[H08−21]  次のアからオまでのうち,「  」内のCの主張が正しいものの組合せはどれか。

ア 未成年者Aの法定代理人Bが,Aの了解を得ずに,また,やむを得ない事情もないのに,Dを復代理人に選任し,DがAC間の不動産売買契約の交渉に臨んだ。これに対し,Cは,「Bが復代理人を選任できる場合に当たらないから,Dは適法な復代理人ではない」と主張した。

イ 未成年者Aが法定代理人Bの同意を得ないでCと不動産売買契約を締結したところ,Bは,Aが知らないうちに,Aの法定代理人としてCに対しその売買に基づく所有権移転登記をした。その後,Aは,Cに対し,その売買契約を取り消す旨の意思表示を行った。これに対しCは,「Bが追認したことになるからもはや取消しはできない」と主張した。

ウ 未成年者Aの法定代理人としてのBがCと不動産売買契約を締結したところ,Cが債務不履行を理由とする契約解除の意思表示をAに口頭で行った。Aは,Cに対し,解除の意思表示はBにしてくれと申し入れた。これに対しCは、「Aも意思表示の受領能力はあるから,Aに対する意思表示で十分である」と主張した。

エ Bが未成年者Aの法定代地人としてCに10万円貸し付けたところ,Aが,Bの同意を得ずに,Cから,その貸金10万円の返済を受けた。Bは,Aの法定代理人として,その受領を取り消す旨の意思表示を行った。これに対しCは,「返済金の受領については,取消しが認められない」と主張した。

オ 未成年者Aは,法定代理人Dを介してCに10万円を貸し付けたが,弁済期が到来して6年後にDが死亡し,その後の5年間,Aの法定代理人の不在が続いた後,BがAの法定代理人になった。その1年後,Bは,Cに貸金10万円の返済を請求した。これに対し,Cは,「貸金債権の消滅時効期間は10年であり,時効中断事由がないから,消滅時効が完成している」と主張した。

1. アイ

2. アエ

3. イオ

4. ウエ

5. ウオ

[H08−22] 次のアからオまでの記述のうち,正しいものは何個あるか。

ア 贈与契約における贈与者は,引渡しをするまで目的物を自己のものと同一の注意をもって保存すれば足りる。

イ 売買契約における売主は,契約当事者双方の責めに帰すべからざる事由によって履行期に引渡しがされていないときも,引渡しをするまで目的物を善良なる管理者の注意をもって保存しなければならない。

ウ 有償の寄託契約における受託者は,履行期に寄託者が債務の本旨に従った履行の受領を拒絶したためその引渡しがされていないときも,引渡しをするまで目的物を善良なる管理者の注意をもって保存しなければならない。

エ 売買契約における売主は,代金の支払を受けていないときは、引渡しをするまで目的物を自己のものと同一の注意をもって保存すれば足りる。

オ 事務管理における管理者は,引渡しをするまで目的物を自己のものと同一の注意をもって保存すれば足りる。

1. 1個

2. 2個

3. 3個

4. 4個

5. 5個

[H08−23]

 AB共有の甲土地上にA単独所有の乙建物が存在している場合の法律関係に関する次のアからオまでの問答のうち,妥当でない答の組合せはどれか。

ア 問 AがBに無断で乙建物を建て,甲土地を独占的に使用している場合,Bは,Aに対し,乙建物を収去して出土地を明け渡せと請求できるか。

  答 各共有者は,共有物の全部につき,その持分に応じた使用ができる。Bの請求を認めると,Aの使用権が害されるから,この請求は認められない。

イ 問 AがBに無断で乙建物を建て,甲土地を独占的に使用している場合,Bは,Aに対し持分権侵害を理由として損害賠償を請求できるか。

  答 各共有者は,共有物の全部につき,その持分に応じた使用ができるから,Aは,甲土地全部を使用していても,損害賠償を支払う必要はない。

ウ 問 Aが,Bに無断で甲土地の共有持分に抵当権を設定した。抵当権が実行された場合の法律関係はどうなるか。

  答 各共有者は,その持分を自由に処分できるから,抵当権は,有効に成立するが,共有不動産に地上権を設定するには共有者全員の同意が必要であるから,Bが法定地上権の成立を容認していた場合を除き,法定地上権は成立しない。

