[54−02] 甲所有の不動産を乙が買い受けたが,登記未了の間に,同一不動産を丙が買い受け登記も移転した。この場合次のうち乙が登記なくして丙に所有権を主張できる理由となりえないものはどれか。

(1) 丙は乙の法定代理人であり,乙の所有権取得につき登記申請義務を負っている。

(2) 甲は丙の詐欺を理由に甲丙間の売買を取り消した。

(3) 丙は乙に対しいやがらせをする目的で甲から買受けた。

(4) 丙は乙を強迫して乙の登記申請を妨げた。

(5) 甲丙間の売買は甲に対する他の債権者を詐害するものであった。

[54−05] 氏に関しての次の記述のうち誤りはどれか。

(1) 嫡出でない子は父が認知したからといって直ちに父の氏を称することになるわけではない。

(2) 婚姻により氏を改めた者は,離婚により婚姻前の氏に復する。

(3) 父母が離婚したときは,子は親権者と定められた父又は母の氏を称する。

(4) やむをえない事由があるときは,家庭裁判所の許可を得て氏を変更することができる。

[54−08] 右図のようなC地が囲繞地である場合に,C地の隣地通行権についての以下の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) C地の所有者は,B地より広いA地についてのみ通行権を主張でき,その場合は,A地を自由に通行できる。

(2) B地とC地とが一筆の土地を分割したものであるときは,C地の所有者はB地についてのみ,通行権を主張することができる。

(3) A地には建物がたっているがB地は空地であるときは,C地の所有者はB地についてのみ,通行権を主張することができる。

(4) C地の所有者が,その所有権取得登記を経ていないときは,A地B地のいずれについても通行権を主張できない。

[54−11] 甲はその所有不動産に,丙が乙に対して負担する債務を担保するために丙の委託を受けて,抵当権を段定した。設定後10年経過した後,乙が突然抵当権を実行してきた。甲が乙の抵当権行使を排除するための理由として成り立ちうるのはどれか。

(1) 乙の抵当権は,10年間行使しなかったことにより時効消滅した。

(2) 甲丙間の委託契約は,丙の甲に対する債務不履行により解除された。

(3) 丙の債務は時効により消滅した。

(4) 丙には資産かあるから,まず丙に対して強制執行すべきである。

[54−14] 甲はその所有不動産について乙と抵当権設定契約をしたが,その登記未了の間に,丙に当該不動産を売却し,移転登記も完了した。以下のうち正しいものはどれか。

(1) 丙が甲・乙間の抵当権設定契約を知っていた場合,乙は丙に対し抵当権設定登記を請求することができる。

(2) 乙は,丙が甲に支払う売買代金について物上代位することができる。

(3) 丙は抵当権が存在していることを理由に,甲に対し売買代金の全部又は一部の支払いを拒むことができる。

(4) 甲・丙間の売買契約が無効の場合でも,乙は甲に代位して丙の登記の抹消を請求することはできない。

[54−17] 次に掲げるもののうち,抵当権又は根抵当権の目的となってる不動産の取得者を保護するためのものとはいえないものはどれか。

(1) 代価弁済

(2) 根抵当権の確定請求

(3) 根抵当権の消滅請求

(4) 滌除

(5) 流抵当の特約

[54−20] 履行遅滞と消滅時効の起算点に関する次の記述のうち正しいのはどれか。

(1) 不法行為に基づく損害賠償債務は,履行の請求を受けた時から遅滞となり,消滅時効は不法行為の時から進行する。

(2) 売買代金債務は,特約のない限り,目的物の提供とともにする請求の時から遅滞となるが,消滅時効は契約成立の時から進行する。

(3) 家主が月末に取り立てる旨の特約ある家賃債務は月末の経過とともに遅滞となり,消滅時効もその時から進行する。

(4) 試験に合格したら金銭を贈与する旨の債務は,債権者が合格した時から遅滞となり,消滅時効もその時から進行する。

[54−23] 詐害行為取消権の性質については(1)詐害行為の効果を対世的に否認するものであるとする説(A説)(2)詐害行為により債務者の一般財産から逸失した財産を取戻すものであるとする説(B説)及び(3)詐害行為の効力を債権者と受益者又は転得者との関係で否認し,かつ,債務者の一般財産から逸失した財産を取戻すものであるとする説(C説)の三説が考えられる。これらを前提とした場合,次のうち誤りはどれか。

(1) A説によれば詐害行為取消の訴の被告となるのは債務者と受益者である。

(2) B説によれば,債務者は詐害行為取消の訴の被告とならない。

(3) C説によれば,詐害行為取消の訴において少くとも受益者又は転得者が被告となる。

(4) A説・C説のいずれによっても,詐害行為取消の効果として債務者は受益者又は転得者に対し,詐害行為の結果逸失した財産の取戻し又はそれに代る利益の返還を請求することができる。

