[H01−21] 下記のアからオまでは「代理人が自己又は第三者の利益を図るため,代理人としての権限の範囲内に属する行為をした場合に,相手方が少なくとも代理人の意図を知っていたときは,本人は,その行為について責めに任じない。」との結論を導くための説明である。このうち,A・Bの命題と抵触しないものの組合せとして適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

命題A 心裡留保とは,ある意思表示につき,意思と表示に不一致が存し,そのことを表意者が自分で知っている場合をいう。

命題B 代理行為が成立するために必要な代理意思としては,代理人において直接本人に効果を生じさせようとする意思があれば足り,本人の利益のためにする意思があることは必要でない。

ア 代理人が自己又は第三者の利益を図ったのであるから,代理行為としては意思と表示に不一致があることになる。しかし,民法第93条本文の規定が代理行為にも類推されることによりこのような代理行為は,原則として有効とされ,ただ相手方が代理人の意図を知っている場合には,同条ただし書により無効とされる。

イ 代理人において,本人の利益のためにする意思の存することは必要でないから,常に代理行為として有効に成立すると解すべきではないかとの疑問が生じないわけではない。しかし代理人が自己又は第三者の利益を図っていたことを相手方が知っている場合には,民法93条ただし書を類推して,代理行為の効力が生じないと解される。

ウ 代理人が自己又は第三者の利益を図ることを心裡に留保したとしても,法律的には意思と表示に不一致がないので,代理行為としては有効に成立するはずである。このように心裡留保と評価できないから,民法93条ただし書を類推するのは相当でない。しかし相手方が代理人の意図を知っている場合に限り信義別により本人を保護すべきである。

エ 本人の利益のためにする意思が代理人にないときは,代理権の及ばない行為をしたことになるので本来,無権代理として処理されるべきであるが,取引の安全保護の見地から,相手方が代理人の意図を知っている場合には,民法第93条ただし書を類推して無効とすべきである。

オ 本人の利益のためにする意思が代理人にないときは,代理意思が欠缺していることから本人のためにすることを示す意思表示につき意思と表示に不一致がみられるが,代理人がそのことを知っているのであるから,原則として本人に効力が生ずる。しかし相手方が代理人の意図を知っている場合には,民法第93条ただし書を適用して,代理行為の効力が生じないと解される。

1.ア エ  2.ア オ  3.イ ウ

4.イ オ  5.ウ エ

(参照条文) 民法第93条 意思表示ハ表意者カ其真意ニ非サルコトヲ知リテ之ヲ為シタル為メ其効力ヲ妨ケラルルコトナシ但相手方カ表意者ノ真意ヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得へカリシトキハ其意思表示ハ無効トス

[H01−22] 仮登記に基づく本登記がなされた場合の効力については,単に本登記の順位が仮登記の順位によって定まるにすきないとする順位遡及説と本登記の対抗力が仮登記の時までさかのぼるとする対抗力遡及説とがあり得るか,次のAからEまでのうちから,いずれの説をとるかにより結論が異なる事項を選んだ場合,その組合せとして適切なものは1から5のどれか。

A 仮登記がなされた後,仮登記義務者は,内容においてその仮登記と抵触するような処分をなしうるか。

B 仮登記がなされた後,仮登記権利者が目的物を他に譲渡した場合,譲受人はいつ所有権を取得するか。

C 仮登記がなされた後,仮登記義務者から目的物を譲り受けて登記をした第三者は仮登記に基づく本登記がされるまでの間,収益を取得するか。

D 仮登記がなされた後,仮登記が不法に抹消された場合,仮登記名義人はその回復を請求しうるか。

E 仮登記がなされた後,仮登記義務者から目的物を譲り受けて登記をし占有を開始した第三者は仮登記に基づく本登記がなされたことにより,初めから不法占有であったことになるのか。

1.A B  2.A D  3.B C

4.C E  5.C A

[H01−23] 次の文章はいわゆる集合動産を目的とする譲渡担保について述べたものであるが,後記1から5までの記述のうち,この文章の趣旨として最も適切なものはどれか。

「構成部分の変動する集合動産であっても,その種類,所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法によって目的物の範囲が特定される場合には,一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。そして債権者と債務者との間に,集合物を目的とする譲渡担保権設定契約が締結され,債務者がその構成部分である動産の占有を取得したときは,債権者が占有改定の方法によってその占有権を取得する旨の合意に基づき,債務者が右集合物の構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には,債権者は,当該集合物を目的とする譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至ったものということができる。」

