[61−21] 次の(ア)から(キ)までの記述のうち,典型的な物的担保について述べたものは,何個あるか。

(ア)財産の価値に基礎を置くものである。

(イ)債権性を有するにとどまるものである。

(ウ)担保としては,不安定・不確実な要素がある。

(エ)金銭債権以外の債権の担保に有用である。

(オ)人的信用に依存するものである。

(力)担保の目的に適する財産のある場合に設定することができる。

(キ)物権性を有するものである。

1.2個

2.3個

3.4個

4.5個

5.6個

[61−22] 次の文中の[ ]の部分に,「委任者」及び「受任者」の語句のうちから適切なものを選んで入れていった場合,「受任者」という語句が使用される回数は,後記1から5までのうちどれか。

「本件管理契約は,委任契約の範ちゅうに属するものと解すべきところ,本件管理契約の如く単に委任者の利益のみならず[ ]の利益のためにも委任がなされた場合であっても,委任契約が当事者間の信頼関係を基礎とする契約であることに徴すれば,[ ]が著しく不誠実な行動に出る等やむをえない事由があるときは,[ ]において委任契約を解除することができるものと解すべきことはもちろんであるが,さらに,かかるやむをえない事由がない場合であっても,[ ]が委任契約の解除権自体を放棄したものとは解されない事情があるときは,該委任契約が[ ]の利益のためにもなされていることを理由として,[ ]の意思に反して事務処理を継続させることは,[ ]の利益を阻害し委任契約の本旨に反することになるから,委任者は,民法651条に則り委任契約を解除することができ,ただ,[ ]がこれによって不利益を受けるときは,[ ]から損害の賠償を受けることによって,その不利益を填補されれば足りるものと解するのが相当である。」

1.2回

2.3回

3.4回

4.5回

5.6回

[61−23] 次の文章は,法定地上権の成立を認めた最高裁判所の判決文の一部である。この判決は,後記1から5までのうち,どの事案に関するものか。

「民法388条本文は,『土地及ヒ其上ニ存スル建物カ同ーノ所有者ニ属スル場合ニ於テ其土地又ハ建物ノミヲ抵当ト為シタルトキハ抵当権設定者ハ競売ノ場合ニ付キ地上権ヲ設定シタルモノト看做ス』と規定するが,その根拠は,土地と建物が同一所有者に属している場合には,その一方につき抵当権を設定し将来土地と建物の所有者を異にすることが予想される場合でも,これにそなえて抵当権設定時において建物につき土地利用権を設定しておくことが現行法制のもとにおいては許されないところから,競売により土地と建物が別人の所有に帰した場合は建物の収去を余儀なくされるが,それは社会経済上不利益であるから,これを防止する必要があるとともに,このような場合には,抵当権設定者としては,建物のために土地利用を存続する意思を有し,抵当権者もこれを予期すべきものであることに求めることができる。してみると,〔中略〕建物が存立している以上これを保護することが社会経済上の要請にそうゆえんであって,もとよりこれは抵当権設定者の意思に反するものではなく,他方,土地につき抵当権を取得しようとする者は,現実に土地をみて地上建物の存在を了知しこれを前提として評価するのが通例であり,競落人は抵当権者と同視すべきものであるから,〔中略〕法定地上権の成立を認めるのが法の趣旨に合致するのである。」

1.土地につき抵当権設定後,その土地上に土地所有者が建物を建築し,その後その土地の競売が行われた。

2.土地につき抵当権設定後,その設定当時他人の所有に属していた地上建物を土地所有者が取得し,その後その土地の競売が行われた。

3.土地及び地上建物が同一の所有者に属する場合において,土地のみについて抵当権が設定され,その後その土地の競売が行われた。

4.土地及び地上建物が同一の所有者に属し,その双方につき抵当権が設定された場合において,その後その土地のみの競売が行われた。

5.土地及び地上建物が同一の所有者に属する場合において,建物のみについて抵当権が設定され,その後その建物の競売が行われた。

[61−24] 甲・乙夫婦は,ドライブの途中,運転を誤ってがけから転落し,重傷を負って入院したが,甲は入院後間もなく死亡,乙はその翌日死亡した。甲・乙夫婦には子供がなく,親族として,甲には弟A,乙には母Bと妹Cがいるだけである。

