[47−02] 民法物権編に規定する共有に関して,次のうち誤れるものはどれか。

(1) 各共有者はその持分に応じて共有物の全部を使用することができる。

(2) 各共有者は他の共有者の同意がないかぎり,その持分について処分することはできない。

(3) 共有者の1人が持分を放棄した場合,その持分は他の共有者に帰属する。

(4) 各共有者は単独で共有物の保存行為をすることができる。

(5) 各共有者は,原則としていつでも共有物の分割を請求することができる。

[47−04] 負けたものが勝った者に「モナ・リザの絵」を与える約束のもとに,AとBがトランプをし,Bが勝ったので,BはAに「モナ・リザの絵」の引渡を要求した。次の記述のうち,Aがこれを拒否する根拠となる余地のないものはどれか。

(1) 賭博行為であるから公序良俗に反し無効である。

(2) 冗談のつもりで約束したのであるから無効である。

(3) 「モナ・リザの絵」の複製を引き渡すものと誤信していたのであるから,約束は無効である。

(4) 他人の物を目的とした契約は常に無効であるから,無効である。

(5) 所有者が「モナ・リザの絵」を手ばなすことは現実にはありえないから,約束は無効である。

[47−06] 混同による権利の消滅に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 甲所有の土地を乙が占有しているとき,乙がその土地を買い受けた場合,乙の占有権は消滅する。

(2) 甲所有の土地に,丁の債務を担保するため,乙が第1順位の抵当権,丙が第2順位の抵当権を,それぞれ有している場合,乙が甲よりその土地を相続したときは,乙の抵当権は消滅する。

(3) 甲所有の土地に乙が地上権を有し,その地上権に丙のために抵当権を設定した後,その土地を乙が甲より買い受けた場合,この地上権は消滅する。

(4) (2)の場合において,丙がその土地を買い受けたときは,丙の抵当権は消滅する。

(5) (2)の場合において,丙が甲から相続によってその土地を取得したときは,丙の抵当権は消滅しない。

[47−11] 判例によると乙が丙に登記なくして権利変動を対抗できるのはどれか。

(1) 乙は甲所有の建物を時効により取得した。丙は甲よりこの建物を時効期間進行中に買って移転登記をうけた。

(2) 乙は甲の未登記建物を譲り受けた。その後甲は建物の保存登記をして丙に売り渡し移転登記をした。

(3) 乙は甲の建物を譲り受けた。その後甲の債権者丙が建物を差し押え移転登記をした。

(4) 乙は甲の建物を譲り受けた。その後甲が死亡し相続人が丙にその建物を売り渡し移転登記をした。

(5) 乙は甲に建物を売却し移転登記をした。しかし甲の代金債務について,甲の債務不履行があり,乙は解除した。その後甲は建物を丙に売却し移転登記をした。

[47−15] 担保物権に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 先取特権は原則として法律上当然に生ずるが,当事者間の契約によっても生ずる。

(2) 質権は質権設定者と債権者の契約のみによって生ずる。

(3) 債務者以外の者は,質権設定者とはなりえない。

(4) 不動産先取特権と抵当権の優劣は,つねに登記の前後による。

(5) 登記・登録制度のない目的物については抵当権の設定はできない。

[47−17] 甲乙間で甲所有の不動産につき売買契的が結ばれた場合に関する次の記述のうち,誤りはどれか。

(1) 甲が禁治産者である場合には,契約締結当時完全な意思能力を有していても,なお契約を取り消すことができる。

(2) 甲が未成年者であり法定代理人の同意を得ずに契約をした場合において,乙が未成年者であっても,甲はなお,契約を取り消すことができる。

(3) 甲が未成年者であり,法定代理人の同意を得ずに契約をした場合であっても,甲がその後婚姻によって成年に達したとみなされる場合には契約を取り消すことはできない。

(4) 甲が準禁治産者であって,乙が1カ月以上の期間を定めて保佐人の同意を得て追認すべき旨を催告したときは,甲がその期間内に何らの通知を発しなければ,契約を取り消したものとみなされる。

(5) 甲が準禁治産者で,保佐人の「同意を得ずに売買代金を受領した場合でも,なお契約を取り消すことができる。

[47−20] 登記請求について,判例の趣旨に合致しないものはどれか。

(1) 所有者でない者が所有権保存登記をして所有名義人となっている場合,真の所有者はその名義人に対して所有権移転登記を請求できる。

(2) 売主は,いかなる場合にも,買主に対して買主への所有権移転登記を請求できない。

(3) 不動産が甲→乙→丙と売買され,登記が依然甲にある場合,三者の合意があれば,丙は甲に対して直接自己への所有権移転登記を請求できる。

(4) 登記簿上甲→乙→丙へと所有権移転登記がなされている場合,甲→乙,乙→内への所有権移転が無効なときは,甲は乙・丙に対し,それぞれの所有権移転登記の抹消を請求できる。

