[60−01] 違憲判決の効力に関し,一般に法令が無効となるという説と,当該事件についてのみ無効となるという説とが対立している。次の1から5までのうち,四つは一方の説についての記述であるが,一つだけ他方の説についての記述がある。それはどれか。

1.違憲判決の後に判例変更をすることが不可能になるといわれることがある。

2.裁判所に消極的立法権を与えるものであるとの批判がある。

3.違憲審査権の行使の方法で,いわゆる抽象的審査制を採っていると解釈した場合には,違憲判決の効力についてはこの説を採ることになる。

4.下級裁判所の判決については,このような効力を認めることはできない。

5.法令の適用において裁判で争った者だけが有利となり,不公平が生ずるとの批判がある。

[60−04] 次に掲げる文章は,主権に関しての一つの説明である。文中のAからEに,アからキまでの語句のうちから一個ずつ選んで入れていった場合,最も適切な組合せは後記1から5までのうちどれか。

「[A]は,君主主権のみならず,[B]をも排除するものであるが,それと対応して,[A]に基礎を置く[C]の概念も[D]の否定をその一つの核心としている。[C]の概念は,[D]が実行不可能ないし困難であるところから考えられた便宜上の次善の代替物としてではなく,[D]よりもすぐれた価値を持つ原理上の対立物として主張されていたのである。それは,法律の制定に参加し得るほどの教養と余暇を持っている[E]による主権行使の制度として,質的に優れたものと主張されていたのである。この見解においては,[D]は,劣った制度と考えられ,物理的にはその適用が不可能でないと仮定した場合にすら完全に排除されなくてはならないことになる。」

ア エリート

イ 人民

ウ 人民主権

エ 国民主権

オ 国民代表

力 直接民主制

キ間接民主制

  A B C D E

1 ウ エ カ キ イ

2 エ ウ オ カ ア

3 カ エ ウ オ イ

4 キ ウ エ オ ア

5 オ ウ キ エ ア

[60−07] 次の記述のうち,解釈方法が同一であるものを二つずつ組み合わせた場合,一つだけ残るものがある。それはどれか。

1.憲法14条1項の「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。」とする規定について,同項の人種以下五つ以外の理由による差別であっても,その事項の性質によっては,法の下の平等に反する場合があり得ると解釈すること。

2.憲法38条1項の「何人も自己に不利益な供述を強要されない。」とする規定について,同項は文言上行政手続を排除していないようにみえるが,権利の沿革や性格からいって刑事手続についてのみ適用されると解釈すること。

3.憲法25条1項の「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とする規定について,文理上「国民」に含まれない外国人には同項の保障は及ばないと解釈すること。

4.憲法81条の「最高裁判所は,一切の法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」とする規定について,憲法より下位にある法規範は,ここに掲げられていないものでも違憲審査の対象になると解釈すること。

5.憲法51条の「両議院の議員は,議院で行った演説,討論又は表決について,院外で責任を問はれない。」とする規定について,地方議会議員の場合は,同条の適用がないと解釈すること。

[60−10] 憲法改正について理論上一定の限界があるかどうかに関しては,限界説と無限界説とがある。次の1から5までの記述のうち,最も無限界説の論拠となり難いものはどれか。

1.あらゆる価値は主観的で,憲法の根本規範も相対的規範にすぎず,特定の国民又は文化圏の意思の表明にすぎない。

2.憲法規範中に価値序列や階層性を認めることはできず,改正禁止規定は,たやすく改正すべきではない趣旨を示すだけである。

3.現在の規範・価値によって将来の世代を拘束するのは不当である。

4.憲法規範には実定化された自然法規範が含まれており,それは実定化されても自然法規範としての性質を失わない。

5.憲法制定権力の主体たる主権者が憲法改正権を有するのであって,憲法改正権は本質的には憲法制定権力と同一である。

[60−13] 次に掲げる文章は,国政調査権に関する見解であるが,後記1から5までの記述のうち,この見解と矛盾するものはどれか。

「国政調査権の本質は,議院の権能を有効適切に行うための補助的権能であるから,その調査目的は,議院の権能として憲法上認められている立法,予算審議,行政監督,議員の資格判定,懲罰規則制定等の内部規律など,議院の憲法上の権能を有効適切に行使するためのものでなければならないし,調査対象・調査方法等についても権力分立原理と国民の権利・自由の側から制約が加えられる。」