1.集合動産に譲渡担保権が設定された場合,譲渡担保権者は占有改定により占有権を取得することができる。

2.集合動産を目的とする譲渡担保は,担保物と一般財産との範囲を明確にし,担保権者の優先権の範囲と限度を明確にし,担保権の実行を可能にするとともに,その他の債権者を保護し,第三者に不当な損害が及ばないよう,目的物の特定性が要求される。

3.離脱し流入する動産が,いかにして目的物の構成部分でなくなり,あるいは構成部分となるかは,取引の種類と設定契約による。

4.集合動産を目的とする譲渡担保権の設定者は,特定動産の譲渡担保権の設定者と同様に,設定契約の趣旨に従い,善良なる管理者の注意をもって集合動産を保管する義務を負う。

5.集合動産の譲渡担保権者は,あらかじめ占有改定によって債権者が占有権を取得する旨合意した場合,その後新たにその構成部分となった動産についても債務者の占有取得によって譲渡担保権者は,対抗要件を取得する。

[H01−24] 次のアからオまでのうちから,債権者代位権の行使ができないものを選んだ場合,その組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

ア 甲に名誉を毀損された乙が甲に慰謝料100万円の支払を求めて交渉中に,乙の債権者丙が乙に代位して甲に対し慰謝料を請求する場合

イ 乙がその所有地を甲に売却し,登記をしたところ,乙の推定相続人たる子丙がその売買の無効を主張して乙に代位して甲に対しその登記の抹消を請求する場合

ウ 建物の賃借人丙が賃貸人乙に代位して建物の不法占拠者甲に対し,明渡を請求する場合

エ 甲乙の離婚後甲から乙に対し財産分与として1000万円を支払う旨の協議が調っていたが,乙がこれを放置しているので,乙の債権者丙が乙に代位して甲に対し1000万円を請求する場合

オ 夫乙の妻甲に対する土地の贈与について,乙の債権者丙が乙に代位してこれを取り消す場合

1.ア ウ エ  2.ア イ オ  3.ア ウ オ

4.イ ウ エ  5.イ エ オ

[H01−25] 次の(事例1)と(事例2)の各場合において,債務者に履行遅滞の責任が生ずるかどうかについての適切な記述を下記アからかまでのうちから選んだとき,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

(事例1)債権者が債務者の住所において取り立てる旨の特約のある金銭債権につき債権者が取立てに来ないまま,履行期が過ぎた。

(事例2)債権譲渡の当事者間において譲渡の効力について争いが生じて,債務者に真の債権者がいずれであるか分からないまま履行期か過ぎた。

ア 債権者が受領を拒絶しているので,債務者は,履行遅滞の責任を負わない。

イ 債務者は,履行の提供を行おうとしても行うことができないから,履行遅滞の責任を負わない。

ウ 債務者が債務を履行するには債権者の行為が必要であるから債務者は,口頭の提供をすれば,履行遅滞の責任を負わない。

エ 債務者は,供託をして債務を免れることができるが,それまでに生じた履行遅滞については責任を負う。

オ 債務者は,供託をすることができるので,履行遅滞の責任を負わない。

カ 債務者は,自己の債務を履行するには債権者の行為を必要とするので,履行遅滞の責任を買わない。

  (事例1)  (事例2)

1.  ア      カ

2.  イ      ウ

3.  オ      イ

4.  カ      オ

5.  ウ      エ

[H01−26] 次の文章の[ ]に三種類の適切な語句を補って文章を完成させる場合,[ ]の部分と同じ語句を補うべきものを[ア]から[ス]までのうちから選ぶと,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

「利息制限法第1条第2項は,債務者が同法所定の利率を超えて[ア]を任意に支払ったときは,その[イ]部分の返還を請求することができない旨規定するが,この規定は.金銭を目的とする消費貸借について[ウ]債権の存在することを当然の前提とするものである。なぜなら.[エ]債権の存在しないところに[オ]の発生の余地がなく,したがって,[カ]の[キ]支払ということもあり得ないからである。このゆえに,消費貸借上の[ク]債権が既に弁済によって消滅した場合には,もはや[ケ]の[コ]支払いということはあり得ない。したがって,債務者が同法所定の制限を超えて任意に[サ]の支払を継続し,その制限[シ]部分を[ス]に充当すると,計算上[A]が完済となったとき,その後に支払われた金額は,債務が存在しないのにその弁済として支払われたものにほかならないから,この場合には,同法第1条第2項の適用はなく,民法の規定により不当利得の返還を請求することができる。」