上記の場合において,当初甲が所有していた財産を取得することとなる者は,次のうちどれか。

1.A,B,C

2.A,B

3.B,C

4.A

5.B

[61−25] 次の文章中,(A)の部分は,民法493条但書の規定の解釈を述べた見解であり,(B)の部分は,この見解を批判する見解であるが,この文章中の[ ]の部分に下記(a)から(d)までの文章のうちから適切なものを選んで入れていった場合,[(ア)]及び[(イ)]に入る文の組合せは,後記1から5までのうちどれか。

(A)債権者が予め弁済の受領を拒んだときは,[ ]から,これを緩和して民法493条但書において,債務者は,いわゆる口頭の提供をすれば足りると規定したのである。そして,債権者において予め受領拒絶の意思を表示した場合においても,[(ア)]から,債権者にかかる機会を与えるために[ ]としているのである。しかし,債権者が弁済を受領しない意思が明確と認められる場合においては,なお債務者が口頭の提供をしなければならないということは無意義であって,かかる場合には,債務者は口項の提供をしないからといって,債務不履行の責に任ずることはないというべきである。

(B)債権者が弁済を受領しない意思が明確であるかどうかということは,現に債権者が弁済を受領しない意思を有するかどうかを表現する意味をもつにとどまり,口頭の提供によって[(イ)]かどうかとは,関係がないというべきである。したがって.債権者が弁済を受領しない意思が明確な場合とそうでない場合に区別して,[ ]場合を民法493条但書末段の適用からはずそうとすることは,不当であり,同条の明文にも反する。

(a)債権者が弁済を受領しない意思が明確である

(b)将来債権者が意思を翻して弁済を受領する可能性がある

(c)債務者に現実の提供をさせることは無益に帰する場合がある

(d)債務者は,口頭の提供をすることを要する

1.(ア)−(a),(イ)−(a)

2.(ア)−(b),(イ)−(b)

3.(ア)−(b),(イ)−(c)

4.(ア)−(c),(イ)−(b)

5.(ア)−(c),(イ)−(c)

(参照条文)

民法493条 弁済ノ提供ハ債務ノ本旨ニ従ヒテ現実ニ之ヲ為スコトヲ要ス但債権者カ予メ其受領ヲ拒ミ又ハ債務ノ履行ニ付キ債権者ノ行為ヲ要スルトキハ弁済ノ準備ヲ為シタルコトヲ通知シテ其受領ヲ催告スルヲ以テ足ル

