[57−01] 次の1から5までの記述のうち,一つの主張とこれに対応する反論との二つを一組として組み合わせた場合,一つだけ残るものがある。それはどれか。

1.公務員は,全体の奉仕者であり,政治的に一党一派に偏することなく,厳に中立の立場を堅持してその職務の遂行にあたることが,国民全体の重要な利益になる。

2.公務員の勤務条件は法定されており,また,公務員は,制度上整備された生存権擁護のための関連措置による保障を受けている。

3.公務員の争議権は,団体交渉権の裏付としての意味に乏しい点で,私企業労働者の場合と大きく異なるが,公務員の場合にも,団体行動は,勤務条件の決定に対して影響力を行使する唯一の手段である。

4.公務員の労働基本権制限の代償措置制度の運用については,状況に応じた公務員の団体行動による監視,批判,要求,圧力等を必要とする場合がある。

5.公務員の給与その他の勤務条件は,労使間の自由な交渉に基づく合意によって定められるものではなく,憲法は,原則として,これを国会の制定した法律,予算によって定めることとしている。

[57−04] アメリカ合衆国の最高裁判所に関する次の文中の[ ]の部分に,後記(ア)から(ケ)までの語句のうちから適切なものを一個ずつ選んで入れていった場合(同一語句を繰り返して使用することができる。),一個だけいずれの[ ]にも入らないものがある。それは,後記1から5までのうちどれか。

「[ ]への帰依と並んで,これと同じように深遠ではあるが,論理的には矛盾するもう一つの確信も発達してきた。つまり,[ ]こそがあらゆる正当な権力の淵源であり,政府は[ ]の代理人であり,[ ]は多数決により自己を表現して,その意志を実施に移す権利をもっているという確信がそれである。この[ ]思想と[ ]思想との両面的価値が,[ ]に関する諸問題を処理する際に最高裁判所が果たすべき適切な役割をどこに限定すべきかという問題を絶えず提起してきた。[ ]は,州の場合であれ,連邦の場合であれ,いずれも[ ]の主題を表現する。他方,最高裁判所は,個人の利益のために憲法上の制限を執行するとき,[ ]を語る声となる。憲法解釈の問題では,[ ]に優越性が与えられているのだから,二つの相対立する主題間の衡量を,どこでまたどのようにして行うべきかを決定するのもまた最高裁判所である。これらの問題は,[ ]に関するものであって分析は複雑なものになるが,しかし,根底的には,この解答によって,統治の仕事のうちどれほどが[ ]と[ ]に留保されるべきであり,また,どれほどが憲法の名の下で裁判官たちに,そして窮極的には合衆国最高裁判所に与えられるべきかが決定される。」

(ア)立法府(イ)司法府(ウ)人民(エ)個人の自由(オ)人民主権(カ)法の適正な手続(キ)自然法(ク)司法の方法(ケ)政治過程

1.(オ)  2.(カ)  3.(キ)  4.(ク)  5.(ケ)

[57−07] 次の1から5までの記述のうち,他と基本的に見解を異にするものはどれか。

1.自由とは,法の制約を受けずに,自らの好むところに従って考え,生活し,行動することができる状態をいう。

2.行為の前に結果を精査し,勘考し,判断するということが自由の前提である。

3.泥沼や谷底への転落の防止だけを目的とする棚(さく)を拘束と名付けるのは適切ではない。

4.自由とは,他人から拘束及び暴力を加えられないことであって,法のないところに自由はない。

5.我々が自主的に決定した法に従うことは,何ら自由の拘束ではない。

[57−10] 次の1から5までのうち,それぞれA,B及びCの語句の意味する概念相互の関係が明らかに他と異なるものはどれか。

1.A経済的自由   B職業選択の自由    C薬局開設の自由

2.A公務員     B裁判官        C最高裁判所長官

3.A法源      B法令         C政令

4.A地方公共団体  B都道府県       C市町村

5.A労働基本権   B団体行動をする権利  C団体交渉をする権利

[57−13] 次の1から5までは,違憲立法審査権のあり方に関する論述であるが,同一の立場にあるものを二つずつ組み合わせたときに,一つだけ残るものはどれか。

1.刑事裁判においては,ある公訴事実がある法条の定める構成要件に該当するものとして有罪になるときにのみ,さかのぼってその法条の合憲性を審査する必要が生ずる。

2.憲法判断回避のルールを適用するかどうかは,高度に裁量的な行為であり,その適用に合理的な理由があれば,いかに法廷で,憲法論が当事者間にたたかわされても,裁判所は,憲法判断を回避しうる。

