[58−02] 甲は,乙に期限付で100万円を貸し付けたが,乙が返済しないので,期限後13年経過して貸金返済の請求訴訟を提起したところ,乙は,消滅時効を援用した。これに対し,甲は,次のとおり主張した。主張自体理由のないものの組合せは,次のうちどれか。

(甲の主張)

a 借用書中には,この債務については時効の利益を放棄する旨の文言がある。

b 甲は,乙から期限後5年目に支払猶予の申込を受けた。

c 甲は,乙に対して期限後7年目に支払の催告をした。

d 甲は,乙から期限後12年目に分割払にしてほしい旨の申入を受けた。

1.aとb

2.aとc

3.aとd

4.bとc

5.bとd

[58−05] 契約の終了に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

1.使用貸借契約において,当事者が返還の時期を定めなかったときは,貸主は,いつでも,目的物の返還を請求することができる。

2.建物の賃貸借契約において,当事者が期間の定めをした場合でも,正当な事由があれば,賃借人は,直ちにその契約を解除できる。

3.請負契約において,請負人は,仕事を完成するまでの間いつでも,注文者の受ける損害を賠償すれば,その契約を解除できる。

4.委任契約において,委任者は,あらかじめ受任者にその損害を賠償した場合に限り,受任者の不利な時でも,その契約を解除できる。

5.寄託契約において,当事者が返還の時期を定めていた場合でも,やむを得ない事由があるときは,受寄者は,いつでも,寄託物を返還することができる。

[58−08] 無能力者に関するaからfまでの記述のうち,正しいものの組合せは,次のうちどれか。

a 未成年者の法定代理人は,父母である。

b 未成年者の法定代理人は,同意権と代理権を有する。

c 禁治産者の後見人は,家庭裁判所が選任する。

d 禁治産者の後見人は,代理権と取消権を有する。

e 準禁治産者の保佐人は,家庭裁判所が選任する。

f 準禁治産者の保佐人は,同意権と代理権を有する。

1.aとc

2.bとd

3.aとe

4.bとf

5.cとe

[58−11] 甲は,Aの過失による交通事故で死亡したが,甲には妊娠中の妻乙及び実父丙がいる場合についての次の記述のうち,「胎児は,相続及び損害賠償請求権については,死体で生まれることを解除条件として権利能力を認められ,胎児である間もその法定代理人が存在しうる。」との考え方にそわないものは次のうちどれか。

1.胎児は,出生前においても,損害賠償請求権を行使することができる。

2.胎児の出生前に,乙と胎児とを共同相続人として甲の遺産を分割することができる。

3.乙が胎児の損害分まで含めて,胎児の出生前にAと和解契約をしても,胎児が出生した時は,その者に対しては効力がない。

4.乙が胎児のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内に限定承認又は放棄をしなかった時は,胎児は,単純承認をしたものとみなされる。

5.胎児が死体で生まれた時は,丙は,最初から甲の相続人であったことになる。

[58−14] 次の文章は,大正末期に執筆されたある民法学者の論文の一節であるが,その記述から導き出される命題として最も適切なものは,次のうちどれか。

(論文)

現在において,裁判官自身が,裁判をなすに当たって,常に現行法に基いた法律適用の形においてなさねばならないと信じてゐることは,いふまでもないが,その他の法律家や法律学者でも,その判断を「法律的」ならしめるには,何等かの形において,現行法によって基礎づけねばならぬと信じてゐることは,明かなことである。このことは,近時盛んに論争せられる労働問題に関する議論などについて見ても,最も明瞭に窺はれる。即ち,現代社会の矛盾を指摘し,現行民法の規定の無能を痛罵するに当っては,最も奔放な議論をした学者でも,いよいよ,具体的な事件についての判断を法律的に構成するためには,悉く,現行の法規を色々に,何等かの形において,その上に基礎を占めさせることに努力する。初め,時代に適せずと罵り,無能と非難した法規の上に,自分の進んだ思想に基く判断を基礎づけんとするのであるから,その解釈が,法律に直接関係無き者にとっては,ときにはと見られるものにもなり,ときには無用の議論と思はれるやうな,迂路を通らねばならぬことにもなるのも,寧ろ当然といはねばならぬ。しかも,最も進歩せる法律学者さへ,その態度を改めやうとはしない。

(命題)