1.裁判に関する国政調査は,その調査目的によって違法ではない。

2.裁判官訴追委員会が裁判官を訴追すべきか否かを調査することは,とくに法律が訴追委員会に認めた権能であり,各議院の国政調査権によるものと解することは誤りである。

3.調査目的が実質上刑事責任を追及することにある場合は,違法な国政調査となる。

4.検察庁が現に捜査している刑事事件について調査することは,その目的,方法のいかんを問わず許されない。

5.かつてアメリカの下院で行われた非米活動委員会のように,特定人の思想調査を実際上の調査目的とすることは許されない。

[60−16] 次の文中の[A]から[D]に入れるべき語句として適切なものを後記1から5までのうちから選んで入れていった場合,一つだけ残るものがある。それはどれか。

「精神的自由権が憲法上優位を占める結果,立法の[A]という[B]の支配というたてまえに反する原則が導入されるところのみに注目すれば,[C]原理に反するかにみえるけれども,それにもかかわらずいっそう深く[C]の本質に沿うものであるとして,この外見上の矛盾を解決し得るように思われる。[D]は確かに[B]の尊重の基礎に立つ。しかし,およそ[B]が尊重を受けるための前提として,その意思形成の過程において,一切の精神活動の自由が保障されていたことが必須の条件である。[C]は単なる一時的な[B]ではなく,いつでもこれに対立する意思が正当な政治過程を経て多数になり得る可能性を伴わねばならず,この可能性は表現の自由の最大限の保障のうちにのみ存し,一部の意見の表現を抑圧している場合には,真の意味での[C]は成立しない。[D]は代議的[C]を根拠とするが,精神的自由権はまさにその代議的[C]の基礎にあるものである。ここに,経済的自由権の規制には[D]が働くのに反し,精神的自由権の規制には逆な推定の働く論拠が存在する。」

1.法       2.民主政     3.多数意思

4.合憲性の推定  5.違憲性の推定

[60−19] 次の文章は,職業の自由について論じたものであるが,その論述と明らかに矛盾するものは,後記1から5までのうちどれか。

「一般に特定の職業についての許可制は,単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて,職業の選択の自由そのものに制約を課するもので,職業の自由に対する強力な制限であるから,その合憲性を肯定し得るためには,(A)原則として,重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し,また,それが社会政策ないい経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく,自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的・警察的措置である場合には,許可制に比べて職業の自由に対するよりゆるやかな制限である(B)職業活動の内容及び態様に対する規制によってはその目的を十分に達成することができないと認められることを要するもの,というべきである。」

1.一定の職業についての許可制は,職業の自由に対する制限となるので,その合憲性を肯定するためには,(A)の要件が必要である。

2.許可制そのもののみならず,許可をするための条件の合憲性を肯定するためにも(A)の要件又は(A)(B)双方の要件が必要である。

3.(A)の要件は,社会政策上又は経済政策上の積極的目的のために採られている許可制の合憲性を肯定するための要件とはなっていない。

4.一定の職業について,消極的,警察的措置として採られた届出制の中には,その合意性を肯定するため(A)(B)双方の要件を満たす必要のないものがある。

5.規制の目的が公共の福祉に合致するものと認められる場合であっても,その具体的内容並びに必要性及び合理性については,立法府の判断が全くの自由裁量に委ねられていると解すべきではない。

