[58−01] 次の1から4までのうち,それぞれA,B及びCの語句の意味する概念相互の関係が明らかに他と異なるものはどれか。

1.A 国務大臣  B 内閣総理大臣  C その他の国務大臣

2.A 国会議員  B 衆議院議員   C 参議院議員

3.A 裁判所   B 最高裁判所   C 下級裁判所

4.A 国会    B 臨時会     C 特別会

[58−04] 次の甲と乙,AとBの各記述は,それぞれ最高裁判所の裁判官の国民審査に関し対立する見解であるが,これらの見解の関連性について最も合理的なものは,後記1から5までのうちどれか。

甲 最高裁判所の裁判官の国民審査の制度は,その実質において,いわゆる解職の制度である。

乙 最高裁判所の裁判官の国民審査は,その実質において,裁判官の任命行為の一部である。

A 最高裁判所の裁判官の国民審査は,積極的に罷免を可とする者がそうでない者より多数であるか否かを知ろうとするものである。

B 最高裁判所の裁判官の国民審査は,積極的に罷免を可とする者が積極的に罷免を不可とする者より多数であるか否かを知ろうとするものである。

1.甲の見解を採っている者が,Bの見解を採っていることは明らかである。

2.乙の見解を採っている者が,Aの見解を採っていることは明らかである。

3.乙の見解を採っている者が,A又はBのいずれの見解を採っているかは明らかでない。

4.Aの見解を採っている者が,甲の見解を採っているかどうかは明らかでない。

5.Bの見解を採っている者が,甲又は乙のいずれの見解を採っているかは明らかでない。

(参照条文)

日本国憲法第79条 最高裁判所は,その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し,その長たる裁判官以外の裁判官は,内閣でこれを任命する。

最高裁判所の裁判官の任命は,その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し,その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し,その後も同様とする。

前項の場合において,投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは,その裁判官は,罷免される。

審査に関する事項は,法律でこれを定める。

(以下省略)

[58−07] 「軌道法の規定によれば,軌道を敷設して経営する運輸事業(以下単に「軌道事業」という。)は,その経営権が国に留保されているところのいわゆる公企業の一種であるとの建前の下に,国以外の者がこれを経営することを得るためには,主務大臣の特許を受けることが必要とされているのであるが,」という文章に続けて次の1から5までの文章を「[A]以上,[B]ことは当然である。してみれば,[C]と解することができるであろう。従って,もし,[D]であろう。けだし,[E]ことは,明らかであるからである。」と並べると,財産権に関する論述になる。[E]に入るべき文章は,後記1から5までのうちどれか。

1.軌道事業の経営をしようとする者は,国によって特定された,このような軌道経営者の地位をその意思に基づいて取得するものである

2.日本国憲法第29条第3項の規定は,「私有財産は,正当な補償の下に,これを公共のために用ひることができる。」と規定しているが,この規定において私有財産を公共のために用いるということは,国がその一方的な意思によってするものを意味するものである

3.国が軌道事業の経営権を自己の手に留保することが公共の福祉の見地から憲法の容認するところと解される

4.軌道事業の基本的な性格に縁由するものと合理的に認められる一定限度の義務負担を軌道事業の経営権と一体不可離のものとして,国が一方的に軌道経営者の地位を特定することもまた国の権能に属するものと解されるし,また,軌道事業の経営権が特許を受けることによって国から与えられるものである以上,それは,軌道事業を経営しようとする者の申請を前提として,言い換えれば,その者の意思に基づいてのみ与えられるものである

5.軌道法第9条の規定によって,軌道経営者が国に対して負う特別負担の義務が,このような軌道経営者の地位を構成する要素として理解されるならば,この規定が日本国憲法第29条第3項の規定に抵触するかどうかという問題を生ずる余地はない

(参照条文)

軌道法第9条 道路管理者道路ノ新設又ハ改築ノ為必要アリト認ムルトキハ軌道経営者ノ新設シタル軌道敷地ヲ無償ニテ道路敷地ト為スコトヲ得

[58−10] 次の1から5までの法規のうち,日本国憲法第22条の保障する居住,移転及び移住の自由を制約することが最も少ないものはどれか。

1.外務大臣は,一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には,一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。