1.ア オ カ ケ  2.イ ウ エ ス  3.ウ エ ク ス

4.ウ カ ケ ス  5.エ カ ク ス

[H01−27] 次の記述を前提にして,下記のアからカまでのうち不可分債権あるいは不可分債務が成立するものを選んだ場合,その組合せとして適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

「不可分債権・債務とは,不可分給付を契約内容とする多数当事者の債権債務関係をいう。不可分給付には性質上給付が不可分であるものと,本来給付は可分だが当事者の意思表示によって不可分とされるものがある。また.ある不可分な給付を数人が受けた場合におけるその対価を支払う債務は性質上不可分な債務の一つである。」

ア 甲乙が共有する家屋を丙に賃貸していたところ丙の債務不履行に基づき賃貸借契約が解除されたことを理由とする丙に対する家屋明渡請求権。

イ 甲乙が共有する一台の車を丙に売った場合における甲乙の丙に対する引渡債務。

ウ 銀行丙に預金債権を有する者が死亡し,甲乙が相続人になった場合における甲乙の丙に対する預金請求権。

エ 甲乙が共有する一台の車を丙が損壊した場合における甲乙の丙に対する損害賠償請求権。

オ 甲乙が共同で丙から家屋を賃借した場合における甲乙の丙に対する賃料支払債務。

カ 甲の妻乙が丙から家具を購入した場合における甲乙の丙に対する代金債務。

1.ア イ エ  2.ア イ オ  3.ア ウ オ

4.イ エ カ  5.ウ オ カ

[H01−28] 解除の効果に関する次のアからカまでの記述のうちから,相互に一貫している説明となるものを選んだ場合,その組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

ア 未履行の債務は,解除によって消滅せず,請求に対して履行を拒絶することができるにとどまる。

イ 未履行の債務は,解除によって当然に消滅する。

ウ 既履行の債務は遡及的に消滅し,その給付は法律上原因のないものとなり,民法第545条第1項本文は,不当利得の特則ということになる。

エ 既履行の債務については,その給付の返還債務は新たに生ずる。

オ 民法第545条第1項ただし書は,当然のことを定めているにすぎず,本来不要である。

カ 民法第545条第1項ただし書かなければ,解除された契約から生じた法律効果を基礎として解除までに新たに権利を取得した第三者が,解除によって不利益を被ることになる。

1.ア ウ オ  2.ア エ カ  3.ア ウ カ

4.イ エ オ  5.イ ウ カ

(参照条文) 民法第545条第1項 当事者ノ一方カ其解除権ヲ行使シタルトキハ各当事者ハ其相手方ヲ原状ニ復セシムル義務ヲ負フ但第三者ノ権利ヲ害スルコトヲ得ス

[H01−29] 被用者が使用者の事業の執行につき第三者との共同の不法行為により他人に損害を加えた場合の求償関係に関する後記1から5までの記述のうち,次の見解に適合しないものはどれか。

「使用者の損害賠償責任を定める民法第715条の規定は,もともと,使用者が被用者の活動によって利益をあげる関係にあることに着目し,利益の存するところに損失をも帰せしめるとの見地から,被用者が使用者の事業活動を行うにつき他人に損害を加えた場合には,使用者も被用者と同じ内容の責任を負うべきものとしたものである。このような規定の趣旨に照らせば,被用者が使用者の事業の執行につき第三者との共同の不法行為により他人に損害を加えた場合には,使用者と被用者とは一体をなすものとみて,第三者との関係においても,使用者は被用者と同じ内容の責任を負うべきものと解すべきである。」