(5) B説・C説のいずれによっても,詐害行為取消の効果として債権者は受益者又は転得者に対し,詐害行為の結果逸失した財産の取戻し又はそれに代る利益の返還を請求することができる。

[54−26] 甲は乙に対し,100万円を貸し付け,担保として乙所有の不動産に抵当権を設定し,丙を連帯保証人,丁を保証人とした。次の記述のうち誤っているのはどれか。

(1) 甲が丙に対して履行の請求をしてきたとき,丙は甲に抵当権の実行を先にするように求めることはできない。

(2) 甲の丙に対する請求は乙にもその効力が及ぶ。

(3) 甲の丁に対する請求は乙に対しては効力が及ばない。

(4) 甲が丁に請求をしてきた場合,丁は分別の利益を主張して,50万円を超える支払を拒むことかできる。

(5) 丁は甲からの請求に対して,乙及び丙に催告し検索をすべき旨の抗弁を主張できる。

[54−29] 相続人となることのできない者は次のうちどれか。

(1) 被相続人の子で廃除された者の子

(2) 被相続人の養子が縁組後に縁組をした養子

(3) 被相続人の子で被相続人を殺害した者の子

(4) 被相続人の兄弟姉妹の子

(5) 被相続人の子で相続放棄をした者の子

[54−32] 甲は自己所有の土地を建物所有の目的で乙に賃貸し,乙はその土地上に建物を建てそれを丙に賃貸し,丙はその引渡を受け居住している。この場合次のうち正しいのはどれか。

(1) 乙丙間の賃貸借につき甲の承諾がないときは,丙は建物の賃借権をもって甲に対抗することができない。

(2) 甲乙間の賃貸借契約が乙の賃料不払を理由に解除された場合でも,丙は建物の賃借権をもって甲に対抗できる。

(3) 甲乙間の賃貸借契約が期間満了により終了し,乙が建物貢取請求権を行使すると,丙は建物の賃借権をもって甲に対抗できる。

(4) 甲乙間の賃貸借契約が合意解除された場合,丙は建物の賃借権をもって甲に対抗することができない。

[54−35] 財産上の法律行為に関する次のもののうち正しいものはどれか。

(1) 未成年者が親権者の同意なしでした法律行為は,これを単独で取り消すことはできなぃ。

(2) 禁治産者が後見人の同意をえてした法律行為は,これを取り消すことができる。

(3) 未成年者は親権者である父母の一方の同意があれば,有効な法律行為をすることができる。

(4) 禁治産者が後見人の同意なしでした法律行為は無効である。

(5) 保佐人は準禁治産者に代って重要な法律行為をなすことができる。

[54−38] 「民法解釈の理想は,人によっても事件によってもその結果が異ならないような一般的確実性とそれぞれの場合に適用されて妥当な結果をもたらすような具体的妥当性を調和させること,一層適切にいえば,一般的確実性を脅かさずに具体的妥当性を最大限に発揮することだ,といってよいであろう。そして,かような見地から見るときは,[A]解釈と形式的な[B]解釈,そして[C]解釈とは,一般的確実性を維持するに適するが,往々にして,具体的妥当性に欠ける憾みがある。これに反し,目的的な[D]解釈と[E]解釈とは,もともと具体的妥当性を目指す手段ともいえるものであるだけ,その目的的な理論大系の構成と,類推の根拠となる合理性を解明するために,厳密な検討をしないと,民法の解釈をして御都合主義的な判断に堕落させ,一般的確実性を失わせる危険がある。」以上の[A]〜[E]に入れる言葉の組合せのうち正しいものはどれか。