2.転入(新たに市町村の区域内に住所を定めることをいい,出生による場合を除く。)をした者は,転入をした日から14日以内に,氏名,住所,転入をした年月日,従前の住所等を市町村に届け出なければならない。

3.都道府県知事は,結核患者がその同居者に結核を伝染させるおそれがある場合において,これを避けるため必要があると認めるときは,その患者に対し,期間を定めて,結核療養所に入所することを命ずることができる。

4.裁判所は,適当と認めるときは,決定で,勾留されている被告人の住居を制限して,勾留の執行を停止することができる。

5.破産者は,裁判所の許可を受けなければ,その居住地を離れることができない。

[58−13] 次の1から5までは,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)との関連における営業の自由の性格についての論述であるが,同一の立場にあるものを二つずつ組み合わせたときに,一つだけ残るものはどれか。

1.独占の禁止こそが営業の自由の制度的保障であって,独占禁止法は,営業の自由を立法的に具体化したものにほかならない。

2.独占禁止法は,形式的には,憲法の保障する営業の自由を制限するものであるから,その合憲性(公共の福祉適合性)が問題となり得るのである。

3.営業の自由は取引の自由と競争の自由の二つの側面を含むものとして理解すべきであり,独占禁止法はこの両者を保障することを目的とするものである。

4.独占の禁止は私有財産制のもたらす害悪の規制を目的とした取引の自由の規制であって,その必要性は取引の自由としての営業の自由の保障そのものが歴史的に生み出したものである。

5.問題は,独占禁止法に規定するような制限が違憲かどうかではなく,逆に,そのような制限の無視・軽視や形骸化が違憲でないかどうかということである。

[58−16] 次の問答は17世紀の英国における国王と首席裁判官との論争の一部である。後記1から5までの語句のうち,この論争の主題を示すものとして最も適切なものはどれか。

「首席裁判官 いかなる訴訟事件も,国王自ら裁判することはできない。訴訟事件は,それが民事であると刑事であるとを問わず,すべてみなイギリスの法律及び慣習に従って裁判所によって審理されるべきである。

国王 法は理性に基づくものである。そして朕もまた理性を備えている点で裁判官と異ならないから,自ら裁判しえない理由はないではないか。

首席裁判官 陛下はそう明な資性を神から恵まれた。しかし,陛下はイギリスの法律に通暁しておられない。そして陛下の臣民の生命財産に関する事件は,自然的理性によって決せられるべきではなく,技巧的理性と法的判断とによって決せられるべきである。法は永年の経験と研究とによって初めて知りうる技術である。」

1. 法の優位     2. 立憲君王制     3. 違憲立法審査権

4. 理性と法的判断  5. 臣民の生命財産の保護

[58−19] 抵抗権とは,何らかの実定法以外の秩序に基づく義務を根拠として,実定法上合法的に成立している法律上の義務を否認する権利であると定義した場合,この定義と矛盾することが明らかな記述は,次の1から5までのうちどれか。

1.個人の尊厳から出発する限り,どうしても抵抗権を認めないわけにはいかない。抵抗権を認めないことは,国家権力に対する絶対的服従を求めることであり,奴隷の人民を作ろうとすることである。

2.近代諸国の人権宣言の作者たちは,抵抗権の存在理由を消滅させるべく努力してきたともいえる。もし,そうした努力の結果が近代民主制であるとするならば,民主制では,抵抗権の存在理由は極限まで小さくなっているはずである。

3.抵抗権は,公権力をしてその行使に課せられた憲法的限界を守らせるための保障手段であり,組織化された合法的なものと組織化されない非合法的なものとに分けられる。

4.革命は,抵抗権の行使の典型的な例である。

5.抵抗権を実定法上の権利として認めることは,論理的に矛盾である。

[58−22] 次の会話の[a]から[j]までのうち,[A]に入れるべき語句と同じ語句をいれるべき[  ]が四つある。その組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

「甲 [A]という観念の母国はフランスだと言われていますが,その内容は時代とともにいろいろな変遷がありますけれども,次第にその範囲は狭くなってきているようですし,イギリスあたりでも,これと同様の観念は国王の大権に基礎をもつと言われています。そうすると,[a]というものは昔の絶対主義あるいは官僚国家の残存物という感じがするのですが,どうなんでしょか。