[47−21] 抵当権に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 抵当権設定後抵当物を貸借した者はいかなる場合でも賃借権をもって抵当権者に対抗することはできない。

(2) 抵当権設定後,その設定者が抵当地に建物を築造したときは,抵当権者は土地とともに建物をも競売することができる。

(3) 土地と建物が同一所有者に属し,土地につき抵当権が設定された後に建物が譲渡された場合,抵当権が実行されても建物につき地上権が成立することはない。

(4) 抵当物件の第三取得者は,競買人となることはできない。

(5) 被担保債権が弁済により消滅しても,抵当権の登記を抹消しなければ,抵当権の消滅を第三者に対抗することはできない。

[47−24] 甲は,時計商乙に自己の所有する時計の修繕を依頼した。乙が修繕中,甲はその時計を丙に譲渡し,甲は乙に以後その時計を丙のために占有することを命じ,丙はそれを承諾した。この場合,正しいものはどれか。

(1) 乙は甲に対して時計の修理代金は請求できなくなる。

(2) 丙は乙に対して,時計の所有権を主張できない。

(3) 乙は丙に当然に修理代金の請求ができる。

(4) 乙は修理代金を受領するまで,時計の引渡を拒否できる。

{5) 甲と丙とは以後連帯して修理代金の債務を負う。

[47−33] 抵当権の設定に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 条件付債権の担保を目的として,抵当権を設定することはできない。

(2) 同一の債権を担保するため,建物とその敷地以外の土地について抵当権を設定することはできない。

(3) 金銭債権でない債権のためにも,抵当権を設定することができる。

(4) 建物と土地に対する賃借権について,登記あれば,その賃借権の上に抵当権を設定することができる。

(5) 不動産の共有持分の上に,抵当権を設定することはできない。

[47−36] 甲は丙に対する債権を乙に譲渡した。次の記述のうち誤りはどれか。

(1) 甲が丙に対して譲渡の通知をしたときは,乙は丙に対して弁済の履行を請求できる。

(2) 乙が丙に対して譲渡の通知をしても,乙は丙に対して弁済の履行を請求できない。

(3) 乙が丙に対して確定日附ある通知をしたときでも,乙は丙に対して請求できない。

(4) 丙が乙に対して債権譲渡の承諾をしたときは,乙は丙に対して弁済を請求できる。

(5) 丙が甲及び乙に対して債権譲渡の承諾をしなければ,乙は丙に対して弁済を請求できない。

[47−37] 未成年者甲は,甲所有の土地を乙に売り渡し,その移転登記をおえた。乙は,その土地を丙に賃貸し,丙はその引渡を受けてその土地の上に家屋を建てその保存登記をなした。その後,甲は親権者の同意を得ていなかったことを理由として,甲乙間の契約を取り消し移転登記の抹消をした。この場合,甲の丙に対する土地明渡請求について正しいものはどれか。

(1) 丙は家屋に保存登記がしてあるので,明渡を拒むことができる。

(2) 丙は土地の引渡を受けているので,明渡を拒むことができる。

(3) 丙は乙の登記名義を信じた場合,明渡を拒むことができる。

(4) 丙は甲の未成年について善意の場合,明渡を拒むことができる。

(5) 丙は甲の明渡請求を拒むことはできない。

[47−41] 権利能力に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 禁治産者は権利能力を有しない。

(2) 清算中の法人は権利能力を有しない。

(3) 自然人の権利能力は契約によって制限することができる。

(4) 民法上の公益法人は設立の登記をするのでなければ,権利能力を取得しない。

(5) 失踪宣告を受けた者は生存していたとしても,失踪宣告の取消がなければ権利能力を有しない。

[47−43] 保証債務に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 保証契約は債権者と保証人だけで,有効に締結できる。

(2) 主たる債務が免除で消滅した場合,保証債務も消滅する。

(3) 主たる債務について債権譲渡があった場合,保証債務は特段の定めがない限り,消滅する。

(4) 主たる債務の一部についても保証できる。

(5) 主たる債務に違約金についての定めかなかった場合でも,保証契約で違約金についての定めができる。

[47−48] 代理に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 任意代理人は行為能力を必要とする。