[60−22] 次のAからDまでの記述は,それぞれ衆議院の解散についての見解であるが,これらの見解の関係について誤っているものは,後記1から5までのうちどれか。

A 衆議院の解散は,衆議院が内閣の不信任案を可決し,又は信任の決議案を否決したときに限定される。

B 衆議院の解散は,衆議院が内閣の不信任案を可決し,又は信任の決議案を否決したときに限定されない。

C 衆議院は,自らの意思により解散することができる。

D 衆議院の解散は,内閣の助言と承認により天皇のみが行うことができる。

1.Aの見解を採っている者が,Dの見解を採っていることは明らかである。

2.Aの見解を採っている者が,Cの見解を採っていないことは明らかである。

3.Bの見解を採っている者が,Cの見解を採っていることは明らかである。

4.Cの見解を採っている者が,Bの見解を採っていることは明らかである。

5.Dの見解を採っている者が,A又はBのいずれの見解を採っているのか明らかでない。

[60−25] 次の見解と矛盾するものは,後記1から5までのうちどれか。

「最近は『公正』が強調されている。しかし,独立宣言,合衆国憲法,権利章典のどこを捜してみても,『公正』でなければならないとは一言も書かれていない。憲法修正第1条がうたっているのは,信教の『自由』であって,信教の『公正』ではない。そもそも,『公正』には客観的な基準がない。見ている人の判断次第である。もし言論が公正でなければならないというなら,それは自由であり得ない。何が公正なのか,誰かが決定しなければならないからである。ラジオ局は『不公正』な言論を放送する自由を持たない。しかし不公正かどうかを判断するのは,連邦政府の官僚達である。出版物にも同様の『公正の原則』が適用されることになれば,出版界も政府の規制下に置かれ,出版の自由はたちまち年代物の骨董品になってしまうであろう。」

1.アメリカ建国の父たちは,各人が単独で若しくは自発的な協力によって,自由に自分の目標を追い求められるように憲法を制定した。

2.連邦政府は各人の自由と自由が衝突しないように見守る警官であり,衝突を調整するアンパイアであるべきである。

3.連邦政府は国民を積極的に保護する役割があり,国民の社会生活や経済活動の中の至る所に保護者として介入すべきである。

4.経済活動においても自由競争に加えて公正な競争を要求する者がいるが,それは自由市場に代えて,官僚統制の「公正」な市場をもたらすものである。

5.われわれの社会生活において「公正」が幅をきかせはじめると,すべての「自由」は危機にさらされることになる。

[60−28] 次の1から5までの記述のうち,合憲性の理由付けが他と異なるものはどれか。

1.裁判遅延の原因が専ら被告人の審理引延しに起因するものと認められるときには,被告人は迅速な裁判を受ける権利を自ら放棄したものであるから,たとえ審理に長年月を要したとしても,迅速な裁判を保障した憲法37条1項に違反しない。

2.憲法37条3項は,被告人に国選弁護人依頼権を保障したものであるから,被疑者が貧困のため自ら弁護人を選任できないときに,国が国選弁護人を選任しないからといって同項に違反しない。

3.憲法38条3項は,被告人の自白を唯一の証拠として有罪判決を言い渡すことができないとしているが,共犯者は,被告人本人との関係においては,被告人以外の者であるので,共犯者の自白のみを証拠として被告人に有罪判決を言い渡しても,同項に違反しない。

4.法人税未納の場合に追徴税を課すのは,行政上の措置にとどまり刑罰として科すものではないので,更に刑罰たる罰金に処しても二重処罰を禁じた憲法39条に違反しない。

5.憲法40条は,抑留又は拘禁された後に無罪の裁判を受けた場合は,国にその補償を求めることができるとしているが,上記無罪の裁判には免訴の判決は含まれないので,刑が廃止されたという理由で免訴の判決があったが犯罪事実は認められるという場合に,補償しないことにしても同条に違反しない。

[60−31] 「法律の留保」という言葉は,法律の根拠に基づかなければ行政権は発動できないという意味で用いられる場合と,人権保障規定に「法律の範囲内において」等の留保が付されていることを指して用いられる場合とがある。次のAからDまでの記述に用いられている「法律の留保」を,上記二つに分類した場合,正しいものは後記1から5までのうちどれか。

A 租税法律主義を定めた憲法84条は,法律の留保が明文で規定されている例である。

B 個人の権利又は自由の侵害について,法律の留保が必要である。

C 法律の留保がないということは,立法権に制約を課したものである。

D 法律の留保があると,人権を憲法で保障した意味が損われることになりかねない。

1. A対BCDのグループになる。

2. ABのグループ対CDのグループになる。

3. ACのグループ対BDのグループになる。

4. ABCDは同じグループになる。

5. ABCのグループ対Dになる。

[60−34] 予算を伴う法律が成立したにもかかわらず,予算措置が講ぜられていない場合の法律と予算の調整について,内閣の法律を誠実に執行する義務(憲法73条1号)を強調する論者の意見として,最もふさわしくないものは,次の1から5までのうちどれか。