乙 次第に[b]の考え方が定着し,制度的に整備されてきたけれども,すべてが完全に分かれきってしまわないで根本に残った部分があるのではないかということですね。しかし民主国家の場合でも,最終的な主権者である国民そのものに留保されていると考えるべき権力作用が残っていると考えれば,必ずしも[c]の考え方が行政権専断の名残りであるともいえないのではないでしょうか。

丙 私は,[d]というものは,[e]の外にあるというより,やはり.一般にいわれているように[f]の原理そのものから出てくるものだと思います。国の運営に関する基本的な事項の決定は,国民の意思を代表し国民からデモクラティックなコントロールを受けている機関に専権的に委ねられていると考えるのが憲法の最も基本的な原理である[g]に沿い,[h]の原理の要請するところだと考えています。

丁 裁判所の制度や訴訟手続も,個人の権利や財産の保護を目的として発達整備されてきたものであって,このような政治的問題の解決には適していないですし裁判官に強力な身分保障があってどこにも責任を負わない建前になっていることも,[i]を考える上で見逃せないでしょうね。このような問題については,裁判所に[j]の行使を認めるとしても,立法府や行政府の逸脱が極めて明白な場合に限るべきだと思います。」

1.a,c,e,f

2.b,d,f,j

3.a,c,d,i

4.b.e.g.i

5.a,d,f,h

[58−25] 次に述べるような意味における法の支配の基本的観念によって要請される原則として最も不適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

「法の支配には,『人々は,法に従い,法によって支配されるべし。』という広義の意味と,『政府は,法によって支配され,法に服すべし。』という狭義の意味とがあり,政治理論・法理論では狭義に焦点が合わされているが,政治的理想としての法の支配の意味を十全に把握し,その重要性の理由を解明するためには,広義にとらえるべきである。そして,人々が法に従うためには,法は人々の行動に指針を与えることができなければならないから,『法は,それに服する人々の行動に指針を与えることができなければならない。』ということが法の支配の基本的観念である。」

1. 法律は,非遡及的で,公に知らされ,かつ,明晰でなければならない。

2. 法律は,相対的に安定していなければならない。

3. 司法部の独立が保障されていなければならない。

4. 法律は,自然的正義の諸原則を基礎として制定されていなければならない。

5. 権利は,各人の個人的自由活動の基礎であり,かつ,よりどころでなければならない。

[58−28] 次の文中の[ ]の部分に,後記1から5までの語句のうちから適切なものを一個ずつ選んで入れていった場合,最も多く使用される語句はどれか。

「[ ],所信又は感情に与えられる保護は,その意味が[ ]の阻止にある限りにおいて,ひとりにしておいてもらうという[ ]の一般的な権利の実現の一例にすぎない。それは暴行又は殴打をされない権利,[ ]されない権利,悪意をもって訴追されない権利,[ ]を傷つけられない権利のようなものである。[ ]的な文書その他すべての[ ]的な作品をあらゆる形式における[ ]から保護する原則は,人格の不可侵の原則である。」

1.個人  2.拘禁  3.思想  4.公開  5.名誉

[58−31] 次の文章は,法源としての憲法典の価値に関する論述の一節である。その論旨と最も関係が薄い記述は,後記1から4までのうちどれか。

「法の解釈は,100パーセント『意欲の作用』であるとはいえまい。そうであるとすれば,法を文章で表現して法源とすることも無益なはずで,成文法源が採用され維持されているという事実には,単なる主観や意欲によって左右されないものも存するという期待又は認識が基礎になっている。その期待又は認識にこたえうる限度はどこか。その限度の内と外とを区別して解釈の客観性とか主観性をいうべきではないのか。更に,一見,主観的のようにみえる部分も真に論者の主観のみを根拠としているのではなく,さればこそ法学は学の名で呼ばれうることとなるのであろう。こう考えて,憲法の領域で最も重要な法源とされる憲法典をみるとき,その表現は,法源として余りにも不完全である。」

1. 日本国憲法第21条第1項は「……言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。」と規定するが,法治国であろうとする限り,偽証や文書偽造,犯罪の教唆といった「表現」行為が法的保護を与えられるはずはない。

2. 法源としての同じ憲法典の中の諸規定に解釈者の主観で価値と効力の優劣差を認めることは不当であると主張されることがあるが,実質的に考えれば,憲法のすべての条項が同等の価値と重要さをもつわけではない。

