[43−03] 次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 公務員の不法行為による損害賠償は国又は公共団体にのみ請求しうるとするのが憲法の趣旨である。

(2) 公務員の不法行為により国に謝罪広告をなさしめることは国の名誉を毀損するものであるから許されないとするのが憲法の趣旨である。

(3) 公務員の不法行為による損害賠償においては,いわゆる過失相殺を認めないとするのが憲法の趣旨である。

(4) 捜査機関の過失で未決の拘禁の後無罪となって損害を賠償した場合はその限度で刑事補償しなくてもよいというのが憲法の趣旨である。

(5) 刑事補償の損害額の算定については警察・検察・裁判の各機関の故意過失を算定の基準に加えなくてもよいとするのが憲法の趣旨である。

[43−06] 次に述べるもののうち,最高裁判所でいまだ,判断を下していないものはどれか。

(1) 最高裁判所裁判官国民審査法による投票の方法は日本国憲法第19条の保障する思想良心の自由に反するかどうか。

(2) 都道府県知事の直接公選制の廃止は日本国憲法第93条2項に反するかどうか。

(3) 非訟事件手続で、過料の決定をする不服申立の手続について公開の対審を保障しないのは、日本国憲法第82条第2項、第32条に反するかどうか。

(4) 法廷等の秩序維持に関する法律に基づく監置処分は日本国憲法第32条に反するかどうか。

(5) 旅券法第13条第1項5号によれば「外務大臣に於て著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行なう虜があると認めるに足りる相当の理由がある者」には一般旅券の発給をしないことができるとされるが、これは憲法第22条第2項に反しないかどうか。

[43−09] 衆議員又は参議員における次の議決のうち,憲法上出議員の3分の2以上の多数によるべきこととされているものはどれか。

(1) 議員に対する懲罰として一定期間の登院停止を命ずる議決

(2) 衆議院における内閣不信任案の議決

(3) 参議院の緊急集会における予算の議決

(4) 憲法改正を発議する議決

(5) 会議を秘密会とする議決

[43−11] 次の記述のうち,最高裁判所の判例の趣旨に反するものはどれか。

(1) 医師と薬剤師との間で,調剤に関する規定に差別を設けても,憲法第14条第1項に反しない。

(2) 幼児引渡請求を容認する判決は,憲法第22条とは関係ない。

(3) 憲法第25条は,国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む具体的な権利を認めたものではない。

(4) 仮処分の判決に対して,通常の上告を許さないとしても憲法第32条に反しない。

(5) 検察官が一旦不起訴処分にした事件について,後日,新たに起訴することは,憲法第39条の趣旨に反する。

[43−15] 宗教に関する次め記述のうち,正しいものはどれか。

(1) ある宗派の官長が,壇家の反対を押し切って檀徒の信服しない僧呂を,その寺院の住職に任命することは憲法に反する。

(2) 賃貸人が家屋を賃貸するに際し,その家屋で布教活動をしないことを条件とすることは憲法に反する。

(3) 母親が,いやがる幼児をキリスト教会経営の幼稚園に入園させることは憲法に反する。

(4) 国が特定の宗教法人に公の財産を無償で譲与することは,その法人について国が監督する権限を有するなど,公の支配に属する場合でなければ憲法に反する。

(5) 著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした宗教法人に,その解散を命ずることは憲法に反する。

