[59−02] 弁済供託に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.供託は,第三者のためにする寄託契約であるから,債権者の受益の意思表示をすることによってその効力を生ずる。

2.債務者が供託をして債権者に供託の通知をしたときは,供託が無効であっても,債権の消滅時効は中断する。

3.金銭債務につきその弁済期が経過した後,債務者が遅延損害金を付さないで弁済の提供をしたが受領を拒絶された場合において,債務者が元本について供託をしたときは,元本債権は消滅する。

4.供託者が債権者に供託の通知をしない限り,債権は消滅しない。

5.供託は,債務者がすることを要し,第三者がすることはできない。

[59−05] 次の各場合のうち,抵当権の実行としての競売により建物と土地の所有者を異にするに至ったときに,法定地上権の成立を認めるのが最も難しいものはどれか。

1.甲と乙が共有する土地の上に甲と乙が共有する建物がある場合において,甲と乙が合意の上その建物に抵当権を設定したとき

2.甲と乙が共有する土地の上に甲所有の建物がある場合において,甲がその建物に抵当権を設定したとき

3.甲所有の土地の上に甲と乙が共有する建物がある場合において,甲がその建物の共有持分に抵当権を設定したとき

4.甲所有の土地の上に甲と乙が共有する建物がある場合において,甲がその土地に抵当権を設定したとき

[59−08] 貸金債務に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.貸金債務の履行遅滞の場合において,特別の事情により債権者に損害が生ずることを債務者が予見することができたときは,債権者は,法定利率によって算出した額以外に,特別の事情により生じた損害についても,賠償を請求することができる。

2.債権者の受領拒絶の意思が明白であるときは,債務者は,貸金債務の弁済のための資金を準備することができない場合であっても,履行遅滞の責を負わない。

3.債権者が,貸金債権を遠隔の地にいる第三者に譲渡し,その譲渡の通知をしたにととまるときは,債務者は,譲渡人の住所において弁済すれば足りる。

4.貸金債務の一部の弁済を請求されたときでも,債務者は,受取証書と引換えでなければ弁済しない旨を主張することができる。

5.債務者が,貸金債務の弁済に赴く途中で第三者の過失による交通事故に遭ったため,弁済をすることができなかったときは,債務者は,履行遅滞の責を負わない。

[59−11] Aは,B及びその妻Cを連帯債務者として(負担部分は平等),600万円を貸し付けたところ,Bが死亡し,C並びにBの嫡出子D及び養子Eが法定相続分に応じて相続した場合において,「連帯債務者の一人が死亡し,その相続人が数人ある場合に,相続人らは,被相続人の債務の分割されたものを承継し,各自その承継した範囲において,本来の債務者と共に連帯債務者となる。」との考え方に立ったとき,AがC,D及びEに対して請求することができる金額について,次のうち正しいものはどれか。

1.C−600万円 D−150万円 E−150万円

2.C−600万円 D−200万円 E−100万円

3.C−600万円 D− 75万円 E− 75万円

4.C−450万円 D− 75万円 E− 75万円

5.C−450万円 D−100万円 E− 50万円

[59−14] 下の1から4までの文章は,次の[A]から[D]までの文章のいずれかに入るが,[A]に入るべきものはどれか。

「取引の安全を図るためには,常に外界から物権の変動を何らかの方法で表象する必要がある(公示の原則)。この原則を採るために[A]が必要であり,[B]はこの原則によって補完されなければならない。

ただし,[C]の方がこの原則に適合するという考えもある。また,この原則に加えて[D]によっても取引の安全が図られている。」

1.表象が伴わない場合は,当事者間の物権の変動は生じないということ

2.表象を信頼した場合,その信頼を保護するということ

3.物権は,当事者が勝手に創設することはできないということ

4.物権の変動は,当事者間の意思表示のみによって効果が生じるということ

[59−17] 甲がある動産を乙に占有させている場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.甲がその動産をAに売却し,乙に対し,以後Aのためにその動産を占有すべき旨を命じたが,乙がこれを承諾しないときは,Aは,占有権を取得しない。

