[62−21] 「甲がその所有する動産を乙に賃貸し,現実に引き渡していたところ,乙が勝手にこれを丙に売却し占有改定の方法で引き渡した場合,即時取得の他の要件が備わっていても,丙の即時取得は成立しない。」という見解がある。次のAからEまでの記述のうち,この見解の根拠となり得るものは,何個あるか。

A 即時取得の制度は,前主の占有を信頼した者を保護する制度であり,占有改定の方法による引渡しを他の引渡方法と別個に解すべき理由はない。

B 甲が乙からその動産の返還を受けた後においても,丙から引渡しの請求があればこれに応じなければならないとするのは不合理である。

C 甲も丙も,ともに占有代理人である乙を信頼して所持させているのであるが,乙丙間の占有改定によっては,まだ甲の信頼が裏切られたとはいえない。

D 乙がその動産を丙及び丁に売却し,それぞれ占有改定の方法で引き渡した場合に,占有改定を後に受けた者が権利を取得することになるのは不合理である。

E 占有改定は,意思表示による引渡しであり,外形上不明確なものである。

1.1個

2.2個

3.3個

4.4個

5.5個

[62−22] 次の文章は,ある判決文の要旨であるが,文中の[ ]の中に「第三債務者」,「第三者」及び「質権者」の語句のうちから適切なものを選んで補えば,完全な文章となる。最初の[ ]の部分に補うべき語句が使用される回数は何回か。

「指名債権に対する質権設定についての[ ]に対する通知又はその承諾は,[ ]に対する関係でも対抗要件をなすものであるところ,この対抗要件制度は,[ ]が質権設定の事実を認識し,かつ,これが[ ]によって[ ]に表示され得ることを根幹として成立しているものであり,[ ]がその質権の目的債権を取引の対象としようとする[ ]から債権の帰属関係等の事情を問われたときには,質権設定の有無及び[ ]が誰であるかを告知することができ,また,そうすることを前提とし,これにより[ ]に適当な措置を講じさせ,その者が不当に不利益を被るのを防止しようとするものであるから,[ ]に対する関係での対抗要件となり得る[ ]に対する通知又はその承諾は,具体的に特定された者に対する質権設定についての通知又は承諾であることを要するものと解すべきである。」

1.3回

2.4回

3.5回

4.6回

5.7回

[62−23] 信義則に関する次の文章中,[A]から[D]までに当てはまるアからエまでの規定の組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちとれか。

「1804年のフランス民法がその第1134条に,[A]と規定したように,近代社会が成立した当初において,信義則は,主に契約の履行を規律する基準ときれていた。ところが,資本主義の発達に伴って,契約自由の原則を制限し,人々の間の実質的な不平等を排除しなければならなくなったとき,信義則は,その役割を拡大して,債権者の恣意を抑制し,権利の内容及び行使の方法を規律する作用を営むことになった。フランス民法に約1世紀遅れて施行されたドイツ民法が,その第242条に[B]と規定するとともに,その第157条に,[C]と規定して,信義則が,債務者のとるべき履行の方法の基準を定めただけでなく,債権者債務者を通じて契約を解釈する場合の原理として働かなければならないことを明らかにしたのは,このような思想の推移を表すものといえる。さらに,20世紀に入ると,信義則は,単に契約法ないし債権法の指導原理であるだけでなく,その精神は,私法上の権利義務すべてに推し及ぼされなければならないという考えが強くなり,スイス技法は,その第2条に,[D]と規定した。」