[61−26] 占有者が善意であるか,悪意であるかによって差異が生じないのは,次の1から5までのうちどれか。

1.占有者が,占有物を滅失させ,回復者に対して損害賠償責任を負う場合

2.占有者が,所有権以外の財産権を時効によって取得する場合

3.占有者が,占有物から生じたを取得する場合

4.占有者が,奪われた占有物の返還を占有回収の訴えにより請求する場合

5.占有者が,占有物のために支出した有益費の償還を請求する場合

[61−27] 次の文章は,ある論説の一部を引用したものである。後記1から5までの記述のうち,この説明と共通の問題意識に立つ考え方はどれか。

「甲乙両名が共通の売買契約書に署名押印したが,物件表示欄に表示されている品目を,甲はA物件,乙はB物件のつもりで,理解していたとしよう。ところが,物件表示欄を客観的に読めば,C物件を意味するものと解される場合,はたして.この契約書にC物件の売買を証する証明力を与えてよいであろうか。与えてよいとすると,〔中略〕『C物件の売買が成立した』と認定される。そしてあとは,成立した契約内容と表意者の内心の効果意思とのくい違いとして,錯誤が問題となるであろう。だが,結局無効になるとはいいながら,一度はC物件の売買の成立を認める,ということに不自然さがないであろうか。また.錯誤云々の問題も,いわゆる『表示行為の錯誤』ないし『表示行為の意義の錯誤』にあたるが,もし,表意者に重大な過失があって錯誤無効を主張できないとすると(民法95条ただし書),〔中略〕当事者のいずれの側も欲しないC物件の売買を押しつけることになりはしないであろうか。同様のことは,当事者双方ともA物件のつもりで契約書にサインした場合にも,起こりうる。」

1.契約の解釈とは,契約当事者のした表示行為の意味を明らかにすることである。

2.契約当事者の一方が,表示行為の意義について重大な過失によって錯誤に陥って意思表示をしたときは,その表示行為の意義どおりの内容の契約が成立する。

3.契約の解釈において最も重要なことは,契約締結時の社会通念である。

4.契約当事者の内心の効果意思は,錯誤の問題を通じて契約の効力の有無を左右することがあるだけで,成立する契約の内容に影響を及ぼすことはない。

5.契約当事者の内心の効果意思が合致していれば,表示行為の客観的意味がこれと異なっていたとしても,契約は,この内心の効果意思と同一の内容で成立する。

[61−28] 次の文章の[ ]の部分に,後記1から5までの語句のうちから適切なものを選んで入れた場合,一つだけ残るものはどれか。

「[ ]の売買において,売主は瑕疵のない物の給付義務を負うとする説(積極説)と,そのような義務を負わないとする説(消極説)がある。甲が乙から中古タービンポンプ1台を購入したが,エンジンの点火装置に当初から隠れた欠陥のあることが判明した。乙がそのタービンポンブを甲に引き渡そうとして履行の提供をした場合,積極説によれば甲に[ ]が認められるが,消極説によればそれは当然には甲に認められない。また,甲がタービンボンプを受領した後乙が[ ]を負うことについても,同様に分かれる。これに対して,乙が[ ]を負うことについては,両説の間に差はない。」

1.過失責任

2.追完義務

3.特定物

4.無過失責任

5.受領拒絶権

[61−29] 次の文章は最高裁判所の判決文の一部であるが,後記1から5までの記述のうち,この判決の理由とする論理と矛盾するものはどれか。

「債務者が,自己の負担する債務について時効が完成したのちに,債権者に対し債務の承認をした以上,時効完成の事実を知らなかったときでも,爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。けだし,時効の完成後,債務者が債務の承認をすることは,時効による債務消滅の主張と相容れない行為であり,相手方においても債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるであろうから,その後においては債務者に時効の援用を認めないものと解するのが,信義則に照らし相当であるからである。」

1.時効完成後債務を承認しても,時効完成の事実を知った上でしたものとは推定されない。

2.時効完成後債務を承認しても,その後,再び時効期間が進行する。

3.時効完成の事実を知らないでした債務の承認は,時効利益の放棄とみなされる。

4.時効完成の事実を知った上でした債務の承認は,時効利益の放棄となる。

5.時効利益の放棄をしない場合でも,時効援用権を喪失することがある。

[61−30] 次の説明を前提とした場合,その結論として最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

「債権者甲の代理人と称する丙に対してした債務者乙の弁済が,民法110条によって甲に対して有効であるためには,次の各事実のあることが必要である。

(1) 乙が丙に対し,乙の甲に対する債務につき弁済をしたこと

(2) 弁済の際,乙が丙に弁済を受領するについての代理権があると信じたこと

(3) 乙がこのように信じたことについて正当の理由があること

(4) 甲が丙に対し,弁済受領以外の特定の事項について代理権を授与したこと

ところで,判例によれば,弁済者が,債権者の代理人と称する弁済受領者に弁済受領権限があると信じ,かつ,そう信じたことにつき過失がない場合は,民法478条によって,その弁済は有効であるとされている。そして.仮に民法110条の『正当ノ理由』は無過失と同義であるとの考え方を採れば,民法478条によって弁済が有効であるというためには,上記(1)から(3)の事実のみがあれば十分であり,上記(4)の事実は不要である。しかし民法110条によって弁済が有効であるというためには,上記(1)から(3)の事実が必要であるが,これのみでは十分でなく,さらに上記(4)の事実が必要である。」