2.甲がその動産の占有を奪われた場合において,甲は,占有回収の訴えを提起することができない。

3.甲が死亡した場合において,甲の相続人であるBは,その動産を乙が占有していることを知らなければ,占有権を取得しない。

4.乙がその動産をCに質入れした場合には,質入れについて甲の承諾を得たときであっても,甲は,占有権を失う。

5.甲が乙に対し所有権に基づいてその動産の引渡を請求したところ,乙が自己の所有であることを理由にその引渡を拒んだときは,甲は,占有権を失う。

[59−20] 甲が乙に金銭の弁済として金銭を交付した場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.甲が乙を債権者と信じて乙に金銭を交付した場合には,その際乙が偽造した受取証書を甲に交付したときであっても,有効な弁済となることがある。

2.乙が債権者を詐称した場合において,甲が乙に対して金銭の返還を請求するには,詐欺を理由として弁済を取り消すことが必要である。

3.甲が弁済期の到来していないことを知って債権者である乙に弁済したときは,甲は,弁済期の到来しないうちは,乙に対して金銭の返還を請求することができる。

4.乙が債権者の代理人を詐称した場合には,弁済は無効であるから,債権者は,乙の弁済をさかのぼって有効とすることはできない。

5.甲が第三者の乙に対する債務を自己の債務と信じて乙に金銭を交付した場合には,乙が善意で担保を放棄したときであっても,甲は乙に対して交付した金銭の返還を請求することができる。

[59−23] 甲は,その所有する土地及び建物について甲の債権者乙のために根抵当権を設定し,その旨の登記をしたが,共同根抵当である旨の登記はしなかった。次いで甲は,その土地について甲の債権者丙のために根抵当権を設定し,その旨の登記をした。丁は,甲の乙に対する債務について保証をした。以上の場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.甲乙間で乙の根抵当権の被担保債権の範囲を変更するには,丙の承諾を要しない。

2.甲乙間で乙の根抵当権の元本確定期日を変更するには,丙の承諾を要しない。

3.甲乙間で建物に対する根抵当権の極度額を増額するには,丙の承諾を要しない。

4.丁は,乙に対し,極度額に相当する金額を払い渡して根抵当権の消滅を請求することはできない。

5.土地が先に競売に付されて,乙がその代価につき極度額に至るまで弁済を受けた場合には,丙は,乙に代位して建物に対する乙の根抵当権を行うことができる。

[59−26] 甲が乙の所有する土地について抵当権の設定を受け,その登記をしていたが,乙が死亡し,甲が単独で相続した。この場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.甲と丙がその土地について甲の抵当権に優先する賃借権を共有していたときは,その賃借権についての甲の共有持分は消滅しない。

2.その土地について甲の抵当権に優先する丙の地上権が設定されていても,その土地及びその抵当権がその他の権利の目的となっていなければ,甲の抵当権は消滅する。

3.その土地について甲の抵当権に優先する丙の抵当権が設定されていても,その土地及び甲の抵当権がその他の権利の目的となっていなければ,甲の抵当権は消滅する。

4.甲が丙に対し甲の抵当権の被担保債権に質権設定していたときは,甲の抵当権は消滅しない。

5.甲の抵当権の被担保債権が乙に対する債権である場合において,丙が甲の抵当権に劣後する抵当権を有していたときは,甲の抵当権は消滅しない。

[59−29] 甲の乙に対する金銭債権の消滅時効の中断に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.乙が未成年である場合において,乙が法定代理人の同意を得ないで甲に対する債務を承認したが,法定代理人がその承認を取り消したときは,その債権の消滅時効は中断しない。

2.甲の債権者Aが,債権者代位権に基づき,甲に代位して甲の乙に対する債権について乙に支払を請求したときは,その債権の消滅時効は中断する。

3.甲が乙に対する債権をBに譲渡し,乙に対してその譲渡の通知をしたときは,その債権の消滅時効は中断する。

4.乙が甲に対する債務につきその利息を支払ったときは,その債権の消滅時効は中断する。

5.乙が甲に対する債務を担保するため乙の所有する不動産に抵当権を設定してその登記をしている場合において,その後,乙がCに対する債務を担保するためその不動産に次順位の抵当権を設定してその登記をし,甲がその事実を知ったときでも,甲の乙に対する債権の消滅時効は中断しない。

