[36−03] 甲と乙は共謀して丙宅に強盗に入った。しかし予想に反して丙宅が貧しかったので,乙は,かわいそうになり途中で甲に盗品を返そうと相談したが,甲は聞きいれないのでそのまま立ち去った。

 乙の刑事責任は次のうち,どれにあたるか。

(1) 強盗罪の障碍未遂

(2) 強盗罪の中止未遂

(3) 脅 迫 罪

(4) 強 盗 罪

(5) 強盗罪の従犯

[36−09] 刑法が通貨偽造を処罰している理由の最も重要なものとして,一般に説明されているのは次のうちどれか。

(1) 通貨を偽造しても,次して偽造者の利益になるものではないということを知らせる必要があるから。

(2) 通貨偽造を放任しておくと,詐欺が増加するから。

(3) 国家の財政収人を害するから。

(4) 情を知らないで偽造通貨を使用した者が,その社会的信用を失うことになるから。

(5) 通貨偽造を放任すると,一般の人に真貨に対する疑問を生じさせ,国の貨幣制度を危うくするから。

[36−11] 甲と隣家の乙との間の係争中の宅地の境界について裁判上の和解が成立した結果,乙は甲所有地内にある乙所有の物置をすみやかに撤去しなければならないことになったにも拘わらず,これを履行しなかった。ところが甲は商売上急に自家の建増しをする必要を生じ,前記の物置が障害となったため乙に無断でこれを取りこわしてしまった。甲の行為は次のうち,どれにあたるか。

(1) 建造物損壊罪

(2) 正当防衛により犯罪不成立

(3) 緊急避難により犯罪不成立

(4) 自救行為により犯罪不成立

(5) 器物損壊罪

[36−15] 次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 公務員がその職務に関し,賄賂を要求し,約束し,次いで収受しても,全体を包括して収賄罪の一罪が成立すると解する考え方がある。

(2) 市長の候補者が市長としての職務に関し,請託を受けて賄賂を受け取れば,市長とならないでも,収賄罪として処罰することができる。

(3) 公務員がその職務に関し賄賂を受け取れば,たとえ不正な行為をしなくても,収賄罪が成立する。

(4) 収受した賄賂は没収し,またはその価額を追徴しなければならない。

(5) 公務員が請託を受けて報酬をもらえば,それが自分の職務に関係がなくても,収賄罪となることがある。

[36−16] 過失犯に関する次の記述のうち,誤れるものはどれか。

(1) 過失犯においては,不注意が重大な要素であるが,不可抗力を必要としない。

(2) 過失における主観説は,不注意の有無につき,行為者本人の注意能力を標準とする。

(3) 過失における客観説は,不注意の有無につき,普通人の注意能力を標準とする。

(4) 主観主義刑法理論をとれば,過失においても主観説をとることになる。

(5) 過失犯においても,一応,事実の認識のある場合がある。

[36−22] 刑法の基本的な考え方に関する次の記述のうち,誤りはどれか。

(1) 特別予防主義は,犯罪者の性格の危険性を標準として刑罰を科し,その犯罪者をして将来再び犯罪を行なわしめないことを期するという考え方である。

(2) 教育刑主義は,刑罰は犯罪者に対して苦痛を与えるために存するのではなく,犯罪者をして再び犯罪を犯さないような社会人に教育するために存すると考える。

(3) 主観主義は,刑罰は既に発生した実害に対するものであり,侵害の反復についての蓋然性に対するものではないと考える。

(4) 一般予防主義は,犯罪者に刑罰を科することによって社会の一般人を威嚇し,この威嚇によって将来における犯罪の発生を予防するという考え方である。

(5) 応報刑主義は,刑罰は悪に対する報い,犯罪に対する応報であるとらえる。

[36−24] 名誉毀損罪における事実の証明の規定は,次のいずれの理由に基づくと考えるのが最も妥当か。

(1) 非行のある者は名誉を有しないから。

(2) 憲法で保障されている表現の自由は,他のあらゆる個人の利益に優先するから。

(3) 非行のあった者の名誉感情は刑法上保護するに値しないから。

(4) 正当な批判の前には個人の名誉の保護はある程度譲歩しなければならないから。

(5) 真実非行があったのに,ないものとして社会から受けている評価は刑法でいう名誉にはあたなないから。

[36−25] 甲は乙が愚鈍で自分を深く信用しているのを利用して保険金を詐取しようと思い,乙に生命保険をかけ,自分を受取人とした。そして乙に「この薬を飲み,首を吊っても一時は仮死状懇になるが,数時間たてば生き返る」と言って無害の胃腸薬を飲ませたところ,乙は首を吊ってそのまま死んでしまった。甲の罪責如何。

(1) 承諾殺人罪

(2) 自殺幇助罪

(3) 過失致死罪

(4) 自殺教唆罪

(5) 殺 人 罪

[36−27] まちの不良甲は,路上で,通行中の乙とささいなことから口論の末同人の額面その他をこぶしで強打したため,乙は負傷してその場にうつ伏せに倒れたまま動けなくなってしまった。やがて,甲は,乙の足元に暴行中同人の着衣のポケットから落ちた札入れを発見し,これを拾い上げ,自分のふところに入れて同所を立ち去った。甲の行為は次のうちどれにあたるか。