1.債権者の代理人と称する者に対して弁済をした場合において,弁済者が,その弁済の際,弁済受領者に弁済受領の権限があると信じ,かつ,そう信じたことにつき過失がなかったときは,弁済者は,民法110条によって保護されるべきである。

2.債権者の代理人と称する者への弁済も,債権の準占有者に対する弁済となる。

3.民法110条の「正当ノ理由」とは,無過失と同義である。

4.債権者の代理人と称する者に弁済がされた場合,弁済者としては,民法478条によった方が,民法110条によるよりも有利である。

5.民法478条によって弁済が有効となるためには,弁済者が,その弁済の際,弁済受領者に弁済受領の権限があると信じかつ,そう信じたことにつき過失がないことが必要である。

[61−31] 次のAからEまでの記述のいずれにも関係しにくい事項は,後記1から5までのうちどれか。

A 売主が買主に契約時に売買の目的物である機械の使用方法について説明をしなかったため,買主がその機械の操作を誤った。

B 売主が買主に送付した食品の一部が腐敗していた。

C 売主が買主に売却する約束をした建物を買主以外の者に賃貸し,引き渡した。

D 売主が買主に既に火災で全焼している建物を売却した。

E 売主が買主に建築制限付きの土地を売却した。

1.履行遅滞

2.履行不能

3.不完全履行

4.瑕疵担保責任

5.契約締結上の過失

[61−32] 甲は,その所有する土地を乙に売り渡す旨の契約を締結したが,その後乙の債務不履行を理由として,その契約を解除した。ところが,甲がその契約を解除する前か,又は解除した後に,乙は,その土地を丙に転売した。

後記1から5までは,契約解除の法的効果に関する次のA又はBの考え方と,上記の事案に関する記述とを組み合わせたものであるが,このうち組合せとして最も成り立ちにくいものはどれか。

なお.後記記述中,「解除前の丙」とは,甲が契約を解除する前に乙からその土地を買い受けた丙を,「解除後の丙」とは,甲が契約を解除した後に乙からその土地を買い受けた丙を指す。

A 契約は,解除により,その当初にさかのぼって効力を失い,解除の相手方は,さかのぼって無権利者となる。民法545条1項但書は,このような効果を第三者保護のために制限した規定である。

B 契約の解除により,当事者間には新たに原状回復義務が生ずるが,解除の相手方は,さかのぼって無権利者となるわけではない。民法545条1項但書は,当然のことを規定したにすぎない。

1.A−甲は,その土地につき所有権の登記をしていなくても,解除後の丙に対し,その権利を主張することができる。

2.A−解除前の丙は,その土地につき所有権の登記をしていなくても,甲に対し,その権利を主張することができる。

3.A−解除後の丙は,その土地につき所有権の登記をしていなくても,甲に対し,その権利を主張することができる。

4.B−甲は,その土地につき所有権の登記をしていなければ,解除後の丙に対し,その権利を主張することができない。

5.B−解除前の丙は,その土地につき所有権の登記をしていなければ,甲に対し,その権利を主張することができない。

(参照条文)

民法545条第1項 当事者ノ一方カ其解除権ヲ行使シタルトキハ各当事者ハ其相手方ヲ原状ニ復セシムル義務ヲ負フ但第三者ノ権利ヲ害スルコトヲ得ス

[61−33] 次に掲げる事例1及び事例2のいずれについても正しい記述は,後記1から5までのうちどれか。

(事例1)

