[37−02] 甲は乙に1月1日ある物を代金120万円,その支払期1月末日の約束で売りわたし,即時その引渡をしたが,乙が甲に貸金50万円,返済期2月末日,無利息の債権を有していたので乙は3月末日両債権債務につき相殺した。正しいのはどれか。

(1) この相殺により代金債務につき1月1日から2月末日までの利息(遅延利息を含む。以下同じ)全部と代金債務の一部が消滅する。

(2) この相殺により,代金債務につき,3月1日から同月末日までの利息全部と代金債務の一部が消滅する。

(3) この相殺により1月1日から3月末日までの利息全部と代金債務の一部が消滅する。

(4) 乙は相殺にあたり代金債務全部についてその利息を消滅させず代金債務50万円を消滅させ得る。

(5) 乙がもし代金について3月1日から同月末日までの利息をすでに支払っている場合は相殺により返還を甲に請求できる。

[37−05] 未成年の子の親権の行使について,正しいものはどれか。

(1) 父母の婚姻中,いずれか一方だけによって行使できる。

(2) 父母の婚姻中協議によれば,いずれか一方だけによって行使できる。

(3) (2)において,協議がととのわない場合,家庭裁判所の許可をうければ,一方だけで行使できる。したがって,子を代表して,共同名義でなした行為は有効である。

(4) 一方が,親権の行使に反対であっても,他方が共同名義でした親権の行使は,相手方善意の場合に限り有効である。

(5) (4)の場合,一方が親権の行使に反対であるならば,他方が共同名義でなした親権の行使は,相手方の善意悪意に拘わらず無効である。

[37−11] 親甲は子乙を代理人として不動産を購入した。乙は甲が「いずれその不動産はお前の物になる」といってたので,甲に無断で乙名義に移転登記をした。正解はいずれか。

(1) 甲がたとえお前のものになるのだと言っていたとしても乙が勝手に自己名義に登記したのは無効である。

(2) いずれ乙のものになるのだから,移転登記は真実に合致し有効である。

(3) どうせ乙のものになるのだから,その登記は有効である。

(4) 乙は代理人として買ったのだから代理名義で登記するのは当然である。

(5) 移転登記は中間省略登記として有効である。

[37−14] 次の記述のうち,時効中断事由とならないものはどれか。

(1) 破産債権の届出

(2) 占有の中止

(3) 債権者代理人に対する支払猶予の申込

(4) 相手方が同時履行の抗弁権を有する場合における自己の債務を提供しないでする履行の請求

(5) 準禁治産者が保佐人の同意を得ないでする債務の承認

[37−17] 次のうち,有効な弁済とならないものはどれか。※正解3個。

(1) 偽造した債権証書と印を持参した者に対し善意無過失で弁済した場合

(2) 取引関係にある店の店員が債権証書なしで請求したのに対し,その店員が解雇されたことを知らずに弁済した場合

(3) 債権者に対する債権を実質的に証明して来た者に対し弁済した場合

(4) 債権者が債権に質権設定の通知をして来たが代理人が受取証書を持って来たので弁済した場合

(5) 債権者が確定日附のない債権譲渡通知をして来たので譲受人に弁済した場合

[37−19] 甲は乙に対し承諾期間を3月末日までと定め契約の申込をした。乙は承諾の返事の手紙を書いて3月27日に郵送した。その手紙は通常ならば,その翌日に甲の家に配達される筈であるのに遅配により4月2日に甲の家に配達された。そのことを甲は乙に通知していない。この場合における契約の成否につき,正しいものはどれか。

(1) 契約は3月27日に成立する。

(2) 契約は3月28日に成立する。

(3) 契約は4月2日に成立する。

(4) 契約は一応成立するが3月末日の経過で失効する。

(5) 契約は成立しない。

[37−22] 所有者甲の動産に質権を有していた乙が丙に質物を奪われた時,丙に対して返還請求のできる場合として誤っているのはどれか。

(1) 甲は所有権に基づいて返還請求できる。

(2) 甲は占有権に基づいて返還請求できる。

(3) 乙は質権に基づいて返還請求できる。

(4) 乙は占有権に基づいて返還請求できる。

(5) 乙は甲に代位して返還請求できる。

[37−25] 甲と乙は,甲名義で登記されている土地Aと乙名義で登記されている土地Bとの交換契約が成立したが,土地Aの所有者は丙であった場合,次のうちで正しいものはどれか。