[43−19] 次のうち,憲法に違反しないものはどれか。

(1) 内閣が最高裁判所の裁判官を指名,または,任命する場合,あらかじめ,内閣の下に設置する諮問委員会の意見を聞くこと。

(2) 裁判官の数がはなはだしく不足しているので,法律で裁判官の任期を延長すること。

(3) 天皇が,内閣の助言と承認にもとづいて,法律によって定める官吏を任免すること。

(4) 内閣が,参議院議長の意見を聞いて,参議院の議長以外の役員を任命すること。

(5) 最高裁判所裁判官任命の国民審査を,参議院議員の通常選挙の際に行なうこと。

[43−25] 次のうち,憲法上許されないのはどれか。

(1) 子は,その出生につき父が日本人であれば当然日本国籍を取得し,母が日本人のときは当然には日本国籍を取得しないとすること。

(2) 帰化人となる要件として,夫が日本人の場合と,妻が日本人の場合とで難易の程度をもうけること。

(3) 外国の国籍を有するか,又取得しなければ,日本国籍の離脱を認めないとすること。

(4) 現に外国に住所又は居所を有しなければ,国籍の離脱を認めないとすること。

(5) 国会議員は日本の国籍を喪失すれば当然その地位を失うとすること。

[43−27] 憲法の地方公共団体に関する次の事項につき,最も違憲の疑いの濃いものはどれか。

(1) 地方公共団体の特定の職員の任命について,主務大臣の承認をえること。

(2) 地方公共団体の一時借入金について,主務大臣の許可をえること。

(3) 地方公共団体の議会の議員の就任について,国の機関の同意をえるものとすること。

(4) 地方公共団体の条例で一定の事項を制定するには,主務大臣の許可を要するとすること。

(5) 法律で条例を廃止して,法律でその経過措置を設けること。

[43−30] 次の事由のうち,下級裁判所の裁判官がその地位を失い,または免官される事由とならないものはどれか。

(1) 心身の故障のため職務を執ることができないとの裁判があったとき。

(2) 裁判官弾劾裁判所で,罷免の裁判があったとき。

(3) 刑事事件で起訴されたとき。

(4) 法律の定める年令に達したとき。

(5) 衆議院議員立候補の届出をしたとき。

[43−36] 憲法95条に定める地方特別法に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 憲法第95条の地方特別法は,法律は両議院で可決された時に成立するという憲法上の唯一の例外である。

(2) 憲法第95条の地方特別法は実例がない訳ではない。その実例も二・三に止まらない。

(3) 憲法第95条の地方特別法にいう「一つの地方公共団体のみに適用される」というのは,文字通り一個の地方公共団体を指し,数個にわたる地方公共団体に適用される法律はこれらに該らない。

(4) 一つの地方公共団体のみに適用される政令にも準用され,かかる政令を制定するには地方公共団体の住民の投票において過半数の同意を得ることが必要である。

(5) 憲法第95条には住民投票の方法について直接規定しておらず,法律によって定めなければならないものときれている。この場合,住民の直接の投票によらず,住民の代表者で構成される地方議会の同意をもって住民の同意があったものと定めることができる。

[43−37] 次の記述のうち誤りはどれか。

(1) 薬剤師の営業について,厚生大臣の許可のほかに薬局の開設の許可及び更新の制度をもうけて,営業を規制しても,職業選択の自由を保障する憲法第22条に違反しないとするのが,最高裁判所の判例の趣旨である。

(2) 起訴されていない犯罪事件を,当該被告事件の動機目的等の判断資料に用いるのは,法定手続を規定する憲法第31条に違反しないとするのが最高裁判所の判例の趣旨である。

(3) 刑事事件について被告人以外の者に属する物を没収するのは,いかなる場合にも財産権を保障する憲法第29条に違反するとするのが最高裁判所の判例の趣旨である。

(4) 公立小学技において父兄が教科書代等を負担するのは,義務教育の無償を規定する憲法第26条に違反しないとするのが,最高裁判所の判例の趣旨である。

(5) 夫婦間同居・扶助等に関する審判を非公開で行なうとする家事審判法は裁判の公開に関する憲法第82条に違反しないとするのが,最高裁判所の判例の趣旨である。

[43−41] 次の事項のうち内閣の職務に属さないものはどれか。

(1) 最高裁判所の長たる裁判官を指名すること。

(2) 国の予算に計上された予備費を支出すること。

(3) 国の収入支出の決算を国会に提出すること。

(4) 国民に対し定期に国の財政状況を報告すること。

(5) 参議院の緊急集会を求めること。

[43−43] 次の記述のうち,裁判所又は裁判官について現行制度と異なるものはどれか。

(1) 最高裁判所は,法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するか否かを判断する場合は,原則として大法廷で行なわなければならない。