3. 一般的に,憲法典は二つのものを規制事項としている。その一は統治組織であり,その二は国政の内容で,基本権の保障はこの後者に属する。そして,両者を比較すると法源としての不完全性は後者において一層著しい。

4. 歴史的にみると,民法典・刑法典は司法裁判所によって適用されるべき法の表示を使命として制定されたが,憲法典には,民法典・刑法典なみの法的効果が期待されたわけではなかった。

[58−34] 家事審判法は,「夫婦の同居に関する処分」について家庭裁判所が非公開で審判を行うこととしている。次の1から5までは,この規定が裁判の対審及び判決の公開を規定する日本国憲法第82条第1項に適合するか否かに関する記述であるが,同一の立場にあるものを二つずつ組み合わせたとき,一つだけ残るものはどれか。

1.典型的な非訟事件の審判は,法の宣言作用たる裁判とは性質を異にするから,この種の事件の処理について公開の原則及び対審構造が保障されていないからといって,直ちに違憲とはいえない。

2.夫婦関係の存否や同居の請求が権利濫用であるか否かについて争いがある場合には,その争いを単なる非訟事件手続により審理し,決定で終局的に裁判することは許されない。

3.夫婦間の同居に関する争いは,その内容たる権利義務自体の本質よりして,公開されることがかえって関係者の権利の擁護にならないから,裁判の対審公開の原則に親しまない例外の事例に該当する。

4.夫婦同居義務に関する審判は,一種の形成処分の性質を有するものであって,現行法制全体の建前は,この種の問題の終局的解決を家庭裁判所の形成的作用に期待しているものと解すべきである。

5.審判の確定後は,審判の形成的効力については争うことができないが,その前提たる同居義務自体については,公開の法廷における対審及び判決を求める道が閉ざされているわけではない。

[58−37] 議会制の本質的原理としての多数決が成り立つための前提とはいえないことが明らかなものは,後記1から5までの記述のうちどれか。

1.複数の意見のうちでどれが正しいかを客観的・具体的に知る基準が存しないこと

2.複数の意見がそれぞれ平等な価値を有するとされること

3.複数の意見のうちどれか一つの意見を選択する必要がないこと

4.決すべき具体的争点につき,複数の答えが存すること

5.複数の意見の対立が,その性質において,互いの問の歩み寄り又は共存を不可能ならしめるようなものでないこと

[58−40] 次の1から5までの文章を,「もちろん,[A]。しかし,[B]。その意味で,[C]ことを原則とし,[D]。このようにみれば[E]。」と並べると,基本的人権の種類に関する論述となる。[B]に入るべき文章はどれか。

1.ただ,そのために必要な物的条件が欠ける場合,国家がそれを補い,それを請求し得ることを権利としたものでそのことによって本来の自由の原理が生かされる性質のものといえよう

2.自由権と社会権は,その思想において基本的相違のあることも事実であるし,よって立つ価値観もかなり異なるものがある。また,その保障に際して相対立することも事実であって,特に経済活動の自由と社会権の関係は,一方を保障しようとすれば,それだけ他方が制限されるという関係にある

3.自由権と社会権の区別は,内容的には相対的なもので,絶対的なものではないということができる

4.日本国憲法は,かかる両権利を並べて保障し,調整・調和させる建前に立っている。自由権と社会権の両者を調和せしめ,両立せしめることが可能なのは,やはりこれらが窮極的には同じ原理,同じ目的に立つからであろう

5.社会権の保障も,国家が国民の生活をすべて保障しすべて国民がその生活を国家に委ね,それを国家の責任にするというものではなく,あくまで個人の尊厳と自由に基づいて,個人の幸福はその個人自らの意思と責任において選択し,追求するものである