1.内閣は,予算措置が講ぜられていない場合には,予備費の支出等の手段によって,できるだけ法律の執行に努めなければならない。

2.国会は自ら法律を成立させたからといって,その法律執行のための予算を議決する憲法上の義務があるとはいえない。

3.内閣は予算措置が講ぜられていないため,法律を執行することができないのであるから,その執行を留保し静観するしかない。

4.内閣は,法律執行のための予算の成立について努力すべき憲法上の義務があるといえるが,その義務に違反しても政治的責任が問われるだけである。

5.補助金や奨励金等政府の政策的支出を定める法律が,直接に政府の支出すべき金額を指定せず,単に予算の範囲内で支出すべきことを定めている場合には,内閣の執るべき予算措置については裁量が認められるべきである。

[60−37] 刑罰としての性質を有しない行政上の秩序罰としての過料について,次のA,B二つの見解が述べられている。後記1から5までのうち,四つはA,Bいずれの見解とも矛盾しないが,一つはA,Bいずれか一方の見解と矛盾する。それはどれか。

A 秩序罰としての過料も不利益を課するものであるから,法律の定める手続により裁判所において科されることが憲法上要求されている。

B 秩序罰としての過料は,その実質においては一種の行政処分としての性質を有するものであるから,必ずしも裁判所がこれを科することを憲法上の要請とするものではない。

1.過料を科する作用は,これを科せられるべき者の意思に反して財産上の不利益を課するものであるから,公正中立の立場で慎重にこれを決せしめることが望ましい。

2.過料を科する作用は,もともと純然たる訴訟事件としての性質の認められる刑事制裁を科する作用とは異なるのであるから,憲法第82条の定める公開の法廷における対審によって行われなければならないものではない。

3.過料は,国家が刑事犯の範囲の外に置いた行政犯に対して科せられる行政罰であるから,刑法及び刑事訴訟法の適用は受けない。

4.行政罰も一種の罰であるから,これを科するためには法律の根拠がなければならない。

5.地方自治法第255条の2第1項は,地方公共団体の長が過料の処分をしようとする場合においては,処分を受ける者に対し,あらかじめその旨を告知するとともに弁明の機会を与えなければならないと規定しており,また,不服申立ての手続や司法救済の途も開かれているから,このような過料の処分は憲法に違反するものではない。

[60−40] 次の文中の[ ]の部分のいずれにも入る語句として最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

「民主制の理念は政治的自律という意味での[ ]の理念である。これが比較的純粋に実現されるのは被治者自身が国家秩序を直接創造する場合,国民が国民集会においてその行為規範を議決する場合である。国民集会に代って民選議会が登場するに至るや,この自律の原則は弱められ,ただ,そのことが代表の擬制によって辛うじて糊塗されるにすぎない。

 しかし,民主主義の本質の理解は,[ ]の理念のみで尽くされる訳ではない。[ ]の理念自体ではいかなる社会秩序の根拠ともなり得ない。社会秩序の本質的意味は拘束,規範的拘束,社会的拘束にあり,この拘束こそ共同体を成り立たせているものである。政治主体がその求める[ ]を自己のみならず他者にも欲すること,我と汝を本質を等しくするものと感じ,我のみならず汝にも[ ]を認めること,民主主義の原理の最も深い意味はここにある。」