乙は,A地の所有者甲から,A地について建物所有の目的,地代1か月5万円の約束で地上権の設定を受け,その引渡しを受けた。そして,乙は,A地上にB建物を建築した上,丙に対しB建物を貸料1か月10万円の約束で賃貸し,その引渡しをした。

(事例2)

乙は,A地の所有者甲から,A地を建物所有の目的,賃料1か月5万円の約束で賃借し,その引渡しを受けた。そして,乙は,A地上にB建物を建築した上,丙に対し,B建物を賃料1か月10万円の約束で賃貸し,その引渡しをした。

1.乙は,甲の承諾を得なければ,B建物について所有権保存登記をすることができない。

2.乙は,甲の承諾を得なければ,B建物を丙に売却することができない。

3.甲は,丙に対し,1か月5万円の範囲内で地代(又は賃料)の支払を請求することができる。

4.大雨によりA地の一部が崩れた場合,乙は,甲に対し,その修復を請求することができる。

5.洪水によりA地の一部が流失して修復不能の場合,乙は,甲に対し,地代(又は賃料)の減額を請求することができる。

[61−34] A地を所有していた甲は,債権者からの追及を免れるため,乙と通謀の上,真実はその意思がないのに,A地を乙に売り渡したかのような仮装の売買契約書を作成して甲から乙への所有権移転登記をし,A地を乙に引き渡した。ところが,乙は,甲に無断で,丙との間でA地の売買契約を締結してその引渡しをした上,さらに,丁に対する自己の債務を担保するためA地に抵当権を設定して,その登記をした。乙から丙への所有権移転登記は,まだきれていない。

以上の事実関係において,次の1から5までの記述のうち,正しいものはどれか。

なお,文中に「善意」,「悪意」とあるのは,甲乙間の売買契約が仮装のものであることについての善意,悪意のことである。

1.丙及び丁がともに善意の場合,甲及び乙は,丙及び丁に対して甲乙間の売買契約が無効であることを主張できないが,甲の債権者は,丙及び丁に対してその無効を主張できる。

2.丙が悪意で丁が善意の場合,甲からA地の返還を請求された丙は,丁の善意を理由にその請求を拒むことができる。

3.丙が悪意で丁が善意の場合,甲は,丁の承諾を得なければ,丙に対してA地の返還を請求できない。

4.丙が善意で丁が悪意の場合,丙は,丁に対して抵当権設定登記の抹消を請求できる。

5.丙及び丁がともに悪意の場合,乙は,丙に対してA地の返還を請求できる。

ーー[61−35]から[61−36]までーー

 次の文章は,判決文の一部を要約したものである。これを読んで,後記の[61−35]と[61−36]の各問に答えよ。

「以上の事実によれば,原告が訴外A会社から依頼を受けて本件機械の修理を行ったことにより,本件機械にはその修理代金額に相当する価値が付加されたものというべきところ,A会社が倒産して破産に至ったことにより,原告は,A会社から右修理代金の支払を受けることができなくなったことが明かである。他方本件機械の所有権は被告に留保され,被告は,右のように価値の付加がなされた後に本件機械を引き揚げ,他に転売したものである。したがって,原告は,右修理により修理代金額に相当する損失を蒙り,被告は,付加された価値に相当する利得を受けたものであって,右損失と利得との間には因果関係があるものというべきである。もっとも,本件機械は,修理された後も被告が引き揚げるまで,約4か月間,A会社によって使用されていたのであるから,これによってその価値の減損を生じたことが明らかであり,したがって.被告の利得は,被告が本件機械を引き揚げた際における,A会社の使用により価値の減損を生じた状態にある本件機械において残存している付加価値に相当する額にほかならないものというべきである。そして,前記修理によって付加された価値は,A会社の使用による本件機械の減損とともにすべて消滅したものではなく,修理された本件機械自体の価値に対する付加価値の部分のまま本件機械の減損後も残存したものというべきである。