[58−43] 次の文章は,明治初年の司法制度に関する論述の一節である。文中の[ ]に入れるのに最も適した法文は,後記1から5までのうちどれか。

「全国の裁判所は司法省がこれを統括するが,司法省が『裁判ノ事ニ関係スル事ナ』きことは,既に明治5年5月22日に定められた『司法事務』の第1条によって宣明されたところであり,この司法権独立の原則は『司法職務定制』も当然その前提としているものと解され,その意義は大きい。しかし.その司法権の独立なるものが典型的な権力分立制をふまえたものでないことを指摘しなければならない。(中略)司法と行政との関係については,司法省裁判所の所長は司法卿がこれを兼掌することとなっており,明治6年12月の法改正までは司法省裁判所が通常裁判所の最高の裁判所であったことからして,権力分立の点で不明瞭さを免れない。しかも.前述のとおり,原則的な第一審裁判所である府県裁判所も一定の事件については本省に伺い出るべきものと定められ,権限の独立性は完全でなかった。更に,『判事職制』に[ ]とある規定(20条)によって,司法卿は裁判に対し相当な干渉介入をしていたのである。のみならず,『司法職務定制』は検察官に『聴断ノ当否ヲ監視ス』べき職務を課して,裁判所の司法権行使を監視させ(22条),本省に対する報告をも義務づけていた(28条)。そして,裁判官の身分保障は認められず,裁判官の人事,裁判所の会計はすべて本省がこれを掌握していた。このようにみてくると,『司法職務定制』が前提としていたと解される司法権独立の原則は,それが置かれていた権力機構の態様からいっても,その内容からいっても,かなり特殊な,かつ幾つかの重大な制約を受けた原則であり,少なからざる範囲において行政権の優位性が認められていたものといわざるを得ないものである。」

1.『司法権ハ天皇ノ名ニ於テ法律ニ依リ裁判所之ヲ行フ』

2.『司法省ハ全国法憲ヲ司リ各裁判所ヲ統括ス』

3.『司法大臣ハ裁判事務上必要アルトキハ控訴院又ハ大審院ノ総会ノ決議ニ依リ判事ニ転所ヲ命スルコトヲ得」

4.『事件政府ニ関係スル犯罪ハ卿輔(けいほ)聴許セサレハ裁判官論決スルヲ得ス』

<注>「卿輔」とは,司法卿,司法大輔及び司法少輔という意味である。

5.『奏請スヘキ条件及疑げん(ぎげん)ハ決ヲ卿ニ取リ輙(たやす)ク論決スルコトヲ得ス』

<注>「疑げん」とは,結論に疑いのある事件というほどの意味である。

[58−46] 次の1から5までのうち,Aの記述とBの記述との間の論理的関係が同じであるものを二つずつ組み合わせたときに,一つだけ残るものがある。それはどれか。

1.A 何人も,公務員の不法行為により,損害を受けたときは,国又は公共団体に,その賠償を求めることができる。

  B 公共企業体等の公法人は,公共団体に含まれる。

2.A 内閣は,国会の臨時会の召集を決定することができる。

  B いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば,内閣は,臨時会の召集を決定しなければならない。

3.A 内閣総理大臣は,国務大臣を任命する。

  B 国務大臣の過半数は,国会議員の中から選ばれなければならない。

4.A 裁判の対審及び判決は,公開法廷でこれを行う。

  B 民事訴訟における口頭弁論及び刑事訴訟における公判手続は,対審にあたる。

5.A 地方公共団体は,条例を制定することができる。

  B 条例は,法律の範囲内で制定しなければならない。

[58−49] 次の文中の[ ]の部分に,後記(ア)から(エ)までの語句のうちから適切なものを選んで入れていった場合,使用する回数が最も多いものと次に多いものとの関係は,後記1から5までのうちどれか。

「議会の[ ]が[ ]で決せられるということは,必ずしもその[ ]の成立のために総議員の[ ]の[ ]の一致が必要だという意味ではない。多くの場合においては,表決に際して投ぜられた[ ]の[ ]によってその議会の[ ]が決せられるとされる。そして.議員は,必ずしも表決に際して[ ]を投ずるように法律的に義務づけられているわけではなく,あるいは会議に欠席することにより,あるいはそこに出席しても棄権することにより[ ]を投じない自由を与えられている。その結果として,[ ]においてもその合議体の[ ]の内容を構成するものは,必ずしも常に議員の多数者の[ ]の内容ではなく,むしろその少数者の[ ]の内容である場合も少なくない。」

(ア)多数決 (イ)過半数 (ウ)意思 (エ)有効投票

1.一方が他方より5回多い。

2.一方が他方より4回多い。

3.一方が他方より3回多い。

4.一方が他方より2回多い。

5.一方が他方より1回多い。

[58−52]次の二つの文章は,多数決原理についての二つの考え方を表現したものである。A説に対して,B説の立場を特徴づけるのに最も適した語句は,後記1から5までのうちどれか。