3.ある法条が違憲であると判断されるときは,公訴事実の構成要件該当性を判断するまでもなく無罪となり,合憲であると判断されるときに限り,構成要件に該当するか否かを判断し,その結果,有罪になることも無罪になることもある。

4.裁判所の憲法判断は,それをしなければ結論が出せない場合にだけ行われるのが原則であり,直接に関係のない憲法問題まで「ことのついでに」論ずるというようなことは,裁判所の本来の姿ではない。

5.刑事裁判において,公訴事実が構成要件に該当しないものとして無罪判決をしたときも,その構成要件を定める法条を事件に適用したことになる。

[57−16] 次の1から5までのうち,Aの記述とBの記述との論理的関係が他と同じでないものはどれか。

1.A 天皇の国事に関するすべての行為には,内閣の助言と承認を必要とする。

  B 国務大臣の任免を認証することは,天皇の国事に関する行為である。

2.A 我が国は,陸海空軍その他の戦力を保持することが許されない。

  B 外国の攻撃に対して領土を防衛するための実力は,自衛のため必要な最小限度を超えない戦力である。

3.A すべて国民は,法の下に平等であって,社会的身分又は門地により政治的関係において差別されない。

  B 華族の子孫であるという地位は,社会的身分であるとこもに,門地でもある。

4.A 財産権は,これを侵してはならない。

  B 無体財産権は,物権でも債権でもなしめく,財産権である。

5.A 内閣総理大臣は,文民でなければならない。

  B かつて軍人であった者も,現在軍人でなければ,文民である。

[57−19] 次の文章は,市が神式にのっとって挙行した市体育館の起工式と日本国憲法第20条第3項との関係を述べたものであるが,合憲を根拠付ける論理がこれと同様でないものは,後記1から5までのうちどれか。

「市が神式にのっとって挙行した市体育館の起工式は,宗教と関わり合いをもつが,その目的が専ら世俗的なもので,その効果が神道を援助,助長,促進し又は他の宗教に圧迫,干渉を加えるものとは認められないから,憲法第20条第3項の宗教的活動にはあたらない。」

1.学生の集会が真に学問的な研究又はその結果の発表のためのものではなく,実社会の政治的社会的活動にあたる行為をするものである場合には,学生は,憲法第23条により大学が有する特別の学問の自由と自治を享有しない。

2.使用者に対する経済的地位の向上の要請と直接関係があるとはいえない政治的目的のために争議行為を行うことは,憲法第28条の保障とは無関係である。

3.絞首刑は,他の死刑執行の方法に比べて特に人道上残虐であるとは認められないから,憲法第36条の残虐な刑罰にあたらない。

4.家庭裁判所は,一般に司法権を行う通常裁判所の系列に属する下級裁判所として,裁判所法により設置されたものにほかならず,憲法第76条第2項前段の特別裁判所であるとはいえない。

5.課税がたまたま通達を機縁として行われても,通達の内容が法の正しい解釈に合致するものであれば,憲法第84条の要求する法の根拠に基づく課税処分と解するに妨げない。

(参照条文)

日本国憲法第20条第3項 国及びその機関は,宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

日本国憲法第23条 学問の自由は,これを保障する。

日本国憲法第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は,これを保障する。

日本国憲法第36条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は,絶対にこれを禁ずる。

日本国憲法第76条第2項前段 特別裁判所は,これを設置することができない。

日本国憲法第84条 あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

[57−22]特定の条約の締結について,国会の承認のほかに国民投票を要することを内容とする法律を制定することとした場合に,国民投票の結果の法的効力に関する規定を制定するにあたり,憲法上の論点としてとりあげる必要性の最も少ないものは次の1から5までのうちどれか。

1. 間接民主制

2. 議院内閣制

3. 違憲立法審査権

4. 国会の最高機関性

5. 条約の承認に関する衆議院の優越

[57−25] 憲法学の窮極の問題である法と権力に関する次の文中の[ ]の部分に,後記1から5までの語句のうちから適切なものを一個ずつ選んで入れていった場合(同一語句を繰り返して使用することができる。),一個だけいずれの[ ]にも入らないものがある。それはどれか。