1.使用者は,被害者に損害の全額を賠償したときは,被用者の第三者との間における過失割合を超える部分につき,第三者に求償することができる。

2.第三者は,被害者に損害の全額を賠償したときは,自己の被用者との間における過失割合を超える部分につき,被用者に求償することができる。

3.使用者は,被害者に損害の全額を賠償したときは,自己の被用者との間における過失割合を超える部分につき,第三者に求償することができる。

4.使用者は,被害者に損害の全額を賠償したときは,信義則上相当と認められる限度において,被用者に求償することができる。

5.第三者は,被害者に損害の全額を賠償したときは,自己の被用者との間における過失割舎を超える部分につき,使用者に求償することができる。

[H01−30] 次のアからキまでのうち,死因贈与と遺贈の双方にあてはまるものの組合せとして正しいものはどれか。

ア 18才未満で行った場合,行為能力がないから取消すことかできる。

イ 贈与者,遺贈者の死亡によって財産権移転の効果が生ずる。

ウ 書面によらない場合は取消すことができるが,履行が終了した場合は取消しできない。

エ 財産が受贈者,受遺者に移転した後でも,相続人は遺留分減殺請求をすることができる。

オ 代理人によってすることができる。

カ 負担付きですることができる。

キ 相手方のある意思表示である。

1.エ オ キ  2.イ エ キ  3.ウ カ キ

4.ウ エ オ  5.イ エ カ

[H01−31] 甲は乙に対して機械を寄託していたところ,丙が乙に対し機械を自分に直接返還するよう請求する際に考えられる次のA欄の丙の主張に対し,下記B欄の乙の反論として考えられるものを選んだ場合,主張と反論の組合せとして適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

A欄(丙の主張)

ア 丙は,甲に対する債権を保全するため,甲に代位して,甲の乙に対する寄託契約上の返還請求権を行使する。

イ 丙は甲から譲り受けた寄託契約上の返還請求権を行使する。

ウ 丙は,所有権に基づいて,機械の返還を請求する。

エ 丙は,甲に対する金銭債権を確保するため甲の乙に対する寄託契約上の返還請求権に質権の設定を受けていたが,その債権の弁済期が到来したので,甲の乙に対する返還請求権を行使する。

B欄(乙の反論)

a 丙は,乙が甲に対して交付した保管証を所持していない。

b 甲は,寄託契約上の返還請求権を丙に譲渡したことを乙に通知していない。

c 丙は,甲から寄託契約上の返還請求権を譲り受けたことを乙に通知していない。

d 甲は,寄託契約上の返還請求権につき丙のために質権を設定したことを乙に通知していない。

e 丙は,乙に対し訴訟を提起したことを甲に遅滞なく通知していない。

f 甲には,他に十分な資産がある。

g 丙は,機械を第三者丁に譲渡した。

1.アーf イーc

2.イーa ウ−g

3.イ−b ウ−g

4.ウーe エーd

5.アーf ウーa

[H01−32] 交通事故により負傷した者が慰謝料請求の意思表示をしないまま4日後に死亡し,被害者の妹が被害者の慰謝料請求権を相続したことを理由として加害者にその請求をした場合,下記AからEまでの記述のうち,この請求を肯定する根拠となり得るものの組合せとして正しいものは後記1から5までのうちどれか。

A 損害賠償請求権の発生時期について,民法は,財産損害と精神的損害とで別異の取扱いをしていない。

B 一定の近親者に慰謝料請求を認める民法第711条の類推適用によって被害者の妹にも慰謝料請求権が認められる。

C 被害者は死亡によって権利主体性を失うから,被害者には受傷後死亡による損害から生する損害賠償請求権はない。

D 被害者が生存する場合に慰謝料請求権が認められるのに,傷害より重い死亡の場合に慰謝料請求権が認められないのは均衡を失する。

E 慰謝料請求権に係る保護法益は被害者の一身に専属するものであるが,その損害により生ずる請求権は,金銭債権である。

1.A D E  2.A B E  3.A C E

2.B C D  5.B D E

[H01−33] 消滅時効に関する見解を述べた次の文章の,[ ]に,請求権」,「形成権」又は「抗弁権」のいずれかの語句を入れて文章を完成させる場合,それぞれの語句が用いられる回数の組合せとして正しいものは,下記1から5までのうちとれか。

「民法第126条は,『取消権ハ追認ヲ為スコトヲ得ル時ヨリ五年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス』と規定しており,一般には,取消権そのものが消滅時効にかかると解されている。しかし,取消権のような[ ]は,それを行使する意思表示だけでその目的を達して消滅するものであるから請求等の方法によってその時効を中断することは考えられない。そこで,民法第126条は[ ]の除斥期間を定めたものと解する説もある。しかしこの説によれば除斥期間内に[ ]が行使されると,それによって生じた[ ]についてさらに消滅時効が進行することとなるので,権利関係を早期に確定させようとする時効制度の趣旨に合わないであろう。取消権は,元来[ ]若しくは[ ]の論理上の前提にすぎず,実際には,取消権の行使によって,取り消し得べき契約に基づいて給付された物の返還を求める[ ],あるいは取り消し得べき契約に基づく相手方の,[ ]に対抗する[ ]が問題になっているのである。したがって,[ ]の時効というのは,その行使の結果発生する[ ]の時効と解すべきである。これに対して.[ ]が[ ]の主張として行使される場合には消滅時効にかかることはないと解すべきである。なぜなら,履行の[ ]の行使が現状の変更を求めるものであるのに対して,履行の請求に対する時効の主張は現状の維持を目的とするものであるからである。現状変更を求められていないのに,訴えを提起して現状を維持しようとすることはあり得ないので,後から[ ]の行使がないのに,時間の経過によって[ ]として主張される[ ]が消滅するとしたのでは,不都合であろう。」