A説「民主主義が数多い立場の中から一つを選び出す技術的な方法は,多数決である。しかし,もしも多数決が正しくないならば,その正しくない結果は,やがて実際の政治や立法の推移の上にあらわれるに相違ない。そこで.国民は,改めて,かつての少数意見の方が正しかったことを知ることができる。そうして,かつての多数決の結果を修正し,政治と立法とを一歩でも正義と真理とに接近せしめて行くであろう。ジョン・スチュアート・ミルは,人間の理性が真に信頼に値するのは,それが誤りを犯さないためではなくて,討議と経験とによって,その誤りを是正する力をもっているからである,と説いた。これは偉大な言葉である。多数決原理によって運用される民主主義が信頼に値するのも,それが多数決原理によって陥った誤りを不断に是正し得るからでなければならない。かくて,民主主義の『数の政治」は次第に『理の政治」へと接近する。」

B説「何が正しいということを客観的に知ることができないと考えるからこそ,多数決で決めるのではないか。多数の意見を尊重するという表現は,それ自体,矛盾である。『事の理否』が初めから客観的にわかっているならば,多数も少数もない。ただ,ひたすら『否』を捨てて『理』を採ればいいのである。君主の語るところは常に『理』だとされる専制君主国で多数決の原理を認めないのは,この意味で極めて当然である。」

1.徹底した相対主義

2.徹底した経験主義

3.徹底した理想主義

4.徹底した主観主義

5.徹底した客観主義

[58−55] 次の1から5までの記述のうち,一つの主張とこれに対応する反論との二つを一組として組み合わせた場合,一つだけ残るものがある。それはどれか。

1.普通教育は,専ら児童生徒の利益のために,教育を与える者の責務として行われるべきである。

2.普通教育は,議会制民主主義の下においては,国会における法律の制定という形で具体化される国民全体の意思に基づいて行われるべきである。

3.普通教育においても,教師は,自己の学問や研究の成果を児童生徒に教え,思考力,創造力等を得させるようにすべきである。

4.普通教育は,その責務を担う国民全体の直接の信託に基づいて,教育専門家である教師が行うことになる。

5.普通教育においては,教育の機会均等を図る上からも,全国的に一定の教育水準が確保されなければならない。

[58−58] 裁判所の違憲立法審査権に関する次の1から4までの記述のうち,他と論旨を異にするものはどれか。

1.憲法判断における利益の比較均衡の過程においては,裁判官は司法過程に含まれる価値選択に当って自己の依拠する価値序列をはっきり示すべきである。およそ社会的過程は,理性によって支配されるのではなく,互いにけん制し作用し合う力関係であり,裁判所もかかる社会的過程における力関係の一翼を担うものである。

2.憲法判断には当然いろいろな要素が入り込むのであって,いかなる要素が判断の中に入り込み,それらがそれぞれどのような比重を与えられ,当該判断を形成したかが判決理由中に明らかにされなければならない。憲法判断の本質が客観的な原理の探究にあるのでないことは,いうまでもない。

3.一定の明確な内容をもつ原理があらかじめ存在し,裁判がこれに従ってなされるべきであると主張することは,コモン・ローの伝統を否定することにほかならない。コモン・ローにおいては,裁判官の判断は,その時々における社会的必要を感得し,いわば反射的,直感的な反応として行う,十分な論理的整備を施されていない内容不明確なものであったのである。司法的憲法判断においても,同様である。

4.立法の合憲性に関する司法的決定は,特定の具体的事件における当事者の具体的・特定的な利害を超えた一般的価値考量に基づく一定の原理に即してなされるべきであり,立法府の価値選択とはおのずから性質を異にすべきである。裁判所が憲法の規定に照らして他の政治部門の行為を吟味するにあたっては,裸のままの権力機関とは違った働きをする拘束を受けているのである。