そこで.修理された本件機械の価値に対する付加された価値の割合が何程であったかについてみるのに,本件に表われたすべての証拠によっても,修理される直前における本件機械の価額も,また修理された状態における本件機械の価額もこれを知ることができない。そうとすれば,付加された価値の割合に関するかぎり,被告がA会社に本件機械を売り渡した際における本件機械の価値が修理の直前までなお維持されていたものとしてその算定をするのほかはない。」

[61−35] 次の記述のうち,上記判決の事案として正しいものはどれか。

1.被告は,A会社に対し機械を賃貸したが,A会社が倒産したため,賃貸借契約を解除して機械の返還を受け,原告に修理させた上で他に売却した。

2.被告は,A会社に対し機械を賃貸したが,A会社が倒産したため,賃貸借契約を解除して機械の返還を受け,他に売却した。A会社の使用中に,原告は,A会社から依頼されて機械の修理をした。

3.被告は,A会社に対し機械を売り渡したが,A会社が倒産したため,売買契約を解除して機械の返還を受け,原告に修理をさせた上で他に売却した。

4.被告は,A会社に対し所有権を被告に留保して機械を売り渡したが,A会社が倒産したため,機械の返還を受け,他に売却した。A会社の使用中に,原告は,A会社から依頼されて機械の修理をした。

5.被告は,A会社に対し所有権を被告に留保して機械を売り渡したが,A会社が倒産したため,機械の返還を受け,他に売却した。A会社の使用中に,原告は,A会社及び被告から依頼されて機械の修理をした。

[61−36] 次の記述のうち,上記判決の内容と矛盾するものはどれか。

1.原告は被告所有の機械を修理したのだから,利益は被告に帰属している。即ち,原告のした修理の受益者は,形式的にはA会社であるが,実質的には被告であるから,原告は,被告に対し不当利得の返還を請求できる。

2.原告のした修理により付加された価値は,修理後もA会社が機械を使用していたことにより減損を生じたから,被告が機械の返還を受けた時に残存していた付加価値の限度を超える額については,原告は,被告に対し不当利得の返還を請求できない。

3.原告のした修理の直後に,被告が機械の返還を受けていたとすれば,機械には修理代金額に相当する価値が付加されている。従って,これに相当する額について,原告は,被告に対し不当利得の返還を請求できる。

4.原告は修理代金債権を有しているから,原則として,被告に対し不当利得の返還を請求できないが,A会社の倒産により修理代金債権が無価値となったような場合には,被告の受けた利益は原告の財産,労務等に由来するものということができるから,原告は,被告に対し不当利得の返還を請求できる。

5.修理代金の一部が支払われていたとすれば,残りの修理代金債権の回収不能は,A会社の債務不履行による損害であって,被告が利益を受けたために生じた損失とはいえないから,原告は,被告に対し不当利得の返還を請求できない。

[61−37] 「相続人が,被相続人の死亡により,相続財産の占有を承継したばかりでなく,新たに相続財産を事実上支配することによって占有を開始し,その占有に所有の意思があるとみられる場合においては,被相続人の占有が所有の意思のないものであったときでも,相続人は民法185条にいう『新権原』により所有の意思をもって占有を始めたものというべきである。」との見解がある。

次の1から5までの記述のうち,この見解に明らかに反するものはどれか。

1.相続人は,被相続人が占有していた物件を,事実上支配していない場合でも,相続により,その物件について占有を取得する。

2.被相続人の占有が所有の意思のないものである場合には,相続人は,被相続人が占有していた物件を,事実上支配しない限り,相続を契機に所有の意思のある占有を取得することはない。

3.相続人は,被相続人が占有していた物件を,事実上支配した場合には,一方において被相続人の占有を承継するとともに,他方において相続を契機とする固有の占有を取得することがある。