「[ ]秩序の一般の段階では,力は[ ],特に[ ]によって規律される。権力が権力として発動するためには,まず[ ]によって組織され,[ ]の認証を受けなければならない。この[ ]によって組織された[ ]は,[ ]の下にある。この種の[ ]は,[ ]に背いて行使されることはできない。これに対して,[ ]秩序の最高の段階においては,[ ]の上に力がある。その最高の力は,もはやいかなる[ ]によっても拘束されない。それは,万能の力である。[ ]もまた,この万能の力によって作り出されたのである。この権力を憲法制定権力という。」

1. 法   2. 憲法  3. 権力  4. 国家  5. 国民

[57−28] 社会経済の分野における法的規制措置について裁判所が立法府の裁量的判断を尊重すべき理由を述べた次の文章の[ ]の部分に,後記1から5までの語句のうちから適切なものを一個ずつ選んで入れていった場合(同一の語句を繰り返して使用することもできる),一個だけいずれの[ ]にも入らないものがある。それはどれか。

「法的規制措置の[ ]の有無や法的規制措置の対象・手段・態様などを判断するにあたっては,その対象となる社会経済の実態についての正確な[ ]が必要であり,具体的な法的規制措置が現実の社会経済にどのような影響を及ぼすのか,その利害得失を洞察するとともに,広く社会経済政策全体との調和を考慮する等,相互に関連する諸条件について適正な[ ]が必要であって,このような[ ]の機能は,まさに立法府の[ ]とするところであり,立法府こそがその機能を果たす適格を備えた国家機関であるというべきである。」

1.目的  2.使命  3.必要  4.基礎資料  5.評価と判断

[57−31] 次の文章は,日本国憲法第76条第3項に関する論述の一節である。その論旨と最も関係が薄い記述は,後記1から4までのうちどれか。

「憲法第76条第3項に『この憲法及び法律にのみ』とあるのを文字どおり読むべきではなく,もしこれを厳格に制限的に解するならば,裁判の現実の作用を停止させることになるであろう。しかし.裁判官の主観又は人間性のはたらくことを認めることは,決して個々の裁判官の個人的恣意を認容することではなく,その判断が裁判官個人を離れて,一般法律家の水準,国民一般の社会観念,論理,道徳,健全な良識(これらは,本質上決して法でも規範でもない。これを法あるいは規範と呼ぶ人があろうとも,それは,単なることばの問題にすぎない。)からみても是認さるべきものであることが要求されていると解すべきことはもちろんである。従って,一般条項についても裁量規定についてもその限界があることはいうまでもなく,また裁判官たる以上,法律が規定上要件を掲げないで,具体的判断を裁判官の裁量に委ねている場合には,恣意,安易な判断に陥いる危険にさらされていることを特に自戒すべきである。」

1.日本国憲法第76条第3項の「法律」には,成文法だけでなく慣習法をも含み,更に,実定法を超える条理をも含むであろう。

2.不法行為における慰謝料額の算定や,刑事裁判における刑の量定は,単なる自然科学的事実の認定,法規の適用,そして結論というような機械的な操作でないことは明らかである。

3.証拠の真偽の判断について,法律は,何らの基準を示すことなく,いわゆる自由心証主義の下にこれを裁判官の全人格的な判断に委ねている。

4.裁判官は常に「なんじの裁判の準則がすべての裁判所にとっても一般妥当性を持つことを望みえるように裁判せよ。」との命令の下にある。

(参照条文)

日本国憲法第76条第3項 すべて裁判官は,その良心に従ひ独立してその職権を行ひ,この憲法及び法律にのみ拘束される。

[57−34] 次の1から5までの文章を二つ一組にして一つずつ[ ]に入れ,「[ ]従って,[ ]」とすると国民主権に関する二つの論述となるが,一つだけ残るものがある。それはどれか。

1.日本国憲法の下でも,厳密な意味での主権の所在は,国家そのものであると見る可能性が残される。

2.主権が国家に属するという場合と主権が国民に属するという場合とは,同じ主権という語がその意義を異にし,後者は統治の権利ではなく統治の権能であり,国民が国家の最高機関として,国家を代表して統治を行う最高の権能を有することを意味する。