(1) 甲乙間の交換契約は土地Aが他人の所有物であるから無効である。

(2) 甲乙間の交換契約は土地Aの履行が不能であるから無効である。

(3) 甲乙間の交換契約は有効であるが,甲が丙から土地Aの所有権を取得して乙に移転することができなかったときは,甲および乙は,善意悪意を問わず契約を解除できる。

(4) 甲乙間の交換契約は有効であるが,甲が丙から土地Aの所有権を取得して乙に移転することができなかったときは,乙は善意悪意を問わず契約を解除できるが甲は土地Aが自己に属さないことを知らなかった時に契約を解除できる。

(5) 甲乙間の交換契約は有効であるが,甲が丙から土地Aの所有権を取得して乙に移転することができなかった時は甲も乙も善意の場合のみ契約の解除ができる。

[37−26] 甲が乙に対して丙の家屋に放火することを教唆して乙はそれを実行し全焼させた。丙の損害は家屋につき120万円家財道具につき15万円であった。その後甲が死亡してその妻丁と一子戊が相続人となった。丁戊共に家庭裁判所で放棄の申述をした。そころが戊が相続財産の一部を隠匿していることがわかった。この場合乙,丁,戊に対して賠償請求するにつき正しいものはどれか。

(1) 丙は乙に対してのみ135万円を請求できる。

(2) 丙は乙に対しても,戊に対しても135万円請求できる。

(3) 丙は乙に対して135万円,戊に対しては120万円請求できる。

(4) 丙は乙に135万円,丁に40万円,戊に80万円請求できる。

(5) 丙は乙に対して135万円,丁に45万円,戊に90万円請求できる。

[37−29] 次の場合のうち,即時取得(善意取得)の規定を適用する余地のないものはどれか。

(1) 抵当権の目的たる建物の建具を,抵当権の設定されていることを知らないで所有者から買い受けた場合

(2) 留置権の目的たる動産を,留置権の目的であることを知らないで,留置権者の財産として差押え競落した場合

(3) 譲渡坦保の目的たる動産を,譲渡坦保の目的であることを知らないで坦保設定者より贈与された場合

(4) 不明(所有者でない動産の占有者から質権の設定を受けた事例のごとし)

(5) 相手方を所有者と誤信して代物弁済として,質権の目的たる動産を受けた場合

[37−31] 甲死亡後6ヵ月以内に履行する債務を負担した場合,履行遅滞になるのはいつか。

(1) 甲死亡の時から6ヵ月後

(2) 甲死亡後3ヵ月経過し,それを知ってから6ヵ月後

(3) 甲死亡の後催告した時

(4) 甲死亡の後6ヵ月経過し乙が甲の死亡を知った時

(5) 甲死亡の後催告後6ヵ月経過した時

[37−35] 甲は1月1日に6カ月の約定で乙に物品の保管を委託し,毎月保管料を払う約束をした。2月1日甲は1月分保管料未払のまま丙に右物品を売却し,甲,乙,丙三者の合意で以後乙は丙のために保管を続けることとした。但し1月分保管料については何の約定もなかった。次のうち,誤れるものはどれか。

(1) 丙は1月分保管科を支払う義務はない。

(2) 乙は1月分保管料の支払をうけない間は期日がきても丙に引渡すことを拒める。

(3) 乙は1月分保管料の支払がなくとも,期日がくれば丙に引渡さなければならない。

(4) 丙が1月分保管料を支払った場合は甲の意思に反する場合でもその支払は有効である。

(5) 丙が1月分保管料を乙に支払う時は,丙は乙の1月分保管料債権を取得し,その債権取得をもって当然に甲に対抗し得る。

[37−40] 父甲,母乙との間に婚姻前の子丙女,婚姻後の子丁男があり,丙には子Aがあった。甲は婚姻後も丙を認知しないうちに,丙は昭和33年1月に死亡し,次いで甲が昭和35年1月に死亡し,甲の遺産は乙丁が共同相続した。この場合にAがとり得る措置として正しいものはどれか。