エ 問 持分の過半数を有するAがBの反対を押し切って乙建物を建て,乙建物に抵当権を設定した。抵当権が実行された場合の法律関係はどうなるか。

  答 共有不動産の管理に関する事項は,持分の過半数で決することができるから,Aは,甲土地の適法な使用権限を有しており,抵当権も有効に成立しているから,Bは,乙建物の買受人のための法定地上権の成立を否定できない。

オ 問 乙建物がAからCに譲渡され,ABとCとの間で甲土地の使用貸借契約が締結された。Aは,この契約を解除したいが,Bが同意しない場合,どうなるか。

  答 契約当事者の一方が数人の場合,契約の解除は,その全員から,又はその全員に対して行わなければならないから,Aは,持分の過半数を有していても,Bが同意しない限り,使用貸借契約を解除できない。

1. アイウ

2. アイオ

3. アウエ

4. イエオ

5. ウエオ

[H08−24] A,B及びCがそれぞれ1。0万円ずつ出資して,X商会の名義で小売事業を営む組合契約を締結した。この場合に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せはどれか。

ア X商会が業務執行者の定めを置かなかった場合,A及びBがX商会の名義でYとの間で売買契約を締結したときは,Cも売買契約上の責任を負う。

イ Cが死亡した場合,その相続人は,A及びBに対する加入の意思表ホをしなくてもX商会の組合員となる。

ウ Cは,自己の出資分100万円の履行をしなかった場合,Aに対して100万円の貸金債権を有していても,その貸金債権と出資債務とを対当額で相殺できない。

エ X商会の規約で,業務執行者Aの契約締結権限を一定額以下の代金に関するものに限ったが,Aがその制限を超えた契約をYとの間で締結した場合,Yがその制限を過失なく知らないときは,B及びCも契約上の責任を負う。

オ 業務執行者Aが自己の出資分100万円の履行をしない場合,出資を履行したBは,Aに対して履行を催告した上,相当期間内に履行されないときは,組合契約を解除できる。

1. アイ

2. アエ

3. イオ

4. ウエ

5. ウオ

 

[H08−25] 次のアからオまでの記述のうち正しいものは何個あるか。

ア 債務者Aが所有する土地についに債権者Bが第1順位の,債権者Cが第2順位の抵当権の設定を受けている場合,CがAを単独で相続すると,Cの抵当権は消滅する。

イ 債務者Aが所有する土地について,債権者Bが第1順位の,債権者Cが第2順位の抵当権の設定を受けている場合,BがAを単独で相続すると,Bの抵当権は消滅する。

ウ 債務者Aが所有する土地について,Bが賃借権の設定を受けて登記をした後,債権者Cが抵当権の設定を受けている場合,BがAを単独で相続すると,Bの賃借権は消滅する。

エ Aが所有する土地にBが地上権の設定を受けた後,Bの地上権についてCが抵当権の設定を受けている場合,CがBを単独で相続すると,Cの抵当権は消滅する。

オ Aが所有する土地をBが占有している場合,BがAを単独で相続すると,Bの占有権は消滅する。

1. 1個

2. 2個

3. 3個

4. 4個

5. 5個

[H08−26] 次のアからオまでの記述のうち,誤っているものは何個あるか。

ア 債権が譲渡されて確定日付のない通知がされた後,さらに,その債権が二重に他の者に譲渡されて確定日付のある通知がされた場合,債務者は,最初の譲受人からの請求を拒絶できる。

イ 債務者は,債権が譲渡された後であっても,その譲渡の通知を受けるまでに債権者に債務を弁済していれば,謡受人からの請求を拒絶できる。

ウ 債権が譲渡されて連帯債務者の一人に対してのみ通知がされたにすぎない場合でも,譲受人は,連帯債務者の全員に対して全額の返済を請求できる。

エ 債務者は,債務の弁済をしていたとしても,その債権の譲渡に異議を留めない承諾をした場合,譲受人に対しては債務の弁済を免れないが,譲渡人に対しては弁済金の返還を請求できる。

オ 物上保証人が,債務者に代わって債務を弁済した場合,債権は,物上保証人に移転するが,債務者は,その移転につき債権者から通知を受けるまでは,物上保証人からの請求を拒絶できる。

1. 1個

2. 2個

3. 3個

4. 4個

5. 5個

[H08−27] 「交通事故において,被害者が事故以前に罹患していた体質的素因や心因的要因が損害の発生・拡大に寄与していた場合,民法第722条第2項(過失相殺)の規定を類推適用できる。」という見解がある。次のアからオまでの記述のうち,この見解と矛盾しない組合せとして最も適切なのはどれか。