ア 債務者は,取引の慣行を考慮し信義誠実の要求するところに従って,給付をすべき義務を負う

イ 権利の行使及び義務の履行は,信義則に従ってされなければならない

ウ 契約は,信義に従って履行されなければならない

エ 契約は,取引の慣行を考慮し信義誠実の要求するところに従って解釈されなければならない

1.(A)ア (B)ウ (C)イ (D)エ

2.(A)ア (B)イ (C)エ (D)ウ

3,(A)ウ (B)ア (C)イ (D)エ

4.(A)ウ (B)ア (C)エ (D)イ

5.(A)エ (B)ウ (C)ア (D)イ

[62−24] 代理行為に関する次のAからEまでの記述のいずれにも関係しない事項は,後記1から5までのうちどれか。

A 未成年の子の父母が,子所有の土地を売却した。

B 甲の代理人乙が,甲所有の土地を乙に売却した。

C 甲の代理人乙から選任された丙が,甲の代理人として甲所件の土地を売却した。

D 甲の代埋人乙が,破産宣告を受けた後,甲所有の土地を売却した。

E 甲から建物売却の代理権を与えられた乙が,甲所有の土地を売却した。

1.無権代理

2.法定代理

3.復代理

4.共同代理

5.双方代理

[62−25] 「甲にはA,B2人の子がいる(甲の妻は既に死亡)。Aは,甲所有の土地の登記済証と甲の実印を勝手に持ち出し,甲の代理人と称してその土地をCに売却した。その後甲が死亡し,A,Bが共同相続をした場合における法律関係はどうなるか。」という問題について,次の文章は,その考え方の一例を示したものである。この文章の[ ]の部分に後記(ア)から(コ)までの語句のうちから適切なものを選んで入れた場合(同一の語句を数回使用することもある),使用しない語句は何個あるか。

「この場合,A,Bともに[ ]を承継することは間違いないが,A又はBのこの権利の行使の可否については説が分かれている。第1は,Aが[ ]を行使することは[ ]に反して許されず,Bもまた,それに引きずられてこの権利を行使することが許されないとする説である。この説は,その理由をCの保護に求め,その根拠を契約当事者の一方又は双方が多数の場合の[ ]に求めるのである。第2は,Aの[ ]の行使は,[ ]に反して許されないが,Bがこの権利を行使することについては何らの制約も受けないとする説である。この説をとると,土地に対するAの[ ]はCに移転し,土地はBとCの[ ]になるという複雑な関係を生ずることになる。第3は,Bが[ ]を行使すれば,CはAに対して[ ]の行使しかできないとする説である。CとAとの契約がその土地の全部を目的とする契約である以上,Cには[ ]しか残されていないとみるのである。」

(ア) 共有  (イ) 解除権の不可分性  (ウ) 履行請求権  (エ)取消権  (オ) 追認  (カ) 追認拒絶権  (キ) 持分  (ク) 相続権  (ケ) 損害賠償請求権  (コ) 信義別

1.1個

2.2個

3.3個

4.4個

5.5個

[62−26] 「一番抵当権と二番抵当権が設定され,その旨の登記がされていたところ,一番抵当権の被担保債権が弁済された。その後,新たな債権を担保するため抵当権を設定するに当たり,従前の一番抵当権の登記を新たに設定する抵当権の登記として流用することは許されない。」という見解がある。次の(ア)から(オ)までの事項のうちから,この見解の根拠となるものを選んだ場合,その組合せとして適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

(ア) 付従性 (イ) 随伴性 (ウ) 不可分性 (エ) 公信の原則

(オ) 順位上昇の原則

1.(ア)(ウ)

2.(ア)(エ)

3.(ア)(オ)

4.(イ)(オ)

5.(ウ)(エ)

ーー[62−27]から[62−28]までーー

 敷金に関する次の(A)から(C)までの文章を読んで,後記の[62−27]と[62−28]の各問に答えよ。

(A) 敷金に関する法律関係は,賃貸借契約に付随し,従属するのであって,賃貸借終了後に家屋所有権が移転した場合には,賃貸借契約自体は新所有者に承継されないから敷金に関する権利義務の関係のみが新所有者に承継されることはない。

(B) 家屋賃貸借契約において,家屋の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合には,旧賃貸人に差し入れられた敷金は,未払賃料債務に当然に充当され,その限度において敷金返還請求権は消滅し,残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継される。

(C) 家屋賃貸借契約において,賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転され,賃貸人がこれを承諾したことにより旧賃借人が賃貸借関係から離脱した場合においては,特段の事情のない限り,敷金が将来新賃借人が新たに負担することとなる債務をも担保しなければならないと解することは,敷金交付者にその予期に反して不利益を被らせる結果となって相当でなく,敷金に関する権利義務関係は,新賃借人に承継されるものではない。

[62−27] 上記(A)から(C)までの見解とそれぞれの見解に対応する次のアからエまでの事実関係の記述との組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

ア 甲が乙から乙所有の家屋を賃借し,敷金を差し入れておいたところ,乙は,その家屋を丙に売却した。

イ 甲が乙から乙所有の家屋を賃借し,敷金を差し入れていたところ,甲は,その後丙に対し,その家屋の賃借権を譲渡し,乙は,これを承諾した。

ウ 甲が乙から乙所有の家屋を賃借し,敷金を差し入れていたところ,甲は,その家屋の賃貸借終了後,丙に対して敷金返還請求権を譲渡し,乙は,これを承諾した。

エ 甲が乙から乙所有の家屋を賃借し,敷金を差し入れていたところ,乙は,債務不履行を理由にその賃貸借契約を解除した後,甲から明渡しを受ける前に,その家屋を丙に売却した。