1. 自由    2. 国民主権  3. 権利義務

4. 自己統制  5. 理性の尊重

[60−43] 次の1から5までのうち,Aの見解を前提としてBの見解が成立し難いものはどれか。

1.A 皇位は,憲法上,世襲され,皇室典範の定めるところにより継承するとされている。

  B 皇位継承の資格を皇室典範によって男子に限っても,憲法14条に違反しない。

2.A 天皇が私的行為をするのは,原則として自由である。

  B 天皇は,皇室の祭祀を行うことができる。

3.A 天皇の国事に関する行為は,法律で定めるところにより委任することができる。

  B 国事行為を臨時に委任することができる旨の法律の制定によっても,天皇が外国旅行中他の皇族に衆議院の解散を代行させることはできない。

4.A 天皇の国事に関する行為のうち,内閣以外の機関が憲法上実質的決定権を持つことが認められている事項については,内閣の助言と承認は必要でない。

  B 天皇が大赦を認証するには内閣の助言と承認が必要である。

5.A 摂政は,天皇に代わって国事に関する行為を行うが,その行為は法的には天皇の行為とみなされる。

  B 摂政は,国事に関する行為について政治的に無答責である。

[60−46] 「現行一般国際法上,国家は外国人の入国,在住を認める一般的義務を負わない。この命題それ自体については異論はない。」という文章に続けて,次の1から5までの文章を「もっとも,このことから直ちに,[A]。ただ,この点に関して,[B]。したがって,[C]。けれども,このことは,[D]。この観点から,[E]。」と並べると,外国人の人権に関する論述となる。[D]に入れるべき文章はどれか。

1.これまで訴訟でもいい争われてきた定住外国人への出入国管理及び難民認定法の適用と,難民の一時的庇護を求める権利は特に再検討に値する

2.日本も外国人の入国を認める義務を負わないという結論が導かれるわけではない。国家が自国憲法により,国際法上は要求されない外国人の入国義務を自らに課すことは,十分あり得るここだからである

3.憲法上外国人の一般的な入国の自由は認められず,出入国管理及び難民認定法が外国人の入国に一定の要件を課し,退去強制を規定していることそれ自体は違憲の問題を生ぜしめるものではない

4.現憲法は,前文の国際協調主義からみて鎖国主義的性格をもたないことは確かだが,外国人の一般的入国義務を認めたものとまで解すべき根拠はみられない

5.一定の範ちゅうに属する外国人の一定の入国の自由を否認する根拠となるものではない

[60−49] 両院制を批判する見解として「第二院(非公選制)は,第一院(公選制)と一致するときは無用であり,一致しないときは有害である。」との主張がある。この見解に関する次の1から5までの記述のうち,誤っているものはどれか。

1.この見解は,国民の多数意思の尊重に最も価値を置いている。

2.この見解は,公選制により選出された議員によって構成される第一院が民意を反映していることを前提としている。

3.この見解は,国家意思の統一的形成に意を用いているといえる。

4.この見解は,第二院が第一院を抑制する機能に価値を認めようとしないものである。

5.この見解は,第二院が公選制である場合には,非公選制である場合と比較して,よりよく妥当する。

[60−52] 条約が裁判所の違憲審査の対象となるかどうかについては,積極説と消極説とがある。次の1から5までのうち,消極説の根拠に最もなり難いものはどれか。

1.条約には国際法的効力と区別された国内法的効力を持つものがある。

2.条約は国家間の合意である。

3.裁判所の違憲審査権を定めた憲法81条には「条約」の文言がない。

4.条約は憲法に優越する。

5.条約には高度に政治的な内容を持つものが多い。

[60−55] 次のAからDまでの記述に,(ア)から(エ)までの記述を選んで組合せると,法律と条例の効力に関する記述となる。その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

A 法律が規制の範囲外においている事項について,法律が規制している目的と同一の目的で,条例で規制することは許される。

B 法律の規制がなく,国法上全く空白状態にあるものについて,条例で規制することは許される。

C 法律が規制している事項と同一の事項について,法律とは異なった目的で,条例で規制することは許される。

D 法律が一定の規制をしている事項について,法律と同一の目的で,条例で法律の規制より強い態様の規制をすることは許されない。

(ア) 国民の衛生保持の目的から法律の規制の対象となっている畜犬につき,犬による人畜への危害防止という別の目的から条例で規制する。

(イ) 保安林の立木の伐採につき,法律では所定の手続に従い都道府県知事に届出すれば足りるとしているのを,条例で許可制にする。

(ウ) 法律が取引を規制している古物に含まれていない金属くずにつき,盗犯等の犯罪防止という法律と同様の見地から,条例で取引を規制する。

(エ) どの法律によっても規制されていないプールにつき,条例で規制する。

1.A−(ア) B−(エ)