[59−32] 甲は,その所有する家屋を乙に賃貸していたが,乙は,その家屋を丙に転貸した。丙は,賃料を乙名義で甲に支払うとともに,自己の費用でその家屋につき必要な修繕をしたが,甲は,当時転貸の事実を知らなかった。この場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.甲は,丙に対してその家屋から退去するように催告した後でなければ,甲乙間の賃貸借契約を解除することができない。

2.甲は,甲乙間の賃貸借契約を解除したときは,契約当事者でない丙が支払った賃料を丙に返還しなければならない。

3.乙丙間の転貸借契約が解除されない限り,甲は,丙に対して家屋の明渡を請求することができない。

4.甲が甲乙間の賃貸借契約を解除したときは,乙は甲が家屋修繕費を支払わないことを理由として家屋の明渡を拒むことができない。

5.甲は転貸が一時的なものであり,乙が丙から家屋の返還を受けた後であっても,甲乙間の賃貸借契約を解除することができる。

[59−35] 売買契約に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.すべての売買契約においては,何らかの方法で,代金額が定まる。

2.売買契約を締結した当事者は,特約がない限り同時履行の抗弁権を有する。

3.売買契約の目的物の引渡について期限が定められているときは,特約がない限り代金の支払についても同一の期限があることになる。

4.売買契約,贈与契約,使用貸借契約の3種の契約について,契約としての性質を比較すると,売買契約と使用貸借契約の方が売買契約と贈与契約より類似している。

5.時価より著しく低廉な代金額で売買契約が締結された場合でも,売主は特約がない限り瑕疵担保責任を負う。

[59−38] 甲は,自己所有の材木を乙に売却し,乙の依頼により引き続き自己の倉庫に保管していたが,更にこれを甲所有の材木と過失なく誤信した丙に売却し,丙から依頼されて同様に保管していた。

後記1から5までは,占有改定による即時取得の成否に関する次のAからCまでの考え方と,この事業においてその後材木につき丙又は乙が甲から現実の引渡を受けた場合に関する記述(ア)又は(イ)との組合せであるが,このうち最も成り立ちにくい組合せはどれか。

A 占有改定によっても,即時取得が確定的に成立する。

B 占有改定によっては,即時収得は成立しない。

C 占有改定によっても,即時取得が成立するが,その取得は,現実の引渡を受けるまでは確定的でない。

1.A−(ア)後に,丙が現実の引渡を受けたときは,その際,甲乙間の売買契約があったことを知っていたとしても,丙は,乙からの材木の引渡請求を拒むことができる。

2.B−(イ)後に,乙が現実の引渡を受けたときは,その際,甲丙間の売買契約があったことを知っていたとしても,乙は,丙からの材木の引渡請求を拒むことができる。

3.B−(ア)後に,丙が現実の引渡を受けたときは,その際,甲乙間の売買契約があったことを知っていたとしても,丙は,乙からの材木の引渡請求を拒むことができる。

4.C−(イ)後に,乙が現実の引渡を受けたときは,その際,甲丙間の売買契約があったことを知っていたとしても,乙は,丙からの材木の引渡請求を拒むことができる。

5.C−(ア)後に,丙が現実の引渡を受けたときは,その際,甲乙間の売買契約があったことを知っていたとしても,丙は乙からの材木の引渡請求を拒むことができる。

[59−41] 抵当権の効力が及ぶ客体に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.抵当権の性質上,客体の用益権能は,本来抵当権設定者にとどめられるべきであるから,抵当権の効力は,原則として天然果実には及ばない。

2.賃借地上の建物に設定された抵当権の効力は,特約がない限り,敷地の賃借権に及ぶ。

3.庭園になっている土地に抵当権が設定され,その登記がきれた場合において,その土地に据え付けられていた石どうろうに対し,抵当権設定者の一般債権者が強制執行をしたときは,特約がない限り,抵当権者は,訴えにより,強制執行を排除することができる。

4.建物に設定された抵当権の効力は,特約がない限り,設定当時に建物に備え付けられていた畳,建具に及ぶ。

5.土地に抵当権が設定され,その登記がなされた後に,抵当権設定者がその土地の上に建物を築造した場合には,抵当権者は,建物を土地と共に競売して,建物の売却代金からも優先弁済を受けることができる。