ア 不法行為における損害賠償は,相当因果関係にある範囲の損害を賠償すれば足り,被客者が事故以前に罹患していた体質的素因や心因的要因は,特別の事情に当たるから,その賠償が認められるためには,予見可能性が必要である。

イ 不法行為における損害賠償は,完全賠償を目的とするものであり,加害者は,被害者のあるがままを受け入れて損害を賠償する必要がある。

ウ 不法行為に基づく損害賠償の基本理念は,損害の公平な分担にあり,過失相殺の法理は,被害者の過失責任の追及ではなく,公平の原則の実現を目的とする。

エ 過失相殺の法理の適用は,被害者が損害の発生・拡大を自ら回避できるのに,これをしなかった場合に認められる。

オ 損害賠償における因果関係は,その有無が問題になるにすぎず,その程度・割合を問題とするものではない。

1. アウ

2. アエ

3. イエ

4. イオ

5. ウオ

[H08−28] 学生A,B及びCがそれぞれ異なる立場から次の議論をした。後記アからオまでの記述のうち,どの立場からでも肯定できる組合せはどれか。

A:抵当権の効力が及ぶ範囲については,「其目的タル不動産ニ付加シテ之ト一体ヲ成シタル物」(附加物)に及ぶという規定があるね。

B:それは,不動産に附合した物(附合物)と同じだろう。

C:いや,附合物だけでなく,従物も含むはずだ。

B:従物は含まないよ。ただ,抵当権設定時に目的不動産の従物だったら,従物にも抵当権の効力が及ぶだけさ。

A:従物は含まないとしても,従物が主物の処分に従うという場合の処分の内容は,抵当権については,設定から実行までを一体として考えるべきだと思う。

ア 抵当権の目的となっているビルにエレベーターを新設した場合,これに抵当権の効力が及ぶ。

イ 抵当権の目的となっている家屋の雨戸や入口のドアを取り替えた場合,これらに抵当権の効力が及ぶ。

ウ 抵当権の目的となっている家屋の畳や建具を取り替えた場合,これらに抵当権の効力が及ぶ。

エ 抵当権の目的となっているガソリン・スタンド(建物)に隣接して洗車機を増設した場合,これに抵当権の効力が及ぶ。

オ 抵当権の目的となっている宅地の庭に取り外しができる石灯籠や庭石を設置した場合,これらに抵当権の効力が及ぶ。

1. アイ

2. アオ

3. イエ

4. ウエ

5. ウオ

[H08−29] 次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せはどれか。

ア 同一債務についての保証人と物上保証人は,弁済による代位の割合について民法の規定と異なる特約を結ぶことができ,その特約は第三者にも効力を有する。

イ 債務者から他にも保証人がいるからと説明されて保証人になった者は,実際には他に保証人がいなかった場合,保証契約を解除できる。

ウ 債務者が全額を弁済した保証付き債権を,債権者が譲渡し,この譲渡に債務者が異議を留めない承諾をした場合,保証人は,譲渡人に債務の消滅を主張できない。

エ 相互に債権者に全額を弁済する旨の特約をしている共同保証人は,連帯債務者相互間と同様の関係にあるから,共同保証人の一人が一部の弁済をした場合,弁済をした額がその者の負担部分を超えていなくても,負担割合によって他の共同保証人に求償できる。

オ 継続的取引によって将来生ずべき債務について限度額及び保証期間の定めのない連帯保証契約が締結された場合,保証人の死亡後に生じた債務については,保証人の相続人は,責任を負わない。

1. アイ

2. アオ

3. イウ

4. ウエ

5. エオ

[H08−30] 売買の瑕疵担保責任と請負の瑕疵担保責任との異向に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せはどれか。