(1) 窃盗罪と傷害罪

(2) 強盗傷人罪

(3) 強盗罪と傷害罪

(4) 恐喝罪と傷害罪

(5) 占有離脱物横領罪と傷害罪

[36−30] 博徒甲は賭博場を開帳して利益を得る目的で,乙にその居宅2開座敷の借入れ方を申込んだところ,乙はその事情を知りながら座敷を貸した。やがて,甲は賭博の用意万端を整え,客を集めたが,賭博開始前に検挙された。乙の行為は次のうちどれにあたるか。

(参考条文)刑法第186条第2項「賭博場ヲ開帳シ又ハ博徒ヲ結合シテ利ヲ図リタル者ハ3月以上5年以下ノ懲役ニ処ス」

(1) 賭博場開張罪の共同正犯

(2) 賭博場開張罪の従犯

(3) 賭博場開張未遂罪の共同正犯

(4) 賭博場開張未遂罪の従犯

(5) 犯罪不成立

[36−32] 共犯の態様に関する次の記述中,誤れるものはどれか。

(1) 共犯従属性説は教唆犯の成立には少くとも正犯の実行の着手を必要とする。

(2) 共犯従属性説は教唆犯の成立につき正犯の有責性まで必要とするとは限らない。

(3) 共犯従属性説によれば,教唆の未遂は認められないが,従犯の未遂は理論上認められる。

(4) 共犯独立性説は教唆の成立には正犯の実行を必要としていない。

(5) 共犯独立性説は教唆自体の未遂を認めている。

[36−34] 甲はタクシーにのり込み,運転手に対して無賃で運転しなければ身体に害を加えると言って,反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫を加えたところ,乙はこれを恐れたためやむなく甲のいうままに丙町まで車を走らせた。甲は同所で車から降り運賃を払わず逃げ出したが,乙の急報によりまもなく逮捕された。甲の行為は次のどれにあたるか。

(1) 脅迫罪

(2) 恐喝未遂罪

(3) 強要(強制)罪

(4) 恐喝罪

(5) 強盗未遂罪

[36−36] 甲は,路上で映画館の看板を見ている乙の上衣のポケットに入っている金銭すり取ろうとして,そのポケットに指を差し入れたところ,乙に発見されたことを知り金銭をするのをあきらめていそいで指を引込めた。しかし乙が甲を窃盗未遂の現行犯として逮捕すためその手首をつかんだので逃げようとして短刀を乙に突き付け「手を離さなければ殺すぞ」と言って脅迫したが,乙はこれにひるまずその場で甲を逮捕した。甲の行為は次のうちいずにあたるか。

(1) 窃盗の中止未遂と脅迫罪

(2) 事後強盗の中止未遂

(3) 事後強盗の障害未遂

(4) 事後強盗

(5) 窃盗の障害未遂と脅迫罪

[36−39] 次の記述は,すべて罰金以上の刑にあたる罪の犯人に関するものであるが,犯人隠避罪が成立するのはどれか。

(1) 警察官に追跡されている者に,逃げ道を教えた時

(2) 犯人を逮捕しようとしている警察官に協力を頼まれたがこれに応じなかった時

(3) 犯人に不利益な証人を遠方につれ去り出頭できないようにした時

(4) 証人として真犯人である被告人に有利な虚偽の証言をした時

(5) 犯罪の用に供した短刀を犯人のために川に捨てた時

[36−40] 甲は乙を殺害しようとして重傷を負わせたが,乙は医療の効果で命をとりとめる見込みがあったのに,乙自身が気をゆるして養生を怠ったために傷口が悪化してついに死亡した。甲の責任として正しいものはどれか。