1.(A)ーーア,(B)ーーウ,(C)ーーエ

2.(A)ーーイ,(B)ーーア,(C)ーーウ

3.(A)ーーウ,(B)ーーエ,(C)ーーイ

4.(A)ーーエ,(B)ーーア,(C)ーーイ

5.(A)ーーエ,(B)ーーイ,(C)ーーア

[62−28] 次のアからオまでの記述のうち,上記(A)(B)(C)いずれかの見解と矛盾するものを選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

ア 敷金に関する権利義務は,常に賃貸借関係に随伴する。

イ 敷金は,賃借人以外の第三者でも,差し入れることができる。

ウ 敷金返還請求権は,いったん発生した後は一般の指名債権と同様の方法で他に譲渡することができる。

エ 賃貸人が賃貸借契約終了後に未払賃料を敷金から控除するためには,相殺の意思表示をしなければならない。

オ 家屋を買い受けて賃貸人の地位を承継した者は,旧賃貸人から敷金を受け継いでいないときでも,賃借人に対して敷金返還義務を負う。

1.ア ウ

2.ア エ

3.イ ウ

4.イ オ

5.エ オ

[62−29] 養子縁組に関する次のAからEまでの記述のうち,その記述中「この縁組」が,他人の子を養子とするのに,養親夫婦の嫡出子として養父が出生の届出をした例を指していると考えることができるものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。

A 縁組の基本は,当事者間の縁組意思と親子的共同生活関係の存在である。したがって,この二者が存在するならば,非嫡出子について実父がした嫡出子出生の届出に認知の届出としての効力を認めるのと同じく,届出に縁組の届出としての効力を認め,「この縁組」を有効とすべきである。

B 「この縁組」に対して無権代理の追認の法理を適用した判例理論が無効な身分行為の救済にどの範囲まで適用されるかが,一つの課題であったが,最高裁判所は,無効な婚姻届出の追認にこの法理を適用した。

C 縁組の代諾権は法定代理人たる親権者の権限であり,監護権者は何らの権限も有しないとする見解もあるが,代諾権が親権者に帰属するとしても,その行使は監護権者による制限を受け,監護権者の意向を無視した「この縁組」は,その効力に何らかの影響を受けると考えるべきである。

D 「この縁組」は,夫婦共同縁組の原則に反するから縁組として成立しないと考えるべきである。なぜなら,届出をした戸籍上の父については縁組意思を認めることができるとしても,その届出には届出をした者の配偶者の縁組意思を推知することができる表示はされていないからである。

E 縁組は,届出によって効力を生ずる要式行為であるが,「この縁組」の場合には,届出不存在という要式欠缺の瑕疵を治癒することができないと考えるべきである。

1.A B C

2.A B E

3.A D E

4.B C D

5.C D E

ーー[62−30]から[62−31]までーー

次の文章中の[ア]から[オ]までに,後記AからEまでの文章のうちから適切なものを一つずつ選んで入れると出版契約に関する論述になる。これを前提にして後記の[62−30]と[62−31]の問に答えよ。

「[ア]。けれども[イ]。すなわち,[ウ]。そうであれば,[エ]という前提の下に,[オ]。」

A 出版契約についても,契約に関する総則的な規定が適用されるほか,各種の典型契約に関する規定が類推される余地があるというべきである

B 著作者がその著作物を出版者に利用させる関係は[ ]に似ており,両当事者が著作物の発行について共同の利害を感ずる点は[ ]に類し,出版者が著作物の複製及び発売頒布をすべき義務を負う点は[ ]に比すべきであり,さらに,著作者及び出版者がすべきことを仕事とみるならば,そこに[ ]の要素を認めることができる。

C 出版契約は,これを全体としてみるならば,強いて一つの典型契約に当てはめることはできない

D 各種の典型契約に関する規定は,その規定が直接に明定している生活関係と類似の生活関係がある場合には,これを出版契約にも類推適用すべきである

E 出版契約は,その構成要素を分析的に考察するならば,種々の点において既存の典型契約の構成要素と共通又は類似の要素を包含している

[62−30] 上記Bの文章中の[ ]の部分に次の1から5までの語句のうちから適切なものを選んで入れた場合,一つだけ残るものはどれか。

1.組合

2.売買

3.請負

4.賃貸借

5.委任

[62−31] 次の1から5までのうち,上記の[ア]から[オ]までに当てはまるAからEまでの文章の順序の組分せとして最も適切なものはどれか。

1.A C B D E

2.A C E D B

3.C A B D E

4.C D E A B

5.C E B D A

[62−32] 次の文章の[(1)]から[(6)]までの部分に,「条件」及び「期限」のうちから適切なものを選んで入れた場合の組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