ア 買主の損害賠償請求権は,目的物を第三者に譲渡した後でも行使できるが,注文者の瑕疵修補請求権は目的物を第三者に譲渡した後は行使できない。

イ 瑕疵により建物が毀損した場合の損害賠償請求権は,買主は瑕疵の事実を知った時から,注文者は引渡しを受けた時から,1年以内に行使しなければならない。

ウ 買主は,瑕疵が隠れたものでなければ解除権を行使できないが,注文者は,瑕疵が隠れたものでなくても解除権を行使できる。

エ 買主が瑕疵を知らないことに過失があるときは,売主は担保責任を負わないが,注文者が瑕疵を知らないことに過失があっても,請負人は担保責任を負う。

オ 買主は,売主が損害賠償を支払わなければ代金を支払わないと主張できるが,注文者は,請負人が損害賠償を支払わなければ代金を支払わないと主張できない。

1. アイ

2. アオ

3. イウ

4. ウエ

5. エオ

[H08−31] 以下のアからオまでの文章は,報酬請求権に関する教授と学生の会話である。学生の答えに誤りがあるものの組合せは下記1から5までのうちどれか。

ア 教授: 建築業者Aが注文音Bから甲建物の建築を請け負った場合,Aは,建築に着手していない段階でも報酬請求権を譲渡できますか。

  学生:請負では仕事が完成しないと報酬請求権が生じないから、できません。

イ 教授:この事例で,Bは.請負代金支払債務につき,いつから遅滞となりますか。

  学生:Aは,建築を完了すると同時に報酬を請求できるようになるから,BはAの建築完了と同時に報酬を提供しないと,履行遅滞となります。

ウ 教授:では,不動産取引の仲介業者Aが,Bから甲土地の売却の仲介を依頼され,甲土地を買ってもよいというCを見つけたが,CがBと直接交渉を始め,Bがこれに応じてAへの仲介の依頼を解除し,Cとの売買契約を成立させた楊台,Aは,報酬請求できますか。

  学生:委任では,別段の合意をしなかったときは,委任を履行した後でなければ報酬を請求できないから,できません。

エ 教授:刑事事件の被告人Bから弁護の依頼を受けた弁護士Aは,裁判の途中でBの心変わりにより突然解任された場合,報酬を請求できますか。

  学生:解任は有効ですが,Aは解任されるまでにした弁護活動が占める履行の割合に応じて報酬を請求できると思います。

オ 教授:物の一時預かりをしている店Aは,客Bから物の返還を請求された場合,保管料を支払わなければ物は返還しないと主張できますか。

  学生:保管料の支払義務と物の返還義務は同時履行の関係にあるから,できます。

1. アイウ

2. アウオ

3. アエオ

4. イウエ

5. イエオ

[H08−32] 「甲は,けがをした首輪の犬を見つけたために,獣医乙にみせて治療し,自宅の犬小屋で休養させていた。ところが犬は甲が目をはなしたすきに,通行人丙を傷つけてしまった。その後,犬のもともとの飼い主であった丁が自分の犬を返してくれと請求してきた。」

 この事例について,AとBが次のような議論をしている。(ア)から(オ)までの下線をひいた部分のうち,誤りを含んでいるものの組合せはどれか。

A:この事例で甲が犬の治療費を支払っていた場合,(ア)甲は,丁の返還請求に対し,同時履行の抗弁権を行使して犬の返還を拒絶できると思います。

甲は,犬の所有権を取得したと主張できないでしょうか。

B:甲は,(イ)即時取得によって保護されることはありませんし,無主物先占にも当たりません。

A:甲が犬の治療費を支払っていない場合の法律関係はどうなるでしょうか。

B:もともと,甲は,丁の犬の面倒をみる義務はなかったわけですから,(ウ)乙から治療費の支払請求を受けた場合,甲は,乙に対する治療費の支払債務を負っているのは本来の飼い主である丁であり,自らは支払債務を負っていないと主張して,支払を拒絶できます。

A:丙が受けた損害については,(エ)甲は,犬の占有者として保管に落ち度がなかったことを立証しない限り,丙に対する損害賠償債務を免れません。

B:この場合、甲の損害賠償債務は,自らに落ち度があったとはいえ,丁の犬の世話をしていたために負拍することになったわけですから,(オ)甲は,丁に対し,丙に対する損害賠償債務を自己に代わって履行するよう請求できます。

1. (ア)(イ)(エ)

2. (ア)(ウ)(オ)

3. (ア)(エ)(オ)

4. (イ)(ウ)(エ)

5. (イ)(ウ)(オ)

[H08−33] 譲渡担保権の法的性質についての考え方を次の甲説と乙説に分けた場合,後記アからオまでの記述のうち,甲説を採った場合にのみ当てはまるものと乙説を採った場合にのみ当てはまるものの数の組合せとして最も適切なものはどれか(譲渡担保権設定者をA,譲渡担保権者をB,第三者をC又はDとする。)。