1.法律的構成の基礎とすべき法規が存在しない場合には,法律的構成をしないで裁判するほかはない。

2.法律的構成には,法的判断の結論を正当化するための法的技術という性格がある。

3.法律的構成を試みる場合には立法者意思の範囲を逸脱しないように努めなければならない。

4.裁判の結論は,法規を大前提とし,事実を小前提とする三段階論法によって必然的に導き出せるものであって,そこに利益衡量の入り込む余地はない。

5.法規はいろいろに解釈することが出来るので,法律的構成をするには,技術を要しない。

[58−17] 甲は,その所有の建物を乙に賃貸していたが,その賃貸借契約は,解除により終了した。ところが,乙は,その後丙との間でその建物を売り渡す旨の契約を締結して引き渡し,丙がその建物に居住するに至った。この場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.甲は,乙に対して,建物所有権に基づき建物の返還を求めることができる。

2.甲は,乙に対して,賃貸借契約の終了に基づき建物の返還を求めることができる。

3.甲は,乙に対して,不法行為に基づく原状回復請求権の行使として建物の返還を求めることができる。

4.甲は,丙に対して,占有回収の訴えにより建物の返還を求めることができる。

5.乙・丙間の売買契約は無効であるから,甲は,乙の丙に対する不当利得返還請求権を代位行使して,丙に対して建物の返還を求めることができる。

[58−20] 甲の兄である乙は,甲が賃貸している家屋の管理をゆだねられていたが,甲から同人の実印と印鑑証明書を預けられていたのを奇貨とし,自己がその取引先である丙から50万円を借り受けるに当たり,甲に無断で甲の代理人と称して甲を連帯保証人として,丙との間で,乙の債務についての連帯保証契約の締結をした。丙は,連帯保証契約の締結までに乙と何度か交渉をしたが,乙が甲に無断で行動しているとは思わなかった。上記の事実関係の下において民法第110条の「正当ノ理由」の存在を否定する方向にはたらく最も重要な事実は,次のうちどれか。

1.乙は,甲の実印と印鑑証明書を所持していた。

2.乙は,甲の兄である。

3.貸付金の額は,50万円である。

4.丙は,乙の取引先であり,乙と何度か交渉をした。

5.連帯保証契約は,乙の債務を主債務とするものである。

[58−23] 甲の乙に対する求償権が発生しない場合は,次のうちどれか。

1.物上保証人甲が債務者乙の債務を弁済した場合

2.債務者乙の委託を受けないで乙の債務を保証した甲が,その保証債務の弁済をした場合

3.債務者乙の委託を受けないで乙の債務を併存的に引き受けた甲が,その債務の弁済をした場合

4.甲及び乙がその共同不法行為により他人に損害を与えた場合において,甲がその全損害額を賠償したとき

5.被用者甲がその過失により使用者乙の事業執行につき他人に損害を与えた場合,甲がその損害の賠償をしたとき

[58−26] 売主の所有に属する特定物の売買においては,目的物の所有権は,原則として,売買契約成立と同時に買主に移転するとの考え方に対する次の批判のうち,明らかに妥当でないものはどれか。

1.この考え方は,実際の取引における契約当事者の通常の意思に反する。

2.この考え方は,有償契約における代金支払の重要性を十分に考慮していない。

3.この考え方は,物権行為の独自性を認める余地を封ずることになる。

4.この考え方によれば,代金未払の買主が売主に対し所有権に基づいて目的物の引渡を請求した場合において,売主が同時履行の抗弁権を行使してその請求を拒絶することができるかという問題が生ずる。

5.この考え方によれば,売主の代金債権が時効により消滅した後に,買主が売主に対して所有権に基づき目的物の引渡を請求することができるかという問題が生ずる。

[58−29] 時効の中断に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.単純保証債務につき請求又は承認による時効の中断が生じても,このことにより主たる債務につき時効中断の効力が生ずることはない。

2.主たる債務につき請求又は承認により時効の中断が生じたときは,連帯保証債務についても時効中断の効力が生ずる。

3.連帯保証債務につき請求又は承認による時効の中断が生じたときは,主たる債務についても時効中断の効力が生ずる。

4.不可分債務者の一人につき請求又は承認により生じた時効の中断は,他の不可分債務者に対して効力を生じない。

5.不可分債権者の一人の請求による時効の中断は,他の不可分債権者に対しても効力を生ずるが,不可分債権者の一人に対してした承認による時効の中断は,他の不可分債権者に対して効力を生じない。

[58−32] 失踪宣告及びその取消に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.失踪宣告が取り消されたときは,失踪宣告によって財産を得た者は,その受けた利益の全部を返還する義務を負う。

