脳性麻痺の二次障害に関する講演会・・・報告 その1
<脳性麻痺の二次障害治療と予防法~実体験から考える>
2月5日(日)13:30~16:30 富山県民会館613号室
講演:野村 忠雄氏(富山県高志リハビリテーション病院)
   川原 範夫氏(金沢大学医学部附属病院)
   寺崎 謙三氏(脳性麻痺 当事者)

1.脳性麻痺の二次障害の下肢・足椀について

野村 忠雄氏(富山県高志リハビリテーション病院)

 二次障害とは、脳性麻痺やポリオなどの人たちが一般の人たちが60歳~70歳で動かす首などの運動を
20歳~30歳ぐらいで使い果たしてしまう。このことによって起こってくる椎間板の変成や骨などの変形
が出てくることをカヨウといいます。それ以外に膝などにも出てきます。
 もう一つは、廃用といって使いなさ過ぎによって起きます。痛いからといって寝てばかりいると筋肉
がやせてきたり、または膝を曲げて股関節を曲げてばかりいると拘縮がきます。さらには、立たない人
たちに多い骨のもろさ(骨粗鬆症)が起きてきて、ちょっとしてことで骨が折れてしまうことも二次障
害といいます。
 このことによって、新たな機能低下というものが生まれます。つまり生活の中での年齢・動きすぎ・
動かなさすぎ・肥満などが重なって新たな二次障害が出てくるようになることで、生活習慣が発生に関
係してくるといわれています。この生活習慣病はある程度予防していくということが必要です。最近で
は、骨や関節だけの障害でなく、内科的疾患として便秘、イレウス(腸閉塞)、貧血気味や糖尿病など
も発生しやすいのも、二次障害として考えていってもいいのではないかと思っています。
 それと精神・精神的障害として、動けないとか外に出られないということでうつ状態とか気分がいら
いらしてくるということも、二次障害として考えていかなければならないのではと思います。
 こういうことを定義する意味は、ある程度自分や周りの人たちが変わることによって予防していける
のではないかということで二次障害ということになります。

<データからの話>
硬直型、アテトーゼの方が4割、障害者手帳1級が50%以上、就労している方が50%以上というバック
グランドでデータについて話します。
運動能力低下・・・20歳未満の人たちから訴えがあり、40歳までにはみんなが能力低下があります。その
内の3分の1はあまり変わらない。また急速なのかゆっくりなのかについては、ゆっくり機能が落ちてく
る人が多い。急落とか墜落が3分の1おられる。アテトーゼの人は、ゆっくりくるが急に機能が落ちる頸
椎症(首の脊髄の障害)が多いので、急激に症状が出てきて機能が落ちていく。こういう人たちが歩い
ていたのが急激に歩けなくなる運動機能低下がくるので注意が必要です。
 移動能力は、20歳代から出てきて50歳代で急激に落ちてきています。上肢の変化について、アテトー
ゼの人に多い。首や肩からくる問題が出やすい。症状は、肩の周辺が痛いとか握る力が弱くなったとい
う問題が出てきたり、細かいことができない(高次運動障害)、重い物がもてない、しびれ、手が上が
らないということが出てきます。

症状を早く見つけるためには、手の方の変化も注意してみていく必要がある。痛みは、アテトーゼの人
に多い。首とか肩や腕、それに腰。(肩こり、手に痛みが走るなど)また、硬直の方は腰の方が多い。
腹を出して歩くことによって腰に痛みがくる。(分離症といって、腰の骨が弱くなる)さらには、痛み
の要素が多いが、立つことができない・目が疲れる・移動困難・非常に疲れやすいというものもありま
す。

股関節脱臼・・・4分の1が何らかの異常、左右どちらかに異常がある人は42%おられた。歩けない方に
多くて、歩ける方に少ない。アテトーゼの人には少ない。痛みのある人は15%ぐらいで、レントゲンを
撮ってもどうもないが痛みがある12%。また床ずれ、骨折、座ったときにバランスが悪い、股の開きが
悪い、脊椎が曲がってくることがある。痛みを取るためにリハビリ・補装具・手術(股関節周囲開医術
:股関節の周りの筋肉をちょっと切る、大腿骨切術、骨盤骨切術、人工股関節弛緩術:60歳ぐらいにな
らないとできない)、薬(消炎鎮痛剤、緊張を押さえる薬)等。

・・・脳性麻痺で50%の人の膝が曲がっています。硬直型では65%、アテトーゼでは54%。ヒツガイ
骨(膝の皿)がずれている。予防としては、体重を増やさない。膝の皿の位置を戻す手術があります。

・・・舟底足(扁平足)でうち足に痛みがくる。親指などの変形、外反母趾がひどくなると靴にすれ
て痛みが出たり、指がオーバーラップしたり、指が屈曲して痛いということもある。変形を直すために
補装具を付けたり、手術をするなど。

側湾症・・・重度の人で6歳ぐらいまでが多い。それ以上の年齢で悪くなる人は注意が必要。呼吸や発
生、食事に影響してくる。肺炎などが起きると痰を切ることが弱いので生命に影響してくる。背骨のス
トレッチを一日に一回行うといい。また、ボストン補装具を付けるとよい。手術方法やボスリス菌方法
もあります。

床ずれ・・・寝たきりの方に多い。血行障害(堅いところにあたっている)、栄養が悪い人、失禁によ
って皮膚が濡れてくるとなりやすい。体位の変換、マットの工夫、栄養が大事。

凍傷・・・麻痺のある人がなりやすい。治療としてマッサージ等があります。

骨折・・・抗てんかん剤を服用している人、10代の人に多い。大腿骨と上腕骨に多い。原因は転倒、滑
ったり、落ちたり、体位変換、おむつを替えるときに股を広げたりしたときに。特徴は、すぐにはハレ
とかが出てこないのでわかりにくい。

【二次障害の対策について】
 使いすぎに注意。薬やネックカラーをするなどして動きを抑制する。
もう一つは、使わなさすぎに注意。肥満とやせの予防として栄養素のバランスを考える。適度の運動を
する。人生を楽しく生きることが大切です。たとえば、趣味や全身的なスポーツをしたりすることもよ
いと思います。
(お話を要約させて頂きました。医学用語については漢字等が間違っているかもしれません。そのことをお断りして
おきます。)