2.A−(ウ) C一(ア)

3.A−(エ) D−(イ)

4.B−(ウ) C−(ア)

5.C−(イ) D−(ウ)

[60−58] 次の文中の[ ]の部分に,後記1から5までの語句のうちから適切なものを一個ずつ選んで入れていった場合,最も多く使用される語句はどれか。

「ロックの所説は,アメリカ独立宣言の[ ]的核心となっている。アメリカ独立宣言が,その独立革命を合理化するために述べている政治[ ]は,要約すれば,次の三点に帰することができる。その第一は,人はすべて,創造主によって[ ]に創られ,それぞれ譲るべからざる[ ]を持っていること。第二には,[ ]は,この[ ]を保障するために,被治者の同意によって設けられたものであること。そうして第三に,その自然の結果として,[ ]を変更廃止することは,人民の[ ]であること,これである。

 ロックは,まず自然状態から分析を始め,そこではすべてのものは[ ]であることを明らかにし,そうして万人は[ ]にして独立であるから,何人も,他人の生命,健康,自由又は財産を傷つけるべきではない,というのが[ ]の法の命ずるところだとする。ところで人は,安全かつ平和な相互生活をすることができるように,協同体を取り結び,[ ]を作ることに同意するようになる。この場合,すべて人は自由・[ ]・独立であるから,何人も自分の同意なしに自然状態を離れて,他人の政治権力に服従させられるということはない。そうしてもし立法者が,人民を恣意的権力の下に奴隷状態に落とそうと試みる場合には,人民は,もはやそれに服従する義務から免れることになる。」

1.政 府  2.権 利  3.理 性  4.平 等  5.原 理

[60−61] 次の文中の[ ]の部分に,(ア)から(オ)までの語句のうちから適切なものを選んで入れていった場合(どの語句も,1回以上使用することとする。)「合憲」と「違憲」の語句が使われる回数は,後記1から5までのうちどれか。

「違憲審査権が裁判所に与えられた現在,憲法のある種の規定は,単なる政治の準則でなく裁判規範たる性質をもつ。第14条第1項もまたその一つであって,その後段は,前段の一般原則を具体化し重要な場合を列挙したものであるが,裁判規範としては特殊の意義をもつ。すなわち,そこに主張責任と立証責任の転換が行われている。この点は,いわゆる法律の合意の推定の原則と関連する困難な課題である。代表民主政をとり多数決原理を採用する体制において,特に国権の最高機関たる国会の制定した法律に合憲の推定の存在することは当然といえる。このことは,法律が[ ]であると主張する側にそれを主張し立証する責任のあることを意味する。しかし,ある種の基本的人権を制約する立法の場合,この推定が存在せず,さらには[ ]の推定を生じ,[ ]の主張者にその論証の責任を負わしめ得る。例えば,言論出版の自由は「明白にして現在の危険」のあるときに限り制約し得るとする理論は,かかる危険の存在の立証を[ ]の主張者に要求している。この考え方を,第14条第1項にも援用して,前段の場合は[ ]もなお合憲の推定が存し,[ ]であると主張する者にそれが[ ]の証明が求められるのに反し,後段所定の事由による差別の場合は,逆にむしろ[ ]であると主張する者に[ ]の論証が要求される。」

(ア)合意(イ)違憲(ウ)合理的な差別であること(エ)不合理な差別であること(オ)差別的立法

1.合憲の語句は,違憲の語句より1回多く使われる。

2.合憲の語句は,違憲の語句より1回少なく使われる。

3.合憲の語句は,違憲の語句より2回多く使われる。

4.合憲の語句は,違憲の語句より2回少なく使われる。

5.合憲の語句は,違憲の語句と同じ回数使われる。

[60−64] 次の文章は「法の支配」についての記述であるが,文中の[A]から[E]に当てはまるアからオの文章の組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちのどれか。