[58−61] 次に掲げるのは,人民の自由及び権利に関する基本法典の例である。その解釈として明らかに誤っているものは,後記1から5までのうちどれか。

「第1条 人民は,身体の自由を侵害されることがない。公の権力による制限は,法律の定めるところによる。

第2条 人民は,財産権を侵害されることがない。公益上の必要による制限は,法律の定めるところによる。

第3条 人民は,種族宗教のいかんを問わず,すべて国家の平等な保護を受ける。

第4条 人民は,法律の定めるところにより,国又は地方公共団体の公務に参与する権利を有する。

第5条 人民は,法律の定めるところにより,等しく官公吏に任ぜられる権利を有し,かつ,その他の名誉職に就任する義務を負う。

第6条 人民は,法令の定める手続に従って請願をすることができる。

第7条 人民は,法律の定めた裁判官の裁判を受ける権利を有する。

第8条 人民は,行政官署の違法処分により権利を侵害された場合においては,法律の定めるところに従ってその救済を請求することができる。

第9条 人民は,法令によるのでなければ,いかなる名義においても,課税されることがない。

第10条 人民は,高利,暴利その他あらゆる不当な経済的圧迫から保護される。」

1.勅令によって新たに消費税を課することは許される。

2.現行犯を司法官憲の発する令状によらないで逮捕することは許される。

3.違法な行政処分の取消を訴訟によって請求する権利は保障されていない。

4.裁判を受けることのできる事項を法律によって制限することは許されない。

5.公共のために必要があるときは,補償をしないで,私人の土地所有権を収用することができる。

[58−64] 次の文章は,条例の法令適合性について論じたものであるが,(1)から(4)までの下線を付した部分のうち,記述に誤りのあるものが二つある。その組合せとして正しいものは後記1から5までのうちどれか。

憲法第94条及び地方自治法第14条第1項は,条例制定権の根拠であるとともに,その範囲と限界を定めたものである。したがって,(1)普通地方公共団体は,法令の明文の規定又はその趣旨に反する条例を制定することは許されず,そのような法令の明文の規定又はその趣旨に反する条例は,たとえ制定されても,条例としての効力を有しないものといわなければならない。

ところで,河川の管理について一般的な定めをした法律として河川法が存在すること,しかも,同法の適用も準用もない普通河川であっても,同法の定めるところと同程度の河川管理を行なう必要が生じたときは,いつでも適用河川又は準用河川として指定することにより同法の適用又は準用の対象とする途が開かれていることにかんがみると,河川法は,普通河川については,適用河川又は準用河川に対する管理以上に強力な河川管理は施さない趣旨であると解される。したがって,(2)普通地方公共団体が条例をもって普通河川の管理に関する定めをすることは,同法に違反し,許されないものといわなければならない。

また,河川法第3条は,同法による河川管理の対象となる「河川」に含まれる堤防,護岸等の「河川管理施設」は,それが河川管理者以外の者の設置したものであるときは,河川管理者が,権原に基づき当該施設を管理する者から,当該施設を「河川管理施設」とすることについての同意を得たものに限られる旨を規定している。これは,(3)河川管理者以外の者が設置した施設をそれが「河川管理施設」としての実体を備えているということだけで直ちに一方的に河川管理権に服せしめ,上記施設を権原に基づき管理している者の権利を制限することは,財産権を保障した憲法第29条との関係で問題があることを考慮したことによるものと解される。このような河川法の規定及び趣旨に照らして考えれば,(4)普通地方公共団体が,条例により,普通河川につき河川管理者以外の者が設置した堤防,護岸等の施設を河川管理権に服せしめることは,何ら同法に違反するものでないというべきである。

1.(1)−−(2)

2.(1)−−(3)

3.(2)−−(3)

4.(2)−−(4)

5.(3)−−(4)

(参照条文)

日本国憲法第94条 地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し法律の範囲内で条例を制定することができる。

地方自治法第14条第1項 普通地方公共団体は,法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し,条例を制定することができる。

[58−67] 衆議院の解散後,総選挙の期日前に,内閣総理大臣が死亡した場合について,「参議院の緊急集会により,新たに内閣総理大臣を指名すべきである。」という説(A説)と「総選挙後に召集される国会において,新たに内閣総理大臣を指名すべきである。」という説(B説)とがある。B説を採る場合,その根拠として挙げることが適切でないものは,次の1から4までのうちどれか。

1.緊急集会を求めることができるのは総選挙後の国会の召集を待つことができないほどの緊急の必要がある場合でなければならないが,この場合は,それ程の緊急の必要がある場合にはあたらない。