2.失踪宣告によって財産を得た者は,失踪宣告が取り消されたときには,その取消前の占有に基づいて,その財産を時効取得することができない。

3.検察官も,失踪宣告の取消を請求することができる。

4.炭坑内で生じた事故によって生死不明となった者が失踪宣告によって死亡したものとみなされるのは,その事故の終った時である。

5.失踪者が生還したときは,その失踪宣告は,効力を失う。

[58−35] 意思表示の到達等に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.甲の乙に対する意思表示を記載した書面が乙の住所に配達され,乙の妻がこれを受領しても,その当時乙が病気で入院していたときは,その意思表示は,配達時に乙に到達したことにはならない。

2.甲が乙に対して契約解除の意思表示を記載した書面を発送した後に死亡した場合には,その後にその書面が乙に配達されたときでも,解除の意思表示は,効力を生じない。

3.債権者の債務者に対する履行の催告書を債務者の同居人が受領しても,その受領時に催告が債務者に到達したことにはならない。

4.甲が乙に対して契約の申込の意思表示を記載した書面を発送した後に死亡した場合において,乙が甲の死亡の事実をその配達前に知っていたときは,申込の意思表示は効力を生じない。

5.公示による意思表示は,表意者が相手方の所在を知らないことにつき過失がある場合でも,民法所定の手続を終了したときは,相手方に到達したものとみなきれる。

[58−38] Aを要役地(甲地)の所有権者・地役権者とし,Bを承役地(乙地)の所有権者とし,地役権の内容は乙地に湧いている泉から水を汲んでくるもの(汲水地役権)とした場合における次の主張のうち,正当なものはどれか。

1.Bもまた泉から水を汲んでいる場合に,地役権は物権であるので,Bはその行為をしてはならない旨のAの主張

2.20年以上にわたって必要に応じて泉から水を汲んできていたので,汲水地役権を時効によって取得したものである旨のAの主張

3.Aが第三者に甲地を譲渡したときには地役権が消滅するというA・B間の特約は,地役権の随伴性に反するから無効である旨の甲地の譲受人Cの主張

4.汲水のための設備の設置及びその修繕の費用はBが負担するとのA・B間の特約がある場合に,この特約について併記がない以上は,甲地の譲受人Cに対してそのような義務は負わない旨のBの主張

5.Aが甲地の一部をCに譲渡した場合に,A,Cともに乙地の上に地役権を有する旨のA,Cの主張

[58−41] Aらを構成員とする団体についての次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.団体が法人でない場合には,不動産について団体名義の登記をすることができない。

2.団体が法人である場合には,Aら個人の債務について団体の財産が責任財産となることはない。

3.団体が法人でない場合でも,Aら個人の債務について団体の財産が責任財産となるとは限らない。

4.団体が法人である場合には,団体の債務についてAら個人が弁済の責めに任ずることはない。

5.団体が法人でない場合でも,団体の債務についてAら個人の財産が責任財産となるとは限らない。

[58−44] 妻A,嫡出子B・CのあるD男が死亡したが,遺産分割前に,Bは,Eとの問で,相続財産を構成する不動産についての持分を譲り渡す旨の契約を締結し,それに基づき共有持分移転の登記を終えた場合において,Eがその共有持分を取得することができないのは,次のうちどれか。

1.Bは,Eへの譲渡前に相続の放棄をしていた。

2.Dは,第三者Fに対して,その不動産を遺贈する旨の遺言をしていた。

3.Bは,AがDを殺害したものであることを知りながら告訴をしなかった。

4.Eの登記後に,Dと他女との間の子Gについての死後認知の裁判が確定した。

5.Eの登記後に,共同相続人の間でその不動産をCの単独取得とする旨の遺産分割の協議が調った。

[58−47] 甲所有の家屋を甲から賃借中の乙が甲の承諾を得てその家屋を丙に転貸した場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.丙は,甲に対して家屋につき支出した有益費の償還を請求することができる。

2.甲が乙の債務不履行を理由として,甲・乙間の賃貸借契約を解除しても,丙は,甲からその旨の通知がない限り,家屋を明け渡す義務を負わない。

3.丙が甲に対して直接負う義務は,賃料債務に限られ,丙は自己の過失により家屋を焼失させた場合でも,甲に対して直接に損害を賠償する義務を負わない。

4.甲・乙間で賃貸借契約を合意解除しても特段の事情のない限り,丙は,甲に対して家屋を明け渡す義務を負わない。

5.甲が丙所有の動産について有する不動産賃貸の先取特権は,丙が乙に対して転借料を完済した場合には,乙が甲に対し賃料を支払っていないときでも消滅する。

[58−50] 甲は,乙に対して貸金債権を有し,この債権を担保するため,乙所有の不動産につき抵当権の設定を受けた。甲は,この債権を丙に譲渡し,その日のうちに乙に対し口頭で譲渡の通知をするとともに,抵当権移転登記をした。ところが,甲は,同日その債権を二重に丁に譲渡し,同日付けの内容証明郵便で乙にその旨通知した。この場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.丙のみが債権を有し,かつ,その債権は抵当権によって担保されている。