(1) Aは丙について甲の認知を求めることができ,その認知があったときは甲の相続人となり,相続財産の三分の一を乙丁に対して主張し得ることになる。

(2) Aは丙についての甲の認知を請求するここができ,その認知があったときは相続財産の9分の2を乙丁に対し主張し得る。

(3) Aは丙についての甲の認知を求めることができるが,その認知が遺産分割後であれば乙丁に対し求償し得ない。

(4) Aは丙についての甲の認知を請求することができるが,甲の相続人になり得ない。

(5) Aは丙についての甲の認知を求めることができず,甲の相続人となるみちはない。

[37−43] 住宅の建売で代金150万円,割賦払いで代金完済の時に所有権移転登記をするという約定の下に建物の引渡を受け,50万円まで支払ったところで,類焼によりその建物が焼失してしまった。次のいずれが正しいか。

(1) 買主は残代金100万円の支払を免れず,代りの住宅の給付を請求できない。

(2) 買主は残代金100万円の支払を免れず,代りの住宅の給付を請求できる。

(3) 買主は残代金100万円の支払を免れ,すでに支払った50万円の返還請求はできず,代りの住宅の給付も,請求できない。

(4) 買主は残代金100万円の支払を免れ,すでに支払った50万円の返還を請求でき,代りの住宅の給付を請求することはできない。

(5) 買主は残代金100万円の支払を免れ,すでに支払った50万円の返還請求ができるが,一方,焼失するまでの住宅の使用料を売主に支払わねばならない。

[37−46] 甲は未成年者乙を欺罔し,かつ乙の法定代理人の同意を得ずに,乙名義の山林を譲り受けその移転登記を受けた。その後甲はその立木を伐採搬出し,これを山林とともに善意無過失の丙に譲渡し,伐木の引渡およぴ山林の移転登記を了した。乙は甲との売買契約を取消して丙から伐木および山林を取り戻したいが,この場合に関する次の記述のうち,正しいのはどれか。

(1) 乙は詐欺または法定代理人の同意の欠缺のいずれを理由とする取消によっても伐木および山林を取り戻すことができる。

(2) 乙は詐欺を理由とする取消によっては伐木を取り戻すことはできないが山林は取り戻すことができる。法定代理人の同意の欠缺を理由とする取消によれば伐木および山林を取り戻すことができる。

(3) 乙は詐欺を理由とする取消によっては伐木および山林を取り戻すことはできないが,法定代理人の同意の欠缺を理由とする取消により伐木および山林を取り戻すことができる。

(4) 乙は詐欺を理由とする取消によっては伐木および山林ともに取り戻すことはできない。法定代理人の同意の欠缺を理由とする取消によっては伐木は取り戻すことはできないが,山林は取り戻すことができる。

(5) 乙は詐欺または法定代理人の同意の欠缺のいずれを理由とする取消によっても伐木および山林を取り戻すことはできない。

[37−53] 債務者甲所有の土地につき,債権者乙が第1順位の抵当権,債権者丙が第2順位の抵当権を有している場合,次の記述のうち,誤りはどれか。

(1) 丙が甲を相続すると,丙の第2順位の抵当権は消滅する。

(2) 乙が甲から当該土地を買った場合,乙の第1順位の抵当権は消滅する。

(3) 丙が甲から当該土地を買った場合,丙の第2順位の抵当権は消滅する。

(4) 乙が丙のために抵当権の順位を放棄すると,乙丙の抵当権は同順位となる。

(5) 乙が丙に抵当権の順位を譲渡すると,丙が第1順位,乙が第2順位の抵当権者となる。

[37−55] 甲は,贈与の意思がないのに,ある物を乙に贈与する旨の意思表示をした。乙がこれを自分のものとして丙に売り渡したり場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 乙が善意であればその過失の有無を問わず乙は所有権を取得し,これが丙に移転する。

(2) 乙の善意悪意を問わず乙は所有権を取得し,これが丙に移転する。

(3) 乙が悪意でも丙が善意でさえあればその過失の有無を問わず丙は所有権を取得する。

(4) 乙が善意無過失でも丙が悪意であれば丙は所有権を取得しない。

(5) 乙が善意無過失であれば丙の善意悪意を問わず丙は所有権を取得する。

[37−58] 甲会社の従業員乙は,同会社の他の従業員丙を同乗させ仕事を終えて帰る途中,双方の運転手の過失で丁会社のトラックと衝突し,双方の車を大破し丙に重傷を負わせた。この場合の記述中,誤りの明らかなものはどれか。