「条件と期限の区別は,必ずしも容易でない。例えば,金銭貸借に付された「成功した暁に支払う」といういわゆる出世払約款は,出世しなければ払わなくてもよいという意味ならば,[(1)]であり,もし,出世すれば払うが,それまではただ支払を延ばしているだけで,出世しないことに確定すればやはり支払う.というのであれば,[(2)]である。判例には,出世払約款を[(3)]と解するものが多い。常識的には[(4)]と解するほうが合理的なようであり,とくに親子,友人間などではそうであろう。しかし判例に現れるケースでは,当事者間の公平,信義誠実の原則などから考えて,返済させるのが妥当な事情のものが多いので,[(5)]と判定した判例が多くなっているものと思われる。もしこれが「成功した暁には,金銭を贈与する」という契約の場合なら,[(6)]と解すべき場合が多いであろう。」

1.(1)条件 (2)期限 (3)期限 (4)条件 (5)期限 (6)条件

2.(1)期限 (2)条件 (3)条件 (4)期限 (5)条件 (6)条件

3.(1)条件 (2)期限 (3)条件 (4)期限 (5)条件 (6)期限

4.(1)期限 (2)条件 (3)期限 (4)期限 (5)期限 (6)条件

5.(1)条件 (2)期限 (3)期限 (4)条件 (5)期限 (6)期限

[62−33] 「土地賃借人は,借地上にその妻の名義で保存登記をした建物を所有していても,その後その土地の所有権を取得した第三者に対し,その土地の賃借権を対抗することができない。」という見解がある。下記のAからEまでの記述のうちから,この見解の根拠となり得るものを選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

A 建物保護ニ関スル法律第1条は,土地の賃借人名義の建物の登記をもって土地の賃借権の登記に代えようという考え方に基づくものである。

B 土地を取得しようとする者は,あらかじめ現地を見るのが通常であり,そうすれば,その土地上に建物があるのを知ることができる。

C 実体上の権利者でない他人名義の登記は,実体上の権利と符合しないものであるから,対抗力を生じない。

D 建物保護ニ関スル法律第1条は,建物所有者及びこれと共同生活を営む者の居住を保護しようという考え方に基づくものである。

E 借地上の建物の登記には,建物所有権の公示と借地権の公示という二つの機能があるが,両者は,その目的を異にしており,それぞれの機能に応じて区別して考えるべきである。

(参照条文)

建物保護ニ関スル法律第1条 建物ノ所有ヲ目的トスル地上権又ハ土地ノ賃借権ニ因リ地上権者又ハ,土地ノ賃借人カ其ノ土地ノ上ニ登記シタル建物ヲ有スルトキハ地上権又ハ土地ノ賃貸借ハ其ノ登記ナキモ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得

1.A C

2.C E

3.A C E

4.B C D

5.B D E

[62−34] 次の文章は,他人の権利を目的とする売買契約が,売主において目的物の所有権を取得し,買主に移転することができなかったため解除された場合に,目的物の引渡しを受けていた買主が使用利益の返還義務を負うかどうかに関する記述である。後記1から5までのうち,この文章中でいう「否定説」の論拠として適切でないものはどれか。

「契約の解除は,単に形式的な法律関係の遡及的消滅自体に本質的意義を有するものでなく,双務契約による取引の精算を目的とする制度であるから,その法律関係をすべて一般の不当利得法理によって処理することは,解除が原状回復のための前提ないし手段にすぎないという目的手段の関係を見失うこととなる。したがって,給付受領者が既に給付を受けたもの(売買の目的物及びその利用による収益可能性)のすべてを返還してはじめて双務契約による取引関係が清算されたこととなり,給付者と第三者との間の売買目的物をめぐる法律関係如何によって原状回復義務に消長を及ぼすものではない。否定説のいうように,原状回復としての使用利益返還義務を否定するとすれば,給付された売買目的物自体についても,真の権利者のもとに戻さなければならないことになり,その返還(原状回復)義務を否定することになりかねない。」