甲説:譲渡担保目的物の所有権は,譲渡担保権者と譲渡担保権設定者との内部関係でも,両当事者と第三者との外部関係でも,譲渡担保権者に移転している。

乙説:譲渡担保目的物の所有権は,譲渡担保権設定者のもとにとどまっており,譲渡担保権者が有するのは,担保権である。

ア 譲渡担保の目的動産を被担保債権の弁済期前にBが善意・無過失のCに引き渡した場合,Aは,Bに損害賠償を請求できる。

イ 譲渡担保の目的動産をAがその事情を知っているDに譲渡して引き渡した場合,被担保債権の弁済期前であっても,Bは,Dに目的動産の返還を請求できる。

ウ 譲渡担保の目的動産をBがその事情を知っているCに譲渡して指図による占有移転をした場合,Cは,所有権に基づきAに目的動産の引渡しを請求できる。

エ 譲渡担保の目的不動産をAがその事情を知らないDに譲渡して移転登記をした場合,Bは,Dに移転登記の抹消登記を請求できる。

オ Aの動産にBが譲渡担保権の設定を受けて占有改定をした後,Aがその動産を善意・無過失のDのために譲渡担保に供して現実の引渡しをした場合,Aが弁済期に弁済しないのでDが譲渡担保権を実行したときは,Bは,Dが目的動産の価額から自己の債権の弁済に充てた後の剰余金から優先弁済を受けることができる。

1. 甲説−1個 乙説−0個

2. 甲説−1個 乙説−1個

3. 甲説−1個 乙説−2個

4. 甲説−2個 乙説−1個

5. 甲説−2個 乙説−2個

[H08−34] 次のアからオまでの記述のうち,Aが所有権に基づき占有者Bに対し土地の引渡しを請求した場合,Bが引渡しを拒絶できるものは何個あるか。

ア 土地を所有し占有するAは,Bに対し土地を口頭で贈与して引き渡したが,登記名義はAのままにしておいた。その後,Bと仲違いしたAは,Bに対し,贈与契約を取り消す旨の意思表示をした。

イ 土地を所有し占有するBからXへ,XからAへと土地が順次売買されて移転登記もされたが,BX間の売買にはXに要素の錯誤があった。Bは,BX間の売買は錯誤により無効であると主張するが,Xには,その無効を主張する意思がない。

ウ 土地を所有し占有するBが登記名義を便宜上Xとしていたところ,Aは,Xが真実の所有者であると過失なく信じ,Xから土地を買い受けて移転登記を受けた。

エ 土地を所有し占有するBは,Xに対し土地を売却して移転登記を行ったか,Xが残代金を支払わないので,売買契約を解除したところ,Xは,その直後に土地をAに売却して移転登記を行った。

オ AがBの法定代理人としてXから土地を買い受け,Bが土地を所有し占有するようになったが,登記名義はXのままであった。Aは,Bの法定代理人でなくなった直後にXから土地を買い受けて移転登記を受けた。

1. 1個

2. 2個

3. 3個

4. 4個

5. 5個

[H08−35] 次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せはどれか。

ア 両債務が同時履行の関係にある場合であっても,相手方が債務を履行しない意思が明確なときは,自己の債務について履行の提供をしなくても,相手方が債務不履行に陥ることがある。

イ 金銭債務は,履行地に現金を持参して受領するよう催告すれば,たとえ相手方の面前に提供しなくても,現実の提供となる。

ウ 取立債務の債務者が債務不履行に陥らないようにするには,口頭の提供をしなければならない。

エ 債権者が解除のために履行を催告し催告期間が経過すれば,解除の意思表示の前であっても,債務者は弁済の提供をして解除を免れることができない。

オ 履行に債権者の行為を要する債務について口頭の提供をするには,協力行為があれば直ちに履行できるだけの準備が必要であるが,債権者が受領を拒絶しているときに口頭の提供を行う際には,準備の程度は低くてよい。