(2) 国民審査で罷免を可とされた最高裁判所裁判官は,下級裁判所の裁判官に任命される資格を失う。

(3) 最高裁判所は,最高裁判所職員及び下級裁判所及びその職員につき,司法行政事務の監督を行なう。

(4) 裁判官の懲戒は,戒告及び過料のみであり,裁判手続により行なわれる。

(5) 裁判官の任命資格は,必ずしも司法試験合格者に限られない。

[43−45] 条約について誤りはどれか。

(1) 条約はすべて内閣が締結する。

(2) 条約はすべて批准を必要とする。

(3) 天皇は条約の批准書を認証する。

(4) 条約についての国会の承認には衆議院の優越が認められている。

(5) 天皇は条約を公布する。

[43−47] 日本国が締結した条約または確立された国際法規について次のうち,正しいものはどれか。

(1) 条約及び国家間の合意は全て国会の承認を必要とする。

(2) 条約及び国際法規が国内的効力を有するためには,必ず公布を要し,公布しないものは遵守する必要がない。

(3) 条約及び確立された国際法規は誠実に遵守しなければならないから日本国より廃棄するということはあり得ない。

(4) 条約に関する新憲法の規定は旧憲法と全く異なるところはない。

(5) 最高裁判所は条約について違憲審査権が必ずしもみとめられないものであるとはいっていない。

[43−49] 次のうち誤りはどれか。

(1) 裁判に対審の公開を停止する事由を法律で特別に定めることはすべて違憲である。

(2) 両議院の会議の公開を停止する事由を法律で特別に定めることはすべて違憲である。

(3) 地方公共団体の議会の会議の公開を停止する事由を法律で特別に定めることはすべて違憲である。

(4) 弾劾裁判所の裁判の対審及び判決を公開としないことを法律で定めても違憲ではない。

(5) 合議体の裁判の評議を公開としないことを法律で定めることは違憲ではない。

[43−52] 次の事項のうち,内閣総理大臣の権限に属さないものはどれか。

(1) 国会議員でない者を国務大臣に任命すること。

(2) 外交関係について国会に報告すること。

(3) 法律及び政令に連署すること。

(4) 国務大臣の訴追に同意すること。

(5) 衆議院で内閣の不信任決議案が可決されたとき,内閣の総辞職を決定すること。

[43−55] 次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 皇族が財産を賜与するにあたり,衆議院と参議院とで異なった議決をしたとき,衆議院の議決を国会の議決とする。

(2) 法律の成立は両議院の可決を必要としているので,参議院の緊急集会では法律を制定することができない。

(3) 衆議院が解散されたときは,参議院は同時に休会となる。

(4) 予備費支出の事後承諾について,両議院の議決が一致しないときは,憲法上衆議院は両院協議会を求めることができる。

(5) 決算は憲法上衆議院に先に提出しなければならない。

[43−57] 外国人に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 外国人は国政に参与する権能を有さないから,公務員を選定することはもらろん,公務員の罷免を請願することも憲法上許されない。

(2) 外国人に対しては法律によらないで納税に関する条件その他納税の義務を課しても憲法に違反しない。

(3) 外国人は日本人でないからといって,その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負わないわけではない。

(4) 外国人に対して裁判所において裁判を受ける権利を認めないことは憲法に違反する。

(5} 外国人に対しては日本国に入国する自由も,日本国から出国する自由も保障しなくとも憲法に違反しない。

[43−60] 次は労働基本権の制限に関する最高裁判所の判例である。[ ]の中に後のそれぞれの番号の文章を入れるとして,それが誤っているのはどれか。

(1) 労働基本権の制限は,労働基本権を尊重確保する必要と国民生活全体の利益を維持増進する必要とを比較衡量して,両者が適正な均衡を保つことを目途として決定すべきであるが,労働基本権が勤労者の生存権に直結し,それを保障するための重要な手段である点を考慮すれば,その制限は,[1]。

(2) 労働基本権の制限は,勤労者の提供する職務または業務の性質が公共性の強いものであり,したがってその職務または業務の停廃が国民生活に重大な障害をもたらすおそれのあるものについて,[2]。

(3) 労働基本権の制限違反に伴う法律効果,すなわち,違反者に対して課せられる不利益については,必要な限度を越えないように,十分な配慮がなされなければならない。とくに,勤労者の争議行為等に対して刑事制裁を科することは,必要やむを得ない場合に限られるべきであり,同盟罷業,怠業のような単純な不作為を刑罰の対象とするについては,[3]。けだし,現行法上,契約上の債務の単なる不履行は,債務不履行の問題として,これに契約の解除,損害賠償責任等の[4]が伴うにとどまり,刑事上の問題としてこれに刑罰が課せられないのが原則である。

(4) 職務または業務の性質上からして,労働基本権を制限することがやむを得ない場合には,これに見合う[5]が講ぜられなければならない。

1 合理性の認められる必要最小限度のものにとどめなければならない。

2 これを避けるため必要やむを得ない場合について広く認められなければならない。

3 特別に慎重でなければならない。

4 民事的法律効果

5 代償措置


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