[59−44] 通謀虚偽表示に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.甲会社の代表者と丙銀行とが通謀して,甲会社名義の丙銀行に対する預金債権があるかのように仮装した場合において,その後甲会社の代表者が丁に替わったときは,丙銀行は,甲会社からの預金の払戻請求を拒絶することができない。

2.甲が乙に対して有する金銭債権につき,甲と丙とが通謀して甲から丙に債権を譲渡したかのように仮装した場合において,乙が異議をとどめないでその債権譲渡を承諾したときでも,乙は丙に対し,その債務の弁済を拒むことができる。

3.甲から賃借した土地上に建物を所有していた乙が,丙と通謀して登記簿上その建物を丙に売却したかのように仮装した場合に,甲は乙に対し,土地の無断譲渡を理由として,賃貸借契約を解除した。乙は甲の引渡請求を拒むことができない。

4.甲と乙とが通謀して,甲所有の土地を乙に売却したかのように仮装し,その後乙がこれを丙に売り渡し,さらに丙が丁に売り渡した場合において,丁は丙が悪意で取得した場合には,たとえ,自己が善意で丙から土地を取得したとしても,甲の引渡請求を拒むことができない。

5.甲がその所有する土地を乙に贈与したが,乙と通謀して,甲が乙にその土地を売却したかのように仮装した場合において,その後甲が死亡して丙が単独で相続したときは,丙は乙に対し,その土地代金を請求することができる。

[59−47] 債権の譲渡に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.債権の売主は,売買契約当時における債務者の資力について担保責任を負う。

2.将来発生することが確定している特定の債権は,譲渡することができる。

3.譲渡禁止の特約がある債権も,差し押さえることができる。

4.指名債権の譲渡は,債務者が譲渡人又は譲受人のいずれかに対して承諾をしたときは,債務者に対抗することができる。

5.譲渡禁止の特約がある債権の譲受人が,重大な過失によってその特約の存在を知らなかったときは,債務者は,譲受人に対し,その債務の弁済を拒むことができる。

[59−50] 次の文章は,ある民法学者の論文の一節である。後記1から4までは,次の文章中AからDまでのいずれかに入るが,このうちDに入るべきものはどれか。

「多くの法の文章においては,要件と効果とは直接に関連させられないで,その中間にいくつかの媒介項がはさまれる。即ち,要件および効果は,論理の上でいくつかの要素の連なりに分解され究極においては単一のものであるところの法の文章は複数の法の文章の連なりに分解される。たとえば,『詐欺による財産権の譲り渡しという事実があった場合には,被害者はその財産権の返還を請求できる』という法の文章は,(1)『A』(2)『B』(3)『C』という,それぞれ要件と効果とから成りたつところのいくつかの条件文章の順列に分解される。しかも,右の(1)はさらに『D』という論理に媒介されている。このような分解は現代の法の文章においては,むしろ原則となっているのである。」

1.取消権者が取消した場合には,取消された法律行為がはじめから存在しなかったのと同様の状態を生ずる

2.詐欺された者においては,法律行為をなす意思は完全ではなかった,だから詐欺によってなされた法律行為は完全な効果を生じない,即ち取消されうる

3.財産権移転の法律行為が存在しなかった,即ち財産権が移転していなかった場合には詐欺の被害者はその財産権にもとづいてその返還を請求しうる

4.詐欺による意思表示をした場合には,被害者は詐欺による法律行為〔財産権の移転〕の取消権を取得する

[59−53] 債務不履行に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.瑕疵担保責任を除いて,民法上の債務不履行責任は,すべて過失責任である。

2.契約関係における債務不履行は,契約当事者の意思表示中で定められた債務の不履行に限られない。

3.契約の履行に伴って契約の目的物以外の契約当事者の財産が侵害された場合には,その侵害行為は不法行為になることはあっても,債務不履行になることはない。

4.契約の履行に伴って契約当事者以外の者の生命又は身体が害された場合において,その侵害者に対する債務不履行責任が成立する余地はない。

5.債権者は,債務の履行期前に,その履行を請求することはできないから,債務不履行になるのは履行期以後に限られる。

[59−56] 甲所有の家屋につき,乙が丙にこれを売り渡す旨の契約を締結し,その後丙が丁にこれを売り渡す旨の契約を締結した場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.乙丙間の売買契約締結に際し,乙が甲からその代理権を授与されて甲のためにする意思を有していた場合において,丙がその事実を知っていたときでも,乙が甲の代理人であることを丙に示していなければ,丙は,甲に対し,家屋の引渡を請求することができない。