  請求権  形成権  抗弁権

1.6回   6回   5回

2.6回   7回   4回

3.7回   7回   3回

4.7回   6回   4回

5.7回   5回   5回

[H01−34] 乙が自己所有建物を甲に賃貸して引き渡したのち,これを丙に譲渡した場合,丙はその所有権移転登記を経由しない限り甲に対して賃料請求できないという見解がある。次のAからFまでの記述のうちからこの見解を導く根拠となるものを選んだ場合,適切な組合せは,後記1から5までのうちどれか。

A このような場合には,特別な事情がない限り丙は建物の所有権を取得するとともに賃貸人たる地位を承継している。

B 丙は所有権移転登記を経由しなくても,この建物を不法に占拠するものに対して明渡請求することができる。

C 乙が第三者にこの建物を二重に譲渡するおそれがある。

D 甲に対し賃借人の地位の譲渡について通知があれば,甲の丙への賃料の支払いは債権の準占有者に対する弁済として保護される。

E 登記簿上の所有名義人は,反証のない限りその不動産を所有すると推定される。

F 賃料の請求は,賃借権の存在を承認した上で賃貸権の内容を実現するものである。

1.A C E  2.B D E  3.C E F

4.A B C  5.A D F

[H01−35] 甲乙丙の各200万円の債権を被担保債権として甲に一番,乙に二番,丙に三番の各抵当権を設定された不動産が売却代金300万円で競売された。次の説明を前提として,この事案で丙が200万円の配当をうけることのできる場合を次のアからオまでのうちから選んだとき,正しい組合せは後記1から5までのうちどれか。

「先順位抵当権が被担保債権の弁済等により消滅したときは,後順位債権は当然にその順位が上昇する。抵当権の順位の譲渡とは,先順位抵当権者から後順位抵当権者に対してされる両者間における先順位たる地位の譲渡であり,抵当権の順位の放棄とは,先順位抵当権者から後順位抵当権者に対してされる両者間における先順位たる地位の放棄である。抵当権の順位の変更とは,関係抵当権者全員の合意によってされる被担保債権と切りはなされた抵当権の順位の絶対的変更である。」

ア 甲が抵当権設定後200万円の債権全額の弁済を受けていた場合。

イ 乙が抵当権設定後200万円の債権全額の弁済を受けていた場合。

ウ 甲丙間で抵当権の順位の譲渡がされていた場合。

エ 甲丙間で抵当権の順位の放棄がされていた場合。

オ 甲乙丙間で甲丙の抵当権の順位の変更がされていた場合。

1.ア イ  2.イ オ  3.ウ エ

4.ウ オ  5.エ オ

[H01−36] 甲が乙所有の土地の占有を開始した後この土地の所有権を10年の時効により取得したと主張している事案において次のAからFまでの事実のうちからその事実が認められると甲の主張を否定することができるものを選んだ場合,その組合せとして最も適切なものは後記1から5までのとれか。

A 甲は,乙以外の無権利者との売買契約に基づいて占有を開始したこと。

B 甲は,乙との売買契約に基づいて占有を開始したが,その契約が,要素の錯誤により無効であったこと。

C 甲は,乙との贈与契約に基づいて占有を開始したが,その契約が甲と乙との通謀虚偽表示であったこと。

D 甲は,乙との売買契約に基づいて占有を開始したが,2年後に甲乙間でこの契約を合意解除した上,乙との使用貸借契約に基づき占有を続けたこと。

E 甲は,占有開始後,土地を第三者に賃貸していたこと。

F 甲は,占有を開始してから2年後,乙から不法占有を理由として土地の明渡しの通告を受けたが,これを拒絶したまま占有を続けたこと。

1.A B  2.C D  3.E F

4.C F  5.D F

[H01−37] 民法第192条の即時取得に関する下記アからカまでの記述のうちから誤ったものを選んだ場合,その組合せとして適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

