についてだが、砲弾とは、初速がどれだけ速くとも、その速度そのままで敵に当たる訳ではない。今回のような超遠距離を狙い撃つ砲の場合、放物線状の弾道を描きつつ空気中を飛んでいるうちに、水平方向の速度成分は失われていき、最終的には自由落下の速度に近いものになる。そのような場合は初速を比較するよりも、撃速を比較した方が、より正確になる。

 砲の撃速(距離2万m)
 406mm:アイオワ級で530m/1秒
 457mm:戦艦「大和」で522m/1秒
 800mm:このような短距離を撃つような砲ではないのでデータは無いが、480m〜500m/1秒ぐらいの値を取ると思われる。

 930mm砲もこれらの砲と同様の撃ち方がなされるなら、初速がどうであれ、最終的にはこのぐらいの値に落ちつくと思われる。
 ところが、ミカサの930mm砲の場合、俯仰角が取れない形状をしているので、どう考えても放物線を描くような弾道ではなく、相手を直射するような弾道を描かざるをえない。となると、砲弾が威力を持っているのは、単純計算、最大射程の半分が限界の筈である。
 ちなみに、実際の兵器の最大射程はというと……

 各々の砲の最大射程
 406mm砲:アイオワ級で約38000m
 457mm砲:戦艦「大和」で42000m
 800mm砲:徹甲弾だと37000m、榴弾の場合48000m

 である。砲が巨大になったからといっても、最大射程が伸びる訳ではない事がよく分かる。理由は、発射機の方が、砲発射の衝撃に耐えきれないのだ。例えば、戦艦「大和」の主砲を全く同じタイミングで9門同時斉射した場合、戦艦「大和」自身がひっくり返ってしまう。だから、第一主砲から第三主砲までの発砲時間を少々ずらしてあるのだ。
 それらの事から想定して、もし、これらの砲と同様の運用がなされるなら、距離4万ぐらいは堅いのだが、何分、直射するから実際に威力があるのは距離2万ぐらいが限界と思われる。

 とはいえ、結局、現代のロケット補助推進弾を使用した155mm砲や203mm砲の方が長距離を飛ばせる(155mmで約3万m、203mmだと約4万m)のであった。

 やっぱり「現代兵器は怖い」という辺りで、今回はおしまい

 2002/2/20 スライム君

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