1. アイ

2. アオ

3. イウ

4. ウエ

5. エオ

[H08−36] 次のアからオまでの記述のうち,誤っているものは何個あるか。

ア 表示上の錯誤は,表示意思と表不との間の不一致を表意者が知らない場合であり,言い間違いや書き間違いがその例である。

イ 詐欺又は強迫による意思表示は,心裡留保,虚偽表示及び錯誤と同様,内心の意思と表示とが一致していない場合である。

ウ 動機の錯誤は,内心の意思と表示は一致しているが,内心の意思を形成する動機に誤りがある場合である。

エ 本人の意思を使者が第三者に表示する場合,その意思表示に錯誤があるか否かは,使者について判断する。

オ 心裡留保及び虚偽表示は,意思と表示との不一致を表意者が知っている場合であり,錯誤は,その不一致を知らない場合である。

1. 1個

2. 2個

3. 3個

4. 4個

5. 5個

[H08−37] 養子縁組に対する同意に関する次の1から5までの記述のうち,最も適切でないものはどれか。

1. 離婚の際に父を親権者,母を監護者と定めた15歳未満の子を普通養子とする場合,母の同意を得なければならない。

2. 離婚の際に父を親権者,母を監護者と定めた6歳未満の子を特別養子とする場合,母の同意を得なければならない。

3. 離婚の際に父を親権者,母を監護者と定めた6歳末満の子を特別養子とする場合,父の同意を得なければならない。

4. 6歳末満の非嫡出子を特別養子とする場合,その非嫡出子を認知した父の同意を得なければならない。

5. 15歳未満の非嫡出子を普通養子とする場合,その非嫡出子を認知した父の同意を得なければならない。

[H08−38] 次のアからオまでの記述のうち,物権的請求権としての登記請求権が行使されていると構成するのが困難なものの組合せとして正しいものはどれか。

ア AがBからB所有の不動産を買い受け,その旨の所有権移転登記をした後,売買契約が解除された場合,Aは,Bに所有権移転登記の抹消登記を請求できる。

イ BからB所有の不動産を買い受け,これをCに売り渡したAは,Bとの売買契約に基づく債権が消滅時効にかかった後でも,Bに所有権移転登記を請求できる。

ウ A所有の不動産に設定されたBの抵当権が被担保債権の弁済により消滅した場合,Aは,Bに抵当権設定登記の抹消登記を請求できる。

エ 不動産が所有者BからA,AからCへと順次売買され,それぞれ所有権移転登記がされたか,各売買契約が無効であった場合,Aは,Cに所有権移転登記の抹消登記を請求できる。

オ AがB所有の不動産を20年間占有して時効取得した場合,Aは,登記名義人Bに所有権移転登記を請求できる。

1. アイエ

2. アウオ

3. アエオ

4. イウエ

5. イウオ

[H08−39] 次の1から5までのうち,YのXに対する債務額が3番目に多いものはどれか。

1. Xが,Y及びAを連帯債務者として450万円を貸し付けて10年が経過し,AがXに債務の承認をした後,YがXに消滅時効を援用した。

2. XがY及びAを連帯債務者として1000万円を貸し付けたが,XがAに債務を免除する意思表示をした。

3. AがX及びYを連帯債務者として甲土地を1000万円で売却した後,XがAに600万円を支払った。

4. AがX,Y及びBを連帯債務者として600万円を貸し付けた後,AがYの連帯を免除し,XがAに600万円を弁済した。

5. Aが,X,Y,B,C及びDを連帯債務者として甲土地を1000万円で売却し,XがAに1000万円を支払ったが,Dが無資力であった。

[H08−40] 次のアからオまでのうち,Aが消滅時効を援用した場合,その主張が認められるものの組合せはどれか。(いずれも.Bの債権の消滅時効期間は10年とし,記述した事情以外に消滅時効の成否に影響を与える事情はないものとする。)

ア Aは,Bから,請求があれば1年後に返済するとの約束で金員を借り入れた。Bは,貸付けから12年後に初めて返済を請求し,その1年後にAに貸金の返済を訴求した。

イ Aは,Bから,返済期限を定めずに金員を借り入れた。借入れから4年後にAB間で調停が行われ,Aは長期の支払猶予を求めたが,弁済期について協議が整わず,調停は,その半年後に不調に終わった。Bは,貸付けから13年後にAに貸金の返済を訴求した。

ウ Aは,Bから,1年後に返済するとの約束で金員を借り入れ,借入れから12年後に消滅時効の完成を知らずに遅延損害金の一部を支払った。Bは,貸付けから13年後にAに貸金の返済を訴求した。

エ Aは,Bから,Aが甲土地を売却した時に返済するとの約束で金員を借り入れ,借入れから1年後に甲土地を売却した。Bは,貸付けから4年後に甲土地の売却を知り,貸付けから13年後にAに貸金の返済を訴求した。

オ Aは,Bから,引渡しと引換えに代金を支払うとの約束で絵画を買い受けた。Bは,売買から9年10か月後に絵画の引渡しの履行の提供をすることなく代金の支払を催告し,その4か月後にAに代金の支払を訴求した。

1. アイ

2. アエ

3. イオ

4. ウエ

5. ウオ

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