(2) 任意代理人は,本人の許諾がある場合とやむことを得ざる場合以外は復代理人を選任することはできない。

(3) 当事者一方の代理人は同時に相手方の代理人になることは常にできない。

(4) 当事者の一方は相手方の代理人になることは常にできない。

(5) 買主の指示を受けた代理人が建物の売買契約を締結したが,その建物には瑕疵があった。代理人はこの瑕疵を知らなかったが買主本人が知っていた場合,瑕疵担保責任を問うことができる。

[47−50] 不動産の賃貸借に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 不動産の賃借権は登記なき限り,いかなる場合でも第三者に対抗することができない。

(2) 不動産の賃借権を無断で譲渡したときは,賃貸人は常に解除できる。

(3) 建物譲渡に伴う賃借権の譲渡につき,賃貸人がその賃借権の譲渡を承諾しないときは,借地権者は裁判所に賃貸人の承諾に代わる許可を求めることができる。

(4) 借地権の消滅前に建物が焼失すると,賃借権は消滅する。

(5) 期限の定めのない賃借権は,賃借人の死亡により終了する。

[47−51] 丙が即時取得(善意取得)による保護を受ける余地のない余地は次のうちどれか。

(1) 乙が甲から預っている本を,丙は乙の所有であると信じて乙から買い,その引渡をうけたが,後でそれが甲の所有であることが判明したとき。

(2) 丙は甲の代理人と称する乙から,代理権のあるものと信じて甲所有のテレビを買いその引渡をうけたが実は代理権がなかったとき。

(3) 未成年者甲はその所有する宝石を乙に売却した後親権者の同意のないことを理由にその売買を取り消した。その後乙の所有であると信じた丙は乙からその宝石を買いその引渡をうけたとき。

(4) 乙は甲から借りている自転車を丙に貸し,その自転車を乙のものと信じた丙は乙からその自転車を買い,簡易の引渡をうけたとき。

(5) 乙は甲所有のカメラを盗んだ。3年後,乙のカメラだと信じた丙はそのカメラを乙から買いその引渡をうけたとき。

[47−53] 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 債権者は自己の反対給付を提供しないで同時履行の抗弁権の付着する債権を自働債権として相殺できる。

(2) 債権の譲渡,債務の引受があると同時履行の抗弁権は消滅する。

(3) 債務者が同時履行の抗弁権を有する間は債権が弁済期にあっても債権の消滅時効は進行しない。

(4) 債務者は同時履行の抗弁権を主張して履行遅滞の責を免れることができる。

(5) 贈与については負担附贈与においても同時履行の抗弁権は主張できない。

[47−58] 債権者代位権に関する次の記述のうち,正しいのはどれか。

(1) 債権の譲受人は,譲渡人に代位して債務者に通知をすることができる。

(2) 債権者代位権は裁判によってのみ行なうことができる。

(3) 債権者代位権はその債権の期限が到来しなければ行使しえない。

(4) 判例によれば,不動産が甲→乙→丙と譲渡され登記が未だ甲にあるときは,丙は乙を代位して甲に対して,直接自己への移転登記を請求しうる。

(5) 判例によれば,不動産の貸借人は賃貸人に代位して,不法占拠者に対して直接自己に明け渡す旨を請求しうる。

[47−63] 次のうち,甲と友人乙との間に,当然に,契約関係の生ずる場合はどれか。

(1) 甲が友人乙のほしそうな本が本屋にあるのでその本を買ったとき。

(2) 友人乙の置き忘れた本が破損しているので,甲が修理のため修繕屋に出したとき。

(3) 友人乙が旅行に行って留守中,乙の質に入れていた本が,流質しそうなので,質屋に利息を払って,質流れを防止したとき。

(4) 甲は友人乙が金に困っているので,他人から乙に返すように頼まれた本を乙のために入質したとき。

(5) 甲は金に困って,他人から乙に返すように頼まれた本を古本屋に売却したとき。

[47−64] 養子に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 養子は養親の遺産を相続することはない。

(2) 配偶者の一方の子を養子にするには,たとえ16歳であっても家庭裁判所の許可はいらない。

(3) 養親が死亡すると,養子はもはや離縁する方法はない。

(4) 年長者といえども,夫婦が養子とする場合どちらか一方が養子より年上であれば,これをすることができる。

(5) 養子には養親の扶養義務はない。

[47−68] 夫の氏を称していた妻が,夫の死後婚姻前の氏に復したいと思う。次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 婚姻関係終了の意思表示をした後でなければ,婚姻前の氏に復することはできない。