「[A]。その意味で,行政法規の解釈運用には,いわゆる裁量に属する部面が相当あるということになろう。けれども.[B]。ところで,『法の支配』というのは,『人の支配』即ちその局に当る個人の独断的専恣的な考え方で事柄を決めていく原理を排除する観念である。そこで次のことを考えてみよう。[C]。ところが,[D]。即ち,[E]。モンスキューが,『法の精神』の中で,権力を持つ者はそれを濫用しがちであるとの認識を示し17世紀フランスの専制政治を排撃し,イギリスにおけるような立憲政治の必要性を説いた趣旨はここにある。」

ア 憲法15条の公務員の選定・罷免権は国民固有の権利であって,国民が選んだ公務員は,国家あるいは公共団体の作用を実現するに当たって,常に,国民の信託を受けてその権能を行使することが期待されている

イ 行政法現の解釈運用は,その裁量を誤ると,国民一般に大きな不利益を与える

ウ 行政を担当する人間が「法の支配」を忘れ,「人の支配」に陥ることになれば,行政は到底民主的に行われないことになる

エ 行政法規を解釈し運用する場合には,国家又は公共団体の機関は,現実の事情を適正妥当に理解判断して,どうしたらその場合に適用される行政法規の目的に一番適合するかを考えてゆかなければならない

オ 人間は神様ではないので,時に誤りを犯す

   A B C D E

1. アーエーイーオーウ

2. イーオーヱーウーア

3. エーオーウーイーア

4. エーイーアーオーウ

5. アーイーオーエーウ

[60−67] 次の1から5までのうちには,憲法14条違反を理由として法律を単に無効としたのでは,当事者の目的を達することができない事案が一つある。それはどれか。

1.刑法177条の強姦罪で起訴された被告人が,同条が犯罪主体を男性のみに限定していることは男女平等の原則に反するとして,同条による処罰を争った事案。

2.国籍法旧2条の下において,アメリカ合衆国の国籍を持つ父と日本国籍を持つ母との間に生まれた子は日本国籍が認められていなかったが,その子が父系優先の血統主義を採る同条は男女平等の原則に反するとして,日本国籍確認の訴えを提起した事案。

3.民法733条1項の再婚禁止期間内であることを理由に婚姻届出の不受理処分を受けた女性が,同項が女性のみに前婚の解消又は取消の日から6カ月間再婚を禁止しているのは男女平等の原則に反するとして,婚姻届出不受理処分取消の訴えを提起した事案。

4.刑法186条1項の常習賭博罪で起訴された被告人が,同項が賭博常習者について,一般の者を対象とする同法185条の単純賭博罪より重い法定刑を定めていることは平等原則に反するとして,同法186条1項による処罰を争った事案。

5.地方税法75条1項2号により娯楽施設利用税を課せられたゴルファーがテニスなどの施設の利用者に対しては課税せず,ゴルフ場の利用者に対して課税する同号は平等原則に反するとして,同条1項2号により課税された金員の返還請求の訴えを提起した事案。

(参照条文)

国籍法旧2条 子は,左の場合には,日本国民とする。

一 出生の時に父が日本国民であるとき。

二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。

三 父が知れない場合又は国籍を有していない場合において,母が日本国民であるとき。

四 日本で生まれた場合において,父母がともに知れないとき,又は国籍を有しないとき。

地方税法75条1項 娯楽施設利用税は,左に掲げる施設(以下本節において「施設」という。)の利用に対し,利用料金を課税標準として,又は利用の日ごとに低額によって,その施設所在の道府県において,その利用者に課する。

一 舞踏場

二 ゴルフ場

(以下省略)

[60−70] 次の1から5までの記述のうち,合憲性判断の手法が他と異なるものが一つだけある。それはどれか。

1.監獄法の委任を受けて「文書図画ノ閲読ハ拘禁ノ目的ニ反セズ且ツ監獄ノ紀律ニ害ナキモノニ限リ之ヲ許ス」と定める同法施行規則86条1項は,監獄法内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認められ,かつ,その障害発生のため必要かつ合理的な範囲でのみ被拘禁者の文書,図画の閲読の自由を制限し得る旨定めたものと解するのが相当であるから憲法21条に反するものではない。