ア 即時取得は,取引の相手方が真の権利者かどうかを逐一確かめないでも,その占有を信頼して動産の取引をした者を保護する制度である。

イ 即時取得は,取引の安全を保護する制度であるから,一時預け所から他人の動産を受け取ってもその所有権を取得することがある。

ウ 即時取得は取引の安全を保護するものではあるが,目的動産についての真の権利者に存した制限は,即時取得者に承継されざるを得ない。

エ 即時取得は,取引の安全を保護する制度であるから,被相続人による他人の動産の占有を相続に伴って承継することによっては所有権を取得しない。

オ 即時取得は,本来取引の相手方が無権利者であった場合には権利を取得しないはずであるのに,取引の安全を保護するために権利の取得を認める制度である。

カ 即時取得は,取引の安全を保護する制度であるから無能力者たる取引の相手方から動産を譲り受けた者も所有権を取得する。

1.ア ウ エ  2.ア イ オ  3.ア エ オ

4.イ ウ カ  5.ウ エ カ

[H01−38] 甲から乙,乙から丙へと不動産が転々譲渡された後,甲が乙の詐欺を理由として甲乙間の法律行為を取り消した場合,善意である丙が民法第96条第3項によって保護されるためには,自己名義の登記が必要かどうかという問題がある。下記AからFまでの記述のうちから,登記を不要とする見解の理由付けとして適切なものを選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

A 民法第96条第3項の第三者は,その取得した権利をだれにでも対抗できるようにしておくべきである。

B 甲による取消しの後甲から丁が所有権を譲り受けた場合,丙は丁との間で対抗関係に立つ。

C 甲は取消しの効果を丙に主張できず,甲と丙とは前主後主の関係に立つ。

D 乙から丙への譲渡時期が,甲による取消しの先後いずれであるかを問わず,同様の取扱いをすべきである。

E 民法第96条第3項の第三者は,物権の取得者に限定されない。

F 取消しによる甲への所有権の復帰も,一つの物権変動である。

1.C E  2.A D  3.B F

4.B C  5.B E

[H01−39] X男とY女は,夫婦同様の生活をしていた。Y女は,X男の署名欄にX男の氏名を記載しX男の印を押して婚姻届を市役所に提出した。その後,X男はその事実を知ったがそのまま放置し以前と同様の生活を続けた。判例はこのような事例において,この婚姻は届出時に遡って有効なものとしている。その根拠として正しい組合せは,後記1から5までのうちどれか。

A この婚姻は,当初から取り消しうるものにすぎない。

B 無権代理の追認についての第116条の類推により,有効となる。

C 実質的婚姻意思さえあれば,届出意思は不要であるから,この婚姻ははじめから有効である。

D 実質的に婚姻と同様の状態を継続することにより,戸籍に記載された事項は有効となる。

E 第三者は,その生活関係の存在と戸籍の記載に照らし,婚姻の有効を前提として行動するのか通常である。

F 実質的な婚姻が長期継続されたことにより,時効によって当事者間の意思の欠缺は補完される。

G 無効行為の追認についての第119条の適用により有効となる。

H 身分行為の無効につき民法はその追認について詳しく規定しないか,届出の事実を知りながら実質的な婚姻状態の継続により,黙示の追認をしたものとみなされる。

1.A C E  2.A G H  3.B D E

2.B E H  5.C F G

[H01−40] 相前後する二つの行為が抵触する場合の効力に関する次の記述のうち正しいものを選んだ場合,その組合せが適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

ア 相続人が相続放棄をした後に,考え直して相続を承認した。相続したときから3カ月経過していなくても承認の効力は生じない。

イ 夫が妻に車を贈与する契約をした後に,夫がその車を第三者に売却した場合には,第三者に車を譲渡したことにより妻への贈与契約はその効力を失う。

ウ 夫が失踪宣告を受けたので妻が再婚した。しかし夫が生存していたので失踪宣告が取り消された。このことに関して妻と再婚した夫は知らなかった。この後婚は無効である。

エ 普通養子縁組をした養子が特別養子縁組をしたら,実親との親子関係だけでなくて養親との間の普通養子縁組も終了してしまう。

オ 1億円で士地を売るから買ってくれと言ってきたので,8000万円なら買ってもいいと手紙を出した。しかし地価が高騰するであろうことを予見したため,電報で1億円で買うと返事をした。8000万円で購入するとの手紙が到達する前に売主に1億円で買うとの電報か先に届いた場合,その契約は効力が生じない。

1.ア ウ  2.ア エ  3.イ エ

4.イ オ  5.ウ オ

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