2.乙丙間の売買契約締結に際し,乙が甲の代理人であることを示したが,甲から抵当権設定の代理権しか授与されていなかった場合において,乙が売買の代理権を有していたと信ずべき正当の理由が丁にあれば,それが丙になくても,丁は,甲に対し,家屋の引渡を請求することができる。

3.乙が甲になりすまして丙と売買契約を締結したときは,丙は,甲に対し,家屋の引渡を請求することができる。但し,甲が丙に対し詐欺を理由として売渡の意思表示を取り消したときは,この限りでない。

4.丙が,乙丙間の売買契約締結の際,家屋が甲の所有に属するものであることを知っていたときは,丙は,乙に対し,家屋の引渡を請求することができない。

5.乙が甲から家屋を譲り受け,家屋が甲から乙,丙を経て丁に順次引き渡された後,乙丙間の売買契約が丙の強迫を理由に取り消されたときは,乙は,丁に対し,家屋の所有権に基づいてその引渡を請求することができる。

[59−59] 売買契約が締結された場合における目的物の果実の収取権に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.売買の目的物の引渡債務につき,履行遅滞があっても,その目的物から生ずる果実を収取することができるのは,法の規定上,売買契約の締結の時点においては,所有権が買主に移っても危険はまだ買主に移らないとされているためである。

2.買主が代金を支払っていなくても,売買の目的物の引渡債務について履行遅滞があれば,買主は,売主に対して,損害賠償として売主が収取した果実の価額の支払を請求することができる。

3.売買の目的物の引渡債務につき,履行遅滞があり,かつ.売買代金債権につき,受領遅滞がある場合において,買主が売買代金を供託したときは,売主は以後売買の目的物から生ずる果実を収取することができない。

4.買主は,売買の目的物の引渡を受けていても,代金の支払をしていない限り,その目的物から生ずる果実を収取することができない。

5.買主が代金の一部を支払っていれば,売買の目的物がまだ引き渡されていなくても売主は,その目的物から生ずる果実を収取することができない。

[59−62] 「特定物の売買契約における売主のための保証人は,特に反対の意思表示のないかぎり,売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責めに任ずるものと解するのが相当である。」との趣旨の判例がある。契約解除による原状回復義務の本質は,解除による契約の遡及的消滅によって生ずる不当利得返還義務にほかならないとする立場を前提とした場合に,この判例の結論を支える理由とすることができないものは,次のうちどれか。

1.契約当事者のための保証の趣旨は,通常は,その契約上の本来の債務だけでなく,主たる債務者が契約当事者として負担する一切の債務を保証することにある。

2.保証契約当事者の意思に照らし,保証責任の範囲に関しては,主たる債務者の債務不履行に基づくものである限り,契約解除による原状回復義務を損害賠償義務と区別するのは妥当でない。

3.売主の債務である特定物の引渡債務は,通常は保証人において履行することができないものであるから,売主のための保証については,契約解除による原状回復義務を保証債務の範囲に含めないとその実効性に之しい。

4.保証債務は,主たる債務とは別個独立の債務であるが,主たる債務に従属するという性質(附従性)を有し,主たる債務の内容に同一性のある範囲内において変更を生じたときは,保証債務の内容もそれに応じて変更するのを原則とする。

5.売主のための保証人が契約解除による原状回復義務について責任を負うものとしても,保証人に不測の不利益を及ぼすものとはいえない。

[59−65] 売買契約の締結にあたり,解約手附が交付された場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1.売主は,売買契約を解除する旨の意思表示をするに当たっては,買主に対して手附の倍額の償還の提供をすれば足りる。

2.売買契約が買主の債務不履行を理由に解除されたときは,その解約手附が違約手附(損害賠償額の予定を含む)を兼ねているのでない限り,買主は,売主に対して手附の返還を請求することができる。