2.免許を受けないで医業類似行為を業とすることを禁ずる,あん摩師,はり師,きゅう師及び柔道整復師法12条は,人の健康に害を及ぼすおそれのある業務行為に限局して禁止する趣旨と解すべきであり,このような禁止は公共の福祉のために必要であるから憲法22条に反するものではない。

3.有料職業紹介事業の禁止を定めた職業安定法32条は,従来の自由有料職業紹介においては営利のために労働者に不利益な契約を成立せしめる弊害が多かったことにかんがみ,このような弊害を除去し,公の機関によって無料で公正な職業紹介をすることとし,もって各人にその能力に応じ適当な職業を与えて職業の安定を図る趣旨の規定と解されるところ,このような規制は公共の福祉のために必要なものであるから憲法22条に反するものではない。

4.旧道路交通取締法の委任に基づく同法施行令67条2項が車両の運転者等に対し,交通事故の際に警察官へ報告すべきこととしている「事故の内容」とは,警察官が速やかに交通事故に対する適切な措置を執るのに必要な限度における,事故の発生日時,場所,死傷者の数及び負傷の程度等交通事故の態様に関する事項を指すと解すべきであり,それ以上に刑事責任を問われるおそれのある事項まで含まれるとは解されないから,同項は憲法38条に反するものではない。

5.地方公務員法61条4号は,何人たるを問わず,争議行為の遂行をあおる等した者を一律に処罰すべきものと定めているが,法律の規定は可能な限り憲法の精神に則し,これと調和し得るよう合理的に解釈すべきところ,同規定は,争議行為に通常随伴して行われる方法より違法性の強い方法をもって争議行為の遂行をあおる等した者に限って処罰する旨と解されるから憲法28条に反するものではない。

[60−73] 次のA裁判官ないしD裁判官は四つのタイプの裁判官を表現したものである。このうち「 」内の説明に該当するタイプの裁判官は,後記1から5までのうちどれか。

A 裁判官は,紛争の生ずるごとに双方の言い分を聞き,神のお告げによって決定を下す。各事件は,いわばそのつど神的啓示に基づいて裁かれ,その間に何らの規則性・斉一性の保障はない。

B 裁判官は,理由を付することなく決定を下し,その決定は記録にとどめられる。決定の理由が示されないのは,これを明確にすることができないからである。しかし,同種の事件は同様に決定されなければならない,という一種の法則が存在し,裁判官はこれに拘束されている。

C 裁判官は,決定についてその理由を明らかにする。この理由の明示を要求されることによって,一方では,裁判官自身がその決定に至るすじみちを自己の脳裡において明らかにするとともに,他方では,それを当事者,同僚その他の第三者の理解と批判にさらすことになる。

D 裁判官は,紛争が持ち込まれた場合,当該事件を規律する,あらかじめ定められた法規を探し出し,この法規の下に,その事件を機械的に包摂することによって結論を出し,決定を下す。その推論過程は,外部からも明らかであり,そこに誤りがあるかどうかも,容易に判明する。そこには,裁判官による主観的な裁量の要素は,まったく存在しない。

 「初めて接する特定の事件を前にして,この裁判官は,何がこの事件における妥当な決定であるかを模索するであろう。その場合,彼の決定にはいろいろな要素が働きかけてくるであろう。彼を取り巻く社会的環境,それを支配する宗教的・道徳的観念や,習俗や,利害や,便宜等々の諸考慮が入り乱れてかれの頭の中を動くであろう。そして,それらの諸考慮を背景としながら,彼は,いわば直観的に,ひとつの結論を妥当な結論として選択するであろう。それ故.このような決定が,その過程が第三者によって検証されることがないまま,次第に一般的規範としての姿をあらわす場合,その一般的規範は,宗教的,倫理的,経済的等々の諸価値や,これを担う宗教的,倫理的,経済的等々の諸規範と多かれ少なかれ関わりあいながらも,これらそのものと同一ではなく,これと区別された別個の価値を担う規範たる性質をもつものとして,独自の存在を取得する。それが,上記諸規範と区別された一般的な法規範の成立である。」

1.A・B裁判官

2.B裁判官

3.B・C裁判官

4.C裁判官

5.C・D裁判官

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