2.丁のみが債権を有し,かつ,その債権は抵当権によって担保されている。

3.丙のみが債権を有しているが,その債権は抵当権によって担保されていない。

4.丁のみが債権を有しているが,その債権は抵当権によって担保されていない。

5.丙も丁も債権を有しているが,丙の債権のみが抵当権によって担保されている。

[58−53] A,Bが土地の共有者である場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.A,Bの合意に基づき,Aが土地の形状を変更し,その費用を支出した場合において,AがBに対してその負担部分の支払を求めたのに,Bがこれを支払わずに1年を経過したときは,Aは,Bに対して相当の償金を支払ってBの持分を取得することができる。

2.AがBに無断で,土地の形状を変更しようとするときは,Bは,Aに対してその行為の中止を求めることができる。

3.Aが上地の周囲に柵を設け,Bの権利の行使を妨げたときは,Bは,Aに対してその妨害をしないよう求めることができる。

4.第三者Cがこの土地を不法に占有するときは,Aは,単独で,Cに対して土地の明渡を求めることができる。

5.Aは,自己の持分の上に債権者Dのために抵当権を設定した後は,Dの承諾を得なければその持分を放棄することができない。

[58−56] 無権代理行為の追認の効力に関する民法第116条,取り消し得べき行為の追認の効力に関する同法第122条,契約の解除の効果に関する同法第545条第1項及び遺産分割の効力に関する同法第909条には,第三者の権利を害することができない旨の但書があるが,次に掲げる行為のうち,この但書の有無により,その効力を異にするものはどれか。

1.債務者甲が債権者乙の無権代理人に対して弁済をした後に,第三者丙がその債権を譲り受け,乙が甲に対してその旨の通知をした場合において,その後に,乙が無権代理人に対する弁済を追認したときにおける丙の債権譲受行為

2.未成年者甲が法定代理人の同意を得ないで,その所有の不動産を乙に売り渡した後に,法定代理人が同一の不動産を丙に売り渡した場合において,その後に,法定代理人が甲の乙に対する売渡行為を追認したときにおける丙の不動産譲受行為

3.甲がその所有する不動産を乙に対して売り渡す契約を締結し,その売買代金債権を丙に譲渡した場合において,その後に,乙が甲の不動産引渡債務の不履行を理由として売買契約を解除したときにおける丙の売買代金債権譲受行為

4.共同相続人甲乙間で相続財産中の不動産を甲の単独取得とする旨の遺産分割の協議が調った後その旨の登記をする前に,乙がその不動産についての持分を丙に対して売り渡し,その旨の登記をした場合における丙の持分譲受行為

[58−59] 次に掲げる場合のうち,判例の趣旨によれば,甲が乙の家屋引渡の請求を拒否することができるのはどれか。

1.抵当権が設定されている家屋を買い受けて引渡を受けた甲が,その後抵当権の実行により乙がその家屋を買い受けたことを知りながら,その家屋に居住し続け,必要費を支出した場合

2.甲がその所有の家屋をAに売却し,代金の支払に代えてAからその所有の土地の所有権の移転を受ける旨を約したが,Aがその土地につき甲に対する所有権移転の登記をしないままその家屋を乙に転売した場合

3.甲がAからその所有の家屋を買い受けて引渡を受けたが,Aがその家屋を二重に乙に売り渡し,乙に対して所有権移転の登記を了したため,甲がAに対して債務不履行による損害賠償請求権を取得した場合

4.甲が乙所有の家屋を貸借中,乙の同意を得てその家屋に造作を付加し,賃貸借終了後に乙に対してその造作を買い取るべきことを請求した場合

5.甲が乙からその所有の家屋を賃借していたが,賃料不払を理由に契約を解除された後,それを承知でなおも居住し続け,有益費を支出した場合

[58−62] 甲は乙から融資を受けようと思ったが,信用不足のため自己名義で借りることが困難であったので,丙に対して乙からの借入れを委託したところ,丙は,これを承諾し,甲の委託の趣旨に従って,乙との間で借入れの合意をした。そして,その借入金は,丙の指図で,乙から甲に直接交付された。この場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.乙は,丙に対し,消費貸借に基づき金銭の返還を請求することができる。