1.契約解除による原状回復は,不当利得の法理による。

2.売買契約が存在しなかったならば,目的物の使用による利益は,売主が取得し得たはずである。

3.目的物は売主以外の第三者の所有に属し,売主は,目的物の使用権能を有していない。

4.売主は,買主から使用利益の返還を受けたとしても,これを目的物の真の権利者に返還しなければならない。

5.買主の受益に対応する売主の損失が存在しない。

[62−35] 次の文章は,附合制度の目的について述べたものであるが,後記1から5までの記述のうち,この文章で述べられている見解に最も近い考え方を示しているものはどれか。

「附合が所有権取得の原因として認められる根拠は,物権関係を画一にしてその複雑化を避けるためというよりも,むしろ,所有者の異なる2個以上の物が結合して社会観念上分離することが不可能となったとき,これを原状に復することは,物理的に不可能でないとしても,国民経済上からみて甚だしく不利であるため,復旧を許さないで,それを1個の物としてなんぴとかの所有に帰属させようとするものである。」

1.附合は,附合によって権利を取得する者と権利を喪失する者との利害の調整の見地から,その成否を判断しなければならない。

2.附合は,取引の対象となる物の範囲を限定するものであるから,立木は,それが独立して取引の対象とされている以上,附合の対象とならない。

3.附合は,一物一権主義を根拠とするものであるから,賃借人が賃貸人の承諾を得て建物を建築した場合でも,増築部分は,それが別個の所有権の客体とならないときは,建物に附合する。

4.附合は,原物の所有者の個人的意図を考慮することなく,社会全体における物の効用の維持という見地から,その成否を判断しなければならない。

5.附合は,物の部分に対する所有権を認めると,所有権の範囲を外部的に認識し確定することができなくなり,取引の安全の障害となることから認められた制度である。

[62−36] いわゆる対抗問題に関する下記1から5までの記述のうち,(ア)と(イ)の組合せとして成り立ちにくいものはどれか。

1(ア)請負人による建物の新築について,請負人が主たる材料を供給する場合は,完成した建物は請負人の所有となり,引渡しによって注文者に所有権が移転する。

 (イ)したがって,注文者は,登記がなくても,所有権の取得を第三者に対抗することができる。

2(ア)不動産の売買契約が取り消されたときは,その不動産の所有権は売主に復帰する。

 (イ)したがって,売主は,取消し後に買主からその不動産を譲り受けた者に対して,登記がなければ,所有権の復帰を対抗することができない。

3(ア)遺産の分割は,相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるが,第三者に対する関係においては,相続人が相続によりいったん取得した権利につき遺産分割の時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならない。

 (イ)したがって,遺産分割により特定の不動産につき所有権を取得した相続人は,その旨の登記をしなければ,その取得を第三者に対抗することができない。

4(ア)時効取得者と時効完成当時の所有者との関係は,同一の権利を取得し喪失する「当事者」の関係にある。

 (イ)したがって,時効取得者は,取得時効の進行中に原所有者から不動産を譲り受け,その旨の登記をした者に対して,登記がなくても,時効による権利の取得を主張することができる。

5(ア)相続人は,相続の放棄をした場合には,相続開始の時にさかのぼって相続人とならなかったものとみなされる。

 (イ)したがって,相続の放棄による権利の帰属は,登記の有無を問わず,いかなる者に対してもその効力を生ずる。

[62−37] 次の記述とかかわりのない事項を下記(ア)から(オ)までの語句のうちから選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

「債務者が債務の目的物を不法に処分したために債務が履行不能となった後,その目的物の価格が騰貴を続けているという特別の事情があり,かつ,債務者が,債務を履行不能とした際,そのような事情を知っていたか,又はこれを知ることができた場合には,債権者は,債務者に対し,その目的物の騰貴した現在の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求することができる。このことは,不動産の売買契約において,買主の目的が,その目的物を他に売却するためであったか,あるいは,これを自己の使用に供するためであったかを問わず,売主の買主に対する不動産の所有権移転義務が履行不能となった場合に妥当する。」

(ア)転売利益(イ)遅延賠償(ウ)填補賠償(エ)履行利益(オ)信頼利益

1.(ア)(エ)(オ)

2.(イ)(ウ)(オ)

3.(ア)(エ)

4.(イ)(ウ)

5.(イ)(オ)

[62−38] 次の記述は,甲がその所有する土地について乙のために地上権を設定し,乙が更にこれを丙に賃貸していたところ,その後甲と乙とがその地上権を消滅させる合意をした場合に関する判決の理由を要約したものである。後記1から5までの記述のうち,この判決の結論として正しいものはどれか。