3.買主が代金支払のための資金を銀行から借り入れる準備をしたときは,買主は,そのために,手附を放棄して売買契約を解除することができなくなる。

4.その解約手附は,証約手附としての性質をも有する。

5.売買契約が合意で解除された場合には,特約がない限り,売主は,買主に対して手附を返還しなければならない。

[59−68] 次の民法の条項のうち,いわゆる担保のための相殺予約(例えば.銀行が融資を行う際に,貸付の相手力から定期預金を受け,相手方が不渡手形を出したときやその定期預金債権が差し押さえられたときは,貸付金債権と定期預金債権とが何らの意思表示を要しないで対当額において消滅する旨を約する契約)の効力を判断するについて,必要のないものはどれか。

1.民法第136条第2項「期限ノ利益ハ之ヲ抛棄スルコトヲ得但之か為メニ相手方ノ利益ヲ害スルコトヲ得ス」

2.民法第505条第1項「二人互ニ同種ノ目的ヲ有スル債務ヲ負担スル場合ニ於テ双方ノ債務カ弁済期ニ在ルトキハ各債務者ハ其対当額ニ付キ相殺ニ因リテ其債務ヲ免レルコトヲ得但債務ノ性質か之ヲ許ササルトキハ此限ニ在ラス」

3.民法第505条第2項「前項ノ規定ハ当事者カ反対ノ意思ヲ表示シタル場合ニハ之ヲ適用セス但其意思表示ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」

4.民法第506条第1項「相殺ハ当事者ノ一方ヨリ其相手方ニ対スル意思表示ニ依リテ之ヲ為ス但其意思表示ニハ条件又ハ期限ヲ附スルコトヲ得ス」

5.民法第506条第2項「前項ノ意思表示ハ双方ノ債務か互ニ相殺ヲ為スニ適シタル始ニ遡リテ其効力ヲ生ス」

[59−71] 次の記述のうち,判例の趣旨に反するものはどれか。

1.甲が代理権がないのに乙の代理人と称して丙との間で乙所有の土地を賃貸する旨の契約を締結し,その行為が表見代理とならない場合において,その後甲が乙からその土地の所有権を取得したときは,その契約は,甲について効力を生ずる。

2.甲が乙所有の不動産を何らの権限なく自己の名において丙に譲り渡す旨の契約を締結した場合には,乙がこれを追認したときでも,その契約は,乙について効力を生じない。

3.甲が乙に無断で甲乙間の婚姻の届出をした場合において,甲乙間に夫婦としての実質的な生活関係があり,かつ乙が届出の事実を知ってこれを追認したときは,その婚姻は,届出の当初に遡って有効となる。

4.甲が代理権がないのに乙の代理人と称して丙との間で乙所有の土地を売り渡す旨の契約を締結し,その行為が表見代理とならない場合には,その後甲が死亡して乙が単独で相続したときでも,乙は,丙に対しその契約の追認を拒絶することができる。

5.甲が,未成年者乙の後見人と称して丙との間の乙所有の土地を売り渡す旨の契約を締結した場合において,その当時甲が乙の事実上の後見人の立場にあり,かつ.その契約の締結につきことの間に利益相反の事実もないときは,その契約は,その後甲が乙の後見人となるとともに,乙について効力を生ずる。

[59−74] 催告に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.未成年者の締結した契約につき,相手方が未成年者の法定代理人に対し追認するか否かの催告をしたにもかかわらず確答がなかったときは,以後,その相手方は,未成年者の締結した契約であることを理由に契約を取り消されることはない。

2.無権代理人の締結した契約につき,相手方が本人に対し,追認するか否かの催告をしたにもかかわらず確答がなかったときは,その相手方は,本人に対し,契約の履行を請求することができる。

3.債務不履行責任を負う契約当事者が,相手方に対し契約を解除するか否かの催告をしたにもかかわらず確答がなかったときは,以後,その当事者は,相手方から損害賠償の請求を受けることはない。

4.売買の一方の予約における完結の意思表示につき,予約者が相手方に対し,完結の意思表示をするか否かの催告をしたにもかかわらず確答がなかったときは,予約者は,相手方に対し,売買契約の履行を請求することができる。

5.相続人が受遺者に対し,遺贈を承認するか放棄するかの催告をしたにもかかわらず確答がなかったときは,相続人は,遺贈の放棄があったものとして遺産の分割をすることができる。

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