3.日本国憲法は,国民主権を建前とするものであり,国家に主権があるという考え方を否定したものといわねばならない。

4.明治憲法の解釈に関しては,天皇主権説は,必ずしも学問上の定説として異論なく適用していたわけではなく,むしろ日本の有力な憲法学者たちは,ドイツに発達した国家法人説を受け入れて,統治権は法人たる国家そのものに帰属すると考えた。

5.日本国憲法の下でも国民主権と国家主権とは,対立するものではなく,両立し得るものである。

[57−37] 後記(ア)から(エ)までの記述は,国の法令とこれと規定内容を異にする条例との関係について説明したものである。国の法令と条例の矛盾抵触について次の見解に従った場合に,当該条例が国の法令に違反しているか否かが必ずしも明らかでないものを選ぶと,後記1から5までのうち,どれになるか。

「条例が国の法令に違反するかどうかは,両者の対象と規定文言を対比するのみでなく,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならない。例えば.ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定のない場合でも,当該法令全体からみて,上記規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは,これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうるし逆に,特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも,後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり,その適用によって前者の規定の意図する目的と効果を何ら阻害することがないときや,両者が同一内容の規制を施す趣旨ではなく,それぞれの普通地方公共団体において,その他方の実情に応じて,別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは,国の法令と条例との問には何らの矛盾抵触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。」

(ア)国の甲法令がA条例の規律する事項と同一の事項についてA条例とは別の目的に基づいて規律しているとき。

(イ)B条例の規律する事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がないとき。

(ウ)国の乙法令がC条例の規律する事項と同一の事項についてC条例と同一の目的に基づいて異なる規律をしているとき。

(エ)D条例が国の丙法令の規律する事項と同一の事項について丙法令とは別の目的に基づいて規律をしているが,その適用によって丙法令の意図する目的と効果を阻害することがあるとき。

1.なし

2.(ア)

3.(ア)(イ)

4.(ア)(イ)(ウ)

5.(ア)(イ)(ウ)(エ)

(参照条文)

日本国憲法第94条 地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる。

地方自治法第14条第1項 普通地方公共団体は,法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し条例を制定することができる。

[57−40] 近時,日本国憲法第21条第1項の保障する表現の自由の内容に,いわゆる「知る権利」を含める見解が有力になってきているが,知る権利の範囲を順次拡大していく以下の論述のうちもしその主張に係る権利も同条により保障されるとするならば,同条について従来から一般に理解されてきた性格を質的に変化させることになるのは,次の1から4までのどの論述の段階からか。

1.報道機関の報道は,民主主義社会においては,国民の「知る権利」に奉仕するものであるから,報道の自由とともに「取材の権利」も認められるべきである。

2.国民の「知る権利」に奉仕する報道機関が「取材の自由」を行使するために行った行為は,一定の要件の下に,その違法性が阻却されるべきである。

3.複雑な現代社会において,国民が「知る権利」を十分享受するためには,政府の保有する情報について,その公開を求めることができる。

4.現代社会においては,マスメディアが表現の伝達手段を独占している状況にあるから,何人も「知る権利」を享受するために,自己の意見を広告の形で伝達することをマスメディアに求めることができる。

(参照条文)

日本国憲法第21条第1項 集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。

[57−43] 「日本国憲法は,その基本原則の一つとして,三権分立制度を採用し,立法権は国会に,行政権は内閣に,司法権は裁判所に,それぞれ属するものとしている。」という文章に続けて,次の1から5までの文章を「[A]そして,[B]ところで[C]もちろん,[D]しかし,[E]」と並べると,行政と司法の関係に関する論述になる。[C]に入るべき文章はどれか。

1.立法権・行政権・司法権というのは,各国家機関が,それぞれ,立法・行政・司法を行う権限を意味するのであるから,そこでいう立法・行政・司法とは,いかなる作用であるかを明らかにしなければならない。

2.その区別の存在を否定することはできず,憲法もまた,この区別を前提として,前述の規定を設けているものといわなければならない。

3.このことは,憲法自体が,立法・行政・司法に一定の意味・内容を予定しこれを行う権限を,それぞれの特質に応じ,別個の機関に分属させることを意図したものということができる。そこでいう立法権・行政権・司法権の意味・内容を明らかにすることは,憲法の解釈運用の上からいっても,必要欠くべからざるところといわなければならない。