2.内閣総理大臣が死亡しても,内閣は新たに内閣総理大臣が指名されるまで引き続きその職務を行っているのであるから,行政権にとって特に支障はない。

3.緊急集会で指名するとすれば,内閣総理大臣は参議院議員の中から指名され,また,国務大臣も参議院議員の中から任命されることとなるが,そのように,内閣を一院の議員のみで構成することは,憲法上許されない。

4.総選挙において国民の意思が表示されるのであるから,総選挙後に召集される国会において新たに内閣総理大臣の指名を行うことが国民の意思に合致するものであり,その召集以前に指名を行うべきではない。

(参照条文)

日本国憲法第54条 衆議院が解散されたときは,解散の日から40日以内に,衆議院議員の総選挙を行ひ,その選挙の日から30日以内に,国会を召集しなければならない。

衆議院が解散されたときは,参議院は,同時に閉会となる。但し,内閣は,国に緊急の必要があるときは,参議院の緊急集会を求めることができる。

前項但書の緊急集会において採られた措置は,臨時のものであっで次の国会開会の後10日以内に,衆議院の同意がない場合には,その効力を失ふ。

日本国憲法第67条第1項 内閣総理大臣は,国会議員の中から国会の議決で,これを指名する。この指名は,他のすべての案件に先だって,これを行ふ。

日本国憲法第68条第1項 内閣総理大臣は,国務大臣を任命する。但し,その過半数は,国会議員の中から選ばれなければならない。

[58−70] 次のAからDまでの記述は,日本国憲法第95条でいう地方自治特別法についての住民の同意の有無についての設例である。また.1から4までの記述は,同条の解釈について分説したものである。1から4までの記述のうち,AからDのいずれかと抵触するものはどれか。

A 小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置に関する法律について,住民投票を実施しなかった。

B 旧軍港たる横須賀,呉,佐世保,舞鶴の四市に適用された旧軍港都市転換法について,住民投票を実施した。

C 国会議事堂周辺の道路上での集団示威行進の規制目的で制定された法律について,住民投票を実施しなかった。

D 太平洋戦争で原爆の被害を受けた市の復興をはかるための経済的助成に関する法律について,住民投票を実施しなかった。

1.「一の」地方公共団体とは,実際にその法律の適用される地方公共団体は一個である必要はなく,「特定の」という意味である。

2.「地方公共団体(のみ)に適用される」とは,その法律が特定の地方公共団体そのものを対象とするものであることを意味し,特定の地方公共団体の地域を対象とするだけでは足りない。

3.「一の地方公共団体のみに適用される」ということは,その法律が適用されるのが「地方公共団体」であることを前提としているから,いまだ国法上の地方公共団体が存在していない特殊な地域については適用されない。

4.一般法において一般的な基準により地方公共団体の種類が定められている場合に,その種類に属する地方公共団体のうちの特定のものについて例外を定める法律は,「一の地方公共団体のみに適用される特別法」である。

(参照条文)

日本国憲法第95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は,法律の定めるところにより,その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ,国会は,これを制定することができない。

[58−73] 次のAからFまでの記述を一つずつ[ ]に入れて「[ ]従って,[ ]」とすると,基本的人権と公共の福祉に関する適切な文章が二つ以上できるが,二つとも適切な文章となる組合せは,後記1から5までのうちどれか。

A 日本国憲法第22条第1項は,「公共の福祉に反しない限り」と規定し,同第13条と規定形式を同じくしている。

B 日本国憲法第13条は,生命,自由及び幸福追求に対する権利について,公共の福祉により制限し得る旨を規定している。

C 日本国憲法は,第22条第1項において,特に公共の福祉による制限を明記している。

D この規定は,一般的な権利調整の見地からする制約以上の制約を予想したものと解するのが相当である。

E この規定は,公共の福祉を基本的人権の一般的な制約原理とみる根拠となるものである。

F この規定が日本国憲法第29条第2項と同様の,権利そのものを支配することとなるような高度の制約を予定したものとは解し難い。

1.A−D  B−E

2.A−E  C−F

3.A−F  C−D

4.B−E  C−F

5.B−F  C−E

(参照条文)

日本国憲法第13条 すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

日本国憲法第22条第1項 何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。

日本国憲法第29条第2項 財産権の内容は,公共の福祉に適合するやうに,法律でこれを定める。

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