(1) 甲会社は丙が従業員であることを理由として(丙に対し)責任を免れることはない。

(2) 甲会社は帰り道であることを理由として責任を免れることはない。

(3) 甲会社および丁会社は車の破損につき,それぞれ相手方に対し損害賠償義務を負う。

(4) 甲会社が丁会社にトラックの時価を賠償したときは,破損した車の所有権は何等の意思表示をまたずに甲会社に移転する。

(5) 乙は甲会社が,丁会社に損害賠償義務を履行した場合には甲会社からの求償に応じなければならないが,丁会社に対してはいかなる場合でも直接の損害賠償義務を負わない。

[37−64] 甲は乙に対してカメラ1個(不特定物)を売り渡す契約をし,その履行のために丙よりカメラAを購入したが,誤って丁から預っていたカメラBを善意無過失の乙に引き渡し代金の支払を受けた。甲および丁が乙からカメラBを取り戻すことができるかどうかについての次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 甲はカメラAを乙に引き渡さなければカメラBを取り戻すことはできないが,丁は取り戻すことができる。

(2) 甲は代金を乙に返還してカメラBを取り戻すことができるが,丁は取り戻すことができない。

(3) 甲は取り戻すことができないが,丁は乙が支払った代金を弁償すれば取り戻すことができる。

(4) 甲丁共に取り戻すことができる。

(5) 甲丁共に取り戻すことができない。

[37−66] 甲は乙との間に,乙が甲所有のA家屋を1年以内に200万円以上で売ってくれたら,同人所有のB家屋を贈与すると契約した。この場合,次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 契約のとき既にA家屋が焼失していた場合,契約は無効である。

(2) 200万円以上で売れるかどうか定まらない前に,甲が自己の過失でB家屋を毀損した場合,乙が1年以内にA家屋を200万円以上で売れば,甲は乙に対して損害賠償の義務を負う。

(3) 乙はA家屋が200万円以上で売れることが定まらない前でも,B家屋に対する自己の権利を登記することができる。

(4) 乙が1年以内に200万円以上で買う相手を探していたのにもかかわらず,甲は他人にA家屋を190万円で売った。この場合乙は甲に対しB家屋の所有権を主張できる。

(5) 乙が1年以内にA家屋を200万円以上で売った場合,贈与はその時から効力を生じ,当事者間の特約をもってしても,効力を遡って発生させることはできない。

[37−69] 甲の債務ついて乙が連帯保証をした場合と,連帯債務を負担した場合(負担部分は全部甲)を対比した次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) いずれの場合でも,乙は債権者に対し甲が執行の容易な財産を有することを証明して,まず,その財産につき執行すべきことを求めることはできない。

(2) いずれの場合でも,債権者が甲に対し期限の猶予をしたときは,乙の債務につき期限が猶予されたことになる。

(3) いずれの場合でも,乙は甲の反対債権をもって相殺し,自己の債務を免れることができる。

(4) いずれの場合でも,甲の債務が時効により消滅したときは,乙もその債務を免れる。

(5) いずれの場合でも,乙の債務について請求による時効の中断は,甲の債務にもその効力が及ぶ。

[37−72] 甲は妻乙との間に婚姻中に懐胎した子ABがあるが,Bの出生後,間もなくBが乙と丙男の子であることを知った(乙がBを懐胎した当時甲の長期不在の事実はない)。甲は,Bが甲の子でないことを裁判によって確定するために準傭中死亡した。乙が相続を放棄した場合,AがBを甲の共同相続から排除するのにとる処置として次のうちどれが正しいか。甲の死亡後6ケ月を経過している。

(1) 丙に認知させる。

(2) 嫡出否認の訴による。

(3) 父を定める訴による。

(4) 甲とBの親子関係不存在確認の訴による。

(5) 丙とBの親子関係存在確認の訴による。

[37−74] 抵当権を設定されている土地の所有者が死亡し相続人がその土地の上に建物を築造した場合に抵当権の効力に関して次の記述で正しいのはどれか。

(1) 抵当権者は,その建物を競売しその代価につき優先弁済を受けることもできる。

(2) 抵当権者は土地と共に建物を競売し,土地および建物の代価についてのみ優先弁済を受けることができる。

(3) 抵当権者は,土地と共に建物を競売することができるが,土地の代価についてのみ優先弁済を受けることができる。

(4) 抵当権者は,土地と共に建物を競売することはできず,土地を競売して相続人は法定地上権を取得する。

(5) 抵当権者は,土地と共に建物を競売することはできず土地を競売しても相続人は法定地上権は取得しない。

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