4.相続人は,相続開始後数年を経過してから,相続を理由に被相続人が占有していた物件を,事実上支配した場合でも,所有の意思があると認められるときは,その物件につき「新権原」により所有の意思をもって占有を始めたものということができる。

5.相続人は,被相続人が占有していた物件を,事実上支配していない場合でも,相続人の主観において自己の所有と信じていた占有を承継すれば,その物件につき「新権原」により所有の意思をもって占有を始めたものということができる。

[61−38] 次の文章中の[(1)]ないし[(4)]の部分に,下記のAからFまでの語句のうちから適切なものを選んで入れた場合の組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

「身分行為には種々の定義があり得るが,仮にこれを親族関係の発生又は消滅を直接の目的とする法律行為であると定義した場合,[(1)]は身分行為であるということができるが,[(2)]は親族関係の発生が効力発生要件となっている法律行為であり,[(3)]は親族関係の終了が効力発生要件となっている法律行為であるから,いずれも身分行為ということはできないし,また,[(4)]も親族関係を法律上の基礎として行われる法律行為であるから,やはり上記の意味における身分行為には当たらない。」

A 夫婦財産契約

B 協議による離婚

C 離婚による復氏

D 離婚に伴う財産分与に関する合意

E 裁判による離婚

F 扶養の順序についての扶養義務者間の合意

1.(1)B (2)A (3)C (4)D

2.(1)B (2)A (3)D (4)F

3.(1)B (2)F (3)D (4)A

4.(1)E (2)D (3)C (4)F

5.(1)E (2)F (3)C (4)D

[61−39] 次の1から5までのうち,それぞれに掲げる事項とその説明の組合せとして適切なものはどれか。

1.原始的不能の給付を目的とする契約ーー民法の規定により,そのような契約が有効とされている場合がある。

2.制限種類債務の履行不能ーー民法上これについて明文の規定はないが,種類債務は履行不能にならないので,解釈上認められない。

3.継続的契約の解約ーー民法上これに関する一般規定はないが,解約の自由の原則により,解約の効力は直ちに生ずる。

4金銭の貸主の貸す債務ーー民法上明文の規定はないが,消費貸借は要物契約であるので,そのような債務が生ずることはない。

5.債権者取消しによる特定物債権の保全ーー債権者代位の場合とは異なり,これは民法の規定の趣旨に合わず,認められていない。

[61−40] 物権変動に関する次のaからeまでの記述のうちから,乙と丙との間にいわゆる対抗問題が生じないものを選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

a 甲がその所有する土地を乙に仮装譲渡し,所有権移転の登記をした後,丙が甲からその土地を買い受けた場合,丙は,所有権移転の登記がなくても,乙に対し,その土地の所有権を主張できる。

b 地上権の設定登記がされている甲所有の土地上の建物をその建物の所有者から地上権とともに買い受けた丙は,その建物につき所有権移転の登記をすれば,甲からその土地を買い受けた乙に対し,その地上権を主張できる。

c 甲所有の土地に設定された抵当権が被担保債権の弁済により消滅した後,乙がその抵当権の譲渡を受けてその旨の登記をした場合,甲からその土地を買い受けた丙は,所有権移転の登記をしなくても,乙に対し,その抵当権の消滅を主張できる。

d 甲所有のA地(要役地)のためにB地(承役地)に通行地役権が設定され,その旨の登記がされている場合,甲からA地を買い受けた丙は,その土地につき所有権移転の登記をすれば,B地を買い受けた乙に対し,その地役権を主張できる。

e 甲所有の土地の譲受人からその土地を買い受けた丙は,所有権移転の登記をしなくても,甲の相続人乙に対し,その土地の所有権を主張できる。

1.a−b−C

2.a−b−e

3.a−c−e

4.b−c−e

5.b−d−e

ホームページに戻る。   年度別一覧<民法>に戻る。