(1) A.論理 B.文理 C.反対 D.文理 E.類推

(2) A.文理 B.論理 C.反対 D.論理 E.類推

(3) A.文理 B.論理 C.類推 D.反対 E.類推

(4) A.文理 B.類推 C.論理 D.類推 E.反対

(5) A.論理 B.反対 C.文理 D.反対 E.類推

[54−41] 建物が甲から乙,乙から丙と順次譲渡され,それぞれ所有権取得登記がなされている場合につき,判例の趣旨によれば誤っているのはどれか。

(1) 甲乙間の売買で乙に要素の錯誤がある場合でも,乙が無効を主張せず,かつこれを主張する意思もないときは,甲は丙に登記の抹消を請求できない。

(2) 甲がこの詐欺を理由に,甲乙間の売買を取り消した場合,その後乙から買い受けた丙が事実を知っていても,甲は丙に登記の抹消を請求できない。

(3) 甲が乙の債務不履行を理由に甲乙間の売買を解除した場合には,丙が解除原因を知っていたときに限り,甲は丙に登記の抹消を請求できる。

(4) 乙は名義上の買主で真実は丁が買主である場合に,丙がそれを知っていて乙から買い受けたときは,丁は丙に登記の抹消を請求できる。

[54−44] 近代私法の基本原則として三つ挙げるとすると最も適切な組合せはどれが。

(1) (イ)公信の原則 (ロ)契約自由の原則 (ハ)過失責任の原則

(2) (イ)私的自治の原則 (ロ)信義誠実の原則 (ハ)個人財産権絶対の原則

(3) (イ)個人財産権不可侵の原則 (ロ)個人意思自治の原則 (ハ)自己責任の原則

(4) (イ)私有財産権絶対の原則 (ロ)過失責任の原則 (ハ)公平の原則

[54−47] 法人の設立について現行上の政策の組合せとして次のうち正しいものはどれか。

(A) 民法上の公益法人 (B) 私立学校 (C) 株式会社 (D) 公社・公庫

(1) (A) 許可主義 (B) 認可主義 (C) 準則主義 (D) 特許主義

(2) (A) 認可主義 (B) 許可主義 (C) 準則主義 (D) 特許主義

(3) (A) 許可主義 (B) 準則主義 (C) 認可主義 (D) 特許主義

(4) (A) 許可主義 (B) 許可主義 (C) 準則主義 (D) 認可主義

(5) (A) 認可主義 (B) 認可主義 (C) 特許主義 (D) 許可主義

[54−50] 取得時効についての以下の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 甲の乙の土地に対する取得時効完成前に,乙が丙に対して抵当権の設定をし登記も済ませているときは,甲は時効完成後丙に対し抵当権登記の抹消を請求できる

(2) 判例によれば,取得時効完成後に登記名義人乙から土地を譲り受け登記も済ませた丙に対し,時効取得者甲は登記の抹消を請求できる。

(3) 甲が乙から土地を買い受け,取得時効に必要な期間占有しているときは,甲が買い受けた時その契約が無効であることを知らなかった場合に限り,時効取得を主張できる。

(4) 甲が乙から土地を買い受け,占有開始後はじめてその契約の無効を知った場合は,その時点から取得時効が進行する。

(5) 甲が乙の土地を勝手に丙に賃貸している場合,丙の占有中は甲の取得時効は進行しない。

[54−53] 次はAの行為をするのにBの承諾を要するとされるものである。誤っているのはどれか。

(1) A.根抵当権の譲渡          B.根抵当権設定者

(2) A.賃借権の譲渡           B.賃貸人

(3) A.雇用契約上の使用者の権利の譲渡  B.労務者

(4) A.債権者代位権           B.債務者

(5) A.弁済による代位          B.債権者

[54−56] 甲と乙は共有する土地につき隣接する丙の土地に対する通行地役権を有している。次のうち正しいものはどれか。

(1) 甲からその持分を譲り受けた丁は,地役権についても別途譲り受けなければ地役権は取得できない。

(2) 甲はその持分とは別に地役権のみを譲渡することができる。

(3) 甲だけが丙の土地を現実に通行し,乙は20年間全く地役権の行使をしなかった場合,乙の地役権は時効により消滅する。

(4) 甲の持分を丙が取得した場合でも,その持分についての地役権が混同により消滅することはない。

[54−59] 甲は乙に対し,取得時効を原因とする乙名義の不動産の所有権移転登記訴訟を提起したが,その際,昭和34年4月1日に当該不動産の占有を開始し昭和54年4月1日に当該不動産を占有していると主張・立証したのみでその余の事実は甲・乙ともに主張・立証していない。次のうち正しいものはどれか。

(1) 設問の事実だけで甲は勝訴できる。

(2) 甲は占有の継続を主張立証していないので勝訴できない。

(3) 甲は平穏公然に占有したことを主張・立証していないので勝訴できない。

(4) 甲は占有を始めたとき過失がなかったことを主張立証してないので勝訴できない。

(5) 甲は占有開始の原因である事実を主張立証してないので勝訴できない。

[54−62] 次の行為のうち,瑕疵のあるものはどれか。

(1) 財団法人の理事甲が,同法人の理事乙を代表者としてその法人から財産を譲り受ける行為。

(2) 相続放棄をした母が,その親権に服する子全員の代理人として相続放棄の申述をする行為。

(3) 後見人の債務につき,後見人が被後見人の代埋人として,後見人の債権者との間で連帯保証契約を締結する行為。

(4) 債権者が債務者の代理人として自己に対する債務を履行する行為。

[54−65] 動産の賃貸借につき,次のうち正しいものはどれか。

(1) 期間の定めかない場合,借主はいつでも解約の申入をなすことができるが,貸主は解約の申入をなすことができない。

(2) 期間の定めがない場合,解約の申入があると賃貸借契約は直ちに終了する。

(3) 期間経過後借主が引き続き動産の使用を継続していると,賃貸借契約は更新される。

(4) 期間の定めがある場合,借主は解料権を留保しない限り解約の申入をすることができない。

[54−68] 失踪宣告についての以下の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 失踪宣告がなされると,その時より相続が開始する。