「土地所有者と地上権者は地上権を合意により消滅させたものであるから,その地上権がなおも存続すると解した上,合意解除の当事者である地上権者が地上権関係及び賃貸借関係の両面の当事者として関与する結果となることを認めるのは,土地所有者と地上権者の意思に反することとなって妥当ではないというべきである。また,賃貸借契約は当事者の信頼関係を基礎とするものであるところ,そのように解するときは,土地所有者とその土地の貸借人との法律関係が,土地所有者と地上権者との間においては既に消滅した地上権を介する間接的なものになると解することとなって相当でないし,その後の三者間の法律関係をいたずらに複雑化するものであって妥当とはいい難い。しかも,この場合には,地上権設定契約の合意解除の効果を賃借人に対抗し得ないとされるのであるから,賃借人の従来の地位に影響を与えることを認めるべきでないことは当然であるが,他方土地所有者としては,地上権を設定した以上,地上権者がその土地を他に賃貸することをあらかじめ承認していたものといわなければならないから,賃借人の権利を基礎づける自己と地上権者との間の契約関係を消滅させた以上は,以後賃借人との間に直接の賃貸借関係が当然に生ずることを受忍すべきものとするのが相当である。もっとも,このように解するときは,地上権の存続期間と賃借権の存続期間とが同一でなく,後者の存続期間が前者に比較して長期である場合に問題を生ずることがあることは否定し得ないが,土地所有者としては,地上権を設定した以上,地上権者がその土地を他に賃貸する時期や賃貸借契約の内容によっては,そのような事態を生ずることも当然に予想し得ることであるから,土地所有者の利益を不当に害するものとはいえない。」

1.丙は,地上権者たる乙の地位を承継する。

2.丙は,地上権者たる乙の地位を承継するが,地上権の存続期間は,地上権の存続期間の範囲内に制限される。

3.甲は,賃貸人たる乙の地位を承継する。

4.甲は,賃貸人たる乙の地位を承継するが,賃借権の存続期間は,地上権の存続期間の範囲内に制限される。

5.丙は,乙の地位を承継しないが,甲に対して従前と同一内容の賃借権の設定を請求することができる。

[62−39] 甲は乙に対して契約上の金銭債権を有し,丙はその契約外の第三者である。次の1から5までのうち,それぞれに掲げる者の間でされた新たな合意とその合意に相当する契約として成り立ちにくいものの組合せはどれか。

1.甲乙間の合意ーーーーーーーーーーーー免除契約,更改

2.甲丙間の合意ーーーーーーーーーーーー併存的債務引受け,保証

3.乙丙間の合意ーーーーーーーーーーーー免責的債務引受け,履行の引受け

4.甲丙間の合意(乙がこれに同意した。)ー債権譲渡,更改

5.乙丙間の合意(甲がこれに同意した。)ー契約上の地位の譲渡

[62−40] 次の文章の見解と矛盾しない記述を後記アからオまでの記述のうちから選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

「甲が乙に対する金銭の貸与にあたり,これが賭金に使用されることを知っていたというにとどまらず,乙の賭博行為を積極的に助長し賭博開張の利を図ろうとする意図を有していた場合,甲乙間の金銭消費貸借契約は公序良俗に反する事項を目的とするもので無効であるが,甲による金銭の貸与は不法原因給付となるため,甲は,乙に対してその返還を請求することができない。」

ア 金銭消費貸借契約が公序良俗違反のため無効である場合,その契約に基づく貸金の返還請求は認められない。

イ 法律行為の動機が反公序良俗性を帯びていた場合,不法な動機が表示されるか,又は相手方がこれを知っていたときは,その法律行為は無効である。

ウ 賭博の用に供されることを知って貸与した金銭は,不当利得として返還請求の対象となるが,不法原因給付となることがある。

エ 不法の動機を表示して金銭を借り受けても,動機に不法があるにすぎず,金銭消費貸借契約は有効であり,貸金の返還請求は認められる。

オ 賭博の用に供するつもりで,そのことを知り得なかった相手方から金銭を借り受けた借主が,不法でない目的にその金銭を使用したときは,金銭消費貸借契約は有効であり,貸金の返還請求は認められる。

1.ア イ ウ エ

2.ア イ ウ オ

3.ア ウ オ

4.イ ウ オ

5.イ エ オ

ホームページに戻る。   年度別一覧<民法>に戻る。