4.行政と司法との間には,種々類似点もあり,その区別の限界は必ずしも明瞭とはいえない。

5.ここで行政権といい司法権というのは,憲法自体が予定した一定の意味・内容をもった行政を行う権限及び司法を行う権限を意味するといってよい。憲法は,行政と司法とが,それぞれ異なった性質の作用であるからこそ,それぞれ別個の機関の権限に属させることにしているものと解されるのである。

[57−46] 次の1から5までの文章を「[A]しかし,[B]すなわち,[C]ところで,[D]したがって[E]」と並べると,司法権に関する論述になる。[D]に入るべき文章はどれか。

1.法律上の争訟には,民事・刑事事件のほか,行政事件も含むものと解される。

2.司法権は,基本的には具体的な法律上の争訟について法を適用して,ある事項の適法・違法を確定し又は具体的な権利義務の関係を確定する作用を行う権限であると解される。

3.日本国憲法第76条第1項(司法権)の規定は,第41条(国会),第65条(行政権)とあいまって,国家の統治機構についていわゆる三権分立の制度を採ることを定めるとともに,司法権が裁判所に専属することを定めたものであることは明らかである。

4.日本国憲法には,第32条(裁判を受ける権利),第76条第2項(特別裁判所の禁止),第81条(法令審査権)の各規定が存在し,他方,大日本帝国憲法第61条(行政裁判所)のような規定がない。

5.日本国憲法には,司法権の意義・範囲について直接具体的に定めた規定はないから,司法権の意義については,従来の観念に従ったものと解される。

[57−49] 次に掲げる文章は,平等の意味について論じたある学説の概要であるが,後記1から5までの記述のうち,この学説と矛盾するものはどれか。

「ある型の平等が保持されると,他の型の平等が守られない.というのが周知の経験的事実である。この理由は,それぞれの平等の基準が,平等を平等として求めるということとは異なる何かによってさまざまに動かされるからである。『平等のための平等』ということとは異なるものが要因となって,そこでの平等の基準を定立するのである。そこで,平等ということの定義(例えば.各人を一個のものとして教え,誰もそれ以上にはみない)と,それをさまざまな状況や主体に適用するための基準とが区別される。平等の概念は,このように,恒常的な形式的要素と変移する実質的要素とからなる複合的構造をもっている。」

1.政治的・法的平等を確保するために,経済的・社会的不平等が出てくることがあり,その場合には,後者の不平等を防止する必要が生ずる。

2.「平等のための平等」は,各人をみな一個のものとして数え,誰もそれ以上にはみない,というルールによって到達される目的であるが,現実には,財力・権力においても,能力を伸ばし経験を得る機会についても,人々の間にさまざまな差がある。

3.日本国憲法第14条では,法の下の平等であるところの,いわば理想的な人間関係ないし平等社会が描かれているが,理想といっても,そこで追求されるのは,絶対的な平等ではなく,すべての人々の間の可能な最大限の平等である。

4.平等の基準が平等の定義とは区別して設定されなければ,平等ということの生きた性質と機能とは示されない。

5.平等は人間社会における基本的な原理であるから時代や社会によって異なる平等以外の理想や目的によって,平等の基準が修正されることはない。

[57−52] 次の文章の[ ]の中に,その[ ]の中に示された数字に対応する番号の後記の語句を番号順に入れた場合,記述に誤りを生ずることとなるものがある。それはどれか。

「教育の事業とは一人の精神的又は肉体的育成をめざして一人を教え導くことを目的とする事業であって,教育する者と教育される者の存在なくしては,これを考えることはできない。ところが,純然たる学術研究機関又は学術団体は,学問の研究を目的とはしているものの,人を教え導くことを目的とするものではなく,したがってまた,教育される者の存在を必要としないものであるから,これらの機関又は団体の経営は,教育の事業に[1]。したがって,これに公金を支出することは,憲法に[2]。しかしながら,これらの機関又は団体が,宗教団体の事業として経営され,又は[3]慈善,教育若しくは博愛の事業に附属し,その一環として経営されている場合にあっては,この限りでない。すなわち,これらの機関又は団体が宗教団体の事業として経営されている場合においては例外なく,またその他の場合においては,これらの機関又は団体だけが特に[4]ものと認められるような特別の場合を除いては,これらの機関又は団体に公金を支出することは,憲法に[5]。」

1.当るということはできない

2.違反するものではない

3.公の支配に属しない

4.公の支配に属しない

5.抵触する

[57−55] ある県が寺院に対価を払って入場する者に条例によって文化観光税を課したことに対し,寺院が裁判においてその条例が信教の自由を侵害するものであると主張したところ,裁判所は判決中で次のような判断を示した。この判断と矛盾しないものは,後記1から5までの記述のうちどれか。