(2) 失踪宣告かなされた後それが取り消されると,宣告後取消前になされた法律行為はすべて無効になる。

(3) 失踪宣告がなされると,被宣告者はその宣告が取消きれるまでは有効な法律行為をすることができなくなる。

(4) 失踪宣告がなされると後に生存が判明した場合でも宣告が取消されない限り宣告の効果は失なわれない。

(5) 失踪宣告が取消されると,宣告後になした配偶者の婚姻は,当然に解消する。

[54−71] Aにかかげるものの占有を信頼して取引し,その占有を取得しても,Bに掲げる権利を取得することができないものは次のうちどれか。

(1) A 債権証書    B 指名債権

(2) A 無記名債券   B 無記名債権

(3) A 未登録自動車  B 自動車所有権

(4) A 動産      B 動産質権

[54−74] 次の特別法は民法の特則を定めている。誤っているのはどれか。

(1) 利息制限法は金銭消費貸借上の債務不履行による損害賠償について,民法の特則を定めている。

(2) 建物保護に関する法律は,地上権の対抗要件に関して,民法の特則を定めている。

(3) 借家法は,建物賃借権の譲渡に関して,民法の特則を定めている。

(4) 借地法は土地賃貸借の黙示の更新について,民法の特則を定めている。

(5) 自動車損害賠償保障法は,不法行為に関して民法の特則を定めている。

[54−77] 甲乙丙三人が共同で丁から家屋を買受け,その引渡を求める権利を有する場合に,甲について生じた事由でその効果が乙丙に及ばないものはどれか。

(1) 甲が丁から家屋の引渡を受けた。

(2) 家屋が丁の責に帰すべき事由によって焼失し,丁が甲に対し損害賠償額の全額を支払った。

(3) 丁が甲に対して家屋引渡の提供をしたが,甲が受領を拒んだ。

(4) 甲が丁に対して代金を提供し,家屋の引渡を請求した。

[54−80] 金銭債務の支払につき,次のもののどれを債権者に提供すれば,債務の本旨に従った履行の提供となるか。

(1) デパートの商品券

(2) 小切手

(3) 郵便切手

(4) 郵便為替

(5) 預金証書

[54−83] 留置権と同時履行の抗弁権について次の記述のうち誤っているのはどれか。

(1) 双務契約上の債権は,留置権によっても同時履行の抗弁権によっても保護されることがある。

(2) 債務者は相当の担保を提供して,留置権の消滅を請求することができるが,同時履行の抗弁権については,このような請求は認められない。

(3) 留置権も同時履行の抗弁権も,権利者が目的物の占有を失えば消滅する。

(4) 留置権または同時履行の抗弁権を行使している限り,債権の消滅時効の進行は妨げられないが,履行遅滞による損害賠償の責任は生じない。

[54−86] 不法行為に基づく損害賠償に関し次のうち明らかに誤っているものはどれか。

(1) 財産権が侵害された場合,財産的損害の賠償を受けても,なお精神的損害が慰謝されないときは,さらに慰謝料を請求することができる。

(2) 父親が交通事故で死亡した場合,その者の子が生まれて間もない幼児で精神的苦痛を感じる能力がないとしても慰謝料請求ができないわけではない。

(3) 法人は名誉を毀損されても精神的苦痛を感じることはないから,謝罪広告を求めることができるのは格別損害賠償を求めることはできない。

(4) 生命侵害の場合でなくても,それに比肩すべき精神的苦痛を受けた以上,近親者は慰謝料を請求することができる。

[54−89] 甲はその所有家屋を乙に賃貸し,乙はその使用人丙をその家に住まわせて管理をさせていた。ところが丙の重大な過失で家屋が焼失してしまった。この場合甲の丙に対する請求として,次のうち正しいものはどれか。

(1) 賃貸借契約の債務不履行にもとづく損害賠償請求

(2) 不法行為にもとつく損害賠償請求

(3) 雇用契約上の債務不履行にもとづく損害賠償請求

(4) 焼失家屋相当額の不当利得にもとづく返還請求

(5) 焼失家屋と同種・同等の家屋の引渡請求

ホームページに戻る。   年度別一覧<民法>に戻る。