(1) 相当因果関係説では傷害致死罪

(2) 相当因果関係説では傷害罪

(3) 条件説では殺人未遂罪

(4) 条件説では殺人罪

(5) 条件説では傷害致死罪

[36−44] 次のうち,賍物にあたらないものはどれか。

(1) 14歳に満たない少年が窃取した金銭。

(2) 別居中の兄のところから窃取した金銭。

(3) 窃取した時計を処分して得た金銭。

(4) 店員が計算違いをしていることを奇貨とし,つり銭として余分に受け取った金銭。

(5) 宝石が入っていると思って窃取した箱の中身が,宝石でなくて,思いがけなく入っていた金銭。

[36−47] 次のうち,正当防衛にあたるものはどれか。

(1) 散歩中,野犬にかみつかれそうになったので,持っていたステッキで撲殺した。

(2) 電車内で財布をスラれたが,翌日,同じ電車の中で,その財布を持っている者をみつけたので,暴力で取り返した。

(3) 自動車にひかれそうになったので,さけようとして,側にいた人につきあたり,負傷させた。

(4) 他人がその飼犬をけしかけ,噛みつかれそうになったので,その犬をけり殺した。

(5) 難船し白己が溺れそうになったので,他人の救命貝を奪い,他人を水死させた。

[36−49] 次のうち,誤れるものはどれか。

(1) 行為時において犯罪とされたものは,場合によっては廃止された後においても,罰することができる,とする考えがある。

(2) 行為時において犯罪とされたものは,廃止後においても,処罰できるという特別の規定がある時には,罰することができる。

(3) 行為時に適法であった場合,後において処罰することができない。

(4) 犯罪後の法律により,法定刑が変更されて軽くなった時は,その軽い刑を定めた法律を適用する。

(5) 行為時において犯罪とされず,裁判時において犯罪とされたときは,その行為が行為時においても公序良俗に反する限り処罰できる。

[36−54] 次のうち,占有離脱物横領罪の客体とならないものはどれか。

(1) 逃走中の家畜

(2) 旅館の宿泊人が散歩に出る際,自室に置き忘れた時計

(3) 出水によって,木材置場から流出した木材

(4) 郵便配達人が誤って配達した為替券在中の封かん郵便物

(5) 公園のベンチの上に置き忘れたかさ

[36−55] 甲は,乙と丙が婚約したことを知り,これを解消させる目的で,乙の父親に郵便で丙は素行がすこぶる悪い男であると虚偽の事実を書いて匿名で知らせた。その結果乙と丙との婚約は解消されるに至った。甲の行為は次のいずれにあたるか。

(1) 誣告罪

(2) 名誉毀損罪

(3) 信用毀損罪

(4) 私文書偽造,同行使罪

(5) 犯罪不成立

[36−58] 刑法第38条1項但書は「但法律ニ特別ノ規定アル場合ハ此限ニ在ラス」と規定するが,次のうち,いずれがこれにあたるか。

(1) 刑法第200条「自己又ハ配偶者ノ直系尊属ヲ殺シタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ処ス」

(2) 刑法第201条「前2条ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其予備ヲ為シタル者ハ2年以下ノ懲役ニ処ス但情状ニ因リ其刑ヲ免除スルコトヲ得」

(3) 刑法第202条「人ヲ教唆若クハ幇助シテ自殺セシメ又ハ被殺者ノ嘱託ヲ受ケ若クハ其承諾ヲ得テ之ヲ殺シタル者ハ6月以上7年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」

(4) 刑法第203条「第199条,第200条及ビ前条ノ未遂罪ハ之ヲ罪ス」

(5) 刑法第210条「過失ニ囚リ人ヲ死ニ致シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス」

[36−60] 不真正不作為犯に関する次の記述のうち,誤りはどれか。

(1) 不真正不作為犯は,法令上規定された作為義務の存在が必要である。

(2) 母親が乳児を殺害するつもりで乳を与えずに餓死させるのは,不作為によって作為犯を成立させる場合である。

(3) 契約によって生じた作為義務に違反した場合にも不真正不作為犯の成立は可能である。

(4) 作為義務に違反したからといって,必ずしも不真正不作為犯が成立するとは限らない。

(5) 「要求をうけて其場所より退去せざる」罪は不真正不作為犯ではない。

[36−62] 次に述べるもののうち,いずれが幻覚犯(もう想犯,錯覚犯,誤想犯)にあたるか。

(1) 甲は乙にしょうこう水を飲ませて毒殺しようとしたが,誤って砂糖水を飲ませた。

(2) 甲は友人乙の犯罪の嫌疑の参考人として検察官から取調を受けた際に,偽証罪に問われることを覚悟で乙の利益のためことさらに虚偽の陳述をした。

(3) 甲は電車の網だなから,他人のかばんを盗むつもりで持ち帰ったところ,それは自分のものであった。

(4) 甲はやぶの中にくまがいると思って発砲したところ,くまと思ったのは,たけのこを掘っていた農夫であったため,農夫を射殺する結果になった。

(5) 甲は電車の網だなから自分のかばんと思って持ち帰ったところ,それは他人のものであった。

[36−68] 次のうち結果的加重犯はどの場合か。

(1) 友人を殺害するつもりで毒薬を使ったところ,自分の父を殺した場合。

(2) 器物を損壊するつもりで石を投げたところ人を傷つけてしまった場合。

(3) 人を傷害するつもりで発砲して負傷させたところ,数日後ついに死亡してしまった場合。

(4) 物置小屋だと思って放火し,これを焼いたところ,実はそれは人の住宅であった場合。

(5) 1人を殺害するつもりで爆弾を投げたら数人を死亡させてしまった場合。

[36−72] 判例は共謀共同正犯を認めるが,これによれば甲乙両名が窃盗を共謀した場合,実行行為をしなかった甲を共同正犯として処罰するには少なくとも次のいずれであることを要するか。

(1) 乙が実行の決意をすることを要する。

(2) 乙が実行の準備をすることを要する。

(3) 乙が実行の着手をすることを要する。

(4) 乙が既遂に至ること。

(5) 乙が実行するほか,甲は少なくとも実行の現場にいることが必要である。

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