「信仰は人の内心の心理的,意思的事実であって,その者の告白がなければその有無を知ることができないから,本寺院への入場者についてもその本来の目的が参詣・礼拝にあるか否かはその外観により判断するほかはないところ,本寺院への入場者の大多数は少なくとも外観上は本寺院が公開する文化財を鑑賞するのが本来の目的であるとみられる。そして本寺院への入場者は,その本来の目的が参詣・礼拝にあるか否かにかかわらず,すべて,一律に所定の金員を支払わなければ入場を許されないわけであるから,入場者のその支払いをお布施又は参詣・礼拝のための対価とみるのは無理であって,これは文化財鑑賞の対価とみる他はない。」

1.対価を払って入場する者には参詣・礼拝の目的がないから,本件課税は信教の自由を侵害することにはならない。

2.一般の入場者に対する課税を達成するためには,参詣・礼拝の目的をもって入場する者に対し,その信教の自由を侵害することもやむを得ない。

3.入場の目的が参詣・礼拝であるとしても,入場の対価を支払った場合には,その目的を放棄したものとみなされる。

4.入場の目的が参詣・礼拝であるとしても,入場の対価に課税することと信教の自由とは関係がない。

5.入場の目的が参詣・礼拝である場合でも,その旨の意思表示がないときに入場の対価に課税しても信教の自由を侵害することにはならない。

[57−58] 次の甲と乙,AとBの各記述は,それぞれ日本国憲法第81条に関し対立する見解であるが,これらの見解の関連性について最も論理的なものは,後記1から5までのうちどれか。

甲 最高裁判所は,具体的事件においてのみ法令の合憲性を判断する権能を有する。

乙 最高裁判所は,具体的事件に関係なく抽象的に法令の合憲性を判断する権能を有する。

A 最高裁判所によってなされた法令違憲の判断は,その裁判の当事者のみならず,一般人に対しても効力を有する。

B 最高裁判所によってなされた法令違憲の判断は,その裁判の当事者に対してのみ効力を有する。

1.甲の見解をとっている者が,Aの見解をとっていることは明らかである。

2.乙の見解をとっている者が,A又はBのいずれの見解をとっているかは明らかでない。

3.乙の見解をとっている者が,Bの見解をとっていることは明らかである。

4.Aの見解をとっている者が,甲又は乙いずれの見解をとっているかは明らかでない。

5.Bの見解をとっている者が,乙の見解をとっていることは明らかである。

(参照条文)

日本国憲法第81条 最高裁判所は,一切の法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

[57−61] 日本国憲法第13条に関する次の甲,乙二つの見解とAからEまでの記述とを組み合わせた場合,論理的に許されない組合せは,後記1から5までのうちどれか。

甲 日本国憲法第13条は,具体的な権利又は自由の根拠規定ではなく,公共の福祉による制約規定である。

乙 日本国憲法第13条は,具体的な権利又は自由の根拠規定であり,かつ公共の福祉による制約規定である。

A 日本国憲法第13条中権利に関する部分は,裁判規範としての保障規定の意味を有しない。

B 日本国憲法第13条中権利に関する部分は,日本国憲法第14条以下に規定された各個別的基本権に含まれない権利又は自由を補充的に保障するものである。

C 日本国憲法第13条に定める公共の福祉の原則は,同条の権利を制約するものである。

D 日本国憲法第14条以下に規定された各個別的基本権に含まれない権利又は自由は,憲法上保障されない。

E 日本国憲法第14条以下に規定された各個別的基本権に含まれる権利又は自由は,その各個別的基本権としての保障を受け,第13条の権利としては保障されない。

1.甲とA  2.甲とB  3.乙とC  4.甲とD  5.乙とE

(参照条文)

日本国憲法第13条 すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

[57−64] 次の(ア)ないし(オ)の文章を「[A]ところで[B][C]ところが,[D]つまり,[E]」と並べると,参議院の性格に関する論述となる。その正しい順序は,後記1から4までの組合せのうちどれか。

(ア)法律については衆議院が参議院の反対をふみにじるには,衆議院の3分の2の多数の賛成を得なくてはならないから,たとえ衆議院の絶対多数の支持を受けている内閣でも,その3分の2の多数の支持を受けていないかぎり,法律に関しては,参議院の反対をふみにじることができない。