(2) いつでも自由に婚姻前の氏に復することができる。

(3) 婚姻前の氏に復するには,家庭裁判所の許可を得なければならない。

(4) 婚姻前の氏に復するには,姻族の同意を必要とする。

(5) 夫の死後6ヶ月経過しなければ,婚姻前の氏に復することができない。

[47−69] 甲女は,その夫乙男と同居して生活していたが,その間に丙男との間で懐胎し丁を出産した。この場合,次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 乙が丁の出生届を提出したときは,乙は丁が自分の子でないことを主張することはできない。

(2) 乙は甲と離婚すれば,いつでも丁が自分の子でないことを主張することができる。

(3) 乙はいつでも,乙と丁の間の親子関係不存在確認の訴を提起することができる。

(4) 乙は,一定の期間内に,嫡出否認の訴を提起することができる。

(5) 乙は,一定の期間内に,父を定める訴を提起することができる。

[47−73] 次のうち,遺言によってのみなしうるものはどれか。

(1) 認  知

(2) 財産分離の請求

(3) 相続人の廃除

(4) 祖先の祭祀を主宰すべき者の指定

(5) 相続分の指定

[47−74] 第三者に所有権を取得させることを目的とする売買契約(第三者のためにする契約)をした場合について,次の記述のうち誤りはどれか。

(1) 受益の意思表示をした第三者は,売主が債務を履行しない場合は,その売買契約を解除できる。

(2) 受益の意思表示をした第三者は,売主が債務を履行しない場合は,損害賠償の請求ができる。

(3) 第三者が受益の意思表示をする前は,契約当事者は,合意により,第三者が取得する権利の内容を変更できる。

(4) 買主が詐欺をした場合,売主は,受益の意思表示をした第三者が善意であっても,その契約を取り消すことができる。

(5) 第三者の取得する所有権が負担付のものであっても,売買契約は有効である。

[47−76] 甲男と乙女は婚姻の届出をした後新婚旅行に出かけたが,そり途中で乗っていた船が沈没し,二人とも死亡した。甲男には弟丙が,乙女には妹丁がいるだけで他に親族はいない。財産としては甲所有の土地しかなかった。この土地の相続による取得について,正しいものはどれか。

(1) 丙はつねに土地を取得する。

(2) 丙および丁はつねに土地を取得する。

(3) 甲が乙より先に死亡した場合は,丙と丁が土地を取得する。

(4) 丁はつねに土地を取得することはない。

(5) 丙はつねに土地を取得することはない。

[47−78] 不法行為責任に関する次の記述のうち誤りはどれか。

(1) 土地の工作物の設置または保存に瑕疵があったために他人に損害を生じた場合,占有者が損害の発生を防止するに必要なる注意をしたときは,所有者が責任を負う。

(2) 被用者が,事業の執行につき第三者に損害を加えても,使用者は被用者の選任および事業の監督につき相当の注意をなしていたときは責任を負わない。

(3) 未成年者が他人に損害を加えた場合,その行為の責任を弁識するに足る知能を具えなかったときは,原則としてその監督義務者が賠償の責任を負う。

(4) 注文者は,請負人がその仕事について第三者に損害を加えた場合,つねに賠償責任を負わないわけではない。

(5) 心神喪失中に他人に損害を加えた首は,いかなる場合にも責任を負わない。

[47−80] 裁判上の離婚に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 裁判上の離婚は,法定の離婚原因がある場合に限られる。

(2) 配偶者に不貞な行為があっても,裁判所は,事情によって離婚の請求を棄却することができる。

(3) 裁判上の離婚の場合でも,一方は相手方に対して財産の分与を請求することができる。

(4) 未成年の子のある夫婦の裁判上の離婚の場合には,裁判所は,父母の一方を親権者と定める。

(5) 裁判上の離婚も戸籍法の定めるところによりこれを届け出ることによって,その効力を生ずる。

[47−84] 内縁の妻甲はその夫乙の療養看護に務めたが,乙は相当な金額の銀行預金を残して死亡し,その銀行預金の処分についてはなんらの意思を表示していなかった。乙には全く親族がいなかった場合に,その銀行預金の処分について正しいのはどれか。

(1) 甲はその銀行預金を相続することにより,当然取得する。

(2) 銀行預金は国庫に帰属して,甲は取得することはできない。

(3) 銀行は,その銀行預金で乙の債権者に対して,この債務を支払った残額については預金債務を免れる。

(4) 銀行預金は相続財産法人に帰属し,甲が取得することはあり得ない。

(5) 一定期間内の甲からの請求により,家庭裁判所はその銀行預金の全部または一部を甲に与えることができる。

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