2.丙は,甲に対し,消費貸借に基づき金銭の返還を請求することができない。

3.丙は,乙に弁済するために必要があるときは,弁済期の前であっても,甲に対し,乙への弁済資金の交付を求めることができる。

4.丙は,甲に対し,弁済期の到来後に,甲が丙に代わって乙に弁済するよう請求することができる。

5.甲の依頼を受けた丁が甲の代理人として丙に代わって乙に弁済したときは,丁は,丙に対し,求償することができる。

[58−65] 甲は,その所有する不動産に抵当権を設定する方法による融資方を知人の乙に対して申し入れたが,乙は,融資時に所有権を移転する方法による融資ならば,応じても良い旨述べた。次の記述は,(A)買戻特約付売買,(B)再売買の予約付売買のいずれの方法によるべきかに関する甲の自問自答であるが,正しいものはどれか。

1.(A)・(B)のいずれの方法による場合でも,売買による所有権移転の登記と同時にその旨の約定の登記をしなければ,その後乙が買い受けた不動産を第三者に売り渡し,所有権移転の登記をしたときは,所有権を取り戻すことができなくなる。

2.(A)の方法による場合には,買戻の意思表示前に,契約費用のほか,受け取った代金にその受領の時からの利息を加えた額の金銭を調達する必要があるが,(B)の方法による場合には,予約完結の意思表示の時に約定の金銭を調達しておく必要はない。

3.(A)の方法による場合には,売買の時から5年以内に買戻の意思表示をする必要があるが,(B)の方法による場合には,期限の制限はない。

4.(A)・(B)のいずれの方法による場合でも,所要の金銭の調達ができないため所有権を取り戻すことができなくなったときは,甲は,その権利を譲渡して対価を取得することができる。

5.乙が買い受けた不動産を第三者に売り渡した後に,甲がその所有権を取り戻すための意思表示の相手方は,甲の権利の法的性格に関する見解の相違とは関係なく,(A)・(B)いずれの方法による場合でも,乙である。

[58−68] 甲が土地の占有者乙に対してする所有権に基づく土地の引渡請求に対し,乙が甲の土地所有権を否定する理由として述べる次の主張のうち,成り立たないものはどれか。

1.この土地の所有者であった甲は,その後.これをAに売り渡した。

2.甲は,この土地を所有者Bから買い受けたが,Bは,その後,これをCに対して二重にに売り渡し,Cへの所有権移転の登記をした。

3.甲は,この土地を所有者Dから買い受けたが,Dと甲との売買は,Dの意思表示に要素の錯誤があったために無効であり,現にDはその旨主張している。

4.甲が登記をEの名義にしていたので,乙は,過失なく,Eが所有者だと信じて,Eからこの土地を買い受け,Eから所有権移転の登記を受けた。

5.甲は,この土地をFから買い受けたものであるが,その登記は,まだFの前所有者乙名義のままである。

[58−71] 法人の機関による所持と法人の占有との関係につき,

(甲)法人に直接占有があり,機関個人には直接占有がないという考え方と

(乙)機関個人が直接占有を有し,法人は機関を占有代理人とする間接占有を有するという考え方

とがあるとしたとき,Aが,その所有する土地をBに賃貸し,Bがこの土地をAの承諾を得ずにC会社(代表者D)に転貸し,この土地を引き渡した場合における次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.Aが無断転貸借を理由に,Bとの賃貸借契約を解除することは,甲の考え方によれば認められるが,乙の考え方によれば認められない。

2.Aがその土地の所有権に基づいて,Cにその土地の返還を求めるにあたって,まず,Bとの賃貸借契約を解除する必要があるか否かについて,甲の考え方によればその必要があるが,乙の考え方によればその必要はない。

3.Aがその土地の所有権に基づいて,Dにその土地の返還を求めることは,甲,乙いずれの考え方によっても認められない。

4.Eがその土地の占有を侵奪した場合,Dが,占有権に基づいて,Eにその土地の返還を求めることは,甲の考え方によれば認められないが,乙の考え方によれば認められる。

[58−74] 注意義務に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.特定物の贈与者は,目的物を受贈者に引き渡すまで,善良な管理者の注意をもってその物を保存する義務を負う。

2.請負人は,仕事の目的物を注文者に引き渡すまで,その固有財産におけると同一の注意をもってその物を保存する義務を負う。

3.受寄者は,寄託物を返還するまで,善良な管理者の注意をもってその物を保管する義務を負う。

4.義務なくして他人の物の管理を始めた者は,その物を所有者に返還するまで,その固有財産におけると同一の注意をもってその物の管理を継続する義務を負う。

5.相続の放棄をした者は,その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理をすることができるまで,善良な管理者の注意をもってその財産の管理を継続する義務を負う。

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