(イ)この結論を出すについて,少々ぐあいの悪いことがひとつある。それは,法律の議決に関する参議院の劣位である。

(ウ)憲法が参議院についていろいろ定めているところから帰納すると,参議院は,衆議院とちがい,内閣を作ったり,倒したりする任務をもたず,主として内閣を,従ってまた,場合によっては衆議院をも批判する任務をもつべきものであるという結論が出る。

(エ)予算については,参議院がいくら反対しても,結局は衆議院の意見がとおる。だから.衆議院の絶対多数を支配する内閣は,その欲する予算を確実に成立させることができる。

(オ)内閣がその重要政策を実行するために必要な法律を確実に成立させ得るためには,参議院の絶対多数の支持を得るか,さもなければ,衆議院の3分の2の多数の支持を得なくてはならないことになる。

A B C D E

1.(ア)(イ)(エ)(オ)(ウ)

2.(ア)(エ)(イ)(オ)(ウ)

3.(ウ)(イ)(エ)(ア)(オ)

4.(ウ)(エ)(イ)(ア)(オ)

[57−67] 日本国憲法第26条第2項後段に定める義務教育の無償の意義について,これを授業料に限定して解する説(A説)と義務教育に必要な一切の費用を含むと解する説(B説)とが考えられるが,両説についての説明として明らかな誤りといえないものはどれか。

1.B説は,義務教育における授業料不徴収を定める教育基本法の規定を確認的なものであると解し,A説は,これを創設的なものであると解する。

2.A説は,上記日本国憲法の規定を具体的な内容を定めたものであると解し,B説は,これをプログラム規定ないし抽象的な内容を定めたものであると解する。

3.いずれの説も,義務教育における教科用図書の無償給付を定める「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」の規定を確認的なものであると解する。

4.B説は,義務教育の授業料の徴収に対しては,上記日本国憲法の規定違反を裁判上争うことができると解し,A説は,それを裁判上争うことはできないと解する。

(参照条文)

日本国憲法第26条第2項 すべて国民は,法律の定めるところにより,その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は,これを無償とする。

[57−70] 次の文章はアメリカのある裁判官の著書の一節であるが,文中の[ ]の部分に,後記1から5までの語句のうちから適切なものを一個ずつ選んで入れていった場合,一個だけいずれの[ ]にも入らないものがある。それはどれか。

「法の生命は[ ]ではなかった。それは[ ]であった。その時代に感じられている要求,そのときに有力である道徳的・政治的理論,意識的又は無意識的な公の秩序についての[ ],更に裁判官がその同僚と共有している[ ]すら,人間を支配すべきルールを決定する際に,三段論法よりもはるかに重要であった。法は,幾世紀にもわたる国民の発展史を具体的にあらわしているのであって,数学の書物の中にあるような公理や系のみから成るかのごとく取り扱うことはできない。法が何であるかを知るためには,我々は法が何であったか,何になろうとしているかを知らなければならない。」

1. 伝統  2. 偏見  3. 論理  4. 直感  5.経験

[57−73] 次の文中の[ ]の部分に,後記1から5までの語句のうちから適切なものを一個ずつ選んで入れていった場合,最も多く使用される語句はどれか。

「[ ]の下においては,[ ]と[ ]とに対して,それぞれ異なったアプローチが適用される。なぜなら.これら二種類の基本権は,その由来する基盤が本質的に異なるからである。この両者の権利概念は,[ ]の概念との結びつきを異にする。後者の概念は,アメリカの憲法上の経験を通して発展してきた表現であるといってよい。すなわち,合衆国においては,一方に,合衆国憲法は,[ ]の無制限の処分を可能としたとの考え方があり,他方に,同憲法中に包摂された[ ]に関する諸原則が大企業に対する規制立法を要請するとの考え方があったが,両者を調停する立場からは,[ ]の要請がある場合には[ ]は制限され得るとの見解が主張されたのである。[ ]に対する憲法上の保障は,合衆国憲法修正第1条にみられるように多かれ少なかれ絶対的である。実際問題として,上記二種類の基本権にあっては,[ ]のみが[ ]という文言により制限されるべきである。」

1.財産権

2.社会権

3.公共の福祉

4.精神的自